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しる
ふりがな文庫
“
印
(
しる
)” の例文
「噂にたがわぬ名馬じゃ。馬は良い、だが持主の惜しみ方が憎い。それならば仲綱めが心を慰めてくれよう、やつの名を馬に
印
(
しる
)
せよ」
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
夜な/\彼が屋根裏へ通う折に青白い光を浴びせた月が、その晩も牡鹿山の頂の上にあって、少年の影をくっきりと地に
印
(
しる
)
していた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あいや、あまりお騒ぎなさらぬ方が得策でしょう、かりそめにも天下の首城が、一盗賊に
足痕
(
あしあと
)
を
印
(
しる
)
された事さえ名誉ではありません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私もその声に釣られて、刑事の背後から窓の下を見ると、昨日の雨で湿った余り広くもない庭に
下駄
(
げた
)
の跡がクッキリ
印
(
しる
)
されていた。
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『なんじ豚ども! そちたちは獣の相をその
面
(
おもて
)
に
印
(
しる
)
しておるが、しかしそちたちも来るがよい!』すると知者や賢者がいうことに
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
彼等の一人の指す所を見ると、成程、雪の上にはっきりと、直径七八寸もありそうな、猫のそれにそっくりな足跡が
印
(
しる
)
されている。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
上の方は、暑中でなければ油障子がおろされ、家の中からの灯が赤く、重ったくうつって、墨で描いた屋号の
印
(
しる
)
しが大きくうきあがっている。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それは村の者の
愚
(
おろ
)
かしさの
印
(
しる
)
しであろうか、それともその老外人の
頑
(
かたくな
)
な気質のためであろうか? ……そう言うような話を聞きながら、私は
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
警察もきびしくなって、その年の四月以来江戸市中に置かれたという
邏卒
(
らそつ
)
が組の
印
(
しる
)
しを腰につけながら
屯所
(
たむろしょ
)
から回って来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
天心の月は、智恵子の影を短く
地
(
つち
)
に
印
(
しる
)
した。太鼓の響と何十人の唄声とは、その月までも届くかと、風なき空に漂うてゆく。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼寺
(
かのてら
)
、
此邸
(
このてい
)
、皆
其
(
それ
)
等古人の目に触れ、前の橋、
後
(
うしろ
)
の
路
(
みち
)
、
凡
(
すべ
)
て
其
(
それ
)
等偉人の足跡を
印
(
しる
)
して居るのだと思へば予の胸は
自
(
おのづ
)
から
跳
(
をど
)
る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この十日の間に、倉地にとってはこの上もない機会の与えられた十日の間に、
杉森
(
すぎもり
)
の中のさびしい家にその足跡の
印
(
しる
)
されなかったわけがあるものか。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ごく正確に弾奏してもいなかったし、拍子正しく演奏してもいなかったが、しかし脱線することはなく、
印
(
しる
)
されてるニュアンスを忠実にたどっていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
女護島
(
にょごがしま
)
へ男渡らば草履を数々出して男の穿きたるを
印
(
しる
)
しに妻に定むという風俗の残れるにやと、ドウモ女人国へ行きたくなって何を論じ掛けたか忘れました。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私の
家
(
うち
)
は向うに見える
紺
(
こん
)
の
暖簾
(
のれん
)
に
越後屋
(
えちごや
)
と書き、山形に五の字を
印
(
しる
)
したのが私の家だよ、あの先に板塀があり、付いて曲ると細い新道のような
横町
(
よこちょう
)
があるから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこには、さしずめ常人ならば、顔あたりに相当する高さで、最近何か、
額
(
がく
)
様のものを取り外したらしい跡が残ってい、それがきわめて生々しく
印
(
しる
)
されてあった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼女の死後十五年間は、たゞ草の
生茂
(
はひしげ
)
つた土饅頭であつたが、今は、彼女の名と『われ再び生きむ。』の一句を
刻
(
きざ
)
んだ灰色の大理石の石碑が、その場處を
印
(
しる
)
してゐる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
八の顔は右の
外眦
(
めじり
)
に大きな
引弔
(
ひつつり
)
があつて頗る醜い。それに彼のこれ迄に経験して来た、暗い、鈍い生活が顔に消されない
痕跡
(
こんせき
)
を
印
(
しる
)
してゐる。併し少しも陰険な処は無い。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そこから裏口まではほんの二間ばかり、
滅多
(
めった
)
に陽の当らない土の上には、少しばかり庭下駄の跡が
印
(
しる
)
されてありますが、それが何の意味があるのか、ガラッ八には解りません。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
横
筋
(
すじ
)
かいに照し出している茶色のリノリウム張りの床の上には、そうと察して見なければ解らない程のウッスリとした、細長い、女の右足の爪先だけの靴痕が
印
(
しる
)
されているのであった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夫
(
そ
)
れから神明前の金物屋で
小刀
(
こがたな
)
を
買
(
かっ
)
て短刀作りに
拵
(
こしら
)
えて、
唯
(
ただ
)
印
(
しる
)
し
丈
(
だ
)
けの脇差に挟すことにして、アトは残らず売払て、その代金は何でも二度に六、七十両
請取
(
うけとっ
)
たことは今でも覚えて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
跡
(
あと
)
になして
乘
(
の
)
り
出
(
いだ
)
す
車
(
くるま
)
の
掛聲
(
かけごゑ
)
に
走
(
はし
)
り
退
(
の
)
く
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
あれは
何方
(
いづく
)
の
藥取
(
くすりとり
)
憐
(
あは
)
れの
姿
(
すがた
)
やと
見返
(
みかへ
)
れば
彼方
(
かなた
)
よりも
見返
(
みかへ
)
る
顏
(
かほ
)
オヽ
芳
(
よし
)
さま
詞
(
ことば
)
の
未
(
いま
)
だ
轉
(
まろ
)
び
出
(
い
)
でぬ
間
(
ま
)
に
車
(
くるま
)
は
轣轆
(
れきろく
)
として
轍
(
わだち
)
のあと
遠
(
とほ
)
く
地
(
ち
)
に
印
(
しる
)
されぬ。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
幽
(
かす
)
かに廻っている円筒の方眼紙の上に青いインキが針から
滲
(
にじ
)
んで
殆
(
ほとん
)
ど動くか動かぬかに水量と速度とをじりじりと
鋸
(
のこぎり
)
形に
印
(
しる
)
して進む。そこで若者は
三和土
(
たたき
)
の間の方五、六尺の鉄板の
蓋
(
ふた
)
を持ちあげる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
東下り、京上り、
往来
(
ゆきき
)
に果つるおん旅や、
御跡
(
おんあと
)
印
(
しる
)
す
駅路
(
うまやぢ
)
の繰りひろげたる
絵巻物
(
ゑまきもの
)
、今巻きかへす時は来ぬ。時こそ来つれ、生涯の
御戦闘
(
みいくさ
)
終
(
を
)
へて
凱旋
(
がいせん
)
の。時こそ来つれ、生涯の
御勤労
(
みつとめ
)
果てゝ
御安息
(
おんやす
)
の。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
……神様は大罪人には
印
(
しる
)
しをお附けになるそうですが、あなたにもやっぱり印しが附いておりましたのよ。お覚えがなくって? あなたのお召物は、いつもいつもぞっとするようなのばかりでしたわ。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかし、そこには、新しい趾跡は、殆んど
印
(
しる
)
されなくなった。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
木立や
家影
(
いえかげ
)
を黒々と地に
印
(
しる
)
しているばかりである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ある朝トタン屋根に足跡が
印
(
しる
)
されてあった。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
それを我慢して、大阪の街に一歩を
印
(
しる
)
した。
暗号数字
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
惨
(
いた
)
ましき綾を
印
(
しる
)
して
小曲二十篇
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
土
(
つち
)
を
隈
(
くま
)
なく
印
(
しる
)
しなむ。
騎士と姫
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
川島の
郷
(
さと
)
はおろか、阿波の要所、探り廻らぬところはない。まだ誰に話したこともないが、徳島城の殿中にまで、わしの足跡が
印
(
しる
)
してある。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
處女は鉢卷をしてゐるのが
印
(
しる
)
しで、白い貝が額のところにつけてあるので、強い日光にキラキラとして眼に立つといふことだがと、私は聞いたままを續けた。
夏の夜
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
梅雨後
(
つゆあがり
)
の勢のよい青草が
熱蒸
(
いき
)
れて、
真面
(
まとも
)
に照りつける日射が、深張の
女傘
(
かさ
)
の
投影
(
かげ
)
を、鮮かに
地
(
つち
)
に
印
(
しる
)
した。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
たちまち屍光に
暈
(
ぼっ
)
と赤らんだ壁が作られ、それがまるで、割れた霧のように二つに隔てられてゆき、その隙間に、ノタリノタリと血が
蜿
(
のた
)
くってゆく影が
印
(
しる
)
されていった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
其處から裏口まではほんの二間ばかり、滅多に陽の當らない土の上には、少しばかり庭下駄の
跡
(
あと
)
が
印
(
しる
)
されてありますが、それが何んの意味があるのか、ガラツ八には解りません。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
長州兵の隊長は本陣
高崎弥五平
(
たかさきやごへい
)
方に陣取ったが、同藩の定紋を
印
(
しる
)
した
高張提灯
(
たかはりぢょうちん
)
一対を門前にさげさせて、長州藩の兵士たることを証し、なおその弥五平宅で英国士官と談判した。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まるで
瑞西
(
スイス
)
あたりの
田舎
(
いなか
)
にでもありそうな、小さな橋だの、ヴィラだの、
落葉松
(
からまつ
)
の林だのを
印
(
しる
)
しつけながら、彼女のために、私の知っているだけの、絵になりそうな場所を教えた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
殊
(
こと
)
に口のまわりは、まるで化け猫みたいな物凄さで、じだんだ踏んで泣き叫んでいる小怪物と、部屋中に、壁と云わず床と云わず、点々として
印
(
しる
)
された、可愛らしい血の手型を見た。
江川蘭子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
見るに寶永二年三月十五日の夜
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
出生
(
しゆつしやう
)
と
印
(
しる
)
し
有
(
あり
)
ければ
指折算
(
ゆびをりかぞ
)
へ見るに當年
恰
(
ちやうど
)
十一歳なり
忘
(
わす
)
れもせぬ三月十五日の夜なるがお三婆は
頻
(
しきり
)
に
落涙
(
らくるゐ
)
しテモ御身は
仕合
(
しあはせ
)
物なりとて寶澤が
顏
(
かほ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
肌理
(
きめ
)
ノ一ツ/\ガハッキリト分離サレテ
印
(
しる
)
サレルヨウニ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
鋭い声を放った者の
拳
(
こぶし
)
に、キラリと光ったのは、銀みがきの十手——「東奉行所」と
印
(
しる
)
した
提灯
(
ちょうちん
)
の明りと共に、ズイと迫って、弦之丞の眼を射た。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ところで、皆んなの居た場所を、この櫻の馬場の繪圖面に
印
(
しる
)
しを附けて貰ひ度いが」
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その勢いで木曾の奥筋へと通り過ぎて行ったのだ。
轍
(
わだち
)
の跡を馬籠峠の上にも
印
(
しる
)
して。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上八ヶ年以前夫道十郎儀芝札の辻に於て十兵衞と申者人手に
罹
(
かゝ
)
り
相果
(
あひはて
)
候處其場に道十郎の
印
(
しる
)
し付に
傘
(
からかさ
)
捨之有
(
すてこれあり
)
しに付御疑ひ罹りしと雖も其傘は長庵方へ忘れ置たる品に
相違
(
さうゐ
)
なく候
然
(
しか
)
るに夫道十郎浪人の
貧
(
ひん
)
に
逼
(
せま
)
り十兵衞が四十兩餘の金子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さっき、馬の背では、さしも疲れたかに見えた彼が、そこに立つと、
毅然
(
きぜん
)
たる影を宇宙に
印
(
しる
)
していた。彼には楽しみがあって疲れはないようである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎は縁の下の柔かい土に
印
(
しる
)
された
夥
(
おびたゞ
)
しい跡を指さしました。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
右十兵衞事
横死
(
わうし
)
致し候場所に道十郎所持の
印
(
しる
)
し付の傘有之候に付申
譯
(
わけ
)
相立難く
兩度
(
りやうど
)
程
(
ほど
)
長庵と
突合
(
つきあは
)
せ御調べに相成候へ共道十郎は其前より久々
不快
(
ふくわい
)
故申開きも心に
任
(
まか
)
せず
遂
(
つひ
)
に牢死に及び候に付
彌々
(
いよ/\
)
長庵が
辯舌
(
べんぜつ
)
にて道十郎の
罪科
(
ざいくわ
)
に相定まり死骸は御
取捨
(
とりすて
)
家財
(
かざい
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
中国進駐の第一歩は
印
(
しる
)
された。
戛々
(
かつかつ
)
と、夕ぐれの大地を鳴らして、
糟屋武則
(
かすやたけのり
)
の
館
(
やかた
)
にはいってゆく
長蛇
(
ちょうだ
)
の列を見るに。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
印
常用漢字
小4
部首:⼙
6画
“印”を含む語句
印象
印形
印南野
消印
印度人
印南
印度
烙印
印度洋
印行
印判
印刷物
御印
刻印
印南郡
印籠
極印
捺印
封印
拇印
...