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平生
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いつも
ふりがな文庫
“
平生
(
いつも
)” の例文
お種は洗濯物を
平生
(
いつも
)
の処へ浸したままで姿が見えなかった。母親は驚いてそのあたりを探して歩いたが、何処にもお種はいなかった。
蟹の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
燈火の加減でか、
平生
(
いつも
)
より少し脊が低く見えた。そして、見慣れてゐる袴を穿いてゐない
所爲
(
せゐ
)
か、何となく見すぼらしくも有つた。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
つまり女の頭の中には、
平生
(
いつも
)
の常識的な、理窟ばった考えは
微塵
(
みじん
)
もなくなって、人間世界を遠く離れたうっとりした気持ちになっている。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私は少し合点行かず、
平生
(
いつも
)
のお八ツとは大変に容子が違っていますから、何か、お目出たいことでもあったのかと、その由を師匠に聞くと
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
この発明におやと驚ろいた妻君はそれじゃ、みんなでおとなしく御遊びなさいと
平生
(
いつも
)
の通り針箱を出して仕事に取りかかる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そう言っている母の言葉や、アクセントは、
平生
(
いつも
)
の母とは思えないほど、
下卑
(
げび
)
ていて
娼婦
(
しょうふ
)
か何かのように
艶
(
なまめ
)
かしかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
平生
(
いつも
)
の
如
(
ごと
)
くおつぎを
連
(
つ
)
れて
開墾地
(
かいこんち
)
へ
出
(
で
)
た。おつぎは
半纏
(
はんてん
)
を
後
(
うしろ
)
へふはりと
掛
(
か
)
けた
儘
(
まゝ
)
手
(
て
)
も
通
(
とほ
)
さないで、
肩
(
かた
)
へは
襷
(
たすき
)
を
斜
(
なゝめ
)
に
掛
(
か
)
けて
萬能
(
まんのう
)
を
擔
(
かつ
)
いで
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
秋の一夜偶然尋ねると、珍らしく
微醺
(
びくん
)
を帯びた上機嫌であって、どういう話のキッカケからであったか
平生
(
いつも
)
の話題とは
全
(
まる
)
で見当違いの写真屋論をした。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
婆
(
ばあ
)
や婆やといたはつて下ださる
平生
(
いつも
)
の
貴嬢
(
あなたさま
)
の様にも無い——今日も奥様が
例
(
いつも
)
の御小言で、貴嬢の御納得なさらぬのは
私
(
わたし
)
が御側で悪智恵でも御着け申すかの御口振
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
だが結果はその兩點で私が間違つてゐたことを示した。彼はまつたく
平生
(
いつも
)
の態度で、または近來の彼のいつもの態度——
控
(
ひか
)
へ目な
鄭重
(
ていちやう
)
さでもつて私に話しかけた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「そうか。湯が
平生
(
いつも
)
に無く熱かったからナ、それで特別に利いたかも知れない。ハハハハ。」
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
平生
(
いつも
)
ならば人も滅多に来ない鎮守の森の裏山は全く人の影を以て
填
(
うづ
)
められて了つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
併
(
しか
)
しヌエが何か
夜業
(
やげふ
)
をする妨げをしては好くないと思ひ、又火曜会も
一寸
(
ちよつと
)
覗
(
のぞ
)
いて見たかつたので
此
(
この
)
下宿を辞さうとしたが、
平生
(
いつも
)
から淋し
相
(
さう
)
なヌエが
殊
(
こと
)
に今夜は一層淋し
相
(
さう
)
に見えたから
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
よね
平生
(
いつも
)
ん心掛んわるかけんたい。そんなら、
昨夜
(
ゆんべ
)
ん騒ぎも知らんだろが。
牛山ホテル(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
翌日
(
あくるひ
)
平生
(
いつも
)
の通り仕事に掛つて見たが、仕事が手に附かない。
普請場
(
ふしんば
)
からがもう厭になつて来た。何処へ行つて見ても、何に
触
(
さは
)
つて見ても、眺めても、娘の事が想出されて、
生別
(
わかれ
)
の辛さを
犇
(
ひし
)
と思知る。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
無論
(
むろん
)
此樣
(
こん
)
な
妄想
(
もうざう
)
は、
平生
(
いつも
)
ならば
苦
(
く
)
もなく
打消
(
うちけ
)
されるのだが、
今日
(
けふ
)
は
先刻
(
せんこく
)
から
亞尼
(
アンニー
)
が、
魔
(
ま
)
の
日
(
ひ
)
だの
魔
(
ま
)
の
刻
(
こく
)
だのと
言
(
い
)
つた
言葉
(
ことば
)
や、
濱島
(
はまじま
)
が
日頃
(
ひごろ
)
に
似
(
に
)
ぬ
氣遣
(
きづか
)
はし
氣
(
げ
)
なりし
樣子
(
やうす
)
までが、
一時
(
いちじ
)
に
心
(
こゝろ
)
に
浮
(
うか
)
んで
來
(
き
)
て
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
大嘘
(
おおうそ
)
! 実は
平生
(
いつも
)
の通り五杯喰べたので。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一箇月ばかりして、彼はまた演説の
腹案
(
ふくあん
)
をこしらえる必要が起ったので、
平生
(
いつも
)
のように散歩しながら思想を
纏
(
まと
)
めるつもりで
戸外
(
そと
)
へ出た。
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
素晴らしい腕前を持っているらしいのに感心させられたまま……
平生
(
いつも
)
の理智と判断力とをめちゃめちゃにたたき付けられて
終
(
しま
)
いかけていたのである。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僕はおそらく
平生
(
いつも
)
より
蒼
(
あお
)
い顔をしたろうと思う。自分ではただ眼を千代子の上にじっと
据
(
す
)
えた事だけを記憶している。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「私、
茲
(
こゝ
)
から飛び込んで死にたいわ。
妾
(
わたし
)
が死んだら、あなたは何うするの。」と、女は
平生
(
いつも
)
の彼女と全く違つてしまつたやうに、快活で大胆になつて居た。
海の中にて
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
私がお抱き申して
枕頭
(
まくらもと
)
へ参りますとネ、細ウいお手に、
楓
(
もみぢ
)
の様な可愛いお手をお取りなすつて、梅ちやんと一と声遊ばしましたがネ、お嬢様が
平生
(
いつも
)
の様に未だ
片言交
(
かたことまじ
)
りに
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
行つた時は、
平生
(
いつも
)
のやうに入口の戸が
閉
(
しま
)
つて居ました。初めての人などは不在かと思ふんですが。戸を閉めて置かないと自分の家に居る氣がしないとアノ人が云つてました。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何も彼も知らいでたわい無く寐て居し
平生
(
いつも
)
とは違ひ、如何せしことやら忽ち飛び起き、襦袢一つで夜具の上跳ね廻り跳ね廻り、厭ぢやい厭ぢやい、父様を打つちや厭ぢやい
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
猬鼠
(
はりねずみ
)
のような頭の□□は益々ガチ/\していたが、ガチ/\は同じ
平生
(
いつも
)
のガチ/\であっても、其のガチ/\の底に陰気の音が籠っていた。総支配人は平日に無い靴を穿いていた。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
心
(
こゝろ
)
から
漸
(
やうや
)
く
其
(
そ
)
の
瘡痍
(
きず
)
を
勦
(
いたは
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
平生
(
いつも
)
になくそれを
放任
(
うつちや
)
つて
置
(
お
)
けば
生涯
(
しやうがい
)
の
畸形
(
かたわ
)
に
成
(
な
)
りはしないかといふ
憂
(
うれひ
)
をすら
懷
(
いだ
)
いた。さうして
彼
(
かれ
)
は
鬼怒川
(
きぬがは
)
を
越
(
こ
)
えて
醫者
(
いしや
)
の
許
(
もと
)
に
與吉
(
よきち
)
を
連
(
つ
)
れて
走
(
はし
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
食事の間中彼はまつたく
平生
(
いつも
)
の通りに落着いた樣子をしてゐた。私は彼がとても私に話しかけはしないだらうと思つてゐた。そしてまた結婚の計畫を續けることは
諦
(
あきら
)
めてゐるのだと信じてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
其処は月の光であろう
四辺
(
あたり
)
が明るくなっていた。為作は怖いような尊いような気がして、
平生
(
いつも
)
のように平気で往くことができなかった。
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その若旦那のものの
仰言
(
おっしゃ
)
りようが、何とのう
上
(
うわ
)
の
空
(
そら
)
で、
平生
(
いつも
)
とは余程違うて御座る事に気が附いて参りましたので
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
が、何かの
機会
(
はずみ
)
で、
平生
(
いつも
)
通りの打ち解けた遠慮のない気分が復活したので、その中に引き込まれた矢先、つい何の気もつかずに使ってしまったのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行つた時は、
平生
(
いつも
)
のやうに入口の戸が閉つて居ました。初めての人などは不在かと思ふんですが、戸を閉めて置かないと自分の家に居る気がしないとアノ人が云つてました。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
俺
(
わし
)
は、自分の名誉や位置を守るために、お前の指一本髪一筋も、犠牲にしようとは思わない。そんな馬鹿々々しいことを考えるとは、
平生
(
いつも
)
のお前にも似合わないじゃないか。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
平生
(
いつも
)
の如く
夙
(
と
)
く起き出づればお浪驚いて急にとゞめ、まあ滅相な、
緩
(
ゆる
)
りと臥むでおいでなされおいでなされ、今日は取りわけ朝風の冷たいに破傷風にでもなつたら何となさる
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
おつぎはしみ/″\と
與吉
(
よきち
)
を
心
(
こゝろ
)
に
勦
(
いたは
)
つて
更
(
さら
)
に、「
爺
(
ぢい
)
」と
卯平
(
うへい
)
の
蓆
(
むしろ
)
に
近
(
ちか
)
づいてそつと
膝
(
ひざ
)
をついた。
平生
(
いつも
)
のおつぎは
勘次
(
かんじ
)
との
間
(
あひだ
)
を
繋
(
つな
)
がうとする
苦心
(
くしん
)
からの
甘
(
あま
)
えた
言辭
(
ことば
)
が
卯平
(
うへい
)
の
心
(
こゝろ
)
に
投
(
とう
)
ずるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私
(
わたし
)
ネ、篠田様のこと思ふと腹が立つ涙が出る、夜も
平穏
(
おつちり
)
と
眠
(
ね
)
られないんです、紀念式にも昨夜の演説会にも
彼
(
あ
)
の通り行らしつて、
平生
(
いつも
)
の通り
聴
(
きい
)
てらツしやるでせう、自分が
逐
(
お
)
ひ出されると
内定
(
きま
)
つて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
暫らくすると魔子は果して
平生
(
いつも
)
の通り裏口から入って来た。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
翌朝
(
あくるあさ
)
になって名音は、
平生
(
いつも
)
のように起きて朝の礼拝を終り、前夜のことを住持に話そうと思っていると、玉音が急に緊張した顔になった。
法華僧の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これは寝がけに松葉杖を突いて来たのだから、ウッカリして
平生
(
いつも
)
と違った処にスリッパを脱いだものに違い無い。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
已
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
た。さうして
友達
(
ともだち
)
の
宅
(
うち
)
をぐる/\
回
(
まは
)
つて
歩
(
ある
)
いた。
友達
(
ともだち
)
も
始
(
はじめ
)
のうちは、
平生
(
いつも
)
の
小六
(
ころく
)
に
對
(
たい
)
する
樣
(
やう
)
に、
若
(
わか
)
い
學生
(
がくせい
)
のしたがる
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
を
幾何
(
いくら
)
でもした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『その
感想
(
かんじ
)
——孤独の
感想
(
かんじ
)
がですね。』と、吉野は
平生
(
いつも
)
の興奮した
語調
(
てうし
)
で語り続けてゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
平生
(
いつも
)
のごとく
夙
(
と
)
く起き出づればお浪驚いて急にとどめ、まあ滅相な、ゆるりと
臥
(
やす
)
んでおいでなされおいでなされ、今日は取りわけ朝風の冷たいに破傷風にでもなったら何となさる
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ある朝、彼女は
平生
(
いつも
)
のやうに郵便物を見た。——かうした通知状の来ない前は、それは楽しい仕事に違ひなかつた。其処には恋人からの手紙や、親しい友達の消息が見出されたから——。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それから私は、朝までまんじりともせずに夜を明かして、
平生
(
いつも
)
の時間に起きて雨戸を開けようと思って、玄関へ出て見て私は又驚きました。
母の変死
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そうして
平生
(
いつも
)
のように私の頭を撫でようとなされずに、ドスンドスンと私の琴を
跨
(
また
)
ぎ越して、お床の間に置いてある鹿の角の
刀掛
(
かたなかけ
)
の処にお出でになって
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
代助はさうさと笑つたが、此方面にはあまり興味がないのみならず、
今日
(
けふ
)
は
平生
(
いつも
)
の様に普通の世間
話
(
ばなし
)
をする気でないので、社会主義の事はそれなりにして置いた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これだけで訪問の禮は既に終つたから、
平生
(
いつも
)
の如く入つて行かうと思つて、
上框
(
あがりかまち
)
の戸に手をかけようとすると、不意、不意、暗中に鐵の如き手あつて自分の手首をシタタカ握つた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
長閑気
(
のんき
)
で斯して遊びに来るとは、清吉
汝
(
おまへ
)
もおめでたいの、
平生
(
いつも
)
は
不在
(
るす
)
でも飲ませるところだが今日は私は関へない、海苔一枚焼いて遣るも厭なら下らぬ世間咄しの相手するも虫が嫌ふ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ある朝、彼女は
平生
(
いつも
)
のように郵便物を見た。——こうした通知状の来ない前は、それは楽しい仕事に違いなかった。
其処
(
そこ
)
には恋人からの手紙や、親しい友達の消息が
見出
(
みいだ
)
されたから——。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
朝になってみると、お滝は
平生
(
いつも
)
のようにおとなしく起きて、新一といっしょに朝飯を
喫
(
く
)
ったがへつに変ったこともなかった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
平生
(
いつも
)
の通り仕事を片附けて、医局の連中に二三の用務を頼んで、この部屋を出られたのですが、それっきり
筥崎
(
はこざき
)
、
網屋町
(
あみやちょう
)
の自宅には帰られませんでした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“平生”の意味
《名詞・形容動詞》
普段。常日頃。
(出典:Wiktionary)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
“平生”で始まる語句
平生着
平生服
平生帶
平生穿
平生夢寐
平生由緒