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刈萱
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かるかや
ふりがな文庫
“
刈萱
(
かるかや
)” の例文
松に舫った釣舟は、
主人
(
あるじ
)
の
情
(
なさけ
)
で、別荘の庭に草を植え、薄、
刈萱
(
かるかや
)
、
女郎花
(
おみなえし
)
、
桔梗
(
ききょう
)
の露に燈籠を点して、一つ、二見の名所である。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
栗の木の株間株間には、
刈萱
(
かるかや
)
や
薄
(
すすき
)
が
背丈
(
せたけ
)
ほども伸びて、毎年秋になると人夫を雇って刈らせるのだったが、その収入もかなりあるようだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
唐物
(
からもの
)
の
籠
(
かご
)
に
芙蓉
(
ふよう
)
に
桔梗
(
ききょう
)
刈萱
(
かるかや
)
など秋草を十分に
活
(
い
)
けまして、床脇の棚
等
(
とう
)
にも結構な飛び青磁の
香炉
(
こうろ
)
がございまして、左右に
古代蒔絵
(
こだいまきえ
)
の料紙箱があります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
秋風が吹いて、
収穫
(
とりいれ
)
が済むころには、よく夫婦の
祭文語
(
さいもんかた
)
りが入り込んで来た。
薄汚
(
うすぎたな
)
い祭文語りは
炉端
(
ろばた
)
へ呼び入れられて、鈴木
主水
(
もんど
)
や
刈萱
(
かるかや
)
道心のようなものを語った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
竹の
櫺子
(
れんじ
)
をつけたいかにも床しい数奇屋がまえなのに、掛軸はかけず、床柱の花籠に申訳のように
薊
(
あざみ
)
と
刈萱
(
かるかや
)
を投げいれ、天井の杉板に金と
白緑
(
びゃくろく
)
でいちめんに萩が描いてある。
ユモレスク
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
頭の上には、
蘭
(
らん
)
を飾った
藤蔓
(
ふじづる
)
と、数条の
蔦
(
つた
)
とが
欅
(
けやき
)
の枝から垂れ下っていた。二人の臥床は
羊歯
(
しだ
)
と
韮
(
にら
)
と
刈萱
(
かるかや
)
とであった。そうして
卑弥呼
(
ひみこ
)
は、再び新らしい
良人
(
おっと
)
の腕の中に身を横たえた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
米山
(
よねやま
)
の
萃螺
(
すゐら
)
が見えた。晴れた日には、遠く佐渡の島影をも
指
(
ゆびさ
)
す事が出来た。そしてそこの高原には、桔梗、われもこう、
刈萱
(
かるかや
)
、松虫草などがさながら毛氈を
布
(
し
)
いたやうに美しく乱れ開いた。
女の温泉
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
という歌の書かれた手紙を、穂の乱れた
刈萱
(
かるかや
)
に中将はつけていた。女房が
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
薄 なおその上に、
御前様
(
ごぜんさま
)
、お
痩
(
や
)
せ遊ばしておがまれます。柳よりもお優しい、すらすらと雨の
刈萱
(
かるかや
)
を、お
被
(
か
)
け遊ばしたようにござります。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庭
(
には
)
はさながら
花野
(
はなの
)
也
(
なり
)
。
桔梗
(
ききやう
)
、
刈萱
(
かるかや
)
、
女郎花
(
をみなへし
)
、
我亦紅
(
われもこう
)
、
瑠璃
(
るり
)
に
咲
(
さ
)
ける
朝顏
(
あさがほ
)
も、
弱竹
(
なよたけ
)
のまゝ
漕惱
(
こぎなや
)
めば、
紫
(
むらさき
)
と、
黄
(
き
)
と、
薄藍
(
うすあゐ
)
と、
浮
(
う
)
きまどひ、
沈
(
しづ
)
み
靡
(
なび
)
く。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宵々
(
よひ/\
)
の
稻妻
(
いなづま
)
は、
火
(
ひ
)
の
雲
(
くも
)
の
薄
(
うす
)
れ
行
(
ゆ
)
く
餘波
(
なごり
)
にや、
初汐
(
はつしほ
)
の
渡
(
わた
)
るなる、
海
(
うみ
)
の
音
(
おと
)
は、
夏
(
なつ
)
の
車
(
くるま
)
の
歸
(
かへ
)
る
波
(
なみ
)
の、
鼓
(
つゞみ
)
の
冴
(
さえ
)
に
秋
(
あき
)
は
來
(
き
)
て、
松蟲
(
まつむし
)
鈴蟲
(
すゞむし
)
の
容
(
かたち
)
も
影
(
かげ
)
も、
刈萱
(
かるかや
)
に
萩
(
はぎ
)
に
歌
(
うた
)
を
描
(
ゑが
)
く。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
藍
(
あゐ
)
あさき
宵
(
よひ
)
の
空
(
そら
)
、
薄月
(
うすづき
)
の
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
りて、
雲
(
くも
)
は
胡粉
(
ごふん
)
を
流
(
なが
)
し、
一
(
ひと
)
むら
雨
(
さめ
)
廂
(
ひさし
)
を
斜
(
なゝめ
)
に、
野路
(
のぢ
)
の
刈萱
(
かるかや
)
に
靡
(
なび
)
きつゝ、
背戸
(
せど
)
の
女郎花
(
をみなへし
)
は
露
(
つゆ
)
まさる
色
(
いろ
)
に
出
(
い
)
で、
茂
(
しげ
)
れる
萩
(
はぎ
)
は
月影
(
つきかげ
)
を
抱
(
いだ
)
けり。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これや
串戯
(
じょうだん
)
をしては
可
(
い
)
けないぜと、思わず
独言
(
ひとりごと
)
を言いながら、露草を
踏
(
ふみ
)
しだき、
薄
(
すすき
)
を
掻分
(
かきわ
)
け、
刈萱
(
かるかや
)
を押遣って、
章駄天
(
いだてん
)
のように追駈けまする、姿は草の中に見え隠れて
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一時
(
ひとしきり
)
、芸者の数が有余ったため、
隣家
(
となり
)
の平屋を出城にして、
桔梗
(
ききょう
)
、
刈萱
(
かるかや
)
、
女郎花
(
おみなえし
)
、垣の
結目
(
ゆいめ
)
も
玉章
(
たまずさ
)
で、
乱杙
(
らんぐい
)
逆茂木
(
さかもぎ
)
取廻し、本城の
欄
(
てすり
)
の
青簾
(
あおすだれ
)
は、枝葉の繁る二階を見せたが
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蚊帳をはらはら取巻いたは、
桔梗
(
ききょう
)
刈萱
(
かるかや
)
、
美
(
うつく
)
しや、
萩
(
はぎ
)
女郎花
(
おみなえし
)
、優しや、鈴虫、松虫の——声々に
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向日葵
(
ひまはり
)
、
向日葵
(
ひまはり
)
、
百日紅
(
ひやくじつこう
)
の
昨日
(
きのふ
)
も
今日
(
けふ
)
も、
暑
(
あつ
)
さは
蟻
(
あり
)
の
數
(
かず
)
を
算
(
かぞ
)
へて、
麻野
(
あさの
)
、
萱原
(
かやはら
)
、
青薄
(
あをすゝき
)
、
刈萱
(
かるかや
)
の
芽
(
め
)
に
秋
(
あき
)
の
近
(
ちか
)
きにも、
草
(
くさ
)
いきれ
尚
(
な
)
ほ
曇
(
くも
)
るまで、
立
(
たち
)
蔽
(
おほ
)
ふ
旱雲
(
ひでりぐも
)
恐
(
おそろ
)
しく、
一里塚
(
いちりづか
)
に
鬼
(
おに
)
はあらずや
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
も
刈萱
(
かるかや
)
の
蓑
(
みの
)
いつしかに
露
(
つゆ
)
繁
(
しげ
)
く、
芭蕉
(
ばせを
)
に
灌
(
そゝ
)
ぐ
夜半
(
よは
)
の
雨
(
あめ
)
、やがて
晴
(
は
)
れて
雲
(
くも
)
白
(
しろ
)
く、
芙蓉
(
ふよう
)
に
晝
(
ひる
)
の
蛬
(
こほろぎ
)
鳴
(
な
)
く
時
(
とき
)
、
散
(
ち
)
るとしもあらず
柳
(
やなぎ
)
の
葉
(
は
)
、
斜
(
なゝめ
)
に
簾
(
すだれ
)
を
驚
(
おどろ
)
かせば、
夏痩
(
なつや
)
せに
尚
(
な
)
ほ
美
(
うつく
)
しきが、
轉寢
(
うたゝね
)
の
夢
(
ゆめ
)
より
覺
(
さ
)
めて
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
床几
(
しやうぎ
)
に
休
(
いこ
)
ひ
打眺
(
うちなが
)
むれば、
客
(
きやく
)
幾組
(
いくくみ
)
、
高帽
(
たかばう
)
の
天窓
(
あたま
)
、
羽織
(
はおり
)
の
肩
(
かた
)
、
紫
(
むらさき
)
の
袖
(
そで
)
、
紅
(
くれなゐ
)
の
裙
(
すそ
)
、
薄
(
すゝき
)
に
見
(
み
)
え、
萩
(
はぎ
)
に
隱
(
かく
)
れ、
刈萱
(
かるかや
)
に
搦
(
から
)
み、
葛
(
くず
)
に
絡
(
まと
)
ひ、
芙蓉
(
ふよう
)
にそよぎ、
靡
(
なび
)
き
亂
(
みだ
)
れ、
花
(
はな
)
を
出
(
い
)
づる
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
に
入
(
い
)
る
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
をめぐる
人
(
ひと
)
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
浮出
(
うきだ
)
したように真中へあらわれて、
後前
(
あとさき
)
に、これも肩から上ばかり、
爾時
(
そのとき
)
は男が三人、
一
(
ひと
)
ならびに松の葉とすれすれに、しばらく
桔梗
(
ききょう
)
刈萱
(
かるかや
)
が
靡
(
なび
)
くように見えて、
段々
(
だんだん
)
低くなって隠れたのを、何か
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
谿谷
(
けいこく
)
をもみじの中へ入って行く、
残
(
のこ
)
ンの桔梗と、うら
寂
(
さび
)
しい
刈萱
(
かるかや
)
のような、二人の姿の、窓あかりに、暗くせまったのを見つつ、
乗放
(
のりはな
)
して
下
(
お
)
りた、おなじ処に、しばらく、とぼんと
踞
(
しゃが
)
んでいた。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
添へて
刈萱
(
かるかや
)
の濡れたのは、蓑にも織らず、折からの雨の姿である。
玉川の草
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
刈
常用漢字
中学
部首:⼑
4画
萱
漢検準1級
部首:⾋
12画
“刈”で始まる語句
刈
刈羽
刈株
刈田
刈入
刈谷
刈穂
刈稲
刈藻
刈込