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山家
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やまが
ふりがな文庫
“
山家
(
やまが
)” の例文
彼は明らかにここらの
山家
(
やまが
)
に生まれた者ではなく、ここらに育った者でもなく、町に住んでいる人びとと同じような服装をしていた。
世界怪談名作集:04 妖物
(新字新仮名)
/
アンブローズ・ビアス
(著)
山家
(
やまが
)
あたりに
住
(
す
)
むものが、
邸中
(
やしきぢう
)
、
座敷
(
ざしき
)
まで
大
(
おほき
)
な
茸
(
きのこ
)
が
幾
(
いく
)
つともなく
出
(
で
)
て
祟
(
たゝ
)
るのに
困
(
こう
)
じて、
大峰
(
おほみね
)
葛城
(
かつらぎ
)
を
渡
(
わた
)
つた
知音
(
ちいん
)
の
山伏
(
やまぶし
)
を
頼
(
たの
)
んで
來
(
く
)
ると
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
だが、
山家
(
やまが
)
らしい質素な食事に二人で相変らず口数
寡
(
すく
)
なく向った後、私達が再び暖炉の前に帰っていってから大ぶ立ってからだった。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そう言って呼んでくる声を聞くようになりますと、さすがに
山家
(
やまが
)
もいい陽気に向かいます。
越後路
(
えちごじ
)
からの女のわかめ売りの声です。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ガラリピシャ用はねえかなんてえ
山家
(
やまが
)
の者で
面白
(
おもしれ
)
えが、
彼女
(
あれ
)
ア旦那何処へも
往
(
ゆ
)
き処がないので、可愛相で、彼女はちょいと様子が
好
(
い
)
い
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
山の畑の段々道、山裾を切り拓いた赤土の道、柿や
蒟蒻芋
(
こんにゃくいも
)
を軒に吊した淋しい百姓
家
(
や
)
がちらほらと、冬枯れの
山家
(
やまが
)
は、荒涼としています。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
山家
(
やまが
)
育ちの田舎侍などの眼に、それがまことの女らしく見えたのは当然であるとしても、七郎左衛門までが欺かれるはずはない。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山家
(
やまが
)
の女はなお婆となにかいい交わしている間に、牝牛の腹の下にかがみ込んで、抱えていた酒壺の中へ白い液を懸命に
搾
(
しぼ
)
り取っていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悪い方の部の者は折々出て来てもなかなか怖がって、余
程
(
計
)
注意してどうかするとそうそう自分の
山家
(
やまが
)
へ逃げて帰るというような者が多い。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
幾代となく住み古した
山家
(
やまが
)
の風趣とでもいおうか、じっと見ているといつか心が澄みとおって、遙かに渓流の音さえ聞えてくるように思える。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
演
(
のぶ
)
る口上に
樸厚
(
すなお
)
なる
山家
(
やまが
)
育ちのたのもしき所見えて
室香
(
むろか
)
嬉敷
(
うれしく
)
、重き
頭
(
かしら
)
をあげてよき程に
挨拶
(
あいさつ
)
すれば、女心の
柔
(
やわらか
)
なる
情
(
なさけ
)
ふかく。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
西行
(
さいぎょう
)
も同じであり、或る充たされない人生の孤独感から、常に
蕭条
(
しょうじょう
)
とした
山家
(
やまが
)
をさまよい、何物かのイデヤを追い求めた。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
海もあれば
山家
(
やまが
)
の奥在所もあり、旧藩の所領も幾つかに分れていたという大きな一県において、全県共同にこの問題を考えてみるということが
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
○さてかの
茶店
(
さてん
)
にて雪の氷をめづらしとおもひしに、その次日より
塩沢
(
しほざは
)
の
牧之
(
ぼくし
)
老人が家に
在
(
あり
)
しに、日毎に
氷々
(
こほり/\
)
とよびて売来る、
山家
(
やまが
)
の
老婆
(
らうば
)
などなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
こんな
山家
(
やまが
)
のことで、気の利いた女中はいないし、ああして殿方が女気なしの旅をしておいでなさるのは、何かにつけて御不自由でいらっしゃるし
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
山家
(
やまが
)
の句であろう。冬が近くなったので、炭を焼くべく炭竈を塗り、もう
何時
(
いつ
)
冬が来ても差支ない用意がととのった。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
さびしい
修道者
(
しゆどうしや
)
の
仲間
(
なかま
)
の
尠
(
すくな
)
い
山家
(
やまが
)
の
暮
(
くら
)
しのうちにも、
何
(
なに
)
か
待
(
ま
)
ち
設
(
まう
)
ける
心
(
こゝろ
)
があつて、たのしみになつてゐるものです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
却
(
かへつ
)
て
説
(
とく
)
吉兵衞は
宿
(
やど
)
りし
山家
(
やまが
)
の樣子何かに付て
疑
(
うたが
)
はしき事のみなれば
枕
(
まくら
)
には就けど
寢
(
ね
)
もやらず
越方
(
こしかた
)
行末
(
ゆくすゑ
)
のことを案じながらも
先刻
(
せんこく
)
主人
(
あるじ
)
の言葉に奧の一間を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
山家
(
やまが
)
では家近かにこれを見る事が普通である処が往々あって、特に紫色の美花を開くので人をしてこれを認め易からしめまた覚え易からしむるのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
むかし
越後国
(
えちごのくに
)
松
(
まつ
)
の
山家
(
やまが
)
の
片田舎
(
かたいなか
)
に、おとうさんとおかあさんと
娘
(
むすめ
)
と、おやこ三
人
(
にん
)
住
(
す
)
んでいるうちがありました。
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
七月
朔日
(
ついたち
)
四更に発す。
冷水
(
ひやみづ
)
峠を越るに風雨甚し。轎中唯脚夫の
筇
(
つゑ
)
を石道に鳴すを聞のみ。夜明て雨やむ。
顧望
(
こばうする
)
に木曾の
碓冰
(
うすひ
)
にも劣らぬ山形なり。六里
山家
(
やまが
)
駅。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さむらいたちは、
山家
(
やまが
)
に押し入って金目のものを、手あたり次第に略奪する。——これを御奉納と称して。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
山家
(
やまが
)
の夏は早く過ぎて、その朝などはもう冷々とした秋の気が感じられた。都へ帰らなくてはならない。この陰鬱な山や森や段畑や鉄道線路とも又
暫
(
しばら
)
くお別れだ。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
館
(
マンション
)
ともいえるような宏壮な洋館をしめ、伊那の奥から引いてきた
柾
(
まさ
)
葺の
山家
(
やまが
)
にひきこもり、メンバという木の
割籠
(
わりご
)
からかき餅をだし、それを
下物
(
さかな
)
にして酒を飲みながら
西林図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ただ二つ三つ覚えていることを云えば、当時あの辺はまだ電燈が来ていないで、大きな
炉
(
ろ
)
を囲みながらランプの下で家族達と話をしたのが、いかにも
山家
(
やまが
)
らしかったこと。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのあわただしく翅をはためかすのを面白く眺めてると伯母さんは後ろから肩ごしに顔をだして 黒い蝶蝶は
山家
(
やまが
)
のお
爺
(
ぢい
)
で、白いのや黄いろいのはみんなお姫様だ といふ。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
大浪
(
おおなみ
)
、いかずち、白滝、
青鮫
(
あおざめ
)
など、いずれも一癖ありげな名前をつけて、里の牛飼、
山家
(
やまが
)
の
柴男
(
しばおとこ
)
、または
上方
(
かみがた
)
から落ちて来た本職の角力取りなど、
四十八手
(
しじゅうはって
)
に皮をすりむき骨を砕き
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
筧
(
かけひ
)
の水音を枕に聞く
山家
(
やまが
)
の住居。山雨常に来るかと疑う
渓声
(
けいせい
)
の
裡
(
うち
)
。平時は
汪々
(
おうおう
)
として声なく音なく、一たび怒る時万雷の崩るゝ如き大河の
畔
(
ほとり
)
。裏に
鳧
(
ふ
)
を飼い門に舟を
繋
(
つな
)
ぐ江湖の住居。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
これでは、ぼうしの
徽章
(
きしょう
)
を見なくても、
山家
(
やまが
)
から出てきたことがわかるでしょう。
いぼ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
でかんしょ、でかんしょと、
山家
(
やまが
)
の猿は、ヨイヨイ。花のお江戸で芝居する。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「公方さまとて、同じ人間——女の魂までも、自由になさることは出来ませぬ。いつぞやもこのわたしは、そなたと一緒に
棲
(
す
)
めようなら、どのような
山家
(
やまが
)
をも、いといはせぬというたはずじゃ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
よひとおもふにはや更けそめし
山家
(
やまが
)
なるこのともしびに死ぬる虫あり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
成程、
山家
(
やまが
)
の爺さんらしいのが起き上って埃を叩いていた。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「でもいいことよ、却って静かでいいわ、
山家
(
やまが
)
住居で……」
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
風の日は雪の
山家
(
やまが
)
も住み
憂
(
う
)
くて
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
山家
(
やまが
)
そだちの五郎助が
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
山家
(
やまが
)
の
子等
(
こら
)
に
驗
(
げん
)
あれど
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
とちょっと
低声
(
こごえ
)
に呼んだ——
爪
(
つま
)
はずれ、帯の
状
(
さま
)
、肩の様子、
山家
(
やまが
)
の人でないばかりか、髪のかざりの当世さ、鬢の香さえも新しい。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云っている所へ雑木山から出て来たのは、その
杣
(
そま
)
の女房と見えて、歳ごろは二十七八で色白く鼻筋通り、
山家
(
やまが
)
には稀な女でございます。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お客人は、いったい何を求めて、こんや
山家
(
やまが
)
へお越しでござったか。ここはいわゆる——山中長物なし、ただ
禽
(
とり
)
の
音
(
ね
)
あるのみ——ですが」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
山家
(
やまが
)
育ちの小学生も生まれて初めて東京
魚河岸
(
うおがし
)
の鮮魚を味わい、これがオサシミだとお粂に言われた時は目を
円
(
まる
)
くして
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「雨が続きましたら、もう一日御逗留なさいませ、ごらんの通りの
山家
(
やまが
)
、お構い申し上げることはできませんけれど」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
○さてかの
茶店
(
さてん
)
にて雪の氷をめづらしとおもひしに、その次日より
塩沢
(
しほざは
)
の
牧之
(
ぼくし
)
老人が家に
在
(
あり
)
しに、日毎に
氷々
(
こほり/\
)
とよびて売来る、
山家
(
やまが
)
の
老婆
(
らうば
)
などなり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
人は生れ変って来るというから、もしかすると、自分はまえの世で
山家
(
やまが
)
にいたのではないか、それでこんな感じになるのではないか、などと宇乃は思った。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
河原づたひに夜ゆけば、芒にまじる蘆の根に、水の聲、蟲の聲、
山家
(
やまが
)
の秋はまた一としほの風情ぢやなう。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山家
(
やまが
)
の
御馳走
(
ごちそう
)
は
何処
(
いずく
)
も豆腐
湯波
(
ゆば
)
干鮭
(
からざけ
)
計
(
ばか
)
りなるが
今宵
(
こよい
)
はあなたが
態々
(
わざわざ
)
茶の間に
御出掛
(
おでかけ
)
にて開化の若い方には珍らしく
此
(
この
)
兀爺
(
はげじい
)
の話を
冒頭
(
あたま
)
から
潰
(
つぶ
)
さずに
御聞
(
おきき
)
なさるが快ければ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
遠山
(
とほやま
)
ばた——このはたは、
山
(
やま
)
の
傍
(
そば
)
といふことでなく、やはり、
山
(
やま
)
の
畠
(
はたけ
)
でせう——その
秋
(
あき
)
の
雲
(
くも
)
が、
絶
(
た
)
えずかゝつてゐるはずの、
遠
(
とほ
)
い
山家
(
やまが
)
の
畠
(
はたけ
)
のあるところが、
秋
(
あき
)
が
來
(
く
)
るといふと
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
早く細君に死なれて、いまは年頃の娘さんと二人だけの家庭の様子で、その娘さんも一緒に東京からこの健康道場ちかくの
山家
(
やまが
)
に
疎開
(
そかい
)
して来ていて、時々この
淋
(
さび
)
しき父を見舞いに来る。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これでは帽子の徽章を見なくても、
山家
(
やまが
)
から出て来たことはわかるでせう。
疣
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
寂しさに堪へて眺むる白雪のほのぼのとして
山家
(
やまが
)
なりけり
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“山家”で始まる語句
山家集
山家育
山家住居
山家者
山家住
山家風
山家乙女
山家人
山家在
山家娘