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指折算
話けるに吉兵衞心に
驚き夫は
何時頃の事なるやと
尋問ければ和尚は
指折算へ元祿二年九月の事なりと聞より吉兵衞は涙を
浮べ其子を
見るに寶永二年三月十五日の夜
子の
刻出生と
印し
有ければ
指折算へ見るに當年
恰十一歳なり
忘れもせぬ三月十五日の夜なるがお三婆は
頻に
落涙しテモ御身は
仕合物なりとて寶澤が
顏を
流し私儀十歳の時父彦兵衞儀江戸へ下りしゆゑ
指折算へて歸るを待居りし中に御所刑となりしかば母は
明暮歎き悲み病氣も出べきやに存じ候まゝ私し儀江戸へ下り
骨を
拾ひ
持歸らんと母を