光線くわうせん)” の例文
時候じこうと、ときと、光線くわうせんの、微妙びめう配合はいがふによつて、しかも、品行ひんかう方正はうせいなるものにのみあらはるゝ幻影まぼろしだと、宿やど風呂番ふろばんの(しんさん)がつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは太陽たいやう強烈きやうれつ光線くわうせんわたしひとみつたからではなかつた。反對はんたいに、ひかりやはらかにわたしむねつたのである……。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
覆面の眼の部には小き孔ありて此所ここより外を見たりとすれば、光線くわうせんの反射が甚く眼をがいする事はかりしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
やがあめまつたれるとともに、今度こんど赫々かく/\たる太陽たいようは、ごと吾等われらうへてらしてた。印度洋インドやうちう雨後うご光線くわうせんはまた格別かくべつで、わたくしころされるかとおもつた。
光線くわうせんるべく餘計よけいれるやうあかるくこしらへた部屋へや二側ふたがはに、手術用しゆじゆつよう椅子いす四臺よだいほどゑて、しろ胸掛むねかけをかけた受持うけもちをとこが、一人ひとりづゝ別々べつ/\療治れうぢをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ほをら あそこの山へ光線くわうせん反射はんしやさせましたよ
光線くわうせんひかりたまのめくるめき。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ける光線くわうせんつながれて
メランコリア (旧字旧仮名) / 三富朽葉(著)
うす光線くわうせん屋根板やねいた合目あはせめかられて、かすかにくすうつつたが、巨大きよだいなるこの材木ざいもくたゞたん三尺角さんじやくかくのみのものではなかつた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
是太陽の光線くわうせんが積雪の表面或は海水の表面へうめんより反射し來つて眼をがいするを豫防せんが爲なり。其原料そのげんれうには獸の皮と木との別あれど余は是等これとふを總稱して遮光器しやくわうきと言ふ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
宗助そうすけ仕立卸したておろしの紡績織ばうせきおり脊中せなかへ、自然じねんんで光線くわうせん暖味あたゝかみを、襯衣しやつしたむさぼるほどあぢはひながら、おもておとくともなくいてゐたが、きふおもしたやうに、障子越しやうじごしの細君さいくんんで
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
みちそらとのあひだたゞ一人ひとりわしばかり、およ正午しやうごおぼしい極熱ごくねつ太陽たいやういろしろいほどにかへつた光線くわうせんを、深々ふか/″\いたゞいた一重ひとへ檜笠ひのきがさしのいで、図面づめんた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くろすごなかに、紫色むらさきいろえましやう。高山かうざん何処どこもこの景色けしきです。光線くわうせん工合ぐあひです。夕立雲ゆふだちぐもではありません。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もういかんとあきらめるトタンにむねいたかつた、それから悠々いういうみづつた、するとうつとりしてなんだかわからなくなつたとおもふとぱついとのやうな真赤まつか光線くわうせんがさして
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なかには光線くわうせんもり射通いとほ工合ぐあひであらう、あをだの、あかだの、ひだがつてうつくしいところがあつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爾時そのときふねからりくわたしたいた眞直まつすぐになる。これをわたつて、今朝けさほとん滿潮まんてうだつたから、與吉よきちやなぎなかぱつあさひがさす、黄金こがねのやうな光線くわうせんに、そのつみのないかほらされて仕事しごとた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いま大塚おほつか樹立こだちはうからさつ光線くわうせん射越いこして、つゆ煌々きら/\する路傍ろばうくさへ、ちひさな片足かたあしれて、うへからりてものみちひらいて待構まちかまへると、まへとはちがひ、ゆるう、のさ/\とあらはれたは
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あでやかなかほ目前めさき歴々あり/\えて、ニツとわらすゞしの、うるんだつゆるばかり、らうする、となんにもない。たなそこさはつたのはさむあさひ光線くわうせんで、はほの/″\とけたのであつた。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)