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臥床
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ふしど
ふりがな文庫
“
臥床
(
ふしど
)” の例文
我
臥床
(
ふしど
)
の跡を見、媼が經卷
珠數
(
じゆず
)
と共に藏したる我畫
反古
(
ほご
)
を見、また爐の側にて燒栗を噛みつゝ昔語せばやとおもふ心を聞え上げぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
臥床
(
ふしど
)
の中で、私はひとり目を醒ました。夜明けに遠く、窓の鎧扉の隙間から、あるかなきかの侘しい光が、幽明のやうに影を映して居た。
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
腕と手とを組み合わせ、輝ける空の下を、愛の
臥床
(
ふしど
)
へ連れだってもどり来るおりの、
美
(
うる
)
わしい
夕
(
ゆうべ
)
の夢想。風は
灌木
(
かんぼく
)
の枝をそよがしている。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あゝ
幸
(
さち
)
多き女等よ、彼等は一人だにその墓につきて恐れず、また未だフランスの故によりて
獨
(
ひと
)
り
臥床
(
ふしど
)
に殘されず 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
緋
(
ひ
)
いろ勝ちの
臥床
(
ふしど
)
の上に、
楚々
(
そそ
)
と起き直っている彼女を一目見て、なるほど
公方
(
くぼう
)
の
寵
(
ちょう
)
をほしいままにするだけの、一代の美女だと思った。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
お小夜は食事あたたかく父に満足させて後、病母の
臥床
(
ふしど
)
をも見舞い、それから再び庭場におりて米を
搗
(
つ
)
き始めた。父は驚いて
新万葉物語
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
三階に
上
(
あが
)
る。部屋の隅を見ると冷やかにカーライルの
寝台
(
ねだい
)
が
横
(
よこた
)
わっている。青き
戸帳
(
とばり
)
が物静かに垂れて
空
(
むな
)
しき
臥床
(
ふしど
)
の
裡
(
うち
)
は
寂然
(
せきぜん
)
として薄暗い。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
臥床
(
ふしど
)
を出るや否やいそいで
朝飯
(
あさはん
)
を
準
(
ととの
)
えようと
下座敷
(
したざしき
)
へ降りかけた時
出合頭
(
であいがしら
)
にあわただしく
梯子段
(
はしごだん
)
を上って来たのは年寄った宿の妻であった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これはよろしく職掌がらの目明しの万吉がいい相談相手であろうと、自分は精神的に慰めだけをいうに止めて、先へ
臥床
(
ふしど
)
へ入ってしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八歳
(
やっつ
)
の昔なれば、母の
姿貌
(
すがたかたち
)
ははっきりと覚えねど、始終
笑
(
えみ
)
を含みていられしことと、臨終のその前にわれを
臥床
(
ふしど
)
に呼びて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
叔母や
従同胞等
(
いとこら
)
は日が暮れて間もなく寝て了ふのだから、酔つた叔父は暗闇の中を手探り足探りに、
己
(
おの
)
が
臥床
(
ふしど
)
を見つけて
潜
(
もぐ
)
り込むのだつたさうな。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いわば、長夜の
臥床
(
ふしど
)
からさめようとする直前、一段深く
熟睡
(
うまい
)
に落ち込む瞬間がある。そうした
払暁
(
あさ
)
のひとときだった。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
橋の下の筵の
臥床
(
ふしど
)
に潜り込む時のように、一番贅沢な寝台の上の、薄い絹布団の中へ身を横たえて眼をつぶりました。
新奇談クラブ:07 第七夜 歓楽の夢魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜
(
よる
)
臥床
(
ふしど
)
に就くときも、色々のもので塗りあげられた彼女の顔が、電気の灯影に
凄
(
すご
)
いような厭な美しさを見せていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
きまりきった宿の部屋であったから、闇の中でも、床の間の
在所
(
ありか
)
、そこを枕としている調所の
臥床
(
ふしど
)
は、想像できた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
隅
(
すみ
)
の屋根裏より窓に向かいて斜めにさがれる
梁
(
はり
)
を、紙にて張りたる下の、立たば
頭
(
かしら
)
の
支
(
つか
)
うべきところに
臥床
(
ふしど
)
あり。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
煤煙
(
ばいえん
)
の
臥床
(
ふしど
)
に熟睡していたグレート
大阪
(
おおさか
)
が、ある寒い冬の朝を迎えて間もないころ、突如として或る区画に住む市民たちの鼻を刺戟した淡い
厭
(
いや
)
な臭気こそ
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
更
(
ふ
)
けゆくまゝに
燈火
(
ともしび
)
のかげなどうら淋しく、寝られぬ
夜
(
よ
)
なれば
臥床
(
ふしど
)
に
入
(
い
)
らんも
詮
(
せん
)
なしとて、
小切
(
こぎ
)
れ入れたる
畳紙
(
たたうがみ
)
とり出だし、
何
(
なに
)
とはなしに針をも取られぬ。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
昨夜眠ったまま、もう永久に口をきかず、眼も見開かない自分が、冷たい冷たい
臥床
(
ふしど
)
の中に見出されるだろう。
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ゆふべわが
臥床
(
ふしど
)
に入りて、いましも甘き睡りに入らんとすれば、わが魂はわが身より君が方にとあくがれ出づ。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
いつもわが
独寝
(
ひとりね
)
の
臥床
(
ふしど
)
寂しく、愛らしき、小さき獣に
甘
(
うま
)
きもの与えて、寝ながらその
食
(
くら
)
うを待つに、
一室
(
ひとま
)
の内より、「
丹
(
あお
)
よ、」「すがわらよ。」など伯母上
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
母親とすこし離れて小さい
臥床
(
ふしど
)
があり、そこには赤児がこれも低い笛のような安らかな睡りを睡っていた。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それで、病人たちは、死の近きを知るころになると、きまって船底近い、
臥床
(
ふしど
)
から
這
(
は
)
い出していくのです。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
臥床
(
ふしど
)
の脇に置いてあるステッキでやけに障子や敷居をたたいて呼んでもまだ聞こえない。障子と敷居をいいかげん
疵
(
きず
)
だらけにしたころに、細君が上がって来た。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人間らしい
臥床
(
ふしど
)
それからボェトンという駅に着きました。この辺には欧州人の住んで居ります者もありますし、その中にも農業を
営
(
や
)
って居る者が多いようです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
之
(
これ
)
を証拠として、孝助を
盗賊
(
どろぼう
)
に落し、殿様にたきつけて、お手打にさせるか
暇
(
ひま
)
を出すか、どの道かに仕ようと、其の胴巻を
袂
(
たもと
)
に入れ置き、
臥床
(
ふしど
)
に帰って寝てしまい
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
退き
臥床
(
ふしど
)
に入ければ夜は
深々
(
しん/\
)
と
降積
(
ふりつも
)
る雪に
四邊
(
あたり
)
の
䔥然
(
しめやか
)
にて
鼾
(
いひき
)
の聲のみ聞えるにぞ
伴
(
ばん
)
建部
(
たてべ
)
の兩人は今や/\と窺ふ
機
(
をり
)
お島は藤三郎を
抱上
(
いだきあげ
)
小用
(
こよう
)
に
連行
(
つれゆく
)
體
(
てい
)
に
持成
(
もてなし
)
座敷々々を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
胡瓜
(
きゅうり
)
の汁の味でも濁川の湯のものなどには比べものにはならない。空腹を
癒
(
いや
)
して
臥床
(
ふしど
)
へはいると、疲労がすぎたのか眠られない。遠くない処で馬の鼻を鳴らす音も聞える。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
夜は
早
(
はや
)
十時を過ぎたり。されど
浮
(
うき
)
立たざる心には、
臥床
(
ふしど
)
を伸べんことさえ、いとものうし。
一夜のうれい
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
だから、その朝もいい心持ちで総郡内のふっくらしたのにくるまりながら、ひとり寝させておくには少し気のもめる
臥床
(
ふしど
)
の中で、うつらうつらと快味万両の風流に浸っていると
右門捕物帖:25 卒塔婆を祭った米びつ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
柔かき
臥床
(
ふしど
)
は英雄の死せんことを
希
(
ねが
)
ふ場所に非ず。
誹謗
(
ひばう
)
、
罵詈
(
ばり
)
、悪名、
窘迫
(
きんぱく
)
は
偶
(
たま/\
)
以て吾人の徳を成すに足るのみ。見よ清教徒は失意の時に清くして、得意の時に濁れるに非ずや。
信仰個条なかるべからず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
西八條の花見の宴に時頼も
連
(
つらな
)
りけり。其夜
更闌
(
かうた
)
けて家に歸り、其の翌朝は常に似ず朝日影
窓
(
まど
)
に差込む頃やうやく
臥床
(
ふしど
)
を出でしが、顏の色少しく
蒼味
(
あをみ
)
を帶びたり、
終夜
(
よもすがら
)
眠らでありしにや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
其後
(
そののち
)
數年間
(
すうねんかん
)
は
春夏
(
しゆんか
)
の
際
(
さい
)
折々
(
をり/\
)
行
(
おこな
)
ふに
過
(
す
)
ぎざりしが、二十五六
歳
(
さい
)
の
頃
(
ころ
)
醫
(
い
)
を
以
(
もつ
)
て
身
(
み
)
を
立
(
た
)
つるに
及
(
およ
)
び、
日夜
(
にちや
)
奔走
(
ほんそう
)
の
際
(
さい
)
頭痛
(
づつう
)
甚
(
はなはだ
)
しき
時
(
とき
)
は
臥床
(
ふしど
)
に
就
(
つ
)
きし
事
(
こと
)
屡
(
しば/\
)
なりしが、
其
(
その
)
際
(
さい
)
には
頭部
(
とうぶ
)
を
冷水
(
れいすゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
冷却
(
れいきやく
)
し
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
彼女はもう
臥床
(
ふしど
)
に入ろうとした師歌子の枕
許
(
もと
)
へいって身の相談をしようとした。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
もはや
詮方
(
せんかた
)
なしとて、それぞれ
臥床
(
ふしど
)
に入りしが、妾は渡韓の期も、既に
今明日
(
こんみょうにち
)
に迫りたり、いざさらば今回の拳につきて、決心の事情を
葉石
(
はいし
)
に申し送り、
遺憾
(
いかん
)
の念なき旨を表し置かんと
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
純次は何か手ごろの得物をさぐっているのらしくごそごそと
臥床
(
ふしど
)
のまわりを動きはじめていた。だんだん激しくなり増さるような泣きじゃくりの声だけがもの凄く部屋じゅうに響いていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
が何がなしに嬉しかッたので
臥床
(
ふしど
)
へはいッてからも何となく
眠
(
ね
)
るのが
厭
(
いや
)
で、何となく待たるるものがあるような気がするので、そのくせその待たるるものはと
質
(
ただ
)
されるとなに、何もないので
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
私は三十年このかた来る日も来る日も同じ時刻に
臥床
(
ふしど
)
を
匍
(
は
)
い出した。三十年このかた同じ料理屋へいって、同じ時刻に同じ料理を食った。ただ料理を運んで来るボーイが違っていただけである。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
膏
(
あぶら
)
ぎった汗臭い
臥床
(
ふしど
)
に
寝
(
まろ
)
びたり
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
傍に
臥床
(
ふしど
)
が取つてある。
袈裟の良人
(旧字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
今日もまた
臥床
(
ふしど
)
に
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
市長は時として我
臥床
(
ふしど
)
の傍に坐して、われに心を安んじて全快を待たんことを勸め、ロオザの遠からず來りて病を
瞻
(
み
)
るべきを告げたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
(……どこへ行っておったのか?)
定相
(
じょうそう
)
は気がついて、うす眼をあけて彼が
臥床
(
ふしど
)
へもぐり込むのを見ていたが、わざと言葉はかけなかった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薄暗い取散らかした室の隅に、
臥床
(
ふしど
)
が設けてあつて、汚れた布団の襟から、
彼方向
(
あちらむき
)
の小い白髪頭が見えてゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あわてて火を起したり湯を沸かしたりする自分の傍にいる浅井と、いつとはなしに話に耽って、二階へあがって
臥床
(
ふしど
)
を延べたのは、もう二時過ぎであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
無能な精神の
松葉杖
(
まつばづえ
)
を捨て去り、自分で考える労を避けて他人の思想中に
臥
(
ふ
)
すような人々の怠惰のためにできてる、その
臥床
(
ふしど
)
を捨て去らねばならなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし、名目が名目だけに、浪路は、屋敷に戻ると、奥の離れにしつらえられた
臥床
(
ふしど
)
に、さも苦しげに身を横たえて、医師の加療に身をまかせねばならなかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そしてまた永遠に
空洞
(
うつろ
)
の
生活
(
らいふ
)
が……。ああ止めよ。止めよ。むしろ斷乎たる決意を取れ!
臥床
(
ふしど
)
の中で、私はまた呪文のやうに、いつもの習慣となつてる言葉を繰返した。
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
いざゆけ、
牡羊
(
をひつじ
)
四の足をもて蔽ひ跨がる
臥床
(
ふしど
)
の中に、日の
七度
(
なゝたび
)
やすまざるまに 一三三—一三五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
誰が
砥
(
と
)
にかけて
磨
(
みが
)
きいだしけん、老女が
化粧
(
けはひ
)
のたとへは凄し、天下一面くもりなき影の、照らすらん
大廈
(
たいか
)
も高楼も、
破屋
(
わらや
)
の板間の犬の
臥床
(
ふしど
)
も、さては
埋
(
う
)
もれ
水
(
みづ
)
人に捨てられて
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“臥床”の意味
《名詞》
臥床 (がしょう)
床につくこと。
病気により寝込むこと。
寝床。
《動詞》
横になる。
病気により寝込む。
(出典:Wiktionary)
臥
漢検準1級
部首:⾂
8画
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
“臥床”で始まる語句
臥床辺