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禿
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はげ
ふりがな文庫
“
禿
(
はげ
)” の例文
「こいつ相当にやるな!」と思ってこの男の人相を見直すと、頭のところの
月代
(
さかやき
)
の中に、大小いくつもの
禿
(
はげ
)
が隠れつ見えつしている。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
御墨付と見せたのは、どこにでもある小菊二三枚、短刀は、脇差を
摺
(
す
)
り上げて
禿
(
はげ
)
ちょろ
鞘
(
ざや
)
に納めた、似も付かぬ偽物だったのでした。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
狸の面、と、狐の面は、差配の
禿
(
はげ
)
と、
青月代
(
あおさかやき
)
の
仮髪
(
かつら
)
のまま、饂飩屋の
半白頭
(
ごましおあたま
)
は、どっち付かず、
鼬
(
いたち
)
のような面を着て、これが鉦で。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
良吉はふと頭の
頂點
(
てつぺん
)
の
禿
(
はげ
)
を指して、「疳を
癒
(
なほ
)
すために漢法醫にハツボとかいふものをかけて貰つたゝめにこんなに禿げたのだ。」
母と子
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
定例の
袋敲
(
ふくろだゝ
)
きの制裁の席上、
禿
(
はげ
)
と
綽名
(
あだな
)
のある生意気な新入生の横づらを佐伯が一つ喰はすと、かれはしく/\泣いて廊下に出たが、丁度
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
▼ もっと見る
種物屋
(
たねものや
)
の娘は
廂髪
(
ひさしがみ
)
などに
結
(
ゆ
)
ってツンとすまして歩いて行く。
薬種屋
(
やくしゅや
)
の
隠居
(
いんきょ
)
は相変わらず
禿
(
はげ
)
頭をふりたてて
忰
(
せがれ
)
や小僧を叱っている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「万助の奴をしらべて、すっかり判りました。贋物を売った古道具屋は御成道の横町で、亭主は左の
小鬢
(
こびん
)
に
禿
(
はげ
)
があるそうです」
半七捕物帳:27 化け銀杏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
主人が
偕老同穴
(
かいろうどうけつ
)
を
契
(
ちぎ
)
った夫人の脳天の真中には
真丸
(
まんまる
)
な大きな
禿
(
はげ
)
がある。しかもその禿が暖かい日光を反射して、今や時を得顔に輝いている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お熊は四十
格向
(
がッこう
)
で、
薄痘痕
(
うすいも
)
があッて、
小鬢
(
こびん
)
に
禿
(
はげ
)
があッて、右の眼が
曲
(
ゆが
)
んで、口が
尖
(
とんが
)
らかッて、どう見ても
新造面
(
しんぞうづら
)
——意地悪別製の新造面である。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
頭の
禿
(
はげ
)
と、顔の
皺
(
しわ
)
とを除くと、彼自身とそっくりの顔が、酒の為に赤くなって、ドロンとした目を見はっているのである。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
頭の
天頂
(
てっぺん
)
の附近に二銭銅貨大の
禿
(
はげ
)
——禿ではない、毛が生えそろわなくてみじかいのだ、それが揃いも揃って目につく。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし、この甥もこちらへ帰って来て、一週間あまりすると、頭髪が抜け出し、二日位ですっかり
禿
(
はげ
)
になってしまった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
子でない、親でないと云ふ騒になつたね。すると
禿
(
はげ
)
の方から、妾だから不承知なのだらう、籍を入れて本妻に直すからくれろといふ談判になつた。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
また
禿
(
はげ
)
から来たのだろうと言う人があるか知らぬが、濁音の盛んな地方で二つの語が併行している上にハケは多くの場合に禿げておらぬのである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
また丈助を狙って上って参りまする処を、丈助が狙い
打
(
うち
)
に
切
(
きり
)
つけ、たゝみかけて
禿
(
はげ
)
たる頭の
脳膸
(
のうずい
)
を力に任せて割附ける。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おまけにツルツル
禿
(
はげ
)
の骸骨みたいに
凹
(
へこ
)
んだ眼の穴の間から舶来のブローニングに似た真赤な鼻がニューと突出ている。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし、頭髪は殆んど白くなりましたが、私は
禿
(
はげ
)
にはならぬ性です。歯は生まれつきのもので虫歯はありません。この頃は耳が大分遠くなって不自由です。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
とりわけ人に嫌らわれるのは、彼の頭の皮の表面にいつ出来たものかずいぶん
幾個所
(
いくこしょ
)
も
瘡
(
かさ
)
だらけの
禿
(
はげ
)
があった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
という声が聞こえた時、両耳の辺ばかりにわずかの髪をのこしている、お
父親
(
とう
)
さんの
禿
(
はげ
)
た頭が上がり、声の来た方へ向いたので、お蘭もそっちへ顔を向けた。
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
上手
(
かみて
)
の眺めにもうち
禿
(
はげ
)
た岩石層は
少
(
すくな
)
く、すべてが微光をひそめた
巒色
(
らんしょく
)
の丘陵であった。
深沈
(
しんちん
)
としたその
碧潭
(
へきたん
)
。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
間抜
(
まぬ
)
けな若旦那も乗て居れば、頭の
禿
(
はげ
)
た
老爺
(
じじい
)
も乗て居る、
上方辺
(
かみがたへん
)
の
茶屋女
(
ちゃやおんな
)
も居れば、下ノ関の
安女郎
(
やすじょろう
)
も居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
かねがね私の最も
軽蔑
(
けいべつ
)
していた横丁の
藪医者
(
やぶいしゃ
)
の珍斎にそっくりで、しかも私の頭のあちこちに小さい
禿
(
はげ
)
があるのを、その時はじめて発見
仕
(
つかまつ
)
り、うんざりして
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
入れ替り立ち替りそこへ挨拶に来る親戚に逢って見ると、直次の養母はまだ達者で、頭の
禿
(
はげ
)
もつやつやとしていて、腰もそんなに曲っているとは見えなかった。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あほらしい。あんたみたいなへんちきちんに惚れはしないよ。あてには頭の
禿
(
はげ
)
たえゝ人があるんだよ。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
ウイとかノンとか簡にして明なるおん言葉、平ったく申せば突っかかるような切口上で、
禿
(
はげ
)
あたまなんか見むきもしない有りさまは、人妻ながら勇ましかった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
そこには、
瓢箪
(
へうたん
)
のやうに出張つて
禿
(
はげ
)
たおでこを持つた男と、
厚司
(
あつし
)
を着た赤髯の男とが將棋をさしてゐた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
... ただの
江戸
(
えど
)
つ
子
(
こ
)
であるよりも
生粹
(
きつすゐ
)
とつけた
方
(
はう
)
を
喜
(
よろこ
)
ぶらしい)それから、その——(
夫
(
をつと
)
といつていゝか、
燕
(
つばめ
)
?——
少
(
すこ
)
し、
禿
(
はげ
)
すぎてゐるが)
愛
(
あい
)
する
於莵吉
(
おときち
)
は十一も
齡下
(
としした
)
で
長谷川時雨が卅歳若かつたら
(旧字旧仮名)
/
直木三十五
(著)
髪
(
かみ
)
の毛はどうしたのと聞いてみたり、
父親
(
ちちおや
)
メルキオルの
露骨
(
ろこつ
)
な
常談
(
じょうだん
)
におだてられて、
禿
(
はげ
)
をたたくぞとおどしたりして、いつもそのことで
彼
(
かれ
)
をからかってあきなかった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
さすがの弾正久秀も、そのときばかりはうす
禿
(
はげ
)
のした頭まで真っ赤にして、うらめしげに信長を見
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老師の後頭部の薄い
禿
(
はげ
)
へ仏前の
蝋燭
(
ろうそく
)
の
灯
(
ひ
)
がちらちらとうつつた。宗右衛門はいつもならばひそかに得意の微笑を
洩
(
も
)
らすのである。老師は宗右衛門より三つ四つ年も若い。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
芝居茶屋の若い衆——といっても、もう頭の
禿
(
はげ
)
ている伝さんが、
今戸
(
いまど
)
のおせんべいを持ってくる。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あんたの方の親爺、あの
禿
(
はげ
)
の頑固! あいつ
奴
(
め
)
だけが皆からビラをふんだくって歩いてるのよ。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
禿
(
はげ
)
さんと
蔭
(
かげ
)
で呼んでいる黒井コオチャアへのあてこすりから、(光りだ、禿だ)と歌うのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
かれらは蔭では吾助を「
禿
(
はげ
)
」と呼び、女房おたきを「ごうつく」と呼び、娘おわきをば「臼」とも「色けち」とも呼んでいた。仇名としては没趣味な知恵のないものである。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おまけに、
金仏
(
かなぶつ
)
光りに
禿
(
はげ
)
上っていて、細長い虫のような皺が、二つ三つ這っているのだが、
後頭部
(
うしろ
)
のわずかな部分だけには、
嫋々
(
なよなよ
)
とした、
生毛
(
うぶげ
)
みたいなものが残されている。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
色の
褪
(
さ
)
めた
唐桟
(
たうざん
)
の風呂敷包を
頸
(
くび
)
へかけの、洗ひざらした
木綿縞
(
もめんじま
)
に剥げつちよろけの
小倉
(
こくら
)
の帯、右の
小鬢
(
こびん
)
に
禿
(
はげ
)
があつて、
顋
(
あご
)
の悪くしやくれたのせえ、よしんば風にや吹かれ無えでも
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは五十を越した、中背の、がっしりした体格の男で、
白髪頭
(
しらがあたま
)
に大きな
禿
(
はげ
)
があった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あの
禿
(
はげ
)
あがったような貧相らしい
頸
(
えり
)
から、いつも耳までかかっている
尨犬
(
むくいぬ
)
のような
髪毛
(
かみのけ
)
や赤い目、
鈍
(
のろ
)
くさい口の
利方
(
ききかた
)
や、卑しげな奴隷根性などが、一緒に育って来た男であるだけに
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
スチームへ尻をあてがって新聞を読んでいた預金部長の
禿
(
はげ
)
は、眼鏡越しにギロリと彼女を覗き、直ぐに
不躾
(
ぶしつけ
)
を取り戻すかのように、めめずのような笑皺を泥色した唇の周りへ
匍
(
は
)
わせた。
罠を跳び越える女
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
船長
(
せんちやう
)
は
周章
(
あは
)
てゝ
起上
(
おきあが
)
つたが、
怒氣
(
どき
)
滿面
(
まんめん
)
、けれど
自己
(
おの
)
が
醜態
(
しゆうたい
)
に
怒
(
おこ
)
る
事
(
こと
)
も
出來
(
でき
)
ず、ビール
樽
(
だる
)
のやうな
腹
(
はら
)
に
手
(
て
)
を
當
(
あ
)
てゝ、
物凄
(
ものすご
)
い
眼
(
まなこ
)
に
水夫
(
すゐふ
)
共
(
ども
)
を
睨
(
にら
)
み
付
(
つ
)
けると、
此時
(
このとき
)
私
(
わたくし
)
の
傍
(
かたはら
)
には
鬚
(
ひげ
)
の
長
(
なが
)
い、
頭
(
あたま
)
の
禿
(
はげ
)
た
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「日がてりつけて
禿
(
はげ
)
があついごんだ。——お前たち、二人で住めばよかろ」
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
さっきも一遍云ったのだがもう一度あの
禿
(
はげ
)
の所の平べったい松を説明しようかな。平ったくて黒い。影も落ちてゐる、どこかであんなコロタイプを見た。
及川
(
おひかは
)
やなんか知ってるんだ。よすかな。
台川
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ここの台所は、いつも
落莫
(
らくばく
)
として食物らしい
匂
(
にお
)
いをかいだ事がない。井戸は、囲いが浅いので、よく
猫
(
ねこ
)
や犬が
墜
(
お
)
ちた。そのたび、おばさんは、
禿
(
はげ
)
の多い鏡を上から照らして、深い井戸の中を覗いた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
黒人式にむくれ返った唇の周囲をチョビ
髭
(
ひげ
)
が囲んでいて、おまけに、染めた頭髪は(
禿
(
はげ
)
は
何処
(
どこ
)
にもないのだが)所によってその生え方に濃淡があり、一株ずつ
他処
(
よそ
)
から移植したような工合であって
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
友人で
禿
(
はげ
)
のNというのが化け物の創作家として衆にひいでていた。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「
禿
(
はげ
)
! 禿! 禿! 禿! 禿! 禿!」
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
勸進元
(
くわんじんもと
)
が損をするだらうと思つたくらゐ、いやもう山中の人氣をさらつて、何千人と入り込み、飛鳥山を
禿
(
はげ
)
ちよろにしましたよ
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕のうちの番頭——あの
禿
(
はげ
)
あたまの万兵衛が変な顔をして、今夜は
盆
(
ぼん
)
の十五日だから海へ出るのはお止しなさいと言うのだ。
海亀
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
佐藤はその頃頭に毛の
乏
(
とぼし
)
い男であった。無論老朽した
禿
(
はげ
)
ではないのだが、まあ
土質
(
どしつ
)
の悪い草原のように、一面に青々とは茂らなかったのである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大きな屋根が地面に衝突して、ところどころ屋根瓦が
禿
(
はげ
)
たように剥がれている。四五人の男女がその上にのぼって、メリメリと屋根をこわしている。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“禿”の解説
禿(かぶろ、かむろ)とは、頭に髪がないことを言い、肩までで切りそろえた児童期の髪型、あるいはその髪型をした子供を指す。狭義では、江戸時代の遊廓に住む童女をさす。
『平家物語』では、平安京に放たれる平家方の密偵として見える。
(出典:Wikipedia)
禿
漢検準1級
部首:⽲
7画
“禿”を含む語句
禿頭
禿顱
禿茶瓶
禿木
薄禿
禿鷹
禿筆
禿鷲
中禿
赭禿
赤禿
禿山
切禿
禿上
馬禿山
愚禿
禿安
禿頭病
禿鳶
禿松
...