トップ
>
小流
>
こながれ
ふりがな文庫
“
小流
(
こながれ
)” の例文
朧
(
おぼろ
)
の清水と云うんですか、草がくれで気が着かなかった、……むしろそれより、この貴婦人に神通があって、露を集めた
小流
(
こながれ
)
らしい。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかるに
初雪
(
しよせつ
)
の
後
(
のち
)
十月のころまでにこの
二条
(
ふたすぢ
)
の
小流
(
こながれ
)
雪の
為
(
ため
)
に
降埋
(
ふりうめ
)
られ、流水は雪の下にあり、
故
(
ゆゑ
)
に
家毎
(
いへごと
)
に
汲
(
くむ
)
べき
程
(
ほど
)
に雪を
穿
(
うがち
)
て
水用
(
すゐよう
)
を弁ず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
八重申しけるはわが身かつて
伊香保
(
いかほ
)
に遊びし頃谷間の
小流
(
こながれ
)
掬
(
く
)
み取りて山道の
渇
(
かわ
)
きをいやせし
故
(
ゆえ
)
か
図
(
はか
)
らず
痢病
(
りびょう
)
に襲はれて命も
危
(
あやう
)
き目に
逢
(
あ
)
ひたる事あり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
漸
(
やうや
)
く
雪解
(
ゆきどけ
)
がすんだばかりなので、ところどころでちよろ/\
小流
(
こながれ
)
が出来てゐた。掘返へしても掘返へしても、かなり下の方まで土がぢく/\
濡
(
ぬれ
)
れてゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
そして病人に
手拭
(
てぬぐひ
)
できつく
頬冠
(
ほゝかむ
)
りをさせて裏口まで連れ出した。
背戸
(
せど
)
には
小流
(
こながれ
)
が
可笑
(
をか
)
しさに
堪
(
たま
)
らぬやうに笑ひ声をたてて走つてゐた。医者は病人をその
縁
(
ふち
)
に立たせてかういつた。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
(かくて、
小流
(
こながれ
)
に添いつつ
行
(
ゆ
)
く。石がきにサフランの花を見つつ心付く)あら
鯉
(
こい
)
が、
大
(
おおき
)
な鯉が、——(小流を
覗
(
のぞ
)
く)まあ、死んでるんだよ。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
例えば
牛込弁天町辺
(
うしごめべんてんちょうへん
)
は道路取りひろげのため近頃全く面目を
異
(
こと
)
にしたが、その
裏通
(
うらどおり
)
なる
小流
(
こながれ
)
に今なおその名を残す
根来橋
(
ねごろばし
)
という名前なぞから、これを江戸切図に引合せて
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
燐寸
(
マッチ
)
の燃えさしは路傍の
小流
(
こながれ
)
に落したが、さらさらと行く水の中へ、ツと音がして消えるのが耳についたほど四辺は
静
(
しずか
)
で。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたくしはむかし北廓を取巻いていた
鉄漿溝
(
おはぐろどぶ
)
より一層不潔に見える此溝も、寺島町がまだ田園であった頃には、
水草
(
みずくさ
)
の花に
蜻蛉
(
とんぼ
)
のとまっていたような清い
小流
(
こながれ
)
であったのであろうと
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこン
処
(
とこ
)
は梅林で、上の山が桜の名所で、その下に桃谷というのがあって、
谷間
(
たにあい
)
の
小流
(
こながれ
)
には、
菖蒲
(
あやめ
)
、
燕子花
(
かきつばた
)
が一杯咲く。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今は
河岸
(
かし
)
の様子も変り
小流
(
こながれ
)
も埋立てられてしまったので元柳橋の跡も尋ねにくい。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ゆるい、はけ水の
小流
(
こながれ
)
の、一段ちょろちょろと落口を差覗いて、その翁の、また一息
憩
(
やす
)
ろうた杖に寄って、私は言った。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
既ち
小石川柳町
(
こいしかはやなぎちやう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんがう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんめうじさかした
)
の
溝川
(
みぞかは
)
の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あゐそめがは
)
の如き、かゝる
溝川
(
みぞかは
)
流
(
なが
)
るゝ裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る
折
(
をり
)
と云へば
必
(
かなら
)
ず
雨潦
(
うれう
)
の氾濫に災害を
被
(
かうむ
)
る処である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
片原の町から寺へ来る途中、
田畝畷
(
たんぼなわて
)
の道端に、お
中食処
(
ちゅうじきどころ
)
の看板が、屋根、
廂
(
ひさし
)
ぐるみ、朽倒れに
潰
(
つぶ
)
れていて、清い
小流
(
こながれ
)
の前に、思いがけない
緋牡丹
(
ひぼたん
)
が
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
即ち
小石川柳町
(
こいしかわやなぎちょう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんごう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんみょうじざかした
)
の溝川の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あいそめがわ
)
の如き、かかる溝川流るる裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る折といえば必ず
雨潦
(
うりょう
)
の氾濫に災害を
被
(
こうむ
)
る処である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
小豆
(
あずき
)
あらひと云ふ
変化
(
へんげ
)
を想はせる。……夜中に洗濯の音を立てるのは、
小流
(
こながれ
)
に浸つた、
案山子
(
かかし
)
同様の其の娘だ。……
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこン
処
(
とこ
)
は
梅林
(
ばいりん
)
で
上
(
うへ
)
の
山
(
やま
)
が
桜
(
さくら
)
の
名所
(
めいしよ
)
で、
其
(
その
)
下
(
した
)
に
桃谷
(
もゝたに
)
といふのがあつて、
谷間
(
たにあひ
)
の
小流
(
こながれ
)
には、
菖浦
(
あやめ
)
、
燕子花
(
かきつばた
)
が
一杯
(
いつぱい
)
咲
(
さ
)
く。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
天晴
(
あっぱれ
)
夕雲の
紅
(
くれない
)
に彩られつと見えたのは、塀に
溢
(
あふ
)
るるむらもみじ、垣根を
繞
(
めぐ
)
る
小流
(
こながれ
)
にも
金襴
(
きんらん
)
颯と
漲
(
みなぎ
)
ったので。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
畑の裾は、町裏の、ごみごみした
町家
(
まちや
)
、農家が入乱れて、
樹立
(
こだち
)
がくれに、
小流
(
こながれ
)
を包んで、ずっと遠く続いたのは、山中
道
(
みち
)
で、そこは雲の加減で、陽が薄赤く
颯
(
さっ
)
と
射
(
さ
)
す。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一方が小山の
裙
(
すそ
)
、左が
小流
(
こながれ
)
を間にして、田畑になる、橋向うへ廻ると、山の裙は山の裙、田畑は田畑それなりの道続きが、
大畝
(
おおうね
)
りして向うに小さな土橋の見えるあたりから
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……ぢきその
飛石
(
とびいし
)
を
渡
(
わた
)
つた
小流
(
こながれ
)
から、お
前
(
まへ
)
さん、
苫船
(
とまぶね
)
、
屋根船
(
やねぶね
)
に
炬燵
(
こたつ
)
を
入
(
い
)
れて、
美
(
うつく
)
しいのと
差向
(
さしむか
)
ひで、
湯豆府
(
ゆどうふ
)
で
飮
(
の
)
みながら、
唄
(
うた
)
で
漕
(
こ
)
いで、あの
川裾
(
かはすそ
)
から、
玄武洞
(
げんぶどう
)
、
對居山
(
つゐやま
)
まで
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
両方で
瞳
(
め
)
を寄せるうちに、松の根を草がくれの、並木下の
小流
(
こながれ
)
から
刎出
(
はねだ
)
したものではない。昼間、竜巻の時、魚が降った、あの中の一
尾
(
ぴき
)
で、河北潟から巻落されたに違いない。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床几
(
しょうぎ
)
の前には冷たそうな
小流
(
こながれ
)
があったから
手桶
(
ておけ
)
の水を
汲
(
く
)
もうとしてちょいと気がついた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(
外套
(
がいとう
)
の袖を引く、
籠
(
こも
)
れる力に、画家を
小流
(
こながれ
)
の
縁
(
ふち
)
に引戻す)ちょっと御覧なさいまし。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
前
(
まへ
)
には
冷
(
つめ
)
たさうな
小流
(
こながれ
)
があつたから
手桶
(
てをけ
)
の
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
まうとして
一寸
(
ちよいと
)
気
(
き
)
がついた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山清水の
小流
(
こながれ
)
のへりについてあとを慕いながら、いい程合で、透かして見ると、坂も大分急になった
石磈道
(
いしころみち
)
で、誰がどっちのを解いたか、
扱帯
(
しごき
)
をな、
一条
(
ひとすじ
)
、
湯女
(
ゆな
)
の手から
後
(
うしろ
)
に取って
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一方、杉の生垣を長く、下、石垣にして、その根を
小流
(
こながれ
)
走る。石垣にサフランの花咲き、雑草生ゆ。垣の内、新緑にして柳
一本
(
ひともと
)
、道を
覗
(
のぞ
)
きて
枝垂
(
しだ
)
る。背景勝手に、紫の
木蓮
(
もくれん
)
あるもよし。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白い、
静
(
しずか
)
な、曇った日に、山吹も色が浅い、
小流
(
こながれ
)
に、
苔蒸
(
こけむ
)
した石の橋が
架
(
かか
)
って、その奥に大きくはありませんが深く
神寂
(
かんさ
)
びた
社
(
やしろ
)
があって、大木の杉がすらすらと杉なりに並んでいます。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白
(
しろ
)
い、
靜
(
しづか
)
な、
曇
(
くも
)
つた
日
(
ひ
)
に、
山吹
(
やまぶき
)
も
色
(
いろ
)
が
淺
(
あさ
)
い、
小流
(
こながれ
)
に、
苔蒸
(
こけむ
)
した
石
(
いし
)
の
橋
(
はし
)
が
架
(
かゝ
)
つて、
其
(
そ
)
の
奧
(
おく
)
に
大
(
おほ
)
きくはありませんが
深
(
ふか
)
く
神寂
(
かんさ
)
びた
社
(
やしろ
)
があつて、
大木
(
たいぼく
)
の
杉
(
すぎ
)
がすら/\と
杉
(
すぎ
)
なりに
並
(
なら
)
んで
居
(
ゐ
)
ます。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
貧しい場末の
町端
(
まちはずれ
)
から、
山裾
(
やますそ
)
の浅い
谿
(
たに
)
に、
小流
(
こながれ
)
の
畝々
(
うねうね
)
と、次第
高
(
だか
)
に、何ヶ寺も皆日蓮宗の寺が続いて、天満宮、
清正公
(
せいしょうこう
)
、弁財天、
鬼子母神
(
きしぼじん
)
、七面大明神、
妙見宮
(
みょうけんぐう
)
、寺々に祭った神仏を
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
褄
(
つま
)
が幻のもみじする、
小流
(
こながれ
)
を横に、その
一条
(
ひとすじ
)
の水を隔てて、今夜は分けて線香の香の
芬
(
ぷん
)
と立つ、十三地蔵の塚の前には
外套
(
がいとう
)
にくるまって、
中折帽
(
なかおれぼう
)
を
目深
(
まぶか
)
く、欣七郎が
杖
(
ステッキ
)
をついて
彳
(
たたず
)
んだ。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
町を流るゝ
大川
(
おおかわ
)
の、
下
(
しも
)
の
小橋
(
こばし
)
を、もつと
此処
(
ここ
)
は下流に成る。やがて
潟
(
かた
)
へ落ちる
川口
(
かわぐち
)
で、
此
(
こ
)
の田つゞきの
小流
(
こながれ
)
との
間
(
あいだ
)
には、
一寸
(
ちょっと
)
高く
築
(
きず
)
いた
塘堤
(
どて
)
があるが、
初夜
(
しょや
)
過ぎて町は遠し、村も
静
(
しずま
)
つた。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
まず
可
(
よ
)
し、と早速訪ねて参りましたが、町はずれの侍町、
小流
(
こながれ
)
があって板塀続きの、邸ごとに、むかし植えた紅梅が沢山あります。まだその
古樹
(
ふるき
)
がちらほら残って、
真盛
(
まっさか
)
りの、
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
の事でした。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、なぞへに蘆の上から、下のその
小流
(
こながれ
)
を見て、一同に
立留
(
たちどま
)
つた。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山沿
(
やまぞい
)
の根笹に
小流
(
こながれ
)
が走る。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“小流”の意味
《名詞》
水などの小さな流れ。小川。
(出典:Wiktionary)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
流
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
“小”で始まる語句
小
小児
小径
小鳥
小僧
小言
小路
小遣
小刀
小父