とを)” の例文
君がもうとを若いか、僕がもう十、年を取つてゐたところで、君が不満なところは不満だらうし、僕がとくをするところは得をしてるんだ。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
宗助そうすけ小六ころくあひだには、まだ二人ふたりほどをとこはさまつてゐたが、いづれも早世さうせいして仕舞しまつたので、兄弟きやうだいとはひながら、としとをばかちがつてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これをいて二十つた、にしてとをつたとをとこだて澤山たくさんなり。次手ついでに、目刺めざしなし。大小だいせういづれもくしもちゐず、したるは干鰯ひいわしといふ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『善光寺のトウ/\念仏とをからとを申せば必金仏かなぼとけになる』かういふ唄があるのを、呼吸いきをつかずに一呼吸に言へるか言へないかと言つて、一生懸命にそれをやつて見せて
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
まだ外に男の半身像や様様さま/″\の石膏像がとをばかりも彼方此方あちらこちらに置かれてあつた。帰りみちを聞くと
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
僕はちよつと忌々いまいましさを感じ、この如何いかにもこましやくれたとをばかりの女の子を振り返つた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私がとをか十一のころのことと思ふ。私のシヤツや襦袢の縫目へ胡麻をふり撒いたやうにしらみがたかつた時など、弟がそれを鳥渡笑つたといふので、文字通り弟を毆り倒した。
思ひ出 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
塵功記ぢんこうきといふ本に、杉なりに積んだ米俵や千兩箱の勘定のことが書いてある。それによると、一番下がとをで次が九つ八つ、一番上の一つまで勘定すると、丁度五十五になる勘定だ」
とを思つたことが一つしか實現出來なくても、やるべきことはやらなくちやならない、自分にやれるだけのことは力を盡してやつて行かうといふ平凡なところに落ち着いてゐるのです。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
普通の家をとをも上へ積みあげても、まだ足りないほどだつたこと、御座所はここかとうかがつたが違つてゐる、次ぎの間かと思つたがそこでもない、三番目も四番目もまださうでなかつたが
畔柳さんへ行つて、旦那が行つたか、行かないか、し行つたのなら、何頃いつごろ行つて何頃帰つたか、なあに、とをここのつまではきつと行きはしませんから。その様子だけ解れば、それで可いのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母と叔父とは、齢もとを以上違つて居たし、青い面長とひらた赤良顔あからがほ、鼻の恰好がややてゐた位のものである。背の婷乎すらりとした、髪は少し赤かつたが、若い時は十人並には見えたらうと思はれる容貌かほかたち
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何時いつかははふとぞんじたれど、おまへさまといふ御人おひとにはあきれまする、れがいつつやとを子供こどもではなし、十六といへばお子樣こさまもつひともありますぞや、まあかんがへて御覽ごらんなされお母樣はヽさまがお病沒なくなりからこのかた
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つきて見むこことを手もて数へてこれの手鞠を
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昨日きのふとをかゝつた。‥‥
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うちふるひけりとをゆび
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
とを二十にじふ、数知れず
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
とをと六つ寝りや
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
主人しゆじん細君さいくんほかに、筒袖つゝそでそろひの模樣もやう被布ひふをんな二人ふたりかたつてすわつてゐた。片方かたはうは十二三で、片方かたはうとをぐらゐえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ステツキるやいなや、畜生ちくしやうつて、まど飛下とびおりると、うだらう、たゝきもひしぎもしないうちに、へびが、ぱツと寸々ずた/\れてとをあまりにけて、蜿々うね/\つてうごめいた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とをで神童、十五で才子、二十はたち過ぎればなみの人、といふこともあるから、子供の時に悧巧りかうでも大人おとなになつて馬鹿ばかにならないとは限らない。だから神童と云はれるのも考へものだ」
才一巧亦不二 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
い、う、い、お、つ、う、ななあ、こことを、十一、十二……十三……
落葉日記(三場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
午後五時前にとをばかりの飛行機が引出されたが、風が強いので皆地をつて発動機モツウルの具合を試したり、滑走試験を続けたりして居る。それ砂煙すなけむりを蹴立てるので広い場内が真白まつしろに曇つて仕舞しまつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「確かとをでしたよ。十疊の廣間の床の間一パイに積んでましたよ」
とをの指もろ手挟たばさむ手裏剣のつぎつぎはやしうつ手は見えず
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
昨日きのふとをかゝつた。』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うちふるひけりとをの指
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
御堂おだうの前のとをの墓
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
花はとをまで
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
嬰兒あかんぼてのひらかたちして、ふちのめくれたあないた——あなから、くだん板敷いたじきを、むかうの反古張ほごばり古壁ふるかべ突當つきあたつて、ぎりゝとまがつて、直角ちよくかく菎蒻色こんにやくいろ干乾ひからびた階子壇はしごだん……とをばかり
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遺憾ながら、職業に逐はれてペンをとるひまがない。そこで、人に話す、その人が、それを小説に書く。僕が材料を提供した小説が、これでとをや二十はあるだらう。勿論もちろん、有名なる作家の作品でね。
創作 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「いえ、何んにも御座いません、でも三人の申合せで、間違ひの無いことになつて居ります、長崎屋の身上のとをのうち三つは私、十のうち二つは友三郎と岡さん、つまり半分だけは兄の七郎兵衞のものになるわけで」
とを、たうとうした。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
とをと七つ
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
ついちかくは、ちかく、一昔前ひとむかしまへ矢張やつぱまへ道理だうりおいとしへだてないはずはないから、とをから三十までとしても、あひだはずとも二十ねんつのに、最初さいしよつたときから幾歳いくとせても
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とをあまりまろうならべる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
で、かれこゝのツかとをとしは、小學校せうがくかう友達ともだち二人ふたりた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)