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厠
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かはや
ふりがな文庫
“
厠
(
かはや
)” の例文
井戸は小屋を
懸
(
かけ
)
、
厠
(
かはや
)
は雪中其物を
荷
(
になは
)
しむべき
備
(
そなへ
)
をなす。雪中には一
点
(
てん
)
の
野菜
(
やさい
)
もなければ
家内
(
かない
)
の
人数
(
にんず
)
にしたがひて、雪中の
食料
(
しよくれう
)
を
貯
(
たくは
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それから又座敷から
厠
(
かはや
)
を隠した
山茶花
(
さざんくわ
)
がある。それの下かげの
沈丁花
(
ぢんちやうげ
)
がある。鉢をふせたやうな形に造つた霧島
躑躅
(
つつじ
)
の幾株かがある。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「
凡
(
およ
)
そ外より人に入るものの人を汚し能はざる事を知らざる
乎
(
か
)
。そは心に入らず、腹に入りて
厠
(
かはや
)
に
遺
(
おと
)
す。すなはち
食
(
くら
)
ふ所のもの
潔
(
きよま
)
れり。」
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
義雄は敷島の手紙を、お鳥に見られない爲め、きのふの朝、
厠
(
かはや
)
へ這入つて讀んだが、それは渠を引きつけるだけの力がなかつた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
仕舞
(
しまひ
)
には
足
(
あし
)
が
痛
(
いた
)
んで
腰
(
こし
)
が
立
(
た
)
たなくなつて、
厠
(
かはや
)
へ
上
(
のぼ
)
る
折
(
をり
)
などは、やつとの
事
(
こと
)
壁傳
(
かべづた
)
ひに
身體
(
からだ
)
を
運
(
はこ
)
んだのである。
其
(
その
)
時分
(
じぶん
)
の
彼
(
かれ
)
は
彫刻家
(
てうこくか
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
お村が
虐殺
(
なぶりごろし
)
に遭ひしより、
七々日
(
なゝなぬか
)
にあたる
夜半
(
よは
)
なりき。お春は
厠
(
かはや
)
に
起出
(
おきい
)
でつ、
帰
(
かへり
)
には
寝惚
(
ねぼ
)
けたる眼の
戸惑
(
とまど
)
ひして、
彼
(
かの
)
血天井の部屋へ
入
(
い
)
りにき。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
勘次
(
かんじ
)
が
戸
(
と
)
の
内
(
うち
)
から
呼
(
よ
)
んでも
厠
(
かはや
)
の
側
(
そば
)
で
返辭
(
へんじ
)
をするおつぎの
聲
(
こゑ
)
は
最初
(
さいしよ
)
の
間
(
あひだ
)
は
疑念
(
ぎねん
)
を
懷
(
いだ
)
かせるまでには
至
(
いた
)
らなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
敏捷
(
すばしこ
)
い広業は画絹が取出されたのを見ると、いつの間にか
厠
(
かはや
)
に滑り込んで、その
儘
(
まゝ
)
そこで
居睡
(
ゐねむり
)
をしてゐたのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
徹夜仕事のスタンド一つでも、恟々と、ともして居たのだから、もちろん、
厠
(
かはや
)
の電燈なども、いちいち、スイツチを忘れないやうに、家族共へ、いましめてゐた。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
病氣を隱蔽する者が多いため、巡査は夜中に村を巡つて村民の
厠
(
かはや
)
通ひに注意し出したので、靴の音がすると、誰れでも便所へ行くのをさへ
差
(
さ
)
し
扣
(
ひか
)
へるといふ噂さへ起つた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
引
(
ひき
)
ずりながら
後
(
あと
)
に從ひ音羽町の七丁目迄來りしが長三郎は此時は頻に
腹痛
(
ふくつう
)
なし初め
堪
(
こら
)
へ難なく成しかば
厠
(
かはや
)
に
入
(
いら
)
んと思へども
場末
(
ばすゑ
)
の土地とて
借
(
かり
)
んと思ふ茶屋さへ
非
(
あら
)
ぬに
困
(
こう
)
じたり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夜更けてから、富岡は、猛烈な
下痢
(
げり
)
をした。息苦しい
厠
(
かはや
)
に蹲踞み、富岡は、両の
掌
(
てのひら
)
に、がくりと顔を埋めて、子供のやうに、をえつして
哭
(
な
)
いた。人間はいつたい何であらうか。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
やがて婆さんは爺さんに手を
曳
(
ひ
)
かれて静に長い縁側を
厠
(
かはや
)
の方に行つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
其の
厠
(
かはや
)
は今も戸を釘付けにしたまゝ、對面所の縁側の奧に殘つてゐる。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
私たちの結婚した年であつたから恰度今から十一年前にあたる、武藏の
御嶽山
(
みたけさん
)
に一週間ほど登つてゐた事がある。山上のある神官の家に頼んで泊めて貰つてゐた。ある夜、私は其處の
厠
(
かはや
)
に入つてゐた。
樹木とその葉:21 若葉の山に啼く鳥
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
イヤ
何
(
ど
)
うにも
斯
(
か
)
うにも
実
(
じつ
)
に
華族
(
くわぞく
)
のお
医者
(
いしや
)
抔
(
など
)
に
係
(
かゝ
)
るべきものではない、
無闇
(
むやみ
)
にアノ小さな
柊揆
(
さいづち
)
でコツコツ胸を
叩
(
たゝ
)
いたり
何
(
なん
)
かして
加之
(
おまけ
)
に
劇
(
ひど
)
い薬を
飲
(
の
)
ましたもんだから、
昨夜
(
ゆうべ
)
は
何
(
ど
)
うも七十六
度
(
たび
)
厠
(
かはや
)
へ
通
(
かよ
)
つたよ。
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
吹きさらしの岩に
祠
(
ほこら
)
のごとき
厠
(
かはや
)
ありて見のさみしさよここらの谿は
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼女は彼女の聖い
夜
(
よる
)
をば
厠
(
かはや
)
の中で過ごしました。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
わが歌は腹の
醜物
(
しこもの
)
朝
(
あさ
)
泄
(
ま
)
ると
厠
(
かはや
)
の窓の下に詠む歌
和歌でない歌
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
偶然と云ふのは
燈籠
(
とうろう
)
時分の或夜、玉屋の二階で、津藤が
厠
(
かはや
)
へ行つた帰りしなに何気なく廊下を通ると、
欄干
(
らんかん
)
にもたれながら、月を見てゐる男があつた。
孤独地獄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのうち
清
(
きよ
)
が
下女部屋
(
げぢよべや
)
の
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
厠
(
かはや
)
へ
起
(
お
)
きた
模樣
(
もやう
)
だつたが、やがて
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
へ
來
(
き
)
て
時計
(
とけい
)
を
見
(
み
)
てゐるらしかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
勘次
(
かんじ
)
はどれ
程
(
ほど
)
嚴重
(
げんぢう
)
にしてもおつぎが
厠
(
かはや
)
に
通
(
かよ
)
ふ
時間
(
じかん
)
をさへ
狹
(
せま
)
い
庭
(
には
)
の
夜
(
よ
)
の
中
(
なか
)
へ
放
(
はな
)
つことを
拒
(
こば
)
むことは
出來
(
でき
)
なかつた。
執念深
(
しふねんぶか
)
い一
人
(
にん
)
が
偶然
(
ぐうぜん
)
さういふ
機會
(
きくわい
)
を
發見
(
はつけん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
人
(
ひと
)
静まりて月の色の
物凄
(
ものすご
)
くなりける頃、
漸
(
やうや
)
く
盃
(
さかづき
)
を納めしが、
臥戸
(
ふしど
)
に
入
(
い
)
るに先立ちて、お村は
厠
(
かはや
)
に
上
(
のぼ
)
らむとて、腰元に
扶
(
たす
)
けられて廊下伝ひに
彼
(
かの
)
不開室の前を過ぎけるが、酔心地の
胆
(
きも
)
太
(
ふと
)
く
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
初め兩親に
語
(
かたる
)
もいとゞ
面伏
(
おもぶせ
)
と思ふ
計
(
ばか
)
りに言も出さず
心地
(
こゝろ
)
惡
(
あし
)
しと打伏しが
然
(
さう
)
問
(
とは
)
れては
包
(
つゝむ
)
に由なし實は今日音羽まで
行
(
ゆき
)
たる時に
箇樣々々
(
かやう/\
)
厠
(
かはや
)
へ入んと七丁目の
鹽煎餠屋
(
しほせんべいや
)
と炭團屋の裏へ這入て用を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
厠
(
かはや
)
から出て来た彼は、手を洗はうとして戸を半分ばかり繰つた。すると、今開けた戸の透間から、不意に月の光が流れ込んだ。月はまともに縁側に当つて、
歪
(
ゆが
)
んだ長方形で板の上に光つた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
路次の
厠
(
かはや
)
の屋根に干したり下駄いくつ鼻緒紅きは子らか多くゐる
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
厠
(
かはや
)
の涼気のその中に、御執心にも
蟄居
(
ちつきよ
)
した。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
夫
(
それ
)
で
私
(
わし
)
は
業
(
ごふ
)
が
深
(
ふか
)
くて
悟
(
さと
)
れないのだと
云
(
い
)
つて、
毎朝
(
まいてう
)
厠
(
かはや
)
に
向
(
むか
)
つて
禮拜
(
らいはい
)
された
位
(
くらゐ
)
でありましたが、
後
(
のち
)
にはあのやうな
知識
(
ちしき
)
になられました。これ
抔
(
など
)
は
尤
(
もつと
)
も
好
(
い
)
い
例
(
れい
)
です
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
貴族或は貴族主義者が思ひ切つてうぬぼれられないのは、彼等も
亦
(
また
)
われら同様、
厠
(
かはや
)
に
上
(
のぼ
)
る故なるべし。さもなければ
何処
(
どこ
)
の国でも、先祖は神々のやうな顔をするかも知れず。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
只
(
たゞ
)
南瓜
(
たうなす
)
だけは
其
(
そ
)
の
特有
(
もちまへ
)
の
大
(
おほ
)
きな
葉
(
は
)
をずん/\と
擴
(
ひろ
)
げて
蔓
(
つる
)
の
先
(
さき
)
が
忽
(
たちま
)
ちに
厠
(
かはや
)
の
低
(
ひく
)
い
廂
(
ひさし
)
から
垂
(
た
)
れた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此所等
(
ここら
)
あたりは
場末
(
ばずゑ
)
の土地とて
厠
(
かはや
)
を
借
(
から
)
んと思へども茶屋さへ無に
困
(
こう
)
じたる長三郎の
容子
(
ようす
)
を見て和吉は側の
裏
(
うら
)
へ入り
其所此所
(
そこここ
)
見れば
汚
(
きたな
)
げなる
惣雪隱
(
そうせついん
)
ありたれば斯と
告
(
つぐ
)
るに喜びて其所へ
這入
(
はひり
)
て用を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
我が
庵
(
いほ
)
の
厠
(
かはや
)
の裏のなつめの木花のさかりも今は過ぎたり
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
厠
漢検1級
部首:⼚
11画
“厠”を含む語句
厠上
上厠
東厠
厠籌
軽便厠
稚厠
洋風厠
御厠人
小厠
外厠
厠通
厠草履
厠臭
厠溷
厠椅子
厠戸
厠役
厠卒
厠与
上厠頻数
...