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板敷
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いたじき
ふりがな文庫
“
板敷
(
いたじき
)” の例文
村は加波山事件の加波山の東麓にあたり、
親鸞
(
しんらん
)
聖人の旧蹟として名高い
板敷
(
いたじき
)
山のいただきは北方の村境であり、郡境ともなっている。
加波山
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
框
(
かまち
)
がすぐに
縁
(
えん
)
で、
取附
(
とッつ
)
きがその位牌堂。これには
天井
(
てんじょう
)
から大きな白の
戸帳
(
とばり
)
が
垂
(
た
)
れている。その色だけ
仄
(
ほのか
)
に明くって、
板敷
(
いたじき
)
は暗かった。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
垢離場
(
こりば
)
の
板敷
(
いたじき
)
にワラの
円座
(
えんざ
)
をしいて、数日つつしんでいた人々は、いちやくあたたかい
部屋
(
へや
)
とうやうやしいもてなしに
迎
(
むか
)
えられてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武士の中に
巨勢
(
こせ
)
の
熊檮
(
くまがし
)
なる者、
一九七
胆
(
きも
)
ふとき男にて、人々我が
後
(
あと
)
に
従
(
つ
)
きて来れとて、
一九八
板敷
(
いたじき
)
をあららかに踏みて進みゆく。
塵
(
ちり
)
は一寸ばかり積りたり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
併し、縁側にも、暗い空の影が動いていて、植え込みの緑が
板敷
(
いたじき
)
の上一面に溶けているのであった。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
が、
勢
(
いきお
)
いついた新吉の身は、わか姉さんの手をすり
抜
(
ぬ
)
け、ファットマンの頭にぶつかると、もんどり打って下の
板敷
(
いたじき
)
へ、まっさかさまにたたきつけられた、と思ったその
刹那
(
せつな
)
です。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
当らずということなし。例えばお前のウチの
板敷
(
いたじき
)
を取り離し、土を掘りて見よ。古き鏡または刀の折れあるべし。それを取り出さねば近き中に死人ありとか家が焼くるとかいうなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
食事の時には
迚
(
とて
)
も座って
喰
(
く
)
うなんと
云
(
い
)
うことは出来た話でない。足も
踏立
(
ふみた
)
てられぬ
板敷
(
いたじき
)
だから、皆
上草履
(
うわぞうり
)
を
穿
(
はい
)
て
立
(
たっ
)
て喰う。一度は銘々に
別
(
わ
)
けてやったこともあるけれども、
爾
(
そ
)
うは続かぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
若黨の勇吉は眼を廻したまゝ暫く玄關の
板敷
(
いたじき
)
に
抛
(
ほ
)
つて置かれましたが、御方便なもので、これは獨りで正氣に
還
(
かへ
)
りました。さすがに
面目
(
めんぼく
)
ないと思つたものか、コソコソ逃げ出さうとすると
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その翌日から、不思議なことが
八幡様
(
はちまんさま
)
に起こりました。今まで荒れ果てていたお宮の中が、
綺麗
(
きれい
)
に
掃除
(
そうじ
)
されました。屋根は
繕
(
つくろ
)
われ、柱や
板敷
(
いたじき
)
は水で
拭
(
ふ
)
かれ、色々の道具は
磨
(
みが
)
き上げられました。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
年頃
拭込
(
ふきこ
)
んだ
板敷
(
いたじき
)
が向側の窓の
明障子
(
あかりしやうじ
)
の光線で水を流した様に光る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
台所は昨年の新築に成り、主人公の伯爵が和洋の料理に適用せしめんと最も苦心せられし新考案の設備にてその広さ二十五坪、
半
(
なかば
)
は
板敷
(
いたじき
)
半はセメントの土間にして天井におよそ四坪の
硝子明取
(
がらすあかりと
)
りあり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
四方
(
しほう
)
を
板囲
(
いたがこ
)
いにして、
僅
(
わず
)
かに
正面
(
しょうめん
)
の
入口
(
いりぐち
)
のみを
残
(
のこ
)
し、
内部
(
なか
)
は三
坪
(
つぼ
)
ばかりの
板敷
(
いたじき
)
、
屋根
(
やね
)
は
丸味
(
まるみ
)
のついたこけら
葺
(
ぶ
)
き、どこにも
装飾
(
そうしょく
)
らしいものはないのですが、ただすべてがいかにも
神
(
かむ
)
さびて、
屋根
(
やね
)
にも
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大勢の人々に毎日踏まれて、
板敷
(
いたじき
)
はすっかり減っています。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
房枝は、うすい
板敷
(
いたじき
)
の舞台の上で、そっと涙をのんだ。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御留主
(
おるす
)
となれば広き
板敷
(
いたじき
)
兆
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
奥に見えるは
板敷
(
いたじき
)
か
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それらのかそけきうちに交わされる主客の
和敬
(
わけい
)
の礼と
睦
(
むつ
)
みを、水屋の宗易はやはり前のままの姿で、
板敷
(
いたじき
)
に凍りついた人の如く聞きすましていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、局は、もの優しく
微笑
(
ほほえ
)
んで、また先の如く手を取つて、今度は
横斜違
(
よこはすかい
)
に、ほの暗い
板敷
(
いたじき
)
を
少時
(
しばし
)
渡ると、
※
(
ぱっ
)
ともみぢの緋の映る、
脇廊下
(
わきろうか
)
の端へ出た。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この座敷は
板敷
(
いたじき
)
の
間
(
ま
)
に
床畳
(
とこだたみ
)
を用意してあり、
几帳
(
きちょう
)
や
御厨子
(
みずし
)
などの部屋の調度の
飾
(
かざ
)
りといい、
壁代
(
かべしろ
)
の絵といい、みんな時代のついた由緒ありそうな品で、とうてい身分のない人の住居ではない。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
身體
(
からだ
)
を
搖
(
ゆす
)
り、
下駄
(
げた
)
にて
板敷
(
いたじき
)
を
踏鳴
(
ふみな
)
らす
音
(
おと
)
おどろ/\し。
其
(
その
)
まゝ
渡場
(
わたしば
)
を
志
(
こゝろざ
)
す、
石段
(
いしだん
)
の
中途
(
ちうと
)
にて
行逢
(
ゆきあ
)
ひしは、
日傘
(
ひがさ
)
さしたる、十二ばかりの
友禪縮緬
(
いうぜんちりめん
)
、
踊子
(
をどりこ
)
か。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そばには、
咲耶子
(
さくやこ
)
もいて、氷のような
板敷
(
いたじき
)
にかしこまり両手を
膝
(
ひざ
)
において、つつしんで聞いている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塾生
(
じゆくせい
)
と
家族
(
かぞく
)
とが
住
(
す
)
んで
使
(
つか
)
つてゐるのは
三室
(
みま
)
か
四室
(
よま
)
に
過
(
す
)
ぎない。
玄關
(
げんくわん
)
を
入
(
はひ
)
ると
十五六疊
(
じふごろくでふ
)
の
板敷
(
いたじき
)
、
其
(
それ
)
へ
卓子
(
テエブル
)
椅子
(
いす
)
を
備
(
そな
)
へて
道場
(
だうぢやう
)
といつた
格
(
かく
)
の、
英漢數學
(
えいかんすうがく
)
の
教場
(
けうぢやう
)
になつて
居
(
ゐ
)
る。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
天守
(
てんしゆ
)
の
礎
(
いしずゑ
)
の
土
(
つち
)
を
後脚
(
あとあし
)
で
踏
(
ふ
)
んで、
前脚
(
まへあし
)
を
上
(
うへ
)
へ
挙
(
あ
)
げて、
高
(
たか
)
く
棟
(
むね
)
を
抱
(
いだ
)
くやうに
懸
(
か
)
けたと
思
(
おも
)
ふと、
一階目
(
いつかいめ
)
の
廻廊
(
くわいらう
)
めいた
板敷
(
いたじき
)
へ、ぬい、と
上
(
のぼ
)
つて
其
(
そ
)
の
外周囲
(
そとまはり
)
をぐるりと
歩行
(
ある
)
いた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
嬰兒
(
あかんぼ
)
の
掌
(
てのひら
)
の
形
(
かたち
)
して、ふちのめくれた
穴
(
あな
)
が
開
(
あ
)
いた——
其
(
そ
)
の
穴
(
あな
)
から、
件
(
くだん
)
の
板敷
(
いたじき
)
を、
向
(
むか
)
うの
反古張
(
ほごばり
)
の
古壁
(
ふるかべ
)
へ
突當
(
つきあた
)
つて、ぎりゝと
曲
(
まが
)
つて、
直角
(
ちよくかく
)
に
菎蒻色
(
こんにやくいろ
)
の
干乾
(
ひから
)
びた
階子壇
(
はしごだん
)
……
十
(
とを
)
ばかり
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
堂へ
行
(
ゆ
)
かれて、
柱
(
はしら
)
板敷
(
いたじき
)
へひらひらと大きくさす月の影、海の
果
(
はて
)
には
入日
(
いりひ
)
の雲が
焼残
(
やけのこ
)
って、ちらちら
真紅
(
しんく
)
に、
黄昏
(
たそがれ
)
過ぎの
渾沌
(
こんとん
)
とした、水も山も
唯
(
ただ
)
一面の大池の中に、その
軒端
(
のきば
)
洩
(
も
)
る夕日の影と
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぴつたり
閉
(
し
)
めた
襖
(
ふすま
)
一
枚
(
まい
)
……
臺所
(
だいどころ
)
へ
續
(
つゞ
)
くだゞつ
廣
(
ぴろ
)
い
板敷
(
いたじき
)
との
隔
(
へだて
)
に
成
(
な
)
る……
出入口
(
ではひりぐち
)
の
扉
(
ひらき
)
があつて、むしや/\と
巖
(
いは
)
の
根
(
ね
)
に
蘭
(
らん
)
を
描
(
ゑが
)
いたが、
年數
(
ねんすう
)
算
(
さん
)
するに
堪
(
た
)
へず、で
深山
(
みやま
)
の
色
(
いろ
)
に
燻
(
くす
)
ぼつた、
引手
(
ひきて
)
の
傍
(
わき
)
に
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
言
(
い
)
ふ/\
燈心
(
とうしん
)
を
点
(
とも
)
して、
板敷
(
いたじき
)
の
上
(
うへ
)
へ
薄縁
(
うすべり
)
を
伸
(
の
)
べたり、
毛布
(
けつと
)
を
敷
(
し
)
く……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
低
(
ひく
)
い
太鼓橋
(
たいこばし
)
を
渡
(
わた
)
るくらゐ、
拭込
(
ふきこ
)
んだ
板敷
(
いたじき
)
が
然
(
しか
)
もつるりと
辷
(
すべ
)
る。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
敷
常用漢字
中学
部首:⽁
15画
“板敷”で始まる語句
板敷山