おお)” の例文
おおせの通り掃除口の検査をしましたら、意外にも重大な手がかりを得ました。先ず第一に糞壺の中に、いた物が沢山ありました」
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
貴顕の方々がそれらの作品を好んでいるとおおせられた時にである! 大公爵はその無礼な言葉を片付けるために、冷やかに言われた。
こういう事のあったあとだからというので、とびの者や力自慢の道具方など、りすぐった七人の者が、寝ずの番をおおせつかったのだ。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「どうじゃ、ちん運命うんめいてもらおう。ちんほど、しあわせのものは、またとこのなかにあるまいとおもうが。」とおおせられました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あまりに不意な、あまりにだしぬけでございましたから、故意にそうおおせられるのではないかと、そうも取れるのでございました。
玉章 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
もし尋ね出さずして帰り候わば、父の代りに処刑いたすべしとおおせられ、伝兵衛諸国を遍歴せしに廻り合わざる趣にてまかり帰り候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そして御主人ごしゅじんからつよさむらいをさがしていというおおせをけて、こんなふうをして日本にほん国中くにじゅうをあちこちとあるきまわっているのでした。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いつもならもう一時間早く引上げられる筈だったが今日はあれもこれもと見学やら手伝いやらをおおせ付かってたいへん遅くなった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「謙信様はわたしどもにとって、恩ある故主様ではございませんか。ほかに云いようもありましょうに、野蛮人などとおおせられて……」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『実に結構なものじゃの。東京では見たことも聞いたこともない。早速あがない求めて屋敷へ送るがよいぞ』と大殿様がおおせになりました。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「や? これはおおせ。あなたを呉へお伴れして参ってから以来、それがしはまだあなたを欺いたことなど一度もないつもりですが」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なおしからざるを申せば、帝ふるき事を語りたまいて、なんじ亮にあらずというや、とおおす。亮胸ふさがりて答うるあたわず、こくして地に伏す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「老臣がたは城へたてこもって防ぎ戦うがよろしいという御意見のようでござります。本多ほんださま酒井さかいさまはおし出して決戦するとおおせです」
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
すると、こちらからはべつなんともおねがいしたわけでもなんでもないのに、ある突然とつぜん神様かみさまから良人おっとわせてやるとおおせられたのでございます。
憐れみ深い開山聖人さまが、それ程までして取戻せともおおせあるまい。御影像取戻しに就いてはまた折れ合う時節もあろう。
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
王女はおおせを聞いて、さっそく、死の水を王さまにふりかけて、それから、命の水をかけて生きかえらせてお上げしました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「今葦原の中心の國は平定し終つたと申すことである。それ故、申しつけた通りに降つて行つてお治めなされるがよい」とおおせになりました。
弟子たちは現今の人間の如く自意識が発達していなかったためか、そのおおせをかしこみて、頗る謹厳丁重に指図さしずを待って描き上げるのであった。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
それ、頼まるれば越後から米搗こめつきにさえ出て来る位、分けて師の内室うちぎみおおせであるのに、お夏は顔の色を変えてためらった。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くだす」も、「おおす」も同様だ。源氏物語などには、天皇の行為についても「遣す」「下す」「仰す」で処理してゐる。
忘られぬお国言葉 (新字旧仮名) / 池田亀鑑(著)
大きなもくろみが出来ぬと見える——と、まあ、あの方々でござりますから、そんな無遠慮なこともおおせられておりました
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
御親父ごしんぷ飯島平左衞門へいざえもん様にお話を申上もうしあげましたれば、平左衞門様はく斬ったとおおせありて、それからすぐにおかしらたる小林權太夫こばやしごんだゆう殿へお届けに及びましたが
文答師は難波津なにわづに着いてこの由を官を経て奏上した。皇后がおおせられるに、わたくしは大臣の少女むすめ、皇帝の后宮である。どうして異国大王の賢使などに逢えよう。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
大君のにこそ、とは日本のひと全部の、ひそかな祈願の筈である。さして行く笠置かさぎの山、とおおせられては、藤原季房ならずとも、泣き伏すにきまっている。
一灯 (新字新仮名) / 太宰治(著)
乱世ともならば月を眺めて泣く若侍もひとりや二人は出て参ろうわとおおせあった謎のようなあの御言葉だけでも分る筈じゃ。たしかにもう御気付きなされたぞ
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
韓蘇紫兼かんそしけんの筆恐くは田夫野老の舌に及ばざらん、又他の一例を引んに、後醍醐天皇新田義貞に勾当こうとうの内侍を賜わる、義貞歓喜よろこびの余り「さればねとのおおせかや」
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
まあ少し歩きながら話そうとのおおせで、わたくしの差上げました御消息ぶみ七八通を、片はしよりひらかれてお眼を走らせながら、坂を足早に登って行かれます。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
私が八九年以前から、内々山人の問題を考えているということを、喜田きだ博士が偶然に発見せられ、かかる晴れがましき会に出て、それを話しせよとおおせられる。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
えい! 何というおおせだ。この忠直が御先おさきを所望してあったを、お許されもせいで、左様な無体むたいを仰せらるる。所詮は、忠直に死ね! というお祖父様の謎じゃ。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「昨日あなたは、縞の子猫で大きな耳をしているのがしいとおおせでありましたから……このとおり、手に入れたのであります。男子の一言——でありますから」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「君の弟さんには会ったことがないからどんな性格の人物かわからんが、あるいはこれを機会に、君へ遠島をおおせつけた気でいるんじゃないかい? そうだと困るね」
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
もしってとのおおせならば、越前に代って、南町奉行を余人に申しつけ下されく、越前が、職におりまする限り、御老中の仰せ、公方くぼう様の仰せで御座りましょうとも
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
本来ならばそんな事は、恐れ多い次第なのですが、御主人のおおせもありましたし、御給仕にはこの頃御召使いの、兎唇みつくちわらべも居りましたから、御招伴ごしょうばんあずかった訳なのです。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
妾に会わんとおおせらるるも多分はこの物好きのおん興じにやと心許こころもとなく存じ候えども、あまりのうれしさに兎角の分別もでず、唯仰せに従い明夜は必ず御待ち申すく候。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
僕等の学問というは、おおせのごとくかなしき事に候えども、職業のための学問に違いなく学校へ出なければ職業が得られぬように思われ候うところがはずかしく切なく候う。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「何ぞ、御用がござりましたなら、おおせつけ下さるようにとの伯母の申しつけでござりまする」
「ハハハハ君のような計画好きでもそこまでは聞かなかったと見えるね。千慮の一失か。それじゃ、おおせに従って渡るとするかな。君いよいよ登りだぜ。どうだ、歩行あるけるか」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
以後はおおせのままに従うべければ、何とぞ誓いし諸氏の面目を立てしめ給え、と種々に哀願して僅かにその承諾は得てしかど、妾はそれより二階の一室にめの身となり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
その鏡というものは自由自在に人の姿を写し取るもので、大昔世界の初めに出来た石の神様の胸から現われ出たものだが、今度王様が是非その鏡が御入り用だとおおせ出された。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
斯様こうなると、男でも独りでは、方返しがつかないので、此方へお手伝御用をおおせ付かる。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
「かわいそうに! 気の毒な人だね。わしが、おまえの子どもに洗礼せんれいをさずけてあげよう、その子どものめんどうをみて、この世で幸福しあわせなものにしてあげよう」と、おおせになりました。
それにとりわけこのたびの御趣意と申すは上下こぞって諸事御倹約を心掛けいという思召おぼしめし故、それぞれ家業に精を出し贅沢ぜいたくなことさえ致さずば、さして厳しい御詮議ごせんぎにも及ぶまいとのおおせ。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
当分私はこの家の女中代りの役をおおせつかるかも知れないが、でも、とにかく大叔父は今、もし私がそうすると言えば私の世話を見てくれる気持ちでいることだけは確かであるように思う。
フィールス はい、何とおおせで? (嬉しそうに)奥さまがお帰りになりました! お待ち申した甲斐かいあって。これでもう、死んでも思い残すことはありませんわい。……(嬉し泣きに泣く)
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
光永寺と云う真宗寺しんしゅうでらに同藩の家老が滞留中、ある日市中の芸妓げいぎか女郎か五、六人も変な女を集めて酒宴の愉快、私はその時酒を禁じて居るけれども陪席御相伴ごしょうばんおおせ付けられ、一座杯盤狼藉はいばんろうぜきの最中
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「草木を見よとおおせられますと、草木を……」
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「拙者に何かおおせられましたか」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そらほしが、一らぐようじゃ。」と、おおせられたのです。また、そのあおたまからはなつ、一つ、一つのひかりに、をとめられて
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうもそれはけしからんおおせです。かりそめにも、科学と技術とをもっておつかえする油学士であります。そんな妖術などを、誰が……」
「なんでもこのもんやぶれというおおせをうけたわけでもないのだから、そんならんぼうもののいないほかもんかうことにしよう。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)