トップ
>
辱
>
はずか
ふりがな文庫
“
辱
(
はずか
)” の例文
陵の叔父(李広の次男)
李敢
(
りかん
)
の最後はどうか。彼は父将軍の
惨
(
みじ
)
めな死について衛青を
怨
(
うら
)
み、自ら大将軍の邸に
赴
(
おもむ
)
いてこれを
辱
(
はずか
)
しめた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
辱
(
はずか
)
しめに怒っているふうでもない。そのクララは東京生れというのがうそじゃないらしい、ほっそりとした
華奢
(
きゃしゃ
)
な身体つきだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それは彼女にも苦痛な思出であったであろう。それかあらぬか
噂
(
うわさ
)
には、折々川上が貞奴に
辱
(
はずか
)
しめられていたこともあるといわれた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
文明の淑女は人を馬鹿にするを第一義とする。人に馬鹿にされるのを死に
優
(
まさ
)
る不面目と思う。小野さんはたしかに淑女を
辱
(
はずか
)
しめた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その人に私を
辱
(
はずか
)
しめる気持はなかったのであるが、流石に私は恥でカアッとなった。私のような奴を
高邁
(
こうまい
)
の精神がないというのであろう。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
▼ もっと見る
『なんじゃ! 五万三千石の浅野家ともあろうものが、巻絹一台の手土産とは、何事だ。高家筆頭の吉良の玄関を
辱
(
はずか
)
しめるにも程がある』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天国は万事に於て此世の正反対である、此世に於て崇めらるる者は彼世に於て
辱
(
はずか
)
しめらる、此世に於て迫害らるる者は彼世に於て
賞誉
(
ほめ
)
らる
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
いやで添わされた亭主持ち、金で
辱
(
はずか
)
しめられた女の仕返し、そんな事も有り得ることなんですが、あの舟のは、そんなんでもないようです。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分は今の身の上に満足しているものではないが、妹のような
辱
(
はずか
)
しめもあるいは受けそうであった境遇にいたにもかかわらず
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
娘が二人
辱
(
はずか
)
しめられ、村中の若い女は震え上り、
年頃
(
としごろ
)
の娘をもつ親は急いで東京に奉公に出すやら、無銭飲食を恐れて急に酒樽を隠すやら
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その結局は我が本国の品価を低くして、全国の兄弟ともにその禍を蒙るのみならず、二千余年の独立を保ちし先人をも
辱
(
はずか
)
しむるにいたるべし。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかし、おせんはもうびくともしなかった、お地蔵さまの前で受けたような
辱
(
はずか
)
しめのあとでは、そんな蔭口や
誹謗
(
ひぼう
)
くらいなんでもないことだ。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
闇の中に取残されたお梶は、人間の女性が受けた最も皮肉な残酷な
辱
(
はずか
)
しめを受けて、闇の中に石のように、突立っていた。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
祖父を
辱
(
はずか
)
しむることはできない、また、父の
讐
(
あだ
)
を報じないで捨ておくことも同じくできない。一方には神聖なる墳墓があり、他方には白髪がある。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ガンベッタは曰く「看よ看よいつか汝に向かってセダンの
辱
(
はずか
)
しめ、パリ城下の
恥
(
はじ
)
をばひとたび
雪
(
すす
)
がずしておくべきか」
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
あなたのお手紙が高尚であるのと、あなたが
軽率
(
けいそつ
)
な行為をもってわたくしをお
辱
(
はずか
)
しめなさりたくないとおっしゃることを、わたくしは嬉しく存じます。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
音楽上のユダヤ人らは、
辱
(
はずか
)
しめの衣裳を着せられた後にその
肖
(
すがた
)
を焼かれていた。巨人ヘンデルも
笞刑
(
ちけい
)
を受けていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
莫迦
(
ばか
)
者!」と突然それを聞くと、美作は怒声を筒抜かせた。「
辱
(
はずか
)
しめたのか! なぜそのようなことをしたか!」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
可哀そうがられるべきだと云われつつ、気の毒な人が堪らないような
辱
(
はずか
)
しめを蒙らなければならないのを知った。
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この単純な魂を、この高貴な魂を、なぜそなたらは、あざむき、
辱
(
はずか
)
しめ、苦しめるのか。女帝の顔はにわかに変った。清麻呂をはったと睨みすくめていた。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
塙団右衛門
(
ばんだんえもん
)
ほどの
侍
(
さむらい
)
の首も
大御所
(
おおごしょ
)
の実検には
具
(
そな
)
えおらぬか?
某
(
それがし
)
も
一手
(
ひとて
)
の大将だったものを。こういう
辱
(
はずか
)
しめを受けた上は必ず
祟
(
たた
)
りをせずにはおかぬぞ。……
古千屋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お品の決心にも
拠
(
よ
)
りどころがあります。親父の利助に代って、十手捕縄を
辱
(
はずか
)
しめないためには、
生命
(
いのち
)
を的の仕事に飛込むのも
已
(
や
)
むを得ないことだったのです。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蝶吉は
閨
(
ねや
)
を
透見
(
すきみ
)
したものを、
辱
(
はずか
)
しめ、且つ自分のしどけなかったのを
愧
(
は
)
ずるごとき、荒ッぽい調子であったが、また自ら
危
(
あやぶ
)
んで、罪の宣告を促して弱々しく
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又大伴……万一
敵
(
かたき
)
ではないか知らん……たとえ敵であればとて、先程の手並では
迚
(
とて
)
も及ばぬ女の悲しさ、
寧
(
いっ
)
そ
辱
(
はずか
)
しめられぬ其の内に、おゝ
左様
(
そう
)
じゃ左様じゃ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
惣領の筍伸び……
乃公
(
おれ
)
は惣領だなと考え、惣領は甚六、事によると、甚六の名を
辱
(
はずか
)
しめないかも知れないと思ったら、少し心細くなった。実は僕に苦労がある。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
満ち足るまでに
辱
(
はずか
)
しめを受けることにある。不法と虐待によりて取り去られることにある。抗弁ではなく、従順にある。イエス様は腹を
定
(
き
)
めておられるのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
その小鳥が網を張って待っていた番人の家へ出掛けて行って、
前
(
さき
)
の約束を断ろうとすると——獣欲で
饑渇
(
うえかわ
)
いた男のことですから
堪
(
たま
)
りません、復たお隅は
辱
(
はずか
)
しめられました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
われ
家
(
いえ
)
を継ぎいくばくもなくして妓を妻とす。家名を
辱
(
はずか
)
しむるの罪元より
軽
(
かろ
)
きにあらざれど、如何にせんこの妓心ざま
素直
(
すなお
)
にて唯我に
事
(
つか
)
へて過ちあらんことをのみ
憂
(
うれ
)
ふるを。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
言ッちゃアからかいますのサ。それでもネ、そのたんびに私が
辱
(
はずか
)
しめ辱しめ
為
(
し
)
い為いしたら、あれでも些とは
耻
(
は
)
じたと見えてネ、この頃じゃアそんなに言わなくなりましたよ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
文麻呂 こんな素晴しい神秘の境で、
燦
(
きら
)
めく恋の
桂冠
(
けいかん
)
を獲得しようと云う君は全く幸福だ。また、同時に同じ場所で父の仇敵を思いのままに
辱
(
はずか
)
しめてやれると云うこの僕も幸運だ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
今まで庸三の耳に入り、目に映る葉子の批評は、どれも葉子を汚らわしい女として
辱
(
はずか
)
しめるようなものばかりであったが、それは正直にそうとばかり取れないようなものであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
太守様は御不例の所を、押して長髪のまま大阪へお越になり、直ちにフランス軍艦へ御挨拶にお出になって、そのまま御帰国なされた。君
辱
(
はずか
)
しめらるれば臣死すとも申すではないか。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
親戚全体が巻きこまれるか、少なくとも徹底的に
辱
(
はずか
)
しめられるんだぞ。ヨーゼフ、しっかりしておくれ。お前のどうでもいいというような態度は、わしから正気を奪ってしまうほどだ。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
女従わざれば迷薬呪語もて動くも得ざらしめ
辱
(
はずか
)
しむ。女名を敗るを
畏
(
おそ
)
れついに口外せず。かくのごとく数夕してすなわち他処に移る故久しくても敗れず。男子の声を聞かば
奔
(
はし
)
り避けた。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「
死屍
(
しし
)
を
辱
(
はずか
)
しめず」という
諺
(
ことわざ
)
を忘れたわけではなかったが、非戦闘員である彼等市民の上に加えられた
昨夜来
(
さくやらい
)
の、米国空軍の暴虐振りに対して、どうにも我慢ができなかったのだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
生
(
い
)
きて
居
(
い
)
る
時
(
とき
)
にはさんざん
悪口
(
わるぐち
)
を
言
(
い
)
われたものが、
死
(
し
)
んでから
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
讃
(
ほ
)
められたり、
又
(
また
)
その
反対
(
あべこべ
)
に、
生前
(
せいぜん
)
栄華
(
えいが
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
たものが、
墓場
(
はかば
)
に
入
(
い
)
ってからひどい
辱
(
はずか
)
しめを
受
(
う
)
けたりします。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
健気
(
けなげ
)
なむす子よと言い送り度い。年少で親を離れ異国の都で、よくも路を尋ね、向きを探って正しくも
辿
(
たど
)
り行くものである。
辛
(
つら
)
いこともあったろう。
辱
(
はずか
)
しめも忍ばねばならなかったろう。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
曰く、
吾
(
われ
)
聞く、前代の大臣の吏に下さるゝや、多く自ら引決すと。身は高皇帝の子にして、南面して王となる、
豈
(
あに
)
能
(
よ
)
く
僕隷
(
ぼくれい
)
の手に
辱
(
はずか
)
しめられて生活を求めんやと。
遂
(
つい
)
に
宮
(
きゅう
)
を
闔
(
と
)
じて自ら
焚死
(
ふんし
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
つまりその一句と云うのが、『
ルクレチア盗み
(
レイプ・オヴ・ルクリース
)
』という
沙翁
(
シェークスピア
)
の劇詩の中にあって、
羅馬
(
ローマ
)
の
佳人
(
かじん
)
ルクレチアがタルキニウスのために
辱
(
はずか
)
しめをうけ、自殺を決意する場面に現われているからなんだ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
いつもいつも
辱
(
はずか
)
しめられる終業式に。でも今年は何らの苦痛もなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
わしの父母の家をつぶし、
辱
(
はずか
)
しめをあたえ、狂い死にをさせたほどの人なのだ。お前も、そういう人の子に生れたが因果——そのかわり、わしは、いのちに代えても、お前に、辛い目は見せぬ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
あの男は、他でも女を
嚇
(
おど
)
かして、女を
辱
(
はずか
)
しめて、殺して捨てて来たのだろう。そう考えると、傍に鬼あざみの花が毒々しく咲いている、その色合が、あの男の頬や唇の色によく似ていたと思った。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
毎時
(
いつ
)
でもお前には陰険なわけへだてが附きまつわっているから。お前は憎まれていい。
辱
(
はずか
)
しめられていい。悪魔視されていい。然しお前の心の隅の人知れぬ苦痛をそっと
眺
(
なが
)
めてやる人はないのか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そんなことは
無
(
な
)
い、
例
(
たと
)
えば
御覧
(
ごらん
)
なさい、
貴方
(
あなた
)
が
中風
(
ちゅうぶ
)
にでも
罹
(
かか
)
ったとか、
或
(
あるい
)
は
仮
(
かり
)
に
愚者
(
ぐしゃ
)
が
自分
(
じぶん
)
の
位置
(
いち
)
を
利用
(
りよう
)
して
貴方
(
あなた
)
を
公然
(
こうぜん
)
辱
(
はずか
)
しめて
置
(
お
)
いて、それが
後
(
のち
)
に
何
(
なん
)
の
報
(
むくい
)
も
無
(
な
)
しに
済
(
す
)
んでしまったのを
知
(
し
)
ったならば
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
辱
(
はずか
)
しめるものではありませんか。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「帰るのは
易
(
やす
)
い。だが、また
辱
(
はずか
)
しめを見るだけのことではないか?
如何
(
いかん
)
?」言葉半ばにして衛律が座に
還
(
かえ
)
ってきた。二人は口を
噤
(
つぐ
)
んだ。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ここへ来ては、病床の師を
辱
(
はずか
)
しめ、隅田河原では、同門の者を四名も討った——あの佐々木小次郎ずれを、何でそのままに置けるものでしょうか。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と宗近君が云い切らぬうちに、怒の
権化
(
ごんげ
)
は、
辱
(
はずか
)
しめられたる女王のごとく、書斎の真中に突っ立った。六人の目はことごとく紫の絹紐にあつまる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分はふだん理不尽に
辱
(
はずか
)
しめられることが多い……僕はこの時もまたそういう、そしてそれはもう巡査を対象としたものではない感情にとらわれました。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
不当な
辱
(
はずか
)
しめを受けたかのようでもあった。不当に親切にされることは、たしかに恥ずかしく屈辱的なことだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
辱
常用漢字
中学
部首:⾠
10画
“辱”を含む語句
恥辱
侮辱
凌辱
屈辱
耻辱
醜辱
忍辱
汚辱
辱知
侮辱的
穢辱
屈辱的
御恥辱
栄辱
雪辱
国辱
寵辱
慈悲忍辱
柔和忍辱
國辱
...