少女せうぢよ)” の例文
若旦那わかだんなも、あきれてつこと半時はんときばかり。こゑ一言ひとこともまだないうちに、かすみいろづくごとくにして、少女せうぢよたちま美少年びせうねんかはつたのである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こびるやうな、なぶるやうな、そしてなにかにあこがれてゐるやうな其の眼……私は少女せうぢよの其の眼容まなざし壓付おしつけられて、我にもなく下を向いて了つた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
病人びやうにんはK夫人ふじんかほしたで、小兒こどものやうにあごうなづいてせた。うへはう一束ひとたばにしたかみが、彼女かのぢよを一そう少女せうぢよらしく痛々いた/\しくせた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
の一こと/″\涙含なみだぐんだ。このやさしい少女せうぢよ境遇きやうぐうかはつてたのと、天候てんかうくもがちなのとで、一そう我々われ/\ひとこゝろやさしさがかんじられたのであらう。
『こゝに一人ひとり少女せうぢよあり。』小説せうせつ何時いつでもこんなふうはじまるもので、批評家ひゝやうかこひ小説せうせつにもき/\したとの御注文ごちゆうもんしか年若としわかいおたがひつては
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それが少女せうぢよであればすくなくとも三四にんれてかざられた花笠はながさふかかほおほはれてるのにそれでも猶且やつぱりられることを
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ねんばかりまへのことである、まちは、まだ赤色あかいろのリボンをかけた少女せうぢよですこやかに自由じいう身體からだで、いま現在げんざいのやうな未來みらいることなどは、ゆめにもおもふことなくクローバーのはら
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
此書これ有名いうめいなレウィス、キァロルとひとふでつた『アリス、アドヴェンチュアス、イン、ワンダーランド』をやくしたものです。邪氣あどけなき一少女せうぢよ夢物語ゆめものがたり滑稽こつけいうちおのづか教訓けうくんあり。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
不良ふりやう少女せうぢよ沒落ぼつらく」といふ標題みだしもとに、私達わたしたち前後ぜんごしての結婚けつこんを×あたりに落書らくがきされてから、みなもうまるねんすごしました。Kさんがまづ母となり、あなたも間もなく母となりました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
一群ひとむれ少女せうぢよら、戸を細目ほそめに開く。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あゝれ『きたるこゝろ』だらうか、何故なにゆゑ自然しぜんあいするこゝろきよたかくして、少女せうぢよ人間にんげん)をふるこゝろは『きたるこゝろ』、『いやらしいこゝろ』、『不健全ふけんぜんなるこゝろ
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一生懸命いつしやうけんめい學校用がくかうよう革鞄かばんひとひざいて、少女せうぢよのおとぎ繪本ゑほんけて、「なんです。こんなところで。」と、しかられて、おとなしくたゝんで、ほろりとさせたのも、よひで。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつぎは十八じふはちというても年齡としたつしたといふばかりで、んな場合ばあひたくみつくらふといふ料簡れうけんさへ苟且かりそめにもつてないほどめんおいてはにごりのない可憐かれん少女せうぢよであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おまけに小雨こさめさへしたので、一先ひとまあやしき天幕てんとしたに、それをけてると、うしろはたけにごそめくおとがするので、ると唯一人たゞひとり、十六七の少女せうぢよが、はたなかくさつてる。
ぼくこの少女せうぢよおもすとともに『こひしい』、『たい』、『ひたい』のじやうがむら/\とこみげてた。きみなんはうとも實際じつさいさうであつたから仕方しかたがない。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
少女せうぢよたちまはしつて、大藥鑵おほやくゝわんかし、茶道具ちやだうぐさへつてれた。
勘次かんじはおつぎに身體からだ不相應ふさうおう仕事しごとをさせてることをつてる。それで自分じぶんあさ屹度きつとさききてかまどしたける。ときつかれた少女せうぢよはまだぐつたりと正體しやうたいもなくまくらからこけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)