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葢
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ふた
ふりがな文庫
“
葢
(
ふた
)” の例文
米「湯灌は
大体
(
たいてい
)
家柄の
邸
(
うち
)
では
家
(
うち
)
でするが、殊によるとお
香剃
(
こうぞり
)
の時
葢
(
ふた
)
を取ると
剃刀
(
かみそり
)
を当てる時何うかすると顔を見ます事がござります」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると、この石鹸に面白いところは、塩水に溶解するから奇体ですよとの追加があったので、急に貰って行く気になって
葢
(
ふた
)
をした。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
品
(
しな
)
の
硬着
(
かうちやく
)
した
身體
(
からだ
)
は
曲
(
ま
)
げて
立膝
(
たてひざ
)
にして
棺桶
(
くわんをけ
)
へ
入
(
い
)
れられた。
首
(
くび
)
が
葢
(
ふた
)
に
觸
(
さは
)
るので
骨
(
ほね
)
の
挫
(
くぢ
)
けるまで
抑
(
おさ
)
へつけられてすくみが
掛
(
か
)
けられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
はまぐりの如き
貝殼
(
かいがら
)
は自然に
皿形
(
さらがた
)
を成し、且つ
相對
(
あひたい
)
する者二枚を合する時
葢
(
ふた
)
と身との部さへ
具
(
そな
)
はるが故に物を
貯
(
たく
)
ふる器とするに
適
(
てき
)
したり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
そのうえ
葢
(
ふた
)
は取りっ放し積もった
塵
(
ちり
)
や
埃
(
ほこり
)
の具合で、これはどうでも一年前に誰か盗んだに違いないとこう目星を付けたものさ。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
ぱたんと
画具箱
(
えのぐばこ
)
の
葢
(
ふた
)
をして、細君は立ち上った。鶴子を
負
(
お
)
う可く、
蹲
(
しゃが
)
んで
後
(
うしろ
)
にまわす手先に、ものが
冷
(
ひ
)
やりとする。最早露が下りて居るのだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
土瓶の
葢
(
ふた
)
の形、つまみの形——さうして、大いにさうして、耳に
蔓
(
つる
)
をつけて、完成した土瓶の形は安定してゐるか。
やきもの読本
(旧字旧仮名)
/
小野賢一郎
(著)
どの
瓶
(
ビン
)
も
栓
(
せん
)
なしには置かないし、開いたガラス瓶には必ず紙の
葢
(
ふた
)
をして置く。
屑
(
くず
)
も床の上に散して置かないし、悪い臭いも出来るだけ散らさぬようにする。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
すると
葢
(
ふた
)
は苦もなく開いた。李夫は葢をする時に、既に釘をそこここはぶいてあったのであった。
断橋奇聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
母は一寸
葢
(
ふた
)
をあけてみて、黙つて、涙ぐんだまま
袂
(
たもと
)
へ入れた。姉は、義兄や、母や、兄や、前田の姉や、花子や、雪子や、私などに
枕許
(
まくらもと
)
をとり囲まれて、眠るやうに死んだ。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
仕懸し始末を申立て
御吟味
(
ごぎんみ
)
を願ふべしと云ふに五兵衞は甚だ
赤面
(
せきめん
)
なし夫れは如何にも
迷惑
(
めいわく
)
仕つるにより
其處
(
そこ
)
はどうかと申すを半四郎は
否々
(
いや/\
)
底
(
そこ
)
も
葢
(
ふた
)
も
入
(
いら
)
ぬ彼是云るゝなら御吟味を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
葢
(
ふた
)
を開けた様に戸が明いて居て、爾して、其の所から高輪田長三が顔を出して居るのです、私は何うして此の戸を脱け出そうかと苦心して居る時ゆえ此の様を見て嬉しく思いました
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
僕はふと思ひだした、小脇のポートフォリオの中から、ゆふべ友人の細君が「道中で召上れ」といつて
呉
(
く
)
れたハルビンのチョコレートの
小函
(
こばこ
)
を出し、
葢
(
ふた
)
を払つてうやうやしく夫人にすすめた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それから黒い手提鞄を椅子の横に置いて、パッと拡げると、その中にゴチャゴチャに投げ込んであった理髪用の
鋏
(
はさみ
)
や、ブラシを
葢
(
ふた
)
の上に
掴
(
つま
)
み出しながら、私を見てヒョッコリとお辞儀をした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
魚市場に
上荷
(
あ
)
げてあつた
葢
(
ふた
)
もない黒砂糖の桶に腰をかけて
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
硝子
(
がらす
)
の
葢
(
ふた
)
の
後
(
うしろ
)
には、
白鑞
(
しろめ
)
の
面
(
おもて
)
飾なく
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
みんなのくれた
玩具
(
おもちゃ
)
も足や頭の所へ押し込んだ。最後に南無阿弥陀仏の
短冊
(
たんざく
)
を雪のように振りかけた上へ
葢
(
ふた
)
をして、
白綸子
(
しろりんず
)
の
被
(
おい
)
をした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
竈
(
かまど
)
には
小
(
ちひ
)
さな
鍋
(
なべ
)
が
懸
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
汁
(
しる
)
は
葢
(
ふた
)
を
漂
(
たゞよ
)
はすやうにしてぐら/\と
煮立
(
にた
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
外
(
そと
)
もいつかとつぷり
闇
(
くら
)
くなつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ちら/\
灯火
(
あかり
)
が差しますから山三郎は
訝
(
いぶか
)
しく思い、棺の中から
灯
(
あかり
)
のさす道理はなし、何んでも怪しいと考え、棺桶の
葢
(
ふた
)
を力にまかせて取りますと、此の棺の中に何物がおりますか
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見て
疑
(
うたが
)
ひ
晴
(
はら
)
せと言ながら
衝
(
つ
)
と立上り床の間に
飾置
(
かざりおき
)
たる
破果
(
やれはて
)
し
具足櫃
(
ぐそくびつ
)
の
葢
(
ふた
)
かい遣り除け
底
(
そこ
)
を
探
(
さぐ
)
つて一包の
金
(
かね
)
取出
(
とりいだ
)
し
二個
(
ふたり
)
に示し爰に百兩あるからは必ず
心配
(
しんぱい
)
無用なりと浪人しても流石は
武士
(
ものゝふ
)
用意の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それからポンと
葢
(
ふた
)
をあけた。絵絹が巻かれてはいっている。
北斎と幽霊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一個の土瓶の
葢
(
ふた
)
だけ見ても興味が湧くのである。
やきもの読本
(旧字旧仮名)
/
小野賢一郎
(著)
硝子
(
がらす
)
の
葢
(
ふた
)
の
後
(
うしろ
)
には、
白鑞
(
しろめ
)
の
面
(
おもて
)
飾なく
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
彼は
果物籃
(
くだものかご
)
の
葢
(
ふた
)
の間へ、「御病気はいかがですか。これは吉川の奥さんからのお見舞です」と書いた名刺を
挿
(
さ
)
し込んだ
後
(
あと
)
で、下女を呼んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
俺
(
お
)
らそれ
仕入
(
しいれ
)
たつきり
起
(
おき
)
られねえんだよ」お
品
(
しな
)
は
枕
(
まくら
)
を
手
(
て
)
で
動
(
うご
)
かしていつた。
勘次
(
かんじ
)
は
又
(
また
)
葢
(
ふた
)
をした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あれを切んなよ、チョッ不精な奴だな、
折
(
おり
)
の
葢
(
ふた
)
の上で切れるもんか、
爼板
(
まないた
)
を持って来なくっちゃアいかねえ、厚く切んなよ、薄っぺらに切ると旨くねえから、
己
(
おれ
)
が持って来いてったら直に持って来な
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
膝の上の行李を取り上げるとポンと
葢
(
ふた
)
を取ったものだ。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼等をもって、単に金銭を得るが
故
(
ゆえ
)
に、その義務に忠実なるのみと解釈すれば、まことに器械的で、
実
(
み
)
も
葢
(
ふた
)
もない話である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
伊「
生憎
(
あいにく
)
誰も居りませんで……師匠菓子器の
葢
(
ふた
)
を明けとくと砂が這入っていけないから……あなた何うぞ此方へ、これはお初にお目に懸ります、
私
(
わたくし
)
は紀伊國屋伊之助と申しまする至って不調法もので」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妹がもし見ないと云ったら、二人で棺の
葢
(
ふた
)
をもう一遍開けようと思ったのである。「御止しなさいよ、
怖
(
こわ
)
いから」と云って百代は首をふった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼の車室内へ運んでくれた
果物
(
くだもの
)
の
籃
(
かご
)
もあった。その
葢
(
ふた
)
を開けて、二人の
伴侶
(
つれ
)
に夫人の贈物を
配
(
わか
)
とうかという意志も働いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宅
(
うち
)
へ着いて遺骨を仏壇の前に置いた時、すぐ寄って来た小供が、
葢
(
ふた
)
を開けて見せてくれというのを彼女は断然拒絶した。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その叔母はついと立って戸棚の中にある
支那鞄
(
しなかばん
)
の
葢
(
ふた
)
を開けて、手に持った畳紙をその中にしまった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
火鉢
(
ひばち
)
には
小
(
ちひ
)
さな
鍋
(
なべ
)
が
掛
(
か
)
けてあつて、
其
(
その
)
葢
(
ふた
)
の
隙間
(
すきま
)
から
湯氣
(
ゆげ
)
が
立
(
た
)
つてゐた。
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
わき
)
には
彼
(
かれ
)
の
常
(
つね
)
に
坐
(
すわ
)
る
所
(
ところ
)
に、
何時
(
いつ
)
もの
坐蒲團
(
ざぶとん
)
を
敷
(
し
)
いて、
其前
(
そのまへ
)
にちやんと
膳立
(
ぜんだて
)
がしてあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
空は
茶壺
(
ちゃつぼ
)
の
葢
(
ふた
)
のように暗く封じられている。そのどこからか、
隙間
(
すきま
)
なく雨が落ちる。立っていると、ざあっと云う音がする。これは身に着けた笠と蓑にあたる音である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
銀金具
(
ぎんかなぐ
)
の
付
(
つ
)
いた
机
(
つくゑ
)
の
抽出
(
ひきだし
)
を
開
(
あ
)
けて
頻
(
しきり
)
に
中
(
なか
)
を
檢
(
しら
)
べ
出
(
だ
)
したが、
別
(
べつ
)
に
何
(
なに
)
も
見付
(
みつ
)
け
出
(
だ
)
さないうちに、はたりと
締
(
し
)
めて
仕舞
(
しま
)
つた。
夫
(
それ
)
から
硯箱
(
すゞりばこ
)
の
葢
(
ふた
)
を
取
(
と
)
つて、
手紙
(
てがみ
)
を
書
(
か
)
き
始
(
はじ
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
火鉢
(
ひばち
)
には小さな
鍋
(
なべ
)
が掛けてあって、その
葢
(
ふた
)
の
隙間
(
すきま
)
から湯気が立っていた。火鉢の
傍
(
わき
)
には彼の常に坐る所に、いつもの
座蒲団
(
ざぶとん
)
を敷いて、その前にちゃんと
膳立
(
ぜんだて
)
がしてあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして箱の
葢
(
ふた
)
をはずして、文鳥を出した。文鳥は箱から出ながら千代千代と二声鳴いた。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助は
銀金具
(
ぎんかなぐ
)
の付いた机の
抽出
(
ひきだし
)
を開けてしきりに中を
検
(
しら
)
べ出したが、別に何も見つけ出さないうちに、はたりと
締
(
あきら
)
めてしまった。それから
硯箱
(
すずりばこ
)
の
葢
(
ふた
)
を取って、手紙を書き始めた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
井深は一箇月ほど前に十五銭で
鉄瓶
(
てつびん
)
の
葢
(
ふた
)
だけを買って文鎮にした。この間の日曜には二十五銭で鉄の
鍔
(
つば
)
を買って、これまた
文鎮
(
ぶんちん
)
にした。今日はもう少し大きい物を
目懸
(
めが
)
けている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今にやろう、今にやろうと考えているうちに、とうとう八時過になった。仕方がないから顔を洗うついでをもって、冷たい縁を
素足
(
すあし
)
で踏みながら、箱の
葢
(
ふた
)
を取って鳥籠を
明海
(
あかるみ
)
へ出した。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、
面白
(
おもしろ
)
いものが
有
(
あ
)
つたつけ」と
云
(
い
)
ひながら、
袂
(
たもと
)
から
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
た
護謨風船
(
ゴムふうせん
)
の
達磨
(
だるま
)
を
出
(
だ
)
して、
大
(
おほ
)
きく
膨
(
ふく
)
らませて
見
(
み
)
せた。さうして、それを
椀
(
わん
)
の
葢
(
ふた
)
の
上
(
うへ
)
へ
載
(
の
)
せて、
其
(
その
)
特色
(
とくしよく
)
を
説明
(
せつめい
)
して
聞
(
き
)
かせた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、面白いものが有ったっけ」と云いながら、
袂
(
たもと
)
から買って来た
護謨風船
(
ゴムふうせん
)
の
達磨
(
だるま
)
を出して、大きく
膨
(
ふく
)
らませて見せた。そうして、それを
椀
(
わん
)
の
葢
(
ふた
)
の上へ
載
(
の
)
せて、その特色を説明して聞かせた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
葢
漢検準1級
部首:⾋
12画
“葢”を含む語句
頭葢骨
葢物
瘡葢
鏡葢
鍋葢
車葢
羽葆葢
綴葢
簀葢
竜葢帳
両葢
廣葢
庭葢
広葢
小葢
天葢
圓葢
円葢
兩葢