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足許
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あしもと
ふりがな文庫
“
足許
(
あしもと
)” の例文
こんどは少し大声で呼ぶと、何と感づいたかN君は、何か落し物でもしたように、
足許
(
あしもと
)
へ顔を
俯
(
うつ
)
むけてグルグル舞いをするのである。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
向う岸で
法螺
(
ほら
)
の貝を吹き出すと、やがてこちらでも、いつのまにか、田山白雲のつい
足許
(
あしもと
)
から同じ貝の音がすさまじく響き出しました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「しようがないね、その敵のため、ぼくたちははじめから
捕虜
(
ほりょ
)
になってしまって……おや、へんだね、
足許
(
あしもと
)
がゆらいでいるじゃないか」
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
諏訪 あんまり言いなりになるようで莫迦々々しいんだもの、妾達、始終家を空けるもんで、
足許
(
あしもと
)
をみてるんだわ。きっとそうよ。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
これを
聞棄
(
ききず
)
てに、今は、ゆっくりと
歩行
(
ある
)
き出したが、雨がふわふわと思いのまま軽い風に浮立つ中に、どうやら
足許
(
あしもと
)
もふらふらとなる。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
己が少しでもそれを心に感じたのだと思って貰うと大違いだ。(主人は手紙の束を死の
足許
(
あしもと
)
に投げ付く。手紙床の上に飛び散る。)
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
西山東山、そんな遠くは言わずもがな、
足許
(
あしもと
)
の水桶さえも定かではない。恐しい深い霧だ、天地はただ明るい鼠色に塗られてしまった。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
みを子は母親の肩に掴まって、危ぶない
足許
(
あしもと
)
を踏みしめて、警察の段々を降りた。外に出ても母親はハンカチを眼頭に宛てて泣いていた。
母親
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
此時
(
このとき
)
にふと
心付
(
こゝろつ
)
くと、
何者
(
なにもの
)
か
私
(
わたくし
)
の
後
(
うしろ
)
にこそ/\と
尾行
(
びかう
)
して
來
(
く
)
る
樣子
(
やうす
)
、オヤ
變
(
へん
)
だと
振返
(
ふりかへ
)
る、
途端
(
とたん
)
に
其
(
その
)
影
(
かげ
)
は
轉
(
まろ
)
ぶが
如
(
ごと
)
く
私
(
わたくし
)
の
足許
(
あしもと
)
へ
走
(
はし
)
り
寄
(
よ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私たちがそういう林の中の空地の一つへ
辿
(
たど
)
り着いた時、
突然
(
とつぜん
)
、一つの小石が
何処
(
どこ
)
からともなく飛んで来て私たちの
足許
(
あしもと
)
に落ちた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
誰が、自分のすぐ
足許
(
あしもと
)
から、平家の今の権勢に対して、弓をひくほどな不敵な行動をしようと、安心しきっているのであった。ところが
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勘次
(
かんじ
)
が
走
(
はし
)
つて
鬼怒川
(
きぬがは
)
の
岸
(
きし
)
に
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
は
霧
(
きり
)
が一
杯
(
ぱい
)
に
降
(
お
)
りて、
水
(
みづ
)
は
彼
(
かれ
)
の
足許
(
あしもと
)
から二三
間
(
げん
)
先
(
さき
)
が
見
(
み
)
えるのみであつた。
岸
(
きし
)
には
船
(
ふね
)
が
繋
(
つな
)
いでなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして
足許
(
あしもと
)
には
薪割
(
まきわ
)
り用の台があって、その上に欠け皿がひとつおいてある、——どうするかと、
眸
(
ひとみ
)
をこらして見まもる
刹那
(
せつな
)
。
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其晩は鼻を
掴
(
つ
)
まゝれる程の闇で、
足許
(
あしもと
)
さへも覚束なかつた。丑松は先に立つて、提灯の光に夜路を照らし乍ら、山深く叔父を導いて行つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その根元の小高い丘の上に……今私の立っているこの
足許
(
あしもと
)
に、もはや姉と妹ととは争いもなく、平和に眠っているのであろう。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
僕はいい気味で、もう一つ八っちゃんの頬ぺたをなぐりつけておいて、八っちゃんの
足許
(
あしもと
)
にころげている
碁石
(
ごいし
)
を大急ぎでひったくってやった。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すぐ前に青々として目の醒めそうな日本海の波は、ど、どん、どどんと
足許
(
あしもと
)
まで、打ち寄せる浜辺に出るのであります。
嵐の夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
然し男は「ままよ」の安心で、大戸の中の
潜
(
くぐ
)
り
戸
(
ど
)
とおぼしいところを女に従って、ただ
只管
(
ひたすら
)
に
足許
(
あしもと
)
を気にしながら入った。女は一寸
復
(
また
)
締りをした。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
注意ぶかく次第に接近するにつれて、双方は何か対立する気配を
嗅
(
か
)
ぎ取った。ぴたッと立ちどまっていた。ざくりと
足許
(
あしもと
)
の砂がくだけるのである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
色の
褪
(
あ
)
せた粗末な
革鞄
(
トランク
)
をほとんど投げ出すように彼の
足許
(
あしもと
)
へ置くと、我慢がしきれないと云ったように急いで顔や手に流れている汗を手拭でふいた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
その上
足許
(
あしもと
)
も不確かで、ヒョロヒョロと行っては、ぬかるみに足を取られて、泥の中へヘタヘタと坐ったりしました。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから彼は
足許
(
あしもと
)
に落ちた
空
(
から
)
の財布を踏んで、つかつかと
賭博台
(
とばくだい
)
の前に進んで行きました。そこには三十九の無気味な
機会
(
チャンス
)
が彼を待っているのです。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
食物は足附きの大きな台に幾つでも並べて、
被
(
おお
)
いなどはしないで、それを男が頭の上に乗せ、柄の長い提灯で
足許
(
あしもと
)
を照しながら、さっさと歩きます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
あの狐のような玉島が赤い血潮を流しながら、彼の
足許
(
あしもと
)
でヒクヒクと四肢を顫わして、息の絶えて行く哀れな姿を思い浮べると、彼は
鳥渡
(
ちょっと
)
愉快だった。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
まっ黒な背景の中に、
緋
(
ひ
)
の
衣
(
ころも
)
の様な、真赤な道化服を着た一寸法師が、大の字に立ちはだかっていた。その
足許
(
あしもと
)
には血糊のついたダンビラが転っていた。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ふたりは怪しい蝶の行くえを追って行くとき、留吉は
足許
(
あしもと
)
に倒れている石塔につまずいて横倒しにどっと倒れた。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
五六歩行くと、彼は
躓
(
つまず
)
いた。見ると、
足許
(
あしもと
)
に木乃伊がころがっている。彼は、またほとんど何の考えもなしにその木乃伊を
抱起
(
だきおこ
)
して、神像の台に
立掛
(
たてか
)
けた。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
出口を
塞
(
ふさ
)
がれたような青春の情熱が
燻
(
くすぶ
)
り、乏しい才能が
徒
(
いたず
)
らに掘じくり返された。彼はいつとなし自身の
足許
(
あしもと
)
ばかり見ているような人間になってしまった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
雨粒の身になって見れば、
足許
(
あしもと
)
に吸取紙が見えてから急に騒ぎ出したって、本当に眼のある人から見られたら、それはいかにも愚かな仕業にうつるであろう。
雨粒
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
「鳴鶴くらい書けるのですか」というから「鳴鶴くらいじゃない。鳴鶴が
足許
(
あしもと
)
にも追っつかないのだ」
よい書とうまい書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
一見
分明
(
ぶんみょう
)
である、
足許
(
あしもと
)
から山上までの直径の高さは、モン・ブラン以上である(移民時代の一愛山家は、「シャスタに登ってモン・ブランを笑ってやれ」と言った)
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
足許
(
あしもと
)
の
箒
(
ほうき
)
だの、頭の上からさがって来ているものを
掻
(
か
)
きわけて、一間たらずの土間の隅につれてゆくと、並んでいる箱の
硝子蓋
(
ガラスぶた
)
をとって中の駄菓子をとれと教えた。
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
Kと私とは崩壊した家屋の上を乗越え、障害物を
除
(
よ
)
けながら、はじめはそろそろと進んで行く。そのうちに、
足許
(
あしもと
)
が
平坦
(
へいたん
)
な地面に達し、道路に出ていることがわかる。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼等は
足許
(
あしもと
)
に埃を舞はせながら白白とした野路を歩き出した。実枝は
日傘
(
ひがさ
)
を
翳
(
かざ
)
した。礼助と兄とは
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしよ
)
つてゐた。礼助はステツキで向う手の山を指しながら云つた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
着流し
散髪
(
ざんぱつ
)
の男がいかにも思いやつれた
風
(
ふう
)
で
足許
(
あしもと
)
危
(
あやう
)
く歩み出る。女と
摺
(
す
)
れちがいに顔を見合して
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
讀者よ、アデェルがずつと今迄私の
足許
(
あしもと
)
の足臺に
温和
(
おとな
)
しく坐つてゐたと想像はなさらないだらう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そして左側には硯に筆を添え、それと並べて
反古
(
ほご
)
のような紙の巻いたのを置いてある。また
足許
(
あしもと
)
には焼火したらしい枯枝の燃えさしがあって、糸のような煙が立っている。
涼亭:――序に代へて――
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「へいへい、
合点
(
がってん
)
でげす。
月
(
つき
)
はなくとも
星明
(
ほしあか
)
り、
足許
(
あしもと
)
に
狂
(
くる
)
いはござんせんから
御安心
(
ごあんしん
)
を」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
あぶない横這いの
足許
(
あしもと
)
、油断のない久太夫の手許、師走のさなかに大汗になり「この通り、この通り」と手を擦りあわせ、これはもう必死の形相でジリジリと
居所変
(
いどころが
)
えをしている。
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
足許
(
あしもと
)
から鳥が立つような
慌
(
あわただ
)
しさの中にも、八という末広がりの日を選んで、世間なみの式を挙げることになった。その日家を出るときミネは、彼女の唇にうすく口紅をつけてやった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
まだしも彼と
相識
(
ちかづき
)
になってくれるかも知れないが、もう
勅任官
(
ちょくにんかん
)
の位を
贏
(
か
)
ち得たほどの人物だったら、おそらく、誰でも自分の
足許
(
あしもと
)
に這いつくばうものに向って傲然として投げつける
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
歩く
足許
(
あしもと
)
さえおぼつかなく、言葉もウマウマとか、イヤイヤとかを言えるくらいが関の山で、脳が悪いのではないかとも思われ、私はこの子を銭湯に連れて行きはだかにして抱き上げて
ヴィヨンの妻
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その
外
(
ほか
)
には飛び飛びに立っている、小さい
側栢
(
ひのき
)
があるばかりである。
暫
(
しばら
)
く照り続けて、広小路は往来の人の
足許
(
あしもと
)
から、白い
土烟
(
つちけぶり
)
が立つのに、この塀の
内
(
うち
)
は打水をした
苔
(
こけ
)
が青々としている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
煙
(
けむ
)
が散った
後
(
あと
)
で、見ると、
足許
(
あしもと
)
に、猫がたった一つの眼で彼を見据えている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
出るわ/\、二足行ってはかさ/\/\、五歩往ってはくゎさ/\/\、烏蛇、山かゞし、地もぐり、あらゆる蛇が彼の
足許
(
あしもと
)
から右左に逃げて行く。まるで蛇を踏分けて行くようなものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
足許
(
あしもと
)
を探り探り上って行く私を、中段で待ち受けながら
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
壮士の額にはようやく汗が
滲
(
にじ
)
んできた、それと共に気がジリジリと
焦
(
じ
)
れ出すのがわかります。この時、竜之助の
足許
(
あしもと
)
がこころもち進む。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
壇
(
だん
)
を
落
(
お
)
ちるやうに
下
(
お
)
りた
時
(
とき
)
、
黒
(
くろ
)
い
狐格子
(
きつねがうし
)
を
背後
(
うしろ
)
にして、
婦
(
をんな
)
は
斜違
(
はすつかひ
)
に
其處
(
そこ
)
に
立
(
た
)
つたが、
呀
(
あ
)
、
足許
(
あしもと
)
に、
早
(
は
)
やあの
毛
(
け
)
むくぢやらの
三俵法師
(
さんだらぼふし
)
だ。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
スコール艇長の長い
髯
(
ひげ
)
がばさりと下に落ちた。つづいて右の頬ひげが脱落した。それから右の口ひげも、顔からはなれて
足許
(
あしもと
)
に落ちた。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おゆう、わしをあの木蔭の茶室まで、連れて行け。……
足許
(
あしもと
)
もおぼつかないほど酔うてしまった。そなたの手で、茶を一ぷくもらおう」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
許
常用漢字
小5
部首:⾔
11画
“足”で始まる語句
足
足袋
足下
足音
足掻
足駄
足利
足蹴
足跡
足痕