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ひいさま
ふりがな文庫
“
姫様
(
ひいさま
)” の例文
旧字:
姫樣
腰元共も彼女のそんな様子を見ると、「奥方様」と呼ぶのが
滑稽
(
こっけい
)
な気がして、つい「お
姫様
(
ひいさま
)
」と云う言葉が口元まで出そうになった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お
姫様
(
ひいさま
)
のお
部屋
(
へや
)
へご
機嫌伺
(
きげんうかが
)
いにあがりまして、お話をうけたまわっておりますと、
照彦
(
てるひこ
)
様がぜひ
相撲
(
すもう
)
をとるとおっしゃって……」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「お連れ致さずともお
姫様
(
ひいさま
)
はすぐお殿様のお目の前においで遊ばすのでござります」島太夫は
顫
(
ふる
)
えながら手を上げて
几帳
(
きちょう
)
の
蔭
(
かげ
)
を指差した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お粥腹のお
姫様
(
ひいさま
)
を饂飩で口説いて、八頭を見て泣いたって、まるでお
精霊様
(
しょうろさま
)
の濡場のようだね。よく、それでも
生命
(
いのち
)
があって帰って来たよ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ソーれお
見
(
み
)
なされ
姫様
(
ひいさま
)
、
他
(
ほか
)
のことにかけては
姫様
(
ひいさま
)
がお
偉
(
えら
)
いか
知
(
し
)
れぬが、
馬
(
うま
)
の
事
(
こと
)
にかけては
矢張
(
やは
)
りこの
爺
(
じい
)
やの
方
(
ほう
)
が一
枚
(
まい
)
役者
(
やくしゃ
)
が
上
(
うえ
)
でござる……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
そして、
敦賀
(
つるが
)
の港に、船を廻して待っていましょう。もうお
姫様
(
ひいさま
)
が幸福の御生涯は船出の支度をととのえて彼方に待っているのでございます
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
姫様
(
ひいさま
)
から、御長男様まで、御三人とも、奇怪な死方をなされた上は、一応、軍勝図を秘伝致す牧へ御取調べがあっても、
不念
(
ぶねん
)
とは申せますまい。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
聞
(
き
)
けば
聖書
(
バイブル
)
を
糧
(
かて
)
にする
道徳家
(
だうとくか
)
が二十五銭の
指環
(
ゆびわ
)
を
奮発
(
ふんぱつ
)
しての「ヱンゲージメント」、
綾羅
(
りようら
)
錦繍
(
きんしゆう
)
の
姫様
(
ひいさま
)
が
玄関番
(
げんくわんばん
)
の
筆助君
(
ふですけくん
)
にやいの/\を
極
(
き
)
め
込
(
こ
)
んだ
果
(
はて
)
の「ヱロープメント」
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
その
中
(
うち
)
にだんだん近寄って参りますと、香潮と思ったのは間違いで、
彼
(
か
)
の夢の中で見た美留女姫に寸分違わぬ、凄い程美しいお
姫様
(
ひいさま
)
がたった一人、静かに歩いて来るのでした。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
奥方には最愛の
姫様
(
ひいさま
)
があって、
容貌
(
きりょう
)
も気質もすぐれて美しいお方であったが、その美しい姫様は明けて十七という今年の春、
疱瘡
(
ほうそう
)
神に呪われて菩提所の石の下へ送られてしまった。
半七捕物帳:07 奥女中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御贔屓
(
ごひいき
)
になる縁の初まりで、殿様が侯爵になってからも、邸内にM屋出張所を設け、毎日店員が
伺候
(
しこう
)
して新柄珍品を御覧に入れ、お料理して
奉
(
たてまつ
)
る玉子しか御承知のない、家附女房のお
姫様
(
ひいさま
)
に
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
平民かと問へばどうござんしようかと答ふ、そんなら華族と笑ひながら聞くに、まあさうおもふてゐて下され、お華族の
姫様
(
ひいさま
)
が手づからのお酌、かたじけなく御受けなされとて波々とつぐに
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あヽお
姫様
(
ひいさま
)
は
斬
(
き
)
られたのか。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
上のお姉様方はお
二人
(
ふたり
)
とももうかたづいていらっしゃるから、お
姫様
(
ひいさま
)
はこのお
一
(
ひと
)
方だ。伯爵家ではお姫様方はみんなお成績がおよろしい。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
もし、
姫様
(
ひいさま
)
書附がございましてね、
町所
(
ちょうどころ
)
が、ああ何とやら、
皆
(
みんな
)
が申しましたっけ。何でも鮫ヶ橋の者だそうで、名が……そうそう黒瀬ぬい。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実
(
じつ
)
は
姫様
(
ひいさま
)
が
昔
(
むかし
)
お
可愛
(
かわい
)
がりになった、あの
若月
(
わかつき
)
……あれがこちらの
世界
(
せかい
)
に
来
(
き
)
て
居
(
い
)
るのでござります。
私
(
わたくし
)
は
何回
(
なんかい
)
かあの
若月
(
わかつき
)
に
逢
(
あ
)
って
居
(
お
)
りますので……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「生れては、北条家の
姫様
(
ひいさま
)
として、
珠
(
たま
)
のように
愛
(
いつく
)
しまれ、嫁いでは武田四郎勝頼様の御簾中とも仰がれた御身が……」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
姫様
(
ひいさま
)
、ばあや様、よう聞いて下さりませ、此の順慶と云う法師、いや、下妻左衛門尉と申した治部少輔殿の家来はな、折角君のお見出しにあずかりましたけれども
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お
姫様
(
ひいさま
)
」と老人は声を掛けた。深みのある濁った声である。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
第三番目のお
姫様
(
ひいさま
)
、これはどうした事でしょう。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
家令
(
かれい
)
の富田さんさえ時折りしかられる。あとはみんな家庭教師で、三人の若様と
一人
(
ひとり
)
のお
姫様
(
ひいさま
)
にそれぞれ一人ずつついている。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お
小遣
(
こづかい
)
が沢山あるから御馳走をするかわり、済みませんが、
姫様
(
ひいさま
)
におっしゃるように、奥さん、といいながら
歩行
(
ある
)
いて下さい。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は、
月輪禅閤
(
つきのわぜんこう
)
の奥に仕える
万野
(
までの
)
と申すものでございますが、御門跡様へお目にかけたいとて、
室咲
(
むろざき
)
の牡丹を一枝、お
姫様
(
ひいさま
)
の思し召で持参いたしました。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きっとお
姫様
(
ひいさま
)
に会いたいと思し召して、お呼び寄せになったのでございましょうと云うのである。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何をお
姫様
(
ひいさま
)
おっしゃいますやら」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
姫様
(
ひいさま
)
こういらっしゃいまし。」一まず
彼室
(
かなた
)
の休息所へ、しばし引込みたまうにぞ、大切なる
招牌
(
かんばん
)
隠れたれば、店頭
蕭条
(
しょうじょう
)
として秋暮の
歎
(
たん
)
あり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きっと叡山へ登ると信念をもっていいました……で、お
姫様
(
ひいさま
)
と心を決めて、お待ち申していたのでございます。私たちも、ふたたびお館へは帰れませぬ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お可愛らしいお
姫様
(
ひいさま
)
じゃ」とか、「ようくり/\とお肥えになっていらっしゃいますな」
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お
姫様
(
ひいさま
)
!
柵
(
しがらみ
)
様!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
高位高官の貴夫人令嬢方、解らなけりゃ、
上
(
うえ
)
ツ
方
(
がた
)
の奥様
姫様
(
ひいさま
)
方、大勢お弟子があるッさ、場末の荒物屋と一所にされて
耐
(
たま
)
るもんか、途方もない。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
文金の
高髷
(
たかまげ
)
に
銀釵筥迫
(
ぎんさんはこせこ
)
、どこの
姫様
(
ひいさま
)
かお嬢様かというふうだが、けしからぬのはこのお方、膳の上に代りつきのお
銚子
(
ちょうし
)
を
据
(
す
)
え、
粋
(
いき
)
な
莨入
(
たばこい
)
れに
細打
(
ほそうち
)
の
金煙管
(
きんぎせる
)
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
姫様
(
ひいさま
)
、それ/\、
星
(
ほし
)
が
一
(
ひと
)
つで、
梅
(
うめ
)
が
五
(
ご
)
ぢや。
瞬
(
またゝき
)
する
間
(
ま
)
に、
十度
(
とたび
)
も
目
(
め
)
が
出
(
で
)
る。
早
(
はや
)
く、もし、
其
(
それ
)
で
勝負
(
しようぶ
)
を
着
(
つ
)
けさつせえまし。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「だまれっ、鎌倉衆の探題所はすぐそこだぞ。わめけば、すぐに役人たちが辻々へ廻るぞ。足もとの明るいうちに、その銘木を返せ、お
姫様
(
ひいさま
)
にとっては、大事な品じゃ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鯉七 そこだの、
姫様
(
ひいさま
)
が座をお移し遊ばすと、それ、たちどころに
可恐
(
おそろ
)
しい大津波が起って、この村里は、人も、馬も、水の底へ沈んでしまう……
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
姫様
(
ひいさま
)
、わたしを誰だと思いますか。おわかりですか? ……私の顔が」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「女中さん、降って来そうでございます、
姫様
(
ひいさま
)
におっしゃって、まあ、お休みなさいましな」と米は
程合
(
ほどあい
)
を見計らう。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『——でも、
姫様
(
ひいさま
)
、おかしいではございませんか』
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お嬢様がお一方、お米さんが附きましてはちょいちょいこの池の緋鯉や目高に
麩
(
ふ
)
を遣りにいらっしゃいますが、ここらの者はみんな
姫様
(
ひいさま
)
々々と申しますよ。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
姫様
(
ひいさま
)
! あなたをお信じ申します」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姫様
(
ひいさま
)
から、御坊へお引出ものなさる。……あの、
黄金
(
こがね
)
白銀
(
しろがね
)
、米、
粟
(
あわ
)
の
湧
(
わき
)
こぼれる、
石臼
(
いしうす
)
の
重量
(
おもみ
)
が響きますかい。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おお、惚れたんだか何だか知らねえが、
姫様
(
ひいさま
)
の野郎が血道を上げて騒いでるなあ、黒百合というもんです。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何が、この頃の
旱
(
ひでり
)
で、やれ雨が欲しい、それ水をくれろ、と百姓どもが、
姫様
(
ひいさま
)
のお
住居
(
すまい
)
、夜叉ヶ池のほとりへ
五月蠅
(
うるさ
)
きほどに
集
(
たか
)
って
来
(
う
)
せる。それはまだ
可
(
よ
)
い。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
談話
(
はなし
)
の邪魔がいるようだね。」「いえ、こりゃお
姫様
(
ひいさま
)
。」「光子様は分ってる、まだ一人いやしないか。」「ほい
梟
(
ふくろう
)
のようだ。
居
(
お
)
りますよ。」「誰だい。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それじゃあ
生涯
(
しょうがい
)
ありつけまいぜ。源吉とやら、みずからは、とあの
姫様
(
ひいさま
)
が、言いそうもないからね」
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其時
(
そのとき
)
茫乎
(
ぼんやり
)
と思ひ出したのは、
昨夜
(
ゆうべ
)
の其の、奥方だか、
姫様
(
ひいさま
)
だか、それとも
御新姐
(
ごしんぞ
)
だか、魔だか、鬼だか、お
閨
(
ねや
)
へ召しました一件のお
館
(
やかた
)
だが、当座は
唯
(
ただ
)
赫
(
かっ
)
と
取逆上
(
とりのぼせ
)
て
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前を立派な女だ、
姫様
(
ひいさま
)
だ、
女房
(
おかみ
)
さんだと
心
(
しん
)
から思ってしたことだよ。僕はお世辞も何にも言わない。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それでは御馳走をしてくれますか、」と
背後
(
うしろ
)
の
腕車
(
くるま
)
で微笑みながらいったのは、米が
姫様
(
ひいさま
)
と申上げた、顔立も
風采
(
ふうさい
)
もそれに
叶
(
かな
)
った気高いのが、思懸けず気軽である。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄 はい、お
姫様
(
ひいさま
)
は、やがてお
入
(
い
)
りでござりましょう。それにつけましても、お前様おかえりを、お待ち申上げました。——そしてまあ、いずれへお越し遊ばしました。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
えゝ、お
姫様
(
ひいさま
)
の!
何
(
ど
)
うやら
今
(
いま
)
までの
乞目
(
こひめ
)
では、
一度
(
いちど
)
に
一年
(
いちねん
)
も
懸
(
かゝ
)
りさうぢや。お
庇
(
かげ
)
と
私等
(
わしら
)
は
飢
(
ひもじ
)
うも、だるうも
無
(
な
)
けれど、
肝心
(
かんじん
)
助
(
たす
)
け
取
(
と
)
らうと
云
(
い
)
ふ、
奥様
(
おくさま
)
の
身
(
み
)
をお
察
(
さつ
)
しやれ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さて
困
(
こま
)
つたは、
寒
(
さむ
)
ければ、へい、
寒
(
さむ
)
し、
暑
(
あつ
)
ければ
暑
(
あつ
)
い
身躰
(
からだ
)
ぢや、
飯
(
めし
)
も
食
(
く
)
へば、
酒
(
さけ
)
も
飲
(
の
)
むで、
昼間
(
ひるま
)
寐
(
ね
)
て
夜
(
よる
)
出懸
(
でか
)
けて、
沼
(
ぬま
)
の
姫様
(
ひいさま
)
見
(
み
)
るは
可
(
え
)
えが、そればかりでは
活
(
い
)
きて
居
(
ゐ
)
られぬ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
姫
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“姫”で始まる語句
姫
姫君
姫路
姫百合
姫御前
姫鱒
姫神
姫樣
姫王
姫糊