巴里のむす子へパリのむすこへ
巴里の北の停車場でおまえと訣れてから、もう六年目になる。人は久しい歳月という。だが、私には永いのだか短いのだか判らない。あまりに日夜思い続ける私とおまえとの間には最早や直通の心の橋が出来ていて、歳月も距離も殆ど影響しないように感ぜられる。私 …
題名が同じ作品
巴里のむす子へ (新字新仮名)岡本かの子 (著)