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古
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いにし
ふりがな文庫
“
古
(
いにし
)” の例文
その
神工鬼斧
(
しんこうきふ
)
に驚嘆して歌をつくり、または
古
(
いにし
)
えの浦島の子の伝説を懐古してあこがれたりするようなことは
得手
(
えて
)
ではありません。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「静御前」と云う一人の
上﨟
(
じょうろう
)
の
幻影
(
げんえい
)
の中に、「祖先」に対し、「主君」に対し、「
古
(
いにし
)
え」に対する
崇敬
(
すうけい
)
と
思慕
(
しぼ
)
の情とを寄せているのである。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いづれも「
家
(
いへ
)
」に生命を感じた
古
(
いにし
)
へびとの
面目
(
めんもく
)
を見るやうである。かう云ふ感情は我我の中にもとうの昔に死んでしまつた。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なし酒の
機嫌
(
きげん
)
に
古
(
いにし
)
への物語りなどして品川より
藝者
(
げいしや
)
を
呼
(
よび
)
大酒盛となりて騷ぎ散す中
早
(
はや
)
日
(
ひ
)
も
暮相
(
くれあひ
)
と成ければ仁左衞門は
頓
(
やが
)
て身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私は
古
(
いにし
)
えの朝鮮が驚くべき藝術を私に示す事によって、現代の朝鮮にも深い希望を持つ事を学ばしめたのを感謝している。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
古
(
いにし
)
へより
卓犖
(
たくらく
)
不覊
(
ふき
)
の士、往々にして文章を事とするを喜ばず、文字の賊とならんより心中の文章に甘んじたればならむ。
山庵雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そのうえ猫は、アングレー伯爵からはかくも軽蔑せられたが、
古
(
いにし
)
えの共和制を尊んでいた。そのために彼らの目には自由の姿が刻み込まれていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
古
(
いにし
)
えのローマ帝国でもこれほど大きくはなかったから外国人が驚異の眼を
瞠
(
みは
)
るのも無理からぬことだなどと言った……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
一体
(
いったい
)
の
出来
(
でき
)
が面白い都会で、
巴里
(
パリー
)
に遊んでその
古
(
いにし
)
えを
忍
(
しの
)
ぶとき、今も
猶
(
な
)
お
悵恨
(
ちょうこん
)
の
腸
(
はらわた
)
を傷めずにはいられぬものあるが
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
併しながら近代の日本人及び
古
(
いにし
)
への
希伯来
(
ギリシア
)
人の如き不屈なる国民中にあつて吾人は蓄妾が律法と習慣とによりて定められたる制度なることを発見する。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
と
古
(
いにし
)
えの
賤
(
しず
)
の
苧環
(
おだまき
)
繰
(
く
)
り返して、さすがに今更
今昔
(
こんじゃく
)
の感に
堪
(
た
)
えざるもののごとく
我
(
わ
)
れと我が額に手を加えたが、すぐにその手を伸して更に一盃を傾けた。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
山部宿禰赤人
(
やまべのすくねあかひと
)
が
不尽山
(
ふじのやま
)
を詠んだ長歌の反歌である。「田児の浦」は、
古
(
いにし
)
えは富士・廬原の二郡に亙った海岸をひろく云っていたことは前言のとおりである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
猶太
(
ユダヤ
)
宗の人もまたこの日をもって礼拝日となせり。
古
(
いにし
)
え
希臘
(
ギリシア
)
の一帝あり、この日をもって神を祭るべきを公布せしより、ついに世間普通の祭日となるに至れり。
日曜日之説
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
これけだし結果にのみ重きを
措
(
お
)
き過ぎて、手段の
如何
(
いかん
)
を顧みなかった過失であって、
古
(
いにし
)
えの立法家のしばしば陥ったところである。立法は
須
(
すべか
)
らく堂々たるべし。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
人生の旅路を、菩薩の修業に託して説いてくれた
古
(
いにし
)
えの聖者の心持が、尊くありがたく感ぜられるのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
個人について云えばイブセンである。メレジスである。ニイチェである。ブラウニングである。
耶蘇教徒
(
ヤソきょうと
)
は
基督
(
キリスト
)
のために存在している。基督は
古
(
いにし
)
えの人である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは
古
(
いにし
)
えから歌人なども称美し来った
鶯
(
うぐいす
)
であります。この鶯の啼き始めるということも時候の変化につれて起ってきた現象の一つであります。……動物上の現象
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それが真実であるならば、「
古
(
いにし
)
えは詩三千余篇ありき。孔子に至るに及びて、その重なれるものを
去
(
す
)
て」
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
鹵簿
(
ろぼ
)
の
還幸
(
かんこう
)
には、全山お名残りを惜しんで、聖武の帝の
古
(
いにし
)
えもかくやと、みな申し
囃
(
はや
)
したものでしたが……今、やつれ
輿
(
ごし
)
にて、ここへ御避難あらせ給うと聞くや
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古
(
いにし
)
えより二度登るものは馬鹿とさえ言伝えられたるにもかかわらず、十数回の昇降をなし、また山頂は快晴なるも五、六合辺にて風雨に
遮
(
さえぎ
)
られ、建築材料延着のため
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
お屋敷の方はともあれかし、この世の乱れの収まったのち、たとえ天下はどのように変ろうとも、かならず学問の
飢
(
かつ
)
えが来る、
古
(
いにし
)
えの鏡をたずねる時がかならず来る。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
少し行くと
古
(
いにし
)
えの
高原
(
たかはら
)
駅の跡がある。四十余年前までは高原の村はこの山上に在ったのだそうだ。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
そして今日では、すべてがまたその
古
(
いにし
)
えの風に
復
(
かえ
)
って、憚らず肉を喰っているのであります。
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
嘿斎
(
ぼくさい
)
曰
(
いはく
)
、すべて祭礼に用ふる
傘矛
(
かさぼこ
)
といへる物は
古
(
いにし
)
へ
羽葆葢
(
うほかい
)
の字を
訓
(
よめ
)
り、
所謂
(
いはゆる
)
繖
(
さん
)
にして(きぬかさとよむ)
神輿鳳輦
(
しんよほうれん
)
を
覆
(
おほ
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
るべき
錦蓋
(
きんかい
)
也といへり。
猶
(
なほ
)
説
(
せつ
)
ありしが長ければ
省
(
はぶ
)
く。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
また『西域記』十二に
古
(
いにし
)
え
瞿薩旦那
(
くさたな
)
国王数十万衆を整えて東国の師百万を
拒
(
ふせ
)
ぎ敗軍し、王は
虜
(
いけど
)
られ将士
鏖
(
みなごろし
)
にさる、その地数十
頃
(
けい
)
血に染みて赤黒く絶えて
蘗草
(
くさ
)
なしと見ゆ、南インド
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
引退の
後
(
のち
)
の晩年は
寂寞
(
せきばく
)
であろう。功
為
(
な
)
り名遂げて身退くとは、
古
(
いにし
)
えの聖人の言葉である。忘れられるものの寂しさ——それも
貴女
(
あなた
)
は
味
(
あじわ
)
わねばなるまい。しかし貴女は幸福であったと思う。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
“……
古
(
いにし
)
へ、松、桜、榎等の列樹、路を
夾
(
はさん
)
でありしを以て名くと云ふ”とある並木町のむかしに、もう一度、返したらどうか?……浅草にだって、一
ト
とこ位、無表情なビルディング街の
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
まことに
古
(
いにし
)
えの敬虔なる説教者が愛は本来人間のものではなく、神より来たりしもの、
浄
(
きよ
)
めの聖霊であるというたのもまことと思われるほど私の心のなかの他のものより際だって輝いて見える。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
松川はその時お召ぞっきのぞろりとした
扮装
(
ふんそう
)
をして、
古
(
いにし
)
えの絵にあるような美しい
風貌
(
ふうぼう
)
の持主であったし、連れて来た女の子も、お
伽噺
(
とぎばなし
)
のなかに出て来る王女のように、純白な洋服を着飾らせて
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
白玉か何ぞと問いし
古
(
いにし
)
えも、かくやと
思知
(
おもいしら
)
れつつ、
嵐
(
あらし
)
のつてに
散花
(
ちるはな
)
の、袖に
懸
(
かか
)
るよりも軽やかに、
梅花
(
ばいか
)
の
匂
(
におい
)
なつかしく、
蹈足
(
ふむあし
)
もたどたどしく、心も空に
浮
(
うか
)
れつつ、
半町
(
はんちょう
)
ばかり歩みけるが、南無妙。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とどめず今めかしき石
煉瓦
(
れんが
)
の垣さへ作り出でられ名ある樹木はこじ去られ
古
(
いにし
)
への
奥州路
(
おうしゅうじ
)
の地蔵などもてはやされしも取りのけられ鶯の巣は鉄道のひびきにゆりおとされ
水雞
(
くいな
)
の声も汽笛にたたきつぶされ
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
して追善とす。
古
(
いにし
)
へよりの例なれども、其故解しがたし
獅子舞雑考
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
古
(
いにし
)
への秋さへ今のここちして
濡
(
ぬ
)
れにし
袖
(
そで
)
に露ぞ置き添ふ
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
青雲
(
おをぐも
)
に
直
(
ただ
)
にひびかふ
剣
(
つるぎ
)
太刀
(
たち
)
古
(
いにし
)
へありきいまもこの道
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雌雄
(
めを
)
の
瀧
(
たき
)
鯉岩
烏帽子岩
(
ゑぼしいは
)
などあり飯田とかへ通路ありとて駄荷多く
集
(
つど
)
ひて賑し左れど
旅人
(
りよじん
)
などは一向になし晝の宿に西洋人二人通辯ボーイ等五六人居たるのみ此峠は木曾の
御坂
(
みさか
)
と歌にも詠む所にて左のみ嶮しからず景色穩やかにてよし
古
(
いにし
)
へ西京より
東
(
あづま
)
へ向ひて來んには此の峠こそ木曾に
入
(
い
)
るは
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
そこは何人にも秘められた理想の里で、
古
(
いにし
)
えの武陵桃源といった、おだやかな夢が、まだ浮世の人によって、破られてはいないそうです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は
古
(
いにし
)
えの朝鮮が驚くべき藝術を私に示す事によって、現代の朝鮮にも深い希望を持つ事を学ばしめたのを感謝している。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
然れども俗化するは人をして正常の位地に立たしむる
所以
(
ゆゑん
)
にして、上帝に対する義務も、人間に対する義務も、
古
(
いにし
)
へ
人
(
びと
)
が爛熳たる花に
譬
(
たと
)
へたる徳義も
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
もし寸毫の虚偽をも加えず、我我の友人知己に対する我我の本心を吐露するとすれば、
古
(
いにし
)
えの
管鮑
(
かんぽう
)
の交りと
雖
(
いえど
)
も
破綻
(
はたん
)
を生ぜずにはいなかったであろう。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「田児浦」は今は富士郡だが、
古
(
いにし
)
えは廬原郡にもかかった範囲の広かったもので、東海道名所図絵に、「
都
(
すべ
)
て清見興津より、ひがし浮島原迄の海浜の
惣号
(
そうがう
)
なるべし」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
お屋敷の方はともあれかし、この世の乱れの収まつたのち、たとへ天下はどのやうに変らうとも、かならず学問の
飢
(
かつ
)
ゑが来る、
古
(
いにし
)
への鏡をたづねる時がかならず来る。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
番頭は四郎右衞門が
見苦敷
(
みぐるしき
)
姿
(
すがた
)
を見て
古
(
いにし
)
へを思へば氣の
毒
(
どく
)
に心得奧へ通しけるに三郎兵衞は若い者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼が三四百年の昔からちょっと顔を出したかまたは余が急に三四百年の
古
(
いにし
)
えを
覗
(
のぞ
)
いたような感じがする。余は
黙
(
もく
)
して
軽
(
かろ
)
くうなずく。こちらへ来たまえと云うから
尾
(
つ
)
いて行く。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“並木町——
古
(
いにし
)
へ、松、桜、榎等の列樹、路を
夾
(
はさん
)
でありしを以て名くと云ふ。慶安頃まで、樹間に
草舎
(
くさや
)
ありて、草履
草鞋
(
わらぢ
)
など
販
(
ひさぎ
)
しのみなりしが、後漸く人家稠密に及び、遂に今の街衢をなす。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
古
(
いにし
)
えより賢人が小人のために禍を蒙った例は珍しからず、貴下御一人に限った運命ではないのであるし、
凡
(
およ
)
そ世の中は無道なものなのであるから、左様にお恨みなさるのは浅ましゅう存ずる
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
されば我邦の
古
(
いにし
)
え猫を手飼の虎といえる事『
古今六帖
(
こきんろくじょう
)
』の歌に「
浅茅生
(
あさぢふ
)
の小野の篠原いかなれば、手飼の虎の
伏所
(
ふしどころ
)
なる」、また『源氏物語』女三宮の条に見えたり、
唐土
(
もろこし
)
の小説に虎を山猫という事
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そこには、人面馬体をそなえてオリンポスの山を乗り越えた、
不死身
(
ふじみ
)
の壮大なる恐るべきタイタン族、サントール、
古
(
いにし
)
えのイパントロープ、すなわち神にして獣なるあの怪物のことが、語られている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
時と人のよくあって、
古
(
いにし
)
えを今に見る思いがした。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
七里の渡しというのは、この尾張の国の熱田から伊勢の桑名の浜まで着くところ、
古
(
いにし
)
えのいわゆる「
間遠
(
まどお
)
の渡し」であります。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
怪しくも余は松島を冥想するの念よりも、一句を成さず西帰せし蕉翁の無言を読むの楽みに
耽
(
ふけ
)
りたり。
古
(
いにし
)
へより名山名水は詩客文士の至宝なり、生命なり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“古”を含む語句
古家
中古
古人
往古
古本屋
反古
太古
古代
古木
古城
古昔
古井
古瓦
古婆
稽古
蒙古
古渡
古市
古文書
古典
...