-
トップ
>
-
脇廊下
また、修法の
間から、
脇廊下を
此方へ参らるゝ資治卿の方は、
佩刀を持つ
扈従もなしに、
唯一人なのである。
御家風か質素か知らない。
と、局は、もの優しく
微笑んで、また先の如く手を取つて、今度は
横斜違に、ほの暗い
板敷を
少時渡ると、
※ともみぢの緋の映る、
脇廊下の端へ出た。
片手を
膝に垂れた時、
早や其の襖際に
気勢した
資治卿の
跫音の遠ざかるのが、
静に聞えて、もとの
脇廊下の
其方に、
厳な
衣冠束帯の姿が——其の頃の
御館の
状も
偲ばれる——
襖の
羽目から