巡査じゅんさ)” の例文
わたしは土曜日の朝早く裁判所さいばんしょに行って、いの一番に傍聴席ぼうちょうせきにはいった。巡査じゅんさとのけんかを目撃もくげきした人たちの多くがやはり来ていた。
つぶずつがいいかな。万粒ずつひろって来い。いいか、もし、来なかったらすぐお前らを巡査じゅんさわたすぞ。巡査は首をシュッポンと切るぞ。
カイロ団長 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
電気が煌々こうこうとついていた。部屋の隅に母がねずみよりも小さく私の眼に写った。父が、その母の前で、巡査じゅんさにぴしぴしビンタを殴られていた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
や、巡査じゅんさ徐々そろそろまどそばとおってった、あやしいぞ、やや、またたれ二人ふたりうちまえ立留たちとどまっている、何故なぜだまっているのだろうか?
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あなたも同じ高知県なので、勿論もちろんお逢いできると思い、慌てて道を歩き交通巡査じゅんさしかられるほどの興奮の仕方で出席しました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
とうさんは、自分じぶん子供こども時分じぶん火事見物かじけんぶつかけて、消防夫しょうぼうふや、巡査じゅんさいたてられて、ぬかるみを右往左往うおうさおうしたさまおもしました。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おれは逃げもかくれもせん。今夜五時までは浜の港屋に居る。用があるなら巡査じゅんさなりなんなり、よこせ」と山嵐が云うから
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
巡査じゅんさがシャツめがけてとびついていく。ヘンフリイはうしろからせまっていったが、したたか耳たぶのあたりをなぐりつけられて、悲鳴ひめいをあげた。
初代の家の格子戸の前には、一人の制服の巡査じゅんさが、門番みたいにたちはだかっていたが、K氏と私とは、S・K商会の名刺を見せて、中へ入って行った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ところが、朝、夜の明けないうちから見物人がくるわくるわ、巡査じゅんさが交通のとりしまりに十六人もかけつけてきたというさわぎだ。どうもしかたがない。
小指一本の大試合 (新字新仮名) / 山中峯太郎(著)
(それにしても、なんだって巡査じゅんさがモスクワ川の岸になんぞいるのだろう!)わたしに近づいてきた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
酔っぱらいの男や商店の子僧こぞうなどから、野良犬だといっておどかされたり追っぱらわれたりしますし、巡査じゅんさががちゃがちゃ剣を鳴らしてやって来たりするものですから
不思議な帽子 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
民さんは植木屋の夏がれどきに八百屋やおやをやり、貸シが多くなりもだもだのあげく、長屋のお内儀かみさんの顔をぶんなぐり、その場で巡査じゅんさにつかまって留置場にほうり込まれた。
生涯の垣根 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
船虫ふなむしむらがって往来を駆けまわるのも、工場の煙突えんとつけむりはるかに見えるのも、洲崎すさきへ通う車の音がかたまって響くのも、二日おき三日置きに思出おもいだしたように巡査じゅんさが入るのも
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして巡査じゅんさ一人と、区役所の人夫が二、三人とで、しきりに引揚ひきあげかかっているらしかった。
死者を嗤う (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そこへ帽を目深まぶかにかぶった巡査じゅんさが一人歩みより、少年の肩へ手をかける。少年は驚いて立ち上り、何か巡査と話をする。それから巡査に手を引かれたまま、静かに向うへ歩いてく。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
丙群からてい群と彷徨ほうこうして、その様子ようすうかがったが、かたわらに巡査じゅんさがいるでなし、しかもボストンのコンモンスといえば、市街の中央にしてかつマサチューセッツ州の州庁の鼻の先である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
隣家で聞いたって巡査じゅんさが聞いたって、談話はなしだイ、構うもんか、オイどうする。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
落人おちうど両人の者は夜分ひそかにその艀船はしけに乗り移り、神奈川以東の海岸からのぼる積りに用意した所が、その時には横浜から江戸に来る街道一町か二町目ごとに今の巡査じゅんさ交番所見たようなものがずっとたって居て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「さあでろ」と巡査じゅんさがいった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
前足をむねの上で十文字に組んで、まず主人に向かってていねいにおじきをすると、かぶっている巡査じゅんさのかぶとぼうが地べたについた。
ですから教室はあの水車小屋ごやみたいな古臭ふるくさ寒天かんてんのような教室でした。みんなは胆取きもとりと巡査じゅんさにわかれてあばれています。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
山嵐は困ったなと云う風で、しばらくこの乱雑な有様を眺めていたが、こうなっちゃ仕方がない。巡査じゅんさがくると面倒だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二人ふたり少年しょうねん姿すがたは、えなくなってしまったのでした。そのつぎのピリッピリッをらし、機械きかいをまわすと、巡査じゅんさ
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
巡査じゅんさは、ぱっと男めがけてとびかかった。男はさっとうしろにとびさがり、パンとチーズを巡査じゅんさめがけてなげつけた。
「小さい頃、私の義父とうさんも、路傍に店を出して、よく巡査じゅんさにビンタ殴られていたけれど——全く、これより以上私達にどうしろって云うのかしら?」
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
身投げは泳げるし、鉄道自殺は汚い、ああ、もう、と目茶苦茶な気持に駆りたてられ、合宿横にある交番に、さしかかると、「オイ」と巡査じゅんさに呼びとがめられました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
さっき、舞台のにせ明智が言ったように、芝居のほうの警官は、中村係長と五人の巡査じゅんさだけです。そのほかの三十数人は、芝居とかんけいのない、ほんものの警官です。
怪奇四十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
巡査じゅんさや、憲兵けんぺいいでもするとわざ平気へいきよそおうとして、微笑びしょうしてたり、口笛くちぶえいてたりする。如何いかなるばんでもかれ拘引こういんされるのをかまえていぬときとてはい。それがため終夜よっぴてねむられぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これで巡査じゅんさはかれをれて行った。わたしたちはみんな台所のまん中にきながら立っていた。だれ一人ものを言う者はなかった。
たとえば私が何も不都合を働らかないのに、単に政府に気に入らないからと云って、警視総監けいしそうかん巡査じゅんさに私の家を取り巻かせたらどんなものでしょう。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ふうん、村人をなぐりたおしてあばれまわったというのか……なんて乱暴らんぼうなことをするのだ。えっ、なに、巡査じゅんさはなぐられてぜつしたっていうのか。
と来たでしょう。バキチのほうでももう大抵たいてい巡査じゅんさがあきていたんです。へえ、そうですか、やめましょう。永々ながなが世話せわになりましたってうんです。
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すると、ちいさなおとこが、迷子まいごになったとみえて、かなしそうに、こえをあげていている。それを巡査じゅんさがすかしたり、なだめたりしていたのでありました。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いったいこの結末けつまつはどうなるだろう。わたしは少し心配になってきた。ヴィタリス親方がいてくれれば、巡査じゅんさに答えることもできよう。
シグナルは、今日は巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それからというもの、毎日まいにち宿屋やどやからては、巡査じゅんさみちいたり、ひとにたずねたりして、あちら、こちらと見物けんぶつしてあるきました。あるよこになって、つかれたあしをたたきながら
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
金や威力いりょく理屈りくつで人間の心が買える者なら、高利貸でも巡査じゅんさでも大学教授でも一番人に好かれなくてはならない。中学の教頭ぐらいな論法でおれの心がどう動くものか。人間は好き嫌いで働くものだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
巡査じゅんさ保護ほごしてくれなかったら、かれらはひどい大罪人だいざいにんでもあるように、わたしたちを私刑しけいに行なったかもしれなかった。
「キッコ、うなの木ペン見せろ。」にわかに巡査じゅんさ慶助けいすけが来てキッコの鉛筆えんぴつをとってしまいました。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「いくつぐらいの子供こどもかね。」と、おくほうにいた、もう一人ひとり巡査じゅんさが、たずねました。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
親方を引き取って行った巡査じゅんさは、わたしがあたたまって正気づいたら、聞きたいことがあると言ったそうだ。その巡査がいつ来るか、あやふやであった。
また春の午の日の夜の間に町の中にたくさんある山椒の木がたびたびつるりと皮を剥かれておりました。けれども署長さんも巡査じゅんさもそんなことがあるかなあというふうでした。
毒もみのすきな署長さん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
交叉点こうさてんのところへかかると、まだ、あおあか信号燈しんごうとうがまにあわぬとみえて、ばたんばたんと、ゴーストップの機械きかいをまわして、見張みはりの巡査じゅんさがピリッピリッと、そのたびにふえらしていました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
... 署長が見たら今のことでしょう、けれども署長しょちょうわらってました。なぜって巡査じゅんさなんてものは実際じっさい月給げっきゅうわずかですしね、くらしにこまるものなんです。」「なるほどねえ、そりゃそうだねえ。」
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
といって、あっはははとわらっていると、そのうちに巡査じゅんさがくる。さっそくみょうおとこは、盗賊とうぞくとまちがえられて警察けいさつれられていきましたが、まったくの盗賊とうぞくでないことがわかって、放免ほうめんされました。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
巡査じゅんさおさえられるよと云ったら、田からながれて来たと云えばいいと云った。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
巡査じゅんさたら、なにかいうであろうと、義坊よしぼうは、心配しんぱいをしたが、そのとき、巡査じゅんさとおったけれどもはいらなかったようです。そのあめりつづきました。そのあめくさえたのでありましょう。
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だめでさあ、わっしもずいぶん目をかけました。でもどうしてもだめなんです。あいつは隊をさがってからもとの大工だいくにならないで巡査じゅんさ志願しがんしたのです。」「そして巡査じゅんさをやったんですか。」
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
白い服を着た巡査じゅんさも出ていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)