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じい
ふりがな文庫
“
爺
(
じい
)” の例文
今もいま、師匠のかけがえのない
好
(
い
)
い芸を、心の中で惜んでいたのに、このお
爺
(
じい
)
さんは
見世
(
みせ
)
ものの中へ出すのか——と思ったからだ。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
……で、寸時なとお顔を見せて上げていただけたらと、
爺
(
じい
)
の左近も申しますゆえ、差出がましいことながら、こうお願いに
参
(
さん
)
じました
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爺
(
じい
)
やなどはいつぞや御庭の松へ、
鋏
(
はさみ
)
をかけて居りましたら、まっ
昼間
(
ぴるま
)
空に大勢の子供の笑い声が致したとか、そう申して居りました。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
爺
(
じい
)
さん、
媼
(
ばあ
)
さんがあった、その媼さんが、
刎橋
(
はねばし
)
を渡り、露地を抜けて、食べものを運ぶ例で、門へは一廻り面倒だと、裏の垣根から
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の気なしに
格子戸
(
こうしど
)
を開けて表へ出ると、丁度私の
家
(
うち
)
の格子窓の所に、変なお
爺
(
じい
)
さんが立止っていますの。三度とも同じことなのよ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
惣「
爺
(
じい
)
やア、どうか和尚様をお送り申してお呉れ、お前が往かなけりゃア私が送り申さなければならないのだから、往っておくれな」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ミル
爺
(
じい
)
さんは、それきり船にのることをやめました。そして、よく窓に立って、ぼんやりこのめずらしい窓かざりをながめました。
海からきた卵
(新字新仮名)
/
塚原健二郎
(著)
老人
(
ろうじん
)
たちは、ごんごろ
鐘
(
がね
)
に
別
(
わか
)
れを
惜
(
お
)
しんでいた。「とうとう、ごんごろ
鐘
(
がね
)
さまも
行
(
い
)
ってしまうだかや。」といっている
爺
(
じい
)
さんもあった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
沖
(
おき
)
に
止
(
と
)
まっています
船
(
ふね
)
がこれでございます。お
爺
(
じい
)
さんは、あの
黒
(
くろ
)
い
旗
(
はた
)
の
立
(
た
)
っているほばしらの
下
(
した
)
のところにすわって
待
(
ま
)
っています。
黒い旗物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お
爺
(
じい
)
さま、
何
(
ど
)
うぞ
私
(
わたくし
)
に
一
(
ひと
)
つの
御神鏡
(
ごしんきょう
)
を
授
(
さず
)
けて
戴
(
いただ
)
き
度
(
と
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
私
(
わたくし
)
はそれを
御神体
(
ごしんたい
)
としてその
前
(
まえ
)
で
精神
(
せいしん
)
統一
(
とういつ
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
を
致
(
いた
)
そうと
思
(
おも
)
います。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
違えねえぜ。君がちょいと探検にでも行ってみてえと思ったら、ちょっとジョン
爺
(
じい
)
に言って来いよ。持ってく弁当を
拵
(
こせ
)
えてやるからな。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
爺
(
じい
)
さんや婆さんたちがいっぱい乗り込んでる正直な家族馬車が交じっていて、その戸口には仮装した子供の鮮やかな一群が見えていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
善
(
よ
)
い
爺
(
じい
)
さんが
測
(
はか
)
らず大福運を得たすぐ
後
(
あと
)
に、きっともう一度悪い爺さんが
羨
(
うらや
)
んで真似そこなって、ひどい失敗をする段が伴なっている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そこで若者は、村中大騒ぎをして
爺
(
じい
)
さんを探してることや、病気なら村に来て
養生
(
ようじょう
)
するがいいということなどを、熱心に言い立てました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ついこの先の竹林の奥に住んでいる
竹籠
(
たけかご
)
作りの
爺
(
じい
)
の娘におふみをつけようとなさっているのを、手前この目ではっきり見てしまいました。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
甘酒屋のお
爺
(
じい
)
さんが、赤塗りの荷箱をおっぽりだして、塀のかげへ走りこんだかと思うと、すぐその顔が
築地塀
(
ついじべい
)
の上に現われた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
相手というのは
羅紗
(
らしゃ
)
の
道行
(
みちゆき
)
を着た
六十恰好
(
ろくじゅうがっこう
)
の
爺
(
じい
)
さんであった。頭には
唐物屋
(
とうぶつや
)
を
探
(
さが
)
しても見当りそうもない変な
鍔
(
つば
)
なしの帽子を
被
(
かぶ
)
っていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「みっちゃんのことだもの。みっちゃんが、ほしいとおもうものなら、何でも下さるでしょうよ。サンタクロスのお
爺
(
じい
)
さんは」
クリスマスの贈物
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
どうです、あの
爺
(
じい
)
さん。今までよりも更に達者になってしまって、私のこの困難な状態がいつまで続くことやら見当がつかなくなりました。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
白絵の上にそれを流すと色がいよいよ
冴
(
さ
)
える。調子が静かでしかも深い。だがどんな材料を使うのか。お
爺
(
じい
)
さんたちは私に話してきかせる。
日田の皿山
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「買ったんではありませんの、持って来たんですわ。……わたしたち帰る時、一緒に連れて来ましたの、ですからもうお
爺
(
じい
)
さんですわ……」
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
電車のない夏の炎天を
壱岐殿
(
いきどの
)
坂下まで歩いて紅葉はヨボヨボ
爺
(
じい
)
さんの二人乗を見付け、
値切
(
ねぎり
)
倒して私と二人で
合乗
(
あいのり
)
して行くと
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼はそれを嘴の中であっちこっち転がし回り、押しつけてみたり、
潰
(
つぶ
)
してみたり、まるで歯抜け
爺
(
じい
)
さんみたいに、
頻
(
しき
)
りに首をひねっている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ただ、赤いユニホォムを着た、でぶの
爺
(
じい
)
さんが、米国一流のハムマア投げ、と、きかされ、もの
珍
(
めずら
)
しく、
眺
(
なが
)
めていたのだけ
記憶
(
きおく
)
にあります。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
本文の「葬式」に出た粕谷で唯一人の
丁髷
(
ちょんまげ
)
の
佐平
(
さへい
)
爺
(
じい
)
さんも亡くなり、好人の幸さんも亡くなりました。文ちゃんの
爺
(
じい
)
さんも亡くなりました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その時の庫次
爺
(
じい
)
の顔を四十余年後の今朝ありありと思い浮べたのである。どうしてそんなことを想い出したかが分からない。
KからQまで
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
枝付きの
蜜柑
(
みかん
)
を買い込んで
土産
(
みやげ
)
とし、三等客として空席の一つを占めたが向合いに黒いとんび
外套
(
がいとう
)
を着た相当品格のあるお
爺
(
じい
)
さんが一人居た
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
といって、常日ごろ、ばかに年寄りじみたことをいうので、“お
爺
(
じい
)
”と
綽名
(
あだな
)
のある丸本水夫だが、すこし
当惑
(
とうわく
)
の色が見える。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
残雪に
因
(
ちな
)
める山名は白馬岳の外にも幾つかある。其中の二、三の例を挙げて見ると、同じ山脈の山に
爺
(
じい
)
岳というのがある。
白馬岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
蕎麦屋
(
そばや
)
も荒物屋も、向うの
塩煎餅屋
(
しおせんべいや
)
の
店頭
(
みせさき
)
に孫を膝に載せて坐っている耳の遠い
爺
(
じい
)
さんの姿も、何となくなつかしかった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その小屋には日向さんの
爺
(
じい
)
やがしばらく仮住みしていたが、その前年の冬にそこで死んで行ったことを包まずに話した。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ドッコイ、ドッコイ、ドッコイショと、
爺
(
じい
)
様のような
懸声
(
かけごえ
)
をしながら
漸
(
ようや
)
く河を渡り、やがて
町付
(
まちつき
)
という寒村に来掛かれば、もう時刻は正午に近い。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
あっしの代りに
礼服
(
フロッキ
)
を着て台湾館の前に立たされて、代りが出来るまでノスタレ
爺
(
じい
)
と一所に「わんかぷ、てんせんす」をやらされたもんだそうで
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それからもう一人私の記憶に残っているところでは、
紅
(
あか
)
い毛を長く伸ばして、頭のてっぺんでぐるぐる捲きにした五十以上に見える
爺
(
じい
)
さんがいた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
もちろん一番先きにS家、またおかあさんを婿にしようとしたお
爺
(
じい
)
さん(お爺さんは多分死んで届るでせうから娘)の家へも立寄つて見るつもりです。
秋の夜がたり
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
これはよくよく夫の困った場合でなければ出すなと言って、お
爺
(
じい
)
さんがくれてよこしたものとかで、母さんが後にその話を私にしてみせたこともある。
分配
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わたくしが
日頃
(
ひごろ
)
行き
馴
(
な
)
れた
浅草
(
あさくさ
)
公園
六区
(
ろっく
)
の
曲角
(
まがりかど
)
に立っていた
彼
(
か
)
のオペラ
館
(
かん
)
の楽屋で、名も知らなければ、
何処
(
どこ
)
から来るともわからない
丼飯屋
(
どんぶりめしや
)
の
爺
(
じい
)
さんが
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
源二郎
爺
(
じい
)
が、最初に感じた「怪訝」は、やがて一座の全員に、たった一人葉子だけを除いて——拡がって行った。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
こんなのを見ると、食欲減退である。それに料理研究家が
揃
(
そろ
)
いも揃って
爺
(
じい
)
さん
婆
(
ばあ
)
さんなので、テレビで大写しにされる手が、これまた揃いも揃って薄汚い。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
十九歳を
頭
(
かしら
)
に
令嬢
(
れいじょう
)
が四人、女中が十八人、事務員が二人の全く女ばかりの大世帯で、男と云えば風呂
焚
(
た
)
きの
爺
(
じい
)
さんと末の
坊
(
ぼっ
)
ちゃんだけだと云う事であった。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
こんなお
爺
(
じい
)
さんはざらにいそうだが、カイゼルなら村の人がみんな挨拶するからすぐ判るというので、そこでドン・キホウテとサンチオ・ハンザのように
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
トヨの
手綱
(
たづな
)
は、源吉
爺
(
じい
)
さんに握られているが、爺さんの姿は、トヨに劣らない
位
(
くらい
)
、十分にけだるそうである。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
けれども亮二はもうそっちへは行かないで、ひとり
田圃
(
たんぼ
)
の中のほの白い
路
(
みち
)
を、急いで家の方へ帰りました。早くお
爺
(
じい
)
さんに山男の話を聞かせたかったのです。
祭の晩
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私は小学校へは入るために、八つの春、大聖寺町の
浅井一毫
(
あさいいちもう
)
という陶工の家に預けられた。その頃七十幾つかで、白い
鬚
(
ひげ
)
を長く
伸
(
のば
)
したよいお
爺
(
じい
)
さんであった。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
潔白の
我
(
わが
)
心中を
忖
(
はか
)
る事出来ぬ
爺
(
じい
)
めが
要
(
いら
)
ざる
粋立
(
すいだて
)
馬鹿
(
ばか
)
々々し、一生に一つ
珠運
(
しゅうん
)
が作意の新仏体を刻まんとする程の
願望
(
のぞみ
)
ある身の、何として今から妻など
持
(
もつ
)
べき
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
爺
(
じい
)
さんや」「
婆
(
ばあ
)
さんや」といたわり合っている
風情
(
ふぜい
)
で、口をモグモグさせながらも、その口をお互いの耳に近づけては、何かと楽しそうに話し合っている。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「故郷の人々」「懐かしきケンタッキーの家」や「黒ん坊のジョー
爺
(
じい
)
や」の歌がアメリカばかりでなく、世界の国々に愛唱されていることは言うまでもない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
大町に帰るなりまた慎太郎さんと林蔵と三人で
爺
(
じい
)
から鹿島槍に出かけたのに比して、たった一年間に、何という弱りようをしたものだろうと思ったからである。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
おそろしい我慾の鬼ばかりだった、人間万事塞翁の馬だと三年前にあのお
爺
(
じい
)
さんが言ってはげましてくれたけれども、あれは嘘だ、不仕合せに生れついた者は
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それでもあすこには、人に逢うのが嫌いだという偏屈な執事の
爺
(
じい
)
さんと、馬鹿に不景気な犬がいましてね。犬の奴め、時どきに裏の庭で月に
吠
(
ほ
)
え付いていますよ。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
“爺(おじいさん)”の解説
おじいさん(お爺さん/お祖父さん)は、日本語において、直系尊属2親等にあたる男性(祖父)、もしくは高齢の男性を指す一般語として使用される。対義語はおばあさん、または孫息子。
(出典:Wikipedia)
爺
漢検準1級
部首:⽗
13画
“爺”を含む語句
老爺
阿爺
爺様
親爺
父爺
爺々
爺婆
因業爺
爺奴
爺親
狸爺
中爺
山爺
爺樣
好々爺
御爺
国姓爺
花咲爺
爺仁
頑固爺
...