“十(とを)” の例文
君がもう十(とを)若いか、僕がもう十、年を取つてゐたところで、君が不満なところは不満だらうし、僕が得(とく)をするところは得をしてるんだ。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
宗助(そうすけ)と小六(ころく)の間(あひだ)には、まだ二人(ふたり)程(ほど)男(をとこ)の子(こ)が挾(はさ)まつてゐたが、何(いづ)れも早世(さうせい)して仕舞(しま)つたので、兄弟(きやうだい)とは云(い)ひながら、年(とし)は十(とを)許(ばか)り違(ちが)つてゐる。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これを燒(や)いて二十食(く)つた、酢(す)にして十(とを)食(く)つたと云(い)ふ男(をとこ)だて澤山(たくさん)なり。次手(ついで)に、目刺(めざし)なし。大小(だいせう)いづれも串(くし)を用(もち)ゐず、乾(ほ)したるは干鰯(ひいわし)といふ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『善光寺のトウ/\念仏十(とを)から十(とを)申せば必金仏(かなぼとけ)になる』かういふ唄があるのを、呼吸(いき)をつかずに一呼吸に言へるか言へないかと言つて、一生懸命にそれをやつて見せて
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
まだ外に男の半身像や様様(さま/″\)の石膏像が十(とを)ばかりも彼方此方(あちらこちら)に置かれてあつた。帰り途(みち)を聞くと
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
僕はちよつと忌々(いまいま)しさを感じ、この如何(いか)にもこましやくれた十(とを)ばかりの女の子を振り返つた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私が十(とを)か十一のころのことと思ふ。私のシヤツや襦袢の縫目へ胡麻をふり撒いたやうにしらみがたかつた時など、弟がそれを鳥渡笑つたといふので、文字通り弟を毆り倒した。
思ひ出 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
「塵功記(ぢんこうき)といふ本に、杉なりに積んだ米俵や千兩箱の勘定のことが書いてある。それによると、一番下が十(とを)で次が九つ八つ、一番上の一つまで勘定すると、丁度五十五になる勘定だ」
十(とを)思つたことが一つしか實現出來なくても、やるべきことはやらなくちやならない、自分にやれるだけのことは力を盡してやつて行かうといふ平凡なところに落ち着いてゐるのです。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
普通の家を十(とを)も上へ積みあげても、まだ足りないほどだつたこと、御座所はここかとうかがつたが違つてゐる、次ぎの間かと思つたがそこでもない、三番目も四番目もまださうでなかつたが
畔柳さんへ行つて、旦那が行つたか、行かないか、若(も)し行つたのなら、何頃(いつごろ)行つて何頃帰つたか、なあに、十(とを)に九(ここのつ)まではきつと行きはしませんから。その様子だけ解れば、それで可いのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母と叔父とは、齢も十(とを)以上違つて居たし、青い面長と扁(ひらた)い赤良顔(あからがほ)、鼻の恰好が稍(やや)肖(に)てゐた位のものである。背の婷乎(すらり)とした、髪は少し赤かつたが、若い時は十人並には見えたらうと思はれる容貌(かほかたち)。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何時(いつ)かは言(い)はふと存(ぞん)じたれど、お前(まへ)さまといふ御人(おひと)には呆(あき)れまする、是(こ)れが五(いつ)つや十(とを)の子供(こども)ではなし、十六といへばお子樣(こさま)もつ人(ひと)もありますぞや、まあ考(かんが)へて御覽(ごらん)なされお母樣(はヽさま)がお病沒(なくなり)から此(この)かた
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つきて見む一(ひ)二(ふ)三(み)四(よ)五(い)六(む)七(な)八(や)九(ここ)の十(とを)手もて数へてこれの手鞠を
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昨日(きのふ)は十(とを)かゝつた。‥‥
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うちふるひけり十(とを)の指(ゆび)
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
十(とを)、二十(にじふ)、数知れず
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
十(とを)と六つ寝りや
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
主人(しゆじん)と細君(さいくん)の外(ほか)に、筒袖(つゝそで)の揃(そろ)ひの模樣(もやう)の被布(ひふ)を着(き)た女(をんな)の子(こ)が二人(ふたり)肩(かた)を擦(す)り付(つ)け合(あ)つて坐(すわ)つてゐた。片方(かたはう)は十二三で、片方(かたはう)は十(とを)位(ぐらゐ)に見(み)えた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
杖(ステツキ)を取(と)るや否(いな)や、畜生(ちくしやう)と言(い)つて、窓(まど)を飛下(とびおり)ると、何(ど)うだらう、たゝきもひしぎもしないうちに、其(そ)の蛇(へび)が、ぱツと寸々(ずた/\)に斷(き)れて十(とを)あまりに裂(さ)けて、蜿々(うね/\)と散(ち)つて蠢(うごめ)いた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「十(とを)で神童、十五で才子、二十(はたち)過ぎれば並(なみ)の人、といふこともあるから、子供の時に悧巧(りかう)でも大人(おとな)になつて馬鹿(ばか)にならないとは限らない。だから神童と云はれるのも考へものだ」
才一巧亦不二 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一(ひ)い、二(ふ)う、三(み)い、四(よ)お、五(い)つ、六(む)う、七(なな)、八(や)あ、九(ここ)、十(とを)、十一、十二……十三……
落葉日記(三場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
午後五時前に十(とを)許(ばか)りの飛行機が引出されたが、風が強いので皆地を這(は)つて発動機(モツウル)の具合を試したり、滑走試験を続けたりして居る。其(それ)が砂煙(すなけむり)を蹴立てるので広い場内が真白(まつしろ)に曇つて仕舞(しま)つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
「確か十(とを)でしたよ。十疊の廣間の床の間一パイに積んでましたよ」
十(とを)の指諸(もろ)に手挟(たばさ)む手裏剣のつぎつぎ疾(はや)しうつ手は見えず
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
『昨日(きのふ)は十(とを)かゝつた。』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うちふるひけり十(とを)の指
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
御堂(おだう)の前の十(とを)の墓
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
花は十(とを)まで
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
嬰兒(あかんぼ)の掌(てのひら)の形(かたち)して、ふちのめくれた穴(あな)が開(あ)いた——其(そ)の穴(あな)から、件(くだん)の板敷(いたじき)を、向(むか)うの反古張(ほごばり)の古壁(ふるかべ)へ突當(つきあた)つて、ぎりゝと曲(まが)つて、直角(ちよくかく)に菎蒻色(こんにやくいろ)の干乾(ひから)びた階子壇(はしごだん)……十(とを)ばかり
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
遺憾ながら、職業に逐はれてペンをとる暇(ひま)がない。そこで、人に話す、その人が、それを小説に書く。僕が材料を提供した小説が、これで十(とを)や二十はあるだらう。勿論(もちろん)、有名なる作家の作品でね。
創作 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「いえ、何んにも御座いません、でも三人の申合せで、間違ひの無いことになつて居ります、長崎屋の身上の十(とを)のうち三つは私、十のうち二つは友三郎と岡さん、つまり半分だけは兄の七郎兵衞のものになるわけで」
十(とを)、たうとう追(お)ひ出(だ)した。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
十(とを)と七つ
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
つい近(ちか)くは、近(ちか)く、一昔前(ひとむかしまへ)は矢張(やつぱ)り前(まへ)、道理(だうり)に於(おい)て年(とし)を隔(へだ)てない筈(はず)はないから、十(とを)から三十までとしても、其(そ)の間(あひだ)は言(い)はずとも二十年(ねん)經(た)つのに、最初(さいしよ)逢(あ)つた時(とき)から幾歳(いくとせ)を經(へ)ても
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
十(とを)あまり円(まろ)うならべる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
で、彼(かれ)が九(こゝの)ツか十(とを)の年(とし)、其(そ)の日(ひ)は、小學校(せうがくかう)の友達(ともだち)と二人(ふたり)で見(み)た。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)