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尖
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さき
ふりがな文庫
“
尖
(
さき
)” の例文
書く時には原稿紙の方を動かして右の手の筆の
尖
(
さき
)
へ持つて往てやるといふ次第だから、只でも一時間か二時間かやると肩が痛くなる。
ラムプの影
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
むっと
籠
(
こも
)
った待合の
裡
(
うち
)
へ、コツコツと——やはり泥になった——
侘
(
わびし
)
い靴の
尖
(
さき
)
を刻んで入った時、ふとその目覚しい処を見たのである。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小当りに当ってみても温順の如く
鄭重
(
ていちょう
)
に、或いは鄭重の如く温順に受流す
許
(
ばか
)
りで、短気なところなど爪の
尖
(
さき
)
ほどもみつからなかった。
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
飛込んだガラツ八、絡み付くお喜代に手が伸びると、平次はそれに引かれるやうに、僅かに身をかはして辛くも匕首の
尖
(
さき
)
を
除
(
よ
)
けます。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尺八の穴みなビューッと鳴って、一角の大刀を
大輪
(
おおわ
)
に払うと、払われたほうは気を
焦
(
いら
)
って、さっとその
切
(
き
)
ッ
尖
(
さき
)
を
足下
(
あしもと
)
からずり上げる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
種々
(
くさ/″\
)
なる旗章は其
尖
(
さき
)
に
翻
(
ひるがへ
)
れり。光景は
略
(
ほ
)
ぼ
拿破里
(
ナポリ
)
に似たれど、ヱズヰオの山の黒烟を吐けるなく、又カプリの島の港口に
横
(
よこたは
)
れるなし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それは多分ステッキで上から押して見て何も入っていないと知るとステッキの
尖
(
さき
)
でこの溝へ
弾
(
はじ
)
き込んだものにちがいありませんでした。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その男のいふのでは、牛程人間の役に立つものは
鮮
(
すくな
)
い。田を
耕
(
たが
)
へし、荷車を
曳
(
ひ
)
き、頭から
尻尾
(
しつぽ
)
の
尖
(
さき
)
まで何一つ捨てるところも無い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此時
(
このとき
)
家
(
いへ
)
の
戸
(
と
)
が
開
(
あ
)
いて、
大
(
おほ
)
きな
皿
(
さら
)
が
歩兵
(
ほへい
)
の
頭
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
を
眞直
(
まつすぐ
)
に、それから
鼻
(
はな
)
の
尖
(
さき
)
を
掠
(
かす
)
つて、
背後
(
うしろ
)
にあつた一
本
(
ぽん
)
の
木
(
き
)
に
當
(
あた
)
つて
粉々
(
こな/″\
)
に
破
(
こわ
)
れました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
新一は母親の声を聞きながら手にした短刀の刃
尖
(
さき
)
に眼をやった。血とも脂とも判らない
微
(
うす
)
赤いねっとりしたものが一めんに附着していた。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
デン/\太鼓の
尖
(
さき
)
には桃太郎の首までが附いてゐた。『これは珍らしい。多謝! 多謝!』老人はさすがに単純な笑顔に変つてしまつた。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
見れば、恥辱を感じたのか、氣の毒と思つたのか、それとも怒つたのか、耳の根迄紅くなつて、鉛筆の
尖
(
さき
)
でコツ/\と
卓子
(
テーブル
)
を
啄
(
つつ
)
いて居る。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ゴシツクの塔が中断せられて意外な所で
尖
(
さき
)
を見せたり、高い屋根の並ぶ
大路
(
おほぢ
)
が地下鉄道の
洞
(
ほら
)
の様に見えたりするのも霧のせいだ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
カンボジア人言うは虎
栖
(
す
)
より出る時、何気なく尾が廻る、その
尖
(
さき
)
を見て向う所を占う(アイモニエー『
柬埔寨人風俗迷信記
(
ノート・シユル・レ・クーツーム・エ・クロヤンス・スペルスチシヨース・デ・カンボジヤン
)
』)。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
翼は
尖
(
さき
)
の見えざるばかり高く
上
(
あが
)
れり、その身の
中
(
うち
)
に鳥なるところはすべて
黄金
(
こがね
)
にて
他
(
ほか
)
はみな紅まじれる白なりき 一一二—一一四
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
伸びきった左手の長剣、濡れ燕、斬っ
尖
(
さき
)
から肩まで一直線をえがいて微動だもせず、畳のうえ三尺ばかりのところに、とどまっています。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
木村は今云ったような犬塚の詞を聞く度に、鳥さしがそっと
覗
(
うかが
)
い寄って、
黐竿
(
もちざお
)
の
尖
(
さき
)
をつと差し附けるような心持がする。そしてこう云った。
食堂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そこで彼は狭窄衣の丈夫な袖を縄に
撚
(
よ
)
り、鉄棒の
尖
(
さき
)
の
槍
(
やり
)
になっているところへ引っかけて、全身の重みでそれにぶら下がった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
そのあんぺらは彼にとって殆んど外套の代用をなしているものであるし、またその包みは年中杖の
尖
(
さき
)
にぶらさげて持ちあるいているのである。
乞食
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
喬介は
撥形鶴嘴
(
ビーター
)
を受取ると、その柄先の穴を、例の鉄棒の
尖
(
さき
)
に
充行
(
あてが
)
ってグッと押えた。するとスッポリ
填
(
ふさが
)
って、
撥形鶴嘴
(
ビーター
)
は鉄棒へぶら下った。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
さて
尖
(
さき
)
の太い鉛筆を何度も何度も紙の上で振りながら、安全装置をほどこされぬ上靴製工場のガス中毒について書くだろう。
モスクワ印象記
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
柄
(
がら
)
にもない
華奢
(
きゃしゃ
)
な
洋杖
(
ステッキ
)
蝙蝠傘などを買って来たのがそもそもの過りであった、私は苦笑して、その柄と
尖
(
さき
)
とを両手に持った。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
町には古い火の見
櫓
(
やぐら
)
が立っていた。櫓の
尖
(
さき
)
には
鉄葉
(
ブリキ
)
製の旗があった。その旗は常に東南の方向に
靡
(
なび
)
いていた。北西の風が絶えず吹くからである。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
砂を蹴る気持ちで脚を踏み下す時必ず足
尖
(
さき
)
よりせよ、踵は不可、踏んだ拍子に『ハツシー』といへ云々。夫が中々巧く行かないので散々繰返す。
相撲の稽古
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
がそれは冷たいコチリという音がして鋤の
尖
(
さき
)
にぶつかって手毬のようにコロコロと転がりさま一同の方へ歯をむき出した。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
タチヨーはすなわち立て硫黄であって、
尖
(
さき
)
だけに火を引きやすい硫黄を塗ったために、
暫
(
しばら
)
くはこの木を立てて置くことができたからの名と思う。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
男のやうに太いその指の
尖
(
さき
)
を伝うて、彼等の
瞳
(
ひとみ
)
の落ちたところには、黒つぽい深緑のなかに埋もれて、
目眩
(
まぶ
)
しいそはそはした夏の朝の光のなかで
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
二束ほど車に投げ込んで、三束目を上げようとして熊手をつき込むと、その
尖
(
さき
)
が、小悪魔の背中へ、突き刺さりました。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
「与四郎さん、こんなとこで寝てなはる。用事あるんやわ、もう起きていなあ、」鼻の
尖
(
さき
)
を摘まれる。美しい年増夫人のやわらかくしなやかな指。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼は極めて用心深く
一鋤々々
(
ひとすきひとすき
)
、掘り下げて行ったが、深夜のことではあるし、鉄の
尖
(
さき
)
に土の当る音は、とにかく重々しく、隠しおおせる
響
(
ひびき
)
ではない。
白光
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
ボーイ長の左足は、銃剣の
尖
(
さき
)
のように、
白木綿
(
しろもめん
)
でまん丸くふくれ上がっていた。その
尖
(
さき
)
がストーブの暖かみで、溶けた雪粉によって湿らされていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
これこそルパンの
睨
(
ねら
)
った機会だ。障害物が除去せらるるや否や長靴の
尖
(
さき
)
でドーブレクの
向脛
(
むこうずね
)
に得意の一撃を与えた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
それに、黒地の
対
(
つい
)
へ大きく浮き出している
茅萱
(
ちがや
)
模様の
尖
(
さき
)
が、まるで
磔刑槍
(
はりつけやり
)
みたいな形で彼女の
頸
(
くび
)
を取り囲んでいる。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
肉は肉、骨は骨で切り放してしまいますと、峰の上あるいは巌の
尖
(
さき
)
に居るところの坊主鷲はだんだん下の方に降りて来て、その墓場の近所に集るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そして大抵は先に来て、青いベンチの前の
砂利
(
じゃり
)
にパラソルの
尖
(
さき
)
で何かの形を描きながら、しかも注意ぶかくあたりを警戒してゐるらしい彼女を発見した。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
長羅は剣の
尖
(
さき
)
で鹿の角を跳ねのけると、卑弥呼を見詰めたまま、飛びかかる虎のように
小腰
(
こごし
)
を
蹲
(
かが
)
めて忍び寄った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
一時に
濛々
(
もうもう
)
と、凍えた煙を噴きあげて空間を
晦冥
(
かいめい
)
に包んでしまった。刺すような冷気が、衣類の織りめから千本の鋭いきっ
尖
(
さき
)
となって肌につき刺さった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
鼓村氏は閉口した時にする、頭の
尖
(
さき
)
の方より、
頸
(
くびすじ
)
の方が太いのを縮めて、それが、わざと押込みでもするかのように、広い額に手をあてながら座についた。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
侍は、こう叫ぶと、刀の
尖
(
さき
)
を、手首のところへ当てて、青白く浮いている静脈を、すっと切った。血が、湧き上って来て、見る見る火の中へ、点々と落ちた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
大
(
おおき
)
さ犬の如くなれど、
何処
(
どこ
)
やらわが
同種
(
みうち
)
の者とも見えず。近づくままになほよく見れば、耳立ち口
尖
(
とが
)
りて、
正
(
まさ
)
しくこれ狐なるが、その尾の
尖
(
さき
)
の毛抜けて醜し。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「暮といえば、去年の暮に僕は実に不思議な経験をしたよ」と迷亭が
煙管
(
きせる
)
を
大神楽
(
だいかぐら
)
のごとく指の
尖
(
さき
)
で廻わす。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その白く
蠢
(
うごめ
)
く舌の
尖
(
さき
)
から
涎
(
よだれ
)
がたらたらと滴った。その左右の緋色の眼は代る代るに大きくなり、又小さくなると同時に、眉は毛虫のように上下にのたくった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ようやくのことでそんな風にはじめたものの、再び彼は、鉛筆の
尖
(
さき
)
を半白のいが粟頭へ突き差すように持って行ってごしごしやり出した。どうもやはり駄目だ。
荒蕪地
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
牛は、ときどき飼葉桶から顔をあげ、鼻の
孔
(
あな
)
にはいつた餌を、舌の
尖
(
さき
)
で
嘗
(
な
)
めとつては喰べてゐた。
鳶
(
とび
)
が松林の上を高くなつたり、低くなつたりして鳴いてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
初めは鉛筆の
尖
(
さき
)
で突いたほどの黒い点でしたが、だん/\大きくなつて豆粒ほどになり、
甲虫
(
かぶとむし
)
ほどになり、それから急にムクムクツと
尨犬
(
むくいぬ
)
のやうに大きくなつて
文化村を襲つた子ども
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
平三は
纜
(
ともづな
)
を解いて舟に乗るや否や
艪
(
ろ
)
を取つた。父は
舳
(
へさき
)
の
錨綱
(
いかりづな
)
を放して
棹
(
さを
)
を待つた。艪の
尖
(
さき
)
で一突きつくと、舟がすつと軽く岸を離れた。平三は艪に早緒をかけた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
幾何学上に称する点や線などは大きさなきものと説いてあるが、しかし針の
尖
(
さき
)
でさえも一
分
(
ぶ
)
一
厘
(
りん
)
の
何分
(
なんぶん
)
の一というように必ず
量
(
はか
)
り得る大きさを有するものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
然し翁の医術はゴマカシではない。此を見てくれとさし出す翁の右手をよく見れば、第三指の
尖
(
さき
)
が左の方に向って
鉤形
(
かぎなり
)
に曲って居る。
打診
(
だしん
)
に精神がこもる証拠だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それもみんな生きていて、身をよじったり、のたくったり、くるくる巻きになったり、それから、
尖
(
さき
)
の方が
叉
(
また
)
になって毒を
有
(
も
)
った舌をぺろぺろと出したりしました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
何やら
呪文
(
じゆもん
)
をとなへると、すぐその指の
尖
(
さき
)
が
章魚
(
たこ
)
の
疣
(
いぼ
)
のやうになつたので、それでべた/\と壁に吸ひついて、その塀をのりこえて、また豆小僧のあとを追ひました。
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
“尖”を含む語句
尖端
尖塔
尖頭
槍尖
刀尖
鋒尖
尖々
筆尖
尖頂
尖角
切尖
爪尖
尖鋭
剣尖
足尖
尖鋭化
尖先
肺尖加答児
火尖
刃尖
...