)” の例文
又人きながらにして鬼にするもあり。五八楚王そわうの宮人はをろちとなり、五九王含わうがんが母は六〇夜叉やしやとなり、六一呉生ごせいが妻はとなる。
おほよそ女といふ女のおん身の言に從はぬはあらざるべければ、しやうのものなりとも、其數には洩れぬなるべし。ジエンナロ。
見えずなればなおなつかしく、たとえ恐しきものなればとて、かりにもわが優しき姉上の姿にしたる上は、われを捕えてむごからむや。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
乾※子かんきしというのは、人ではない。人の死骸のしたるもの、すなわち前に書いた僵尸きょうしのたぐいである。雲南地方には金鉱が多い。
いつしか誰か盗んですり替えたるものと見え、中は瓦に赤銅箔しゃくどうはくを置いた土の不動としてあったから、白翁堂はアッと呆れて茫然と致し
柴のいおいに立ちかえり、本尊仏にむかい奉るといえども、観念のゆかには妄想のたちそい、称名のおん声だに、煩悩ぼんのうの息とのみ聞えたもう。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さうした暗い地上に、生魂すだまや物のと一所に住んでゐた彼等にとつて、月光がどんなに明るく、月がどれほど巨大に見えたかは想像できる。
月の詩情 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
日本の河童とは果して如何なるものので、いかなる時代に出現するというのでしょうか。そういうことをかくのです。
と、巨人は其て居る金色の雲をちぎり斷つて、昔ツオイスの神が身をした樣な、黄金の雨を二人の上に降らせ始めた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
早化はやけるるならんか)鮞水にある事十四五日にして魚となる。かたいとの如く、たけ一二寸、はらさけちやうをなさず、ゆゑに佐介さけの名ありといひつたふ。
梅子と縫子は長い時間を御粧に費やした。代助は懇よく御化粧の監督者になつて、両人ふたりそばいてゐた。さうして時々は、面白半分はんぶんひやかしも云つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この邸を包む大きな森の木という木はものすごい嵐のなかにものののように無気味な踊りをつづけた。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
虚空に奇怪な形をした雲が物ののように現れては消え、消えては現われ、それが横なぐりの風にけし飛んで、晴れた日の朝に見る雲海のようになったかと思うと
木曽駒と甲斐駒 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
その鳴ると同時、おばアさんからはうらみ抜かれて、そして今息を引きけている嫁の寝ている天井の一方にあたって、鼠ともつかずいたちともつかぬものの足音が響いた。
白い光と上野の鐘 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
そのさざめきをば、ともすると、さらりと夜風が伝えて来た。物のか幽霊のような、あやしくひそやかなその響を。異様に、恐ろしく、ひいやりと、薄気味わるく。
比日このころ天地てんちわざわひ、常に異なる事有り。思ふに朕が撫育むいくなんぢ百姓に於きて闕失けつしつせる所有らむか。今ことさらに使者を発遣ほつけんしての疾苦を問はしむ。宜しく朕がこころを知るべし。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
あしたに金光をちりばめし満目まんもくの雪、ゆうべには濁水じょくすいして河海かかいに落滅す。今宵こんしょう銀燭をつらねし栄耀えいようの花、暁には塵芥じんかいとなつて泥土にす。三界は波上のもん、一生は空裡くうりの虹とかや。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
まるで何かの物のにつかれてでもいるかのごとく、ひょうひょうふらふらと歩きだしました。
ただ願ふらくはかの如来にょらい大慈だいじ大悲だいひ我が小願の中において大神力を現じ給ひ妄言まうげん綺語きご淤泥おでいして光明顕色けんじき浄瑠璃じゃうるりとなし、浮華ふくわの中より清浄しゃうじゃう青蓮華しゃうれんげを開かしめ給はんことを。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
何處いづこ野山のやま如何いかにひろく、それうみにはのつけやうもなき大魚たいぎよありて、ひれうごかせばなみのあがること幾千丈いくせんぢやうれがまたとりしてと、めづらしきことあやしきこととりとめなくつまらなきことを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その隙から手燭を携えた緑色の被衣かつぎをかずいた女の、物のじみた姿が見えた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
昔みし田鼠むぐらうづらの山ざくらしてののちは花もちらほら
か、あまじめるにくゆるもののかをりに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
見えずなればなほなつかしく、たとへ恐しきものなればとて、かりにもわがやさしき姉上の姿にしたる上は、われを捕へてむごからむや。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
伝うるところによると、墓場などのあいだに太陰積尸たいいんせきしの気が久しく凝るときはして羅刹鳥らせつちょうとなり、好んで人の眼を食らうというのである。
と、巨人は其て居る金色の雲をちぎり断つて、昔ツオイスの神が身をした様な、黄金の雨を二人の上に降らせ始めた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
たとへ身はして土中の白骨となるとも、殿にして微衷びちゅうをわすれ給はず、おこころのうちに、ふとだにも御想起くださるなれば、重治の魂魄こんぱくは、いつなんどきたりとも
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ願うらくはかの如来にょらい大慈だいじ大悲だいひ我が小願の中において大神力を現じ給い妄言もうげん綺語きご淤泥おでいして光明顕色けんじき浄瑠璃じょうるりとなし、浮華ふかの中より清浄しょうじょう青蓮華しょうれんげを開かしめ給わんことを。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
鬼にしたる女をとらへて、今土にうづむなりとかたりしとなり。されどこれらは皆女子をんなごにて、男たるもののかかるためしを聞かず。凡そ女のさがかだましきには、さる浅ましきものにも化するなり。
又われわれによるの物のを見ることを教えてくれた。
か、雨じめる野にくゆる物のかをりに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ちり一つとしてわが眼にるは、すべてもののしたるにて、恐しきあやしき神のわれを悩まさむとて現じたるものならむ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
熊野詣りのいなか山伏と身をして、その日に、般若寺から掻き消えてしまった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
観音が僧にしてその赤子を救ひ出したといふのは、いかにも昔の伝説らしい。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
かんばしきにくらまされて、つりの糸にかかり身をうしなふ事なかれといひて、去りて見えずなりぬ。不思議のあまりにおのが身をかへり見れば、いつのまにうろこ金光きんくわうを備へてひとつの鯉魚りぎよしぬ。
のものか、夕寺ゆふでらふかこわぶりの
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ちり一つとしてわが眼に入るは、すべてもののしたるにて、恐しきあやしき神のわれを悩まさむとてげんじたるものならむ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
丁令威ていれいい遼東りょうとうの人で、仙術を霊虚山れいきょざんに学んだが、後に鶴にして遼東へ帰って来て、城門の柱に止まった。ある若者が弓をひいて射ようとすると、鶴は飛びあがって空中を舞いながら言った。
百八の熒惑星けいわくせいが、封を破って地上に宿命し、やがてその一星一星が人間として、かの梁山泊りょうざんぱくを形成し、ついに宋朝の天下を危うくするという大陸的構想の中国水滸伝すいこでんは、以上の話を発端として
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のものか、夕寺深くこわぶりの
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
我身なかばはその蝶にしたるかと、お雪は呆れ顔をして身内を見たが、にわかに色を染めてそッと少年を見ると、目を開かず。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
師として、指導のよろしきを得ねば、梵天ぼんてんの悪魔にすかも知れず、そのたまたる質のみがきによって、このすさび果てた法界の暗流あんる濁濤だくとうをすくう名玉となるかも知れない。その任を重く思うのだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……いはほそうは一まいづゝ、おごそかなる、神将しんしやうよろひであつた、つゝしんでおもふに、色気いろけある女人によにんにして、わる絹手巾きぬはんかちでもねぢらうものなら、たゞ飜々ほん/\してぶであらう。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一触 霏々ひひの虫とし飛ばさん
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)