トップ
>
反
>
かえ
ふりがな文庫
“
反
(
かえ
)” の例文
しかれどもこの法律は
反
(
かえ
)
りてますます政論派を激昂せしめ、天下の人をしていよいよ政府の圧制を感知せしめたるの状なきにあらず。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
私は彼女たちの前を出来るだけ早く通ろうとして、そのため
反
(
かえ
)
って長い時間かかって、心臓をどきどきさせながら通り過ぎて行った。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ふと筆をおいて、疲れた体を後へ引っくら
反
(
かえ
)
ると、頭がまたいろいろの考えに捉えられて、いつまでも打ち切ることが出来なかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
支那でも斉の桓公孤竹国を
伐
(
う
)
ち春往き冬
反
(
かえ
)
るとて道を失うた時管仲老馬を放ちて随い行きついに道を得たという(『韓非』説林上)。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
こういうお種の顔色には、前の晩に見たより
焦心
(
あせ
)
っているようなところが少なかった。その沈んだ調子が、
反
(
かえ
)
って三吉を安心させた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
のみならず彼等の
中
(
うち
)
の何者かが、彼には到底及ばなくとも、かなり高い所まで矢を飛ばすと、
反
(
かえ
)
ってその方へ賛辞を与えたりした。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いやに逃げるじゃないか」と執念深い刑事は
反
(
かえ
)
って
絡
(
から
)
みついてきた。「ところで一つ
尋
(
たず
)
ねるが、赤ブイ仙太を
見懸
(
みか
)
けなかったか」
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「え、小三郎さんは、父さんの——三文字屋久兵衛の血をわけた本当の子だったんです。私こそ
反
(
かえ
)
って義理のある娘だったんです」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「道」は道教徒の愛する象徴
竜
(
りゅう
)
のごとくにすでに
反
(
かえ
)
り、雲のごとく巻ききたっては解け去る。「道」は大推移とも言うことができよう。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
昨日今日、今までも、お互に友と呼んだ人たちが、いかに殿の仰せとて、手の裏を
反
(
かえ
)
すように、ようまあ、あなたに
刃
(
やいば
)
を向けます。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
凍
(
い
)
てついた道に私たちの下駄を踏み鳴らす音が、両側の大戸を
閉
(
し
)
めきった土蔵造りの建物にカランコロンとびっくりするような
谺
(
こだま
)
を
反
(
かえ
)
した。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
さきに陸上の浜手隊をあげて新田軍を追いしたって行った少弐
頼尚
(
よりひさ
)
からの
反
(
かえ
)
り伝令の報告などをききながら、寸時の休息をとりかけていた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唯だ尾根が頂上と連絡するあたりが残雪の少ない年には、
反
(
かえ
)
って多少面倒であるかも知れぬが、勿論大したことはあるまい。
越中劒岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
反
(
かえ
)
って新聞記事から教えられるという事は、いかにも皮肉な事であるけれども、その通りなのだから、どうも仕方がない。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
竹中啓吉が冷笑をうかべて、なにか云い
反
(
かえ
)
そうとしたとき、この家の女中がはいって来て、竹中になにか耳うちをした。
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
繰り
反
(
かえ
)
しを彼らは迷う事なく選ぶ。進展がないと
謗
(
そし
)
る人があるかも知れぬが、その代りあの
秀
(
ひい
)
でた初期の作物に並び得るものを今も無造作に造る。
苗代川の黒物
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
反
(
かえ
)
って視線のやり場に困った
鬱陶
(
うっとう
)
しい顔をしているのをみると、あなたは、面を
伏
(
ふ
)
せ、くるりとうしろを向き、ひとりで、バスに乗ってしまった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
情熱、確信という点においては聴衆以上であるとしても、話すことの内容は
反
(
かえ
)
って聴衆の知識よりも貧しいであろう。
蝸牛の角
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
僕ハ俯向キニ寝テイル妻ノ体ヲモウ一度仰向キニ打チ
反
(
かえ
)
シタ。ソウシテシバラク眼ヲモッテソノ姿態ヲ
貪
(
むさぼ
)
リ食イ、タダ歎息シテイルバカリデアッタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
まあまあだまっているに
若
(
し
)
くはなしと覚悟をきめて、
反
(
かえ
)
って反対の方角へと
楫
(
かじ
)
をとった。余は正直に生れた男である。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
以前に捩上げたる下役の腕を
反
(
かえ
)
して前へ突放したから
耐
(
たま
)
りませぬ、同役同志
鉢合
(
はちあわ
)
せをして
二人
(
ににん
)
ともに打倒れました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
声は呼んだその人の耳へ
反
(
かえ
)
って響いた。しかし答は
何処
(
どこ
)
からも起らなかった。外はただサアッと雨が降っている。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
独り洋外の文学技芸を講究するのみにてその各国の政治・風俗
如何
(
いかん
)
を
詳
(
つまびら
)
かにせざれば、
仮令
(
たと
)
ひ、その学芸を得たりとも、その
経国
(
けいこく
)
の本に
反
(
かえ
)
らざるをもつて
福沢諭吉
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
その式には
白粉
(
おしろい
)
を神像の顔に塗ることあり。大同の家には必ず
畳
(
たたみ
)
一帖
(
いちじょう
)
の
室
(
しつ
)
あり。この
部屋
(
へや
)
にて
夜
(
よる
)
寝
(
ね
)
る者はいつも不思議に
遭
(
あ
)
う。
枕
(
まくら
)
を
反
(
かえ
)
すなどは常のことなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
形こそ変れ、程度こそ異なれ、木を
斬罪
(
ざんざい
)
にし、牛を
絞刑
(
こうけい
)
にし、「子のあたまぶった柱」を打ち
反
(
かえ
)
す類の原素は、文明の刑法にも存してしかるべきものである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
成程
(
なるほど
)
地球の引力で物が下に
静
(
じっ
)
としているのだが、もし地球の運転が逆になったら
反
(
かえ
)
って宙を飛ぶのが並のもので下に
静
(
じっ
)
としているのが
怪物
(
ばけもの
)
になるかも知れない。
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
反
(
かえ
)
ってここでなんとか家のゴタゴタを受け流して、二階で日なたぼっこでもしていた方が、万事につけて安静の治療が続けられそうだということがわかりました。
獄中への手紙:09 一九四二年(昭和十七年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
(『
淮南子
(
えなんじ
)
』に曰く、「精神は天の有なり。しかして
骨骸
(
こつがい
)
は地の有なり。精神はその門に入り、しかして骨骸はその根に
反
(
かえ
)
る。われ、なおいずくにか存せん」と)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
この
蟷螂
(
かまきり
)
少からず神経性だと見える。その利鎌を今度は
二
(
ふ
)
た振り右と左で
空
(
くう
)
に
反
(
かえ
)
す、その
柄
(
つか
)
を両膝に
確
(
しか
)
と立てると、張り肱の、何かピリピリした凄い
蟀谷
(
こめかみ
)
になる。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
それ
等
(
ら
)
は丸味を帯びた広い
額
(
ひたい
)
の
白毫
(
びゃくごう
)
の光に反映せられ、
反
(
かえ
)
つて
艶冶
(
えんや
)
を増す為めか、或ひはそれ等の部分部分にことさら丹念に女人の情を潜ませてあるのか、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
あの自信のない
臆病
(
おくびょう
)
な男に自分はさっき
媚
(
こ
)
びを見せようとしたのだ。そして彼は自分がこれほどまで誇りを捨てて与えようとした特別の好意を
眦
(
まなじり
)
を
反
(
かえ
)
して退けたのだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
近習医に任ぜられてからは、
詰所
(
つめしょ
)
に
出入
(
いでいり
)
するに、
朝
(
あした
)
には人に先んじて
往
(
ゆ
)
き、
夕
(
ゆうべ
)
には人に後れて
反
(
かえ
)
った。そして公退後には士庶の病人に接して、
絶
(
たえ
)
て
倦
(
う
)
む色がなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「われ地に平和を投ぜんために
来
(
きた
)
れりと思うな、平和にあらず、
反
(
かえ
)
って剣を投ぜん為に来れり。」
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「この通り一から十まで話が分っているので、士族平民の件は、狐につまゝれたような心持がしましたが、そこは
悧巧
(
りこう
)
な人丈けに
大勢
(
たいせい
)
を見て取って
掌
(
てのひら
)
を
反
(
かえ
)
すように……」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
辞しがたくて、一振りゆるゆる
袖
(
そで
)
を
反
(
かえ
)
す春鶯囀の一節を源氏も舞ったが、だれも追随しがたい巧妙さはそれだけにも見えた。左大臣は恨めしいことも忘れて落涙していた。
源氏物語:08 花宴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
とホームズは椅子にかけたまま後ろにそり
反
(
かえ
)
って、細めた目で私を鋭く見つめながら云った。
株式仲買店々員
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
爾
(
なんじ
)
はことごとく
罪孼
(
つみ
)
に
生
(
うまれ
)
し者なるに
反
(
かえ
)
って我らを教うるか、ついに彼を
逐出
(
おいいだ
)
せり、彼らが逐い出ししことを聞き、イエス尋ねてこれに遇いいいけるは、爾神の子を信ずるか
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
音もない風が、梢から転び落ちると、
恰度
(
ちょうど
)
跼み込んだ女生徒のスカートを、ひらりと
反
(
かえ
)
したのです。ハッとした秀三郎は、僅かの間でしたが、
眼頭
(
めがしら
)
の熱くなるのを感じました。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
背の高い痩ぎすな男は、それを見るとわっと叫んでのけぞるように身を
反
(
かえ
)
して逃げだした。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
暁
(
あかつき
)
の夢のいまだ
覚
(
さ
)
めやらぬほどなりければ、何事ぞと半ばは
現
(
うつつ
)
の中に問い
反
(
かえ
)
せしに、女のお客さんがありますという。
何
(
なん
)
という方ぞと重ねて問えば富井さんと
仰有
(
おっしゃ
)
いますと答う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
自分が声明した通りであった。部隊の死傷百余人である。中備小野和泉入替って戦うたが易く破れる気色もない。
反
(
かえ
)
ってまた危く見えた処に宗茂二千の兵一度に
鬨
(
とき
)
を挙げて押し寄せた。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
却
(
かえ
)
って非道くなってしまって、弓のようにそり
反
(
かえ
)
りますので、そのまま神田の脳病院に入れて、寝台へ革のバンドで縛付けておきますと、その革のバンドを抜けようとして
藻掻
(
もが
)
いた
揚句
(
あげく
)
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
頑児虚弱にして狂暴、
本
(
もと
)
より人の数の中に
在
(
あ
)
らざるも、天下
反
(
かえ
)
って虚名を謬聴し、認めて豪傑と為す者有り。
向
(
さき
)
に愚論数道を以て、これを梁川緯に致せしに、緯、
窃
(
ひそか
)
に
上
(
かみ
)
青雲の上を
涜
(
けが
)
す。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「平太郎。口から出まかせをいうと、
反
(
かえ
)
っておめえの、お
咎
(
とが
)
めが重くなるぜ」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
自分の心象を綴るに
恋々
(
れんれん
)
としている私の心をもう押えることは止めにしましょう。
低徊
(
ていかい
)
逡巡
(
しゅんじゅん
)
する筆先は
反
(
かえ
)
って私の真相をお伝えするでしょう。
調
(
ととの
)
わぬ行文はそのまま調わぬ私の心の有様です。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
みずから
反
(
かえ
)
りみて
縮
(
なお
)
からば千万人といえども、吾れ
往
(
い
)
かんとの独立
自重
(
じちょう
)
の心は
誰人
(
たれびと
)
にもなくてはならぬけれども、いわばどちらでも好いことに
角立
(
かどだ
)
てて世俗に反抗するほどの要なきものが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
併し
反
(
かえ
)
って急速に、近頃になって再び新らしく起って来たのであった。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
松が来て私はうんざりして了ったが、雪江さんは
反
(
かえ
)
って
差向
(
さしむかい
)
の時よりはずみ出して、果は松の方へ膝を向けて了って、松ばかりを相手に話をする。私は居るか居ないか分らんようになって了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
中を注意したがる自分の視線を
叱
(
しか
)
り
反
(
かえ
)
して歩くように気をつけたが
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
重い、けだるい脚が一種の圧迫を受けて
疼痛
(
とうつう
)
を感じてきたのは、かれみずからにもよくわかった。
腓
(
ふくらはぎ
)
のところどころがずきずきと痛む。普通の疼痛ではなく、ちょうどこむらが
反
(
かえ
)
った時のようである。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
“反”の解説
反(たん、段とも書く)は、尺貫法の面積の単位。土地の面積に使われる反と、布の大きさを表す反とがある。これとは別に6間の長さを表す反もある。
(出典:Wikipedia)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
“反”を含む語句
反響
反対
反抗
反覆
反映
仰反
反對
反古
反射
反閇
反返
無反
往反
一反
相反
文反古
反応
反歩
正反対
背反
...