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断
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ことわ
ふりがな文庫
“
断
(
ことわ
)” の例文
旧字:
斷
断
(
ことわ
)
るのもめんどうと
思
(
おも
)
って、
手
(
て
)
ににぎっていた
財布
(
さいふ
)
を、
急
(
きゅう
)
にむしろの
下
(
した
)
に
隠
(
かく
)
して、
目
(
め
)
をつぶって
眠
(
ねむ
)
ったふりをしていたのであります。
善いことをした喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おはま 中へ入って用があるんなら云っておくれ、聞くだけは聞こう、だが、永ったらしいことはあたしあ嫌いだ、
断
(
ことわ
)
っておくよ。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
然し是も
断
(
ことわ
)
らした。夫でも
別
(
べつ
)
に不都合はなく敷金は返せてゐる。——まだ其外にもあつたが、まあ
斯
(
こ
)
んな種類の例ばかりであつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いいえ、今のことですが、もしあなた様が気がかりに思し召すなら、灰屋どのへ使いをやって、今夜のお誘いは
断
(
ことわ
)
りまするが、……」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
断
(
ことわ
)
りになる理由としてあの人の言われたのは——そう、こうです、——わたしはあの子を
愛
(
あい
)
している、あの子もわたしを愛している。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
一旦
(
いったん
)
断
(
ことわ
)
ったけれどもダース先生は既に英語とチベット語の大字典を
拵
(
こしら
)
え、それについて完全なるチベット語の文典が必要であるけれども
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
諾
(
だく
)
を宿するなし、という子路の信と直とは、それほど世に知られていたのだ。ところが、子路はこの頼をにべも無く
断
(
ことわ
)
った。ある人が言う。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
と客を引留めるように言ったが、曾根は汽車の時間が来たからと
断
(
ことわ
)
って、出た。三吉はお雪に言付けて、停車場まで見送らせることにした。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は
唯
(
ただ
)
西洋にも市内の散歩を試み、近世的世相と並んで過去の遺物に興味を持った同じような傾向の人がいた事を
断
(
ことわ
)
って置けばよいのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『僕は
愛
(
アムウル
)
のない結婚はしたくはない。』と云う調子で、どんな
好
(
い
)
い縁談が湧いて来ても、惜しげもなく
断
(
ことわ
)
ってしまうのです。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ですから、嵯峨へ、宇治へというのを
断
(
ことわ
)
って、朝出ると、すぐ三十三間堂。
社
(
やしろ
)
もうで、寺まいり。
何
(
な
)
にしろ食ったものさえ、水菜と湯葉です。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は、鎌倉の遠矢幸造に宛てゝ、電報で、「今週差支えあり、来週から始める」と
断
(
ことわ
)
りを言い、すぐその足で小諸に向つた。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
掛りの男にこう
断
(
ことわ
)
ると、例の
氷包
(
こおりづゝみ
)
を額へあてながら、私は
遮二無二
(
しゃにむに
)
人ごみの流れに逆って、
周章狼狽
(
しゅうしょうろうばい
)
して、悪魔に追わるゝ如く構外へ逃げ延びた。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
だから、蛙跳び
★
の一番の名人でも、跳び越すのにこれほど危険な男は世の中にもいないと言って、彼を跳び越すことは
断
(
ことわ
)
ったかもしれなかった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
だんだんそれを
断
(
ことわ
)
っているうちに、そばにいた兄が弟は仇討の大望を抱いているから、お望みに応じかねるのだと、うっかり口を
辷
(
すべ
)
らしてしまった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
冗談
(
じょうだん
)
じゃねえ、いくらお
前
(
まえ
)
さんの
眼
(
め
)
が
利
(
き
)
いたにしたって、こいつが
判
(
わか
)
ってたまるもんか。
断
(
ことわ
)
っとくが、
当時
(
とうじ
)
十六
文
(
もん
)
の
売女
(
やまねこ
)
なんざ、
買
(
か
)
いに
行
(
い
)
きゃァしねえよ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
全体僕の家は分家で従妹は本家の娘ですが僕の学資を半分ずつ本家から助けてもらった恩もあり、もしやその娘を貰ってくれろといわれたら
断
(
ことわ
)
るに困ります。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「
好
(
い
)
い天気だな。
何
(
ど
)
うだ。運動ながら吉岡の
家
(
うち
)
へ
一所
(
いっしょ
)
に行かないか。吉岡の
阿母
(
おっか
)
さんに逢って、お前の婚礼を
延
(
のば
)
すことを一応
断
(
ことわ
)
って置こうと思うから……。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
けれどもそれを
断
(
ことわ
)
れば、悪魔の子はきっと飢え死にか
凍
(
こご
)
え死にかするに違いありません。いくら悪魔だからといって、そんなに頼むのを見殺しにも出来ません。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ただ
私
(
わたくし
)
として、
前
(
まえ
)
以
(
もっ
)
てここに
一
(
ひと
)
つお
断
(
ことわ
)
りして
置
(
お
)
きたいことがございます。それは
私
(
わたくし
)
の
現世生活
(
げんせせいかつ
)
の
模様
(
もよう
)
をあまり
根掘
(
ねほ
)
り
葉掘
(
はほ
)
りお
訊
(
たず
)
ねになられぬことでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「ばかにしてやがら、貧窮組ならこっちが
先達
(
せんだつ
)
だ、おれに
断
(
ことわ
)
りなしに
拵
(
こしら
)
えたのが不足なぐらいなもんだ、押しも押されもしねえ十八文だ、十八文の道庵は俺だ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで
断
(
ことわ
)
っておくが、ここには、黒死舘風景はないんだぜ。豪華な大画
舫
(
ほう
)
や、
綺
(
きら
)
びやかな
鯨骨を張った下袴
(
ファシング・スカート
)
などが、この
荒
(
あば
)
ら家のどこから現われて来るもんか。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
魚人
(
ぎょじん
)
は、僕を海底のまたその下へ引きずりこもうとするのだ。どうしよう。行こうか、それとも
断
(
ことわ
)
ろうか。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
狩に出る時には、彼はいつも人をつれてゆくことを
断
(
ことわ
)
りました。それを皆はまた不思議に思うのでした。
負けない少年
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
「あなたはだれです。
断
(
ことわ
)
りもなく、
出
(
だ
)
し
抜
(
ぬ
)
けに人の
幕
(
まく
)
の中に
入
(
はい
)
って
来
(
く
)
るのは、
乱暴
(
らんぼう
)
ではありませんか。」
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
清らかに片づいたその店には、何一つおいてなかつた。私は八十を
幾年
(
いくつ
)
か越した筈の、お婆さんに
断
(
ことわ
)
つて茶の間の前にある電話にかゝつた。そして
甥
(
をひ
)
を呼出した。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
小説寄生木は、
該書
(
がいしょ
)
の巻頭にも
断
(
ことわ
)
って置いた通り、主人公にして原著者なる「篠原良平」の小笠原善平が「寄生木」で、
厳密
(
げんみつ
)
なる意味に於て余の「寄生木」では無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
が、どんなにお金があっても、都中の人から鬼のように憎まれておる家の婿になっては、どんなひどい目に逢うかも知れぬと思いましたので、一度は
断
(
ことわ
)
ろうと思いました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
土地の人とはまるまる
疎遠
(
そえん
)
でもなかった。
若狭
(
わかさ
)
・越前などでは河原に
風呂敷
(
ふろしき
)
油紙の小屋を
掛
(
か
)
けてしばらく住み、
断
(
ことわ
)
りをいってその辺の竹や
藤葛
(
ふじかずら
)
を
伐
(
き
)
ってわずかの工作をした。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
察していながら、自分は
断
(
ことわ
)
りをいうにしても断りのいいようもあろうに、あんな最後の言葉を吐いてしまったのだ。けれどもあんな最後の言葉を吐かせたのは誰の罪だろう。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
炊事、縫物、借金取の
断
(
ことわ
)
り、その他写本を得意先に届ける役目もした。若い見習弟子がひとりいたけれど、薄ぼんやりで役にもたたず、邪魔になるというより、むしろ哀れだった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
気が進まないからつて
断
(
ことわ
)
つてしまつた。
折角
(
せつかく
)
きてくれた両人には心外であつた。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
友人に
断
(
ことわ
)
って自分だけは帰ろうとしたが、友人が無理に
引止
(
ひきと
)
めるので、仕方なしに、その
宵
(
よい
)
はまだ早かったが、三階の一番
隅
(
すみ
)
の部屋で、一人寝ていると、外もそろそろ
賑
(
にぎやか
)
になって来たようだが
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
彼処
(
あすこ
)
にいい梅の花が咲いている、あの枝が一本欲しいものだと思うて、それをその家の人に
断
(
ことわ
)
りもしないで折ろうとしていると、意外にもそこにその家の主人がいて、その梅を折ってはいけない
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
友人はすでに家には書生もおり新たに入れる余地がないと
断
(
ことわ
)
り、かつまた上京するときの目的がはなはだ明らかならぬゆえ、この青年に帰国を勧告したが、彼は旅費がないから帰国されぬという。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
シルヴァーが突然跳び立って、片手を壁にあてて身を支え、「手前に
断
(
ことわ
)
っておくぞ、ジョージ。」と呶鳴った。「もう一
言
(
こと
)
生意気な口を利こうものなら、己は手前をひっぱり出して勝負するんだぞ。 ...
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
お
断
(
ことわ
)
りのみにて
今日
(
けふ
)
も
御入来
(
おいで
)
は
有
(
あ
)
るまいと
存
(
ぞん
)
じましたが、
図
(
はか
)
らざる
所
(
ところ
)
の
御尊来
(
ごそんらい
)
、
朋友
(
ほういう
)
の
者
(
もの
)
に
外聞
(
ぐわいぶん
)
旁
(
かた/″\
)
誠に
有難
(
ありがた
)
い事で
恐入
(
おそれい
)
ります……
何
(
ど
)
うもお
身装
(
みなり
)
の
工合
(
ぐあひ
)
、お
袴
(
はかま
)
の
穿
(
はき
)
やうから
更
(
さら
)
にお
飾
(
かざ
)
りなさらん所と
云
(
い
)
ひ
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
○「何でも
断
(
ことわ
)
られて顔が
赭
(
あか
)
くなるようじゃ
駄目
(
だめ
)
よ。」
現代若き女性気質集
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「一向知らん。人違だらうから、
断
(
ことわ
)
つて返すが可い」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「これア
寝言
(
ねごと
)
だぜ」
断
(
ことわ
)
っている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「あっちで
断
(
ことわ
)
らあね」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
二年の留学中ただ一度
倫敦塔
(
ロンドンとう
)
を見物した事がある。その
後
(
ご
)
再び行こうと思った日もあるがやめにした。人から誘われた事もあるが
断
(
ことわ
)
った。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いま、お
薬
(
くすり
)
がありますから。」と、いって、
断
(
ことわ
)
っていました。おじさんは、なにか、ぶつぶついいながら、その
家
(
いえ
)
を
出
(
で
)
ました。
小さな年ちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、これからその源次を代官所へ曳いて、
断
(
ことわ
)
りに行こうと思っていた
出鼻
(
でばな
)
だったので、向うも、合点がゆかない様子である。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は君の
駁
(
ばく
)
した文の中にも、「清閑を得る前には先づ金を持たなければならない。或は金を超越しなければならない」とちやんと
断
(
ことわ
)
つてある筈である。
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたしはこんなりっぱなおくり物を
断
(
ことわ
)
ろうと思ったけれど、かれはそれをわたしのにぎった手に
無理
(
むり
)
におしこんだ。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
持山 貧友の
誼
(
よし
)
みといふやつさ。こつちは、何処で
断
(
ことわ
)
るのもおんなじだ。相手の顔が違ふだけさ。あたりが、馬鹿に静かになつた。おい、炭は何処にある?
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
どの位
断
(
ことわ
)
ってもそれをいわなければ何遍も出て来てこちらの時間が
費
(
つい
)
えて誠に困るから、まずどっちとも付かぬような返事をしてやるとそれで満足して帰る
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
勘定の時に、それを言って
断
(
ことわ
)
った。——「うまくないもののように、皆残して済みません。」ああ、娘は、茶碗を
白湯
(
さゆ
)
に汲みかえて、熊の
胆
(
い
)
をくれたのである。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いろいろ
言葉
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
してすすめられたのでありますが、
私
(
わたくし
)
としては
今更
(
いまさら
)
親元
(
おやもと
)
へもどる
気持
(
きも
)
ちにはドーあってもなれないのでした。
私
(
わたくし
)
はきっぱりと
断
(
ことわ
)
りました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
断
常用漢字
小5
部首:⽄
11画
“断”を含む語句
間断
切断
断念
独断
断片
引断
断崖
断然
断絶
断頭台
寸断
裁断
遮断
不断
言語道断
截断
途断
断々
診断
断定
...