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可
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よ
ふりがな文庫
“
可
(
よ
)” の例文
予は
謂
(
い
)
えらく、偶然人の秘密を見るは
可
(
よ
)
し。
然
(
しか
)
れども秘密を行う者をして、人目を憚る
行
(
ふるまい
)
を、見られたりと心着かしめんは妙ならず。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「でもあの辺は
可
(
よ
)
うございますのね、
周囲
(
まわり
)
がお
賑
(
にぎや
)
かで」おゆうはじろじろお島の髷の形などを見ながら自分の
髪
(
あたま
)
へも手をやっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「節ちゃん、鈴木の兄さんは
袷
(
あわせ
)
を着ていらっしゃるようだぜ。叔父さんの綿入を出してお上げ。
序
(
ついで
)
に、羽織も出して上げたら
可
(
よ
)
かろう」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「どうも外国人は調子が
可
(
い
)
いですね。少し
可
(
よ
)
すぎる位だ。ああ賞められると、天気の方でも是非好くならなくっちゃならなくなる」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
硬くて
可
(
よ
)
いもの悪いもの……ざっと考えても、以上のように触覚がたべものの美味さ不味さの大部分を支配しているものである。
数の子は音を食うもの
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
▼ もっと見る
先ず
可
(
よ
)
しと
何
(
いず
)
れも安心したが、何ぞ測らん右の蛙がそもそも不思議の発端で、それからこの邸内に種々の
怪異
(
あやしみ
)
を見る事となった。
池袋の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
若しも單に日本の警察機關の成績といふ點のみを論ずるならば、今度の事件の如きは蓋し空前の成功と言つても
可
(
よ
)
からうと思ふ。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
大洞は、色を失つて
戦慄
(
せんりつ
)
するお加女の耳に
近
(
ちかづ
)
きつ、「
少
(
す
)
こし気を静めさして今夜の中に
密
(
そつ
)
と帰へすが
可
(
よ
)
からう——世間に洩れては大変だ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
両親はそれをひどく可愛がって、結婚を申しこんで来る者があると、自分で選択さしたが、いつも
可
(
よ
)
いというものがなかった。
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
エレガントといっても
可
(
よ
)
いような、その立派な容貌風采、十数年の昔ではあるが、松本
泰
(
たい
)
氏と会った時には、威圧をさえ感じたものである。
日本探偵小説界寸評
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さる無駄口に
暇潰
(
ひまつぶ
)
さんより
手取疾
(
てっとりばや
)
く清元と常磐津とを語り較べて聞かすが
可
(
よ
)
し。其人聾にあらざるよりは、手を拍ってナルといわんは必定。
小説総論
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
けれど
小供
(
こども
)
こそ
眞
(
まこと
)
の
審判官
(
しんぱんくわん
)
で、
小供
(
こども
)
の
眼
(
め
)
にはたゞ
變物
(
かはりもの
)
の
一人
(
ひとり
)
としか
見
(
み
)
えない。
嬲物
(
なぶりもの
)
にして
慰
(
なぐ
)
さむに
丁度
(
ちやうど
)
可
(
よ
)
い
男
(
をとこ
)
としか
見
(
み
)
えない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
次ぎに二硫化炭素の実験であったが、これは頗る臭い物である。臭い位はまだ
可
(
よ
)
いとしても、塩化窒素の実験となると、危険至極の代物だ。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
此の意を持して国民性を説く、(此の点につきては
漫
(
みだり
)
に作家のみ責むべき理由なしとするも)意や
可
(
よ
)
し、言の不妥なるを
如何
(
いかん
)
。
国民性と文学
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
唯……自分が生前に何等の
譽
(
ほまれ
)
を持つてゐなかつた事は物足らない。せめて自分が中學の特待生でもあつたら
可
(
よ
)
かつたらう。……
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
『
左樣
(
さやう
)
さ/\
其
(
そ
)
れは
然
(
さ
)
うだ。』と、イワン、デミトリチは
額
(
ひたひ
)
の
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ふ
)
く、『
其
(
そ
)
れは
然
(
さ
)
うだ、
然
(
しか
)
し
私
(
わたし
)
は
如何
(
どう
)
したら
可
(
よ
)
からう。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
可
(
よ
)
うございますから取つて置いて下さい。その代り誰にもお見せなさらないやうに、
阿父様
(
おとつさま
)
にも
阿母様
(
おつかさま
)
にも誰にも
有仰
(
おつしや
)
らないやうに、ねえ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
補助貨が乏しかつたら、その代りに鶉を呉れてやつたら
可
(
よ
)
からうぢやないか、鶉は売つて銭に替へる事も出来るし、煮て
羹
(
あつもの
)
にする事も出来る。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「それは
何方
(
どつち
)
だツて
可
(
よ
)
うございますけれども、私は何も自分から進むで
貴方
(
あなた
)
と御一緒になツたのぢやございませんから、
何
(
ど
)
うぞ其のお
積
(
つもり
)
でね。」
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
もし
夫
(
そ
)
れ私
一人
(
ひとり
)
の好みを云へば、やはり、犬よりは狼が
可
(
い
)
い。子供を育てたり裁縫したりする優しい
牝
(
めす
)
の
白狼
(
はくらう
)
が
可
(
よ
)
い。
世の中と女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
家来二人は矢走を渡りたいといって、姥ヶ餅のそばから矢走へ行ったことを覚えている。これは軽輩だから
可
(
よ
)
いのだ。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
大抵
族霊
(
トテム
)
たる動物を忌んで食わぬが通則だが、南洋島民中に
烏賊
(
いか
)
を族霊としてこれを食うを
可
(
よ
)
しとするのもある(『大英類典』第九版トテムの条)。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小作料の騰貴はまだ
可
(
よ
)
いが、中には小作地が不足して住み
馴
(
な
)
れた村にも住めなくなり、東京に流れ込んだり、悪くすると法律の
罪人
(
ざいにん
)
が出来たりする。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
乃公は
最早
(
もう
)
可
(
よ
)
かろうと思って、
衣嚢
(
かくし
)
の中から
先刻
(
さっき
)
捕えて置いた小鼠を出してテーブルの上に置いた。乃公が手を放すか放さぬ中に鼠は
奥様
(
おくさん
)
に飛付いた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
舞台監督の意向は日本の習慣などは
何
(
ど
)
うでも
可
(
よ
)
い、
唯
(
たゞ
)
欧洲に無い野蛮趣味と新しい形とを出して観せたいのらしい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
と、かくまをしたまひしかば、天皇、答へ詔りたまはく、「こもいと理なり。
命
(
みこと
)
の如くて
可
(
よ
)
し」と詔りたまひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
そこで利家が見ると、政宗は
肩衣
(
かたぎぬ
)
でいる、それは
可
(
よ
)
い、脇指をさして居る、それも可いが、其の脇指が
朱鞘
(
しゅざや
)
の大脇指も大脇指、長さが壱尺八九寸もあった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
希望を以てすることを仮りに積極的行為と名づくれば、恐怖の念より
為
(
な
)
すことを消極的行為というても
可
(
よ
)
い。
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
実に母と子の関係は奇蹟と云っても
可
(
よ
)
い程に尊い感じのするものであり、また強い熱意のある信仰である。
愛に就ての問題
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「かう
他
(
ほか
)
の税が高いんやもん、天滿山官林の松茸ぐらゐ、
村方
(
むらかた
)
へ
無代
(
たゞ
)
呉れたて
可
(
よ
)
さゝうなもんや。それを一兩でも高う賣らうと、競り上げるのは、官も慾が深すぎる。」
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
如何
(
いか
)
にも
是
(
こ
)
れは仕様のない
奴等
(
やつら
)
だ、誰も彼も小さくなるなら小さくなり、
横風
(
おうふう
)
ならば横風で
可
(
よ
)
し、
斯
(
こ
)
う
何
(
ど
)
うも先方の人を見て自分の身を
伸縮
(
のびちぢみ
)
するような事では
仕様
(
しよう
)
がない
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
上は則ち
乾霊
(
あまつかみ
)
の国を授けたまふ
徳
(
うつくしび
)
に答へ、下は則ち
皇孫
(
すめみま
)
の
正
(
たゞしき
)
を養ひたまひし
心
(
みこゝろ
)
を弘めむ。然して後に
六合
(
くにのうち
)
を兼ねて以て都を開き、
八紘
(
あめのした
)
を
掩
(
おほ
)
ひて
宇
(
いへ
)
と
為
(
せ
)
むこと、亦
可
(
よ
)
からずや。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
筆数は余り多くないが、その大樹があるために何となくその景色が
物凄
(
ものすご
)
くなつて、その樹は
慥
(
たしか
)
に下の方の深い谷間に
聳
(
そび
)
えて居るといふことがよくわかる。心持の
可
(
よ
)
い画である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
及ばぬ恋の無駄な
業
(
がふ
)
を
㷔
(
もや
)
すよりは、妄想をデツチ上げた恋愛小説でも作つて、
破鍋
(
われなべ
)
にトヂ蓋の下宿屋の
炊婦
(
おさん
)
でも
覘
(
ねら
)
つたら
可
(
よ
)
からう。はツはツ、顔を赤くするナ。怒る
勿
(
な
)
。怒る勿。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
徳川時代に至るまでも、
鬚奴
(
ひげやっこ
)
の称ありて、武家の従者はなお余五将軍の郎等、太郎介と同じく、鬚多きをもって
可
(
よ
)
しとせしなり。けだし
夷
(
えびす
)
すなわち毛人を理想とせるものなるべし。
武士を夷ということの考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「ハヽヽヽヽヽ、左樣か、それは
可
(
よ
)
かつた、左樣か、入りやんしたか、ハヽヽヽ。」
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
『
玉
(
たま
)
ちやんの
事
(
こと
)
を
話
(
はな
)
さなければ
可
(
よ
)
かつた』と
悲
(
かな
)
しげな
聲
(
こゑ
)
で
愛
(
あい
)
ちやんが
呟
(
つぶや
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
此処
(
こゝ
)
に
一安心
(
ひとあんしん
)
は致しましたが、そうなると直ぐ心配になって参るは神奈川へ着いてから何うしたら宜かろうか、
好
(
いゝ
)
塩梅に伊之さんが待ってゝくれゝば
可
(
よ
)
いが、若しも居なかったら何うしよう
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見て
英国好
(
えいこくずき
)
の人なれば甚だ嬉しがりをり候文芸に型や主義は要らず縦横に書きまくるが
可
(
よ
)
しと考ふる小生は貴兄の
作物
(
さくぶつ
)
が鳥の歌ふ如く自然に流れでるのを羨ましく思をり候今後種々の方面へ筆を
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
離婚は悲しむべき事で或場合には罪悪と
名
(
なづ
)
けても
可
(
よ
)
いと考えますが、また或場合には罪悪から
逃
(
のが
)
れる正当な手段と見る事も出来ますから、十分その真相を調べた上でなければ是非の判断は
困
(
むずか
)
しい。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
乳母 お
前
(
まへ
)
今日
(
けふ
)
はお
參詣
(
まゐり
)
に
往
(
い
)
ても
可
(
よ
)
いといふお
許可
(
ゆるし
)
が
出
(
で
)
ましたかえ?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
嬉しげだ、——今彼の
眼
(
め
)
には万事が
可
(
よ
)
い、——
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
「これで
可
(
よ
)
し」
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『
可
(
よ
)
し』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
考えて見たまえな、名誉だの、品性だの、上流の婦人の
亀鑑
(
きかん
)
だのと、
体
(
てい
)
の
可
(
よ
)
い名は附けるものの、何がなし見得坊なんじゃあないか。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
何
(
ど
)
うも外国人は調子が
可
(
い
)
いですね。
少
(
すこ
)
し
可
(
よ
)
すぎる位だ。あゝ
賞
(
ほ
)
められると、天気の方でも是非
好
(
よ
)
くならなくつちやならなくなる」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「誰が親と奉公人と一緒にして、物を言うやつが有るもんですか。こんな奉公人の前で、親の恥まで
曝
(
さら
)
さなくっても
可
(
よ
)
う御坐んす」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
色の淺黒い、輪廓の正しい立派な男、酒を飮めば必ず歌ふ、
飮
(
のま
)
ざるも
亦
(
ま
)
た唄ひながら働くといふ至極元氣の
可
(
よ
)
い男であつた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「お内儀さん。お前がお仕置に出る時には、あの黄八丈を召して下さい。
寧
(
いっ
)
そ思いを残すことが無くって
可
(
よ
)
うございます。」
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『は、
可
(
よ
)
う御座いますとも。
何日
(
いつ
)
でも貴方の御出懸けになる時は、あの大抵の日は小使をお寄越し下されば直ぐ參ります。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“可”の意味
《名詞》
(カ)成績や品質などの等級表示で、合格のための最低限のレベル。
(出典:Wiktionary)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
“可”を含む語句
可憐
可愛
不可
可恐
可哀
可笑
可惜
可怖
可傷
可怪
可厭
可憫
可怕
許可
可忌
可成
可哀想
可愛想
可訝
可懷
...