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脇腹
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わきばら
ふりがな文庫
“
脇腹
(
わきばら
)” の例文
いつの間にやら、第三コメディ「
砂丘
(
さきゅう
)
の家」は幕となった。弦吾は同志帆立に
脇腹
(
わきばら
)
を突つかれて、
慌
(
あわ
)
てて舞台へ拍手を送った。
途端
(
とたん
)
に
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その上、大工の半次は喜三郎が
癪
(
しやく
)
にさはつてたまらないから、いきなり
後袈裟
(
うしろげさ
)
に斬つたことだらう。側に居たケチ兵衞は、
脇腹
(
わきばら
)
を刺した
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼がその動作に熱中し過ぎて掛けていた眼鏡を落したのが、私の
脇腹
(
わきばら
)
の上に落ちてヒヤリとしたので、とたんに私は眼を覚ましたのだった。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
画家はゆったりと椅子によりかかり、寝巻のシャツをはだけ、片手をその中に差しこんで、それで胸と
脇腹
(
わきばら
)
とをなでていた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
仔羊たちが、ごくごく乳を吸っている間、おっ
母
(
か
)
さん連は、
脇腹
(
わきばら
)
を鼻の頭で激しく
小突
(
こづ
)
かれながら、安らかに、
素知
(
そし
)
らぬ顔で、口を動かしている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
左
(
ひだり
)
の
脇腹
(
わきばら
)
のあたりに
坐
(
すわ
)
りました、
其
(
そ
)
の
女性
(
をんな
)
の
膝
(
ひざ
)
は、
寢臺
(
ねだい
)
の
縁
(
ふち
)
と、すれ/\の
所
(
ところ
)
に、
宙
(
ちう
)
にふいと
浮上
(
うきあが
)
つて
居
(
ゐ
)
るのですよ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここに至って、
潔
(
いさぎよ
)
き新兵衛の白状ぶりを期待していると、新兵衛はその刀を取り直すが早いか我が
脇腹
(
わきばら
)
へ突き立てた。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
右の
脇腹
(
わきばら
)
の傷口を、両手でじっと押えながら、全身を
掻
(
か
)
きむしるほどの苦痛を、その
利
(
き
)
かぬ気で、その
凜々
(
りり
)
しい気性で、じっと
堪
(
こら
)
えているのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
庸三はドクトルの
指図
(
さしず
)
で、葉子の
脇腹
(
わきばら
)
を
膝
(
ひざ
)
でしかと押えつける一方、両手に力をこめて、
腿
(
もも
)
を締めつけるようにしていたが、メスが腫物を
刳
(
えぐ
)
りはじめると
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
取なと
言
(
いは
)
るゝに忠右衞門
殊勝
(
けなげ
)
にも然らば
父上
(
ちゝうへ
)
御免を
蒙
(
かうむ
)
り御先へ切腹仕つり
黄泉
(
くわうせん
)
の
露拂
(
つゆはら
)
ひ致さんと
潔
(
いさぎ
)
よくも
短刀
(
たんたう
)
を兩手に
持
(
もち
)
左の
脇腹
(
わきばら
)
へ既に
突立
(
つきたて
)
んとする
折柄
(
をりから
)
廊下
(
らうか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
胸から
脇腹
(
わきばら
)
にかけて、出血のために着物がべとべとになっているだけであった。彼はさらに、腕や脚を精細に調べてみた。やはり、腕や脚にも擦過傷はなかった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
脇腹
(
わきばら
)
をつついたり、鼻の穴に
棒切
(
ぼうぎ
)
れをさしこんだりしてみましたが、馬はくすぐったがったり、くしゃみをするきりで、あくびをする
気配
(
けはい
)
さえもありませんでした。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
途端に「あッ」という悲鳴が起こり、刀をふりかぶったまま、鶴吉は
躰
(
からだ
)
を
捻
(
ねじ
)
りましたが、やがて、よろめくと、ドット倒れました。
脇腹
(
わきばら
)
から血が吹き出しています。
怪しの者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
皮
(
かは
)
が
破
(
やぶ
)
れ、
肉
(
にく
)
が
爛
(
たゞ
)
れて、
膿汁
(
うみしる
)
のやうなものが、どろ/\してゐた。
内臟
(
ないざう
)
はまるで
松魚
(
かつを
)
の
酒盜
(
しほから
)
の
如
(
ごと
)
く、
掻
(
か
)
き
廻
(
まは
)
されて、ぽかんと
開
(
あ
)
いた
脇腹
(
わきばら
)
の
創口
(
きずぐち
)
から
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
してゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その蒼ざめた、死んだやうに見える顏が——お客のメイスンであることを私は認めた。そしてまた彼のシヤツの
脇腹
(
わきばら
)
と片方の腕とが殆んど血に浸つてゐるのをも見た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
遠州
灘
(
なだ
)
の荒海——それはどうやらこうやら乗切ったが、
掛川
(
かけがわ
)
近くになると疲労しつくした川上は
舷
(
ふなばた
)
で
脇腹
(
わきばら
)
をうって、海の中へ
転
(
ころ
)
げおちてしまった。船は
覆
(
くつがえ
)
ってしまった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『あらまあ!』母親はこう言いながら、こわごわ夫の
脇腹
(
わきばら
)
をつつきました。父親は眼をあけると、手でこすりこすり、一心に働いている小さい少年のほうをながめました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この国の風習になっている
背負袋
(
ルックザック
)
を、しめがねでとめて肩にかけているし、
粗毛織
(
あらけおり
)
らしい布地の、黄ばんだ、バンドつきの服を着ているし、
脇腹
(
わきばら
)
にあてている左の
下膊
(
かはく
)
には
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
そのうちの一回では
踝
(
くるぶし
)
をくじかれ、また鼻をも傷つけられ、その上に顔じゅう一面「パルプのように」ふくれ上がり、腹や
脇腹
(
わきばら
)
にはまっかな衝撃の
痕
(
あと
)
を印していたそうである。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
釈迦が女の右の
脇腹
(
わきばら
)
から生れたの、聖霊に感じて
基督
(
キリスト
)
を生んだの、日を
呑
(
の
)
んで
秀吉
(
ひでよし
)
を生んだのと申すのは、女は
穢
(
けがら
)
わしい物だと思う考えが頭にあって書かれた男の記録でしょうが
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
廊下も真暗です。少佐は
爪先探
(
つまさきさぐ
)
りに進んで行きました。すると、不意に横から少佐目がけて、パッと懐中電灯が
照
(
てら
)
されました。そうして同時に、固いものが少佐の
脇腹
(
わきばら
)
に当りました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
馬が飛びあがったのは事実だが、今度は道の向う側の
茨
(
いばら
)
やはんの木のしげみに飛びこんだ。先生は今や
鞭
(
むち
)
と
踵
(
かかと
)
と両方使って、年とったガンパウダーのやせほそった
脇腹
(
わきばら
)
を滅多打ちにした。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ぐいと拍車を両の
脇腹
(
わきばら
)
へ入れて、
握
(
にぎ
)
りこぶしで首に
一撃
(
いちげき
)
を加えたのである。……
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
膝
(
ひざ
)
から
脇腹
(
わきばら
)
の方へ進むに
随
(
したが
)
って、妻の下半身の表情がおもむろに現れて来る。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
びっくりして
抱
(
いだ
)
き起こしてみると、
切
(
き
)
ッ
尖
(
さき
)
深く自分の手で
脇腹
(
わきばら
)
を
抉
(
えぐ
)
っていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
強者にあっては、
苦悶
(
くもん
)
も、
憐憫
(
れんびん
)
も、絶望も、回復できない亡失の痛切な
負傷
(
いたで
)
も、死のあらゆる苦痛も、猛烈な拍車で彼らの
脇腹
(
わきばら
)
をこすりながら、この生の喜びを刺激し
煽動
(
せんどう
)
するばかりである。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこで、みんなが
外
(
そと
)
に
出
(
で
)
てみますと、ボンは
脇腹
(
わきばら
)
のあたりをせわしそうに
波立
(
なみだ
)
て、
苦
(
くる
)
しい
息
(
いき
)
をしていました。そうして、もう
呼
(
よ
)
んでも、
起
(
お
)
き
上
(
あ
)
がって
尾
(
お
)
を
振
(
ふ
)
ることもできなかったのであります。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
尤も彼等の方も相手方から、
脇腹
(
わきばら
)
だの
鳩尾
(
みぞおち
)
だの、顎だのに手痛い打撲を蒙ったものだが、それでみると、なかなかどうして、死んだ相手方も素晴らしく大きな拳骨の持主であったことが立証された。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
蛇丸
(
じゃまる
)
——という名のとおりに、生き物のごとく自ら発して、
遮
(
しゃ
)
二
無
(
む
)
二に襲いかかってくる壁辰の
脇腹
(
わきばら
)
を、下から、
柄
(
つか
)
まで肉に喰い込んで突き——上げたと見えた秒間、その紙一枚のような
瞬刻
(
しゅんこく
)
だった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
變だなと思つて、身をかはして助かりましたが、それでも、
脇腹
(
わきばら
)
を
縫
(
ぬ
)
はれて、大きい引つ掻きを拵へました、日頃の氣丈で苦にもしないけれど
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは、可なり鋭い
洋刀
(
ナイフ
)
で、右の
脇腹
(
わきばら
)
を一突き突いたものだった。傷口は小さかったが、深さは三寸を越していた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
血の
染
(
し
)
みた山刀を振り廻して金蔵は眼を
白黒
(
しろくろ
)
、苦しまぎれにお豊の名を呼びながら無茶苦茶に飛びかかって山刀で鍛冶倉の面を斬る。鍛冶倉は左の
脇腹
(
わきばら
)
を刺されている。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
も
徹
(
とほ
)
れと
脇腹
(
わきばら
)
へ
愚刺
(
ぐさ
)
と計りに
差貫
(
さしつらぬ
)
けば何ぞ
溜
(
たま
)
らん庄兵衞は
呀
(
あつ
)
と叫も口の中押へ附られ聲出ず苦き儘に
悶
(
もがき
)
けるをお光は上へ
跨
(
またが
)
りて思ひの儘にゑぐりければ七
轉
(
てん
)
八
倒
(
たう
)
四
肢
(
し
)
を
振
(
ふるは
)
し
虚空
(
こくう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今日は初めて
刺針
(
さしばり
)
のいうことを聴かず、左右に逃げ回り、カストオルの
脇腹
(
わきばら
)
にぶっつかり、腹を立て、そして車に繋がれてからも、まだ一生懸命自分たちの共同の軛を揺すぶろうとしている
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
だから人間でも
脇腹
(
わきばら
)
か
臍
(
へそ
)
のへんに特別な発声器があってもいけない理由はないのであるが、実際はそんなむだをしないで酸素の取り入れ口、炭酸の吐き出し口としての気管の戸口へ
簧
(
した
)
を取り付け
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
幅
(
はゞ
)
の
狹
(
せま
)
い
黒繻子
(
くろじゆす
)
らしい
帶
(
おび
)
を
些
(
ち
)
と
低
(
ひく
)
めに
〆
(
し
)
めて、
胸
(
むね
)
を
眞直
(
まつす
)
ぐに
立
(
た
)
てて、
頤
(
おとがひ
)
で
俛向
(
うつむ
)
いて、
額越
(
ひたひごし
)
に、ツンとした
權
(
けん
)
のある
鼻
(
はな
)
を
向
(
む
)
けて、
丁
(
ちやう
)
ど、
私
(
わたし
)
の
左
(
ひだり
)
の
脇腹
(
わきばら
)
のあたりに
坐
(
すわ
)
つて、あからめもしないと
云
(
い
)
つた
風
(
ふう
)
に
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
きらめく
懐剣
(
かいけん
)
、ぴかッと呂宋兵衛の
脇腹
(
わきばら
)
をかすめる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弦吾は
肘
(
ひじ
)
でチョイと同志帆立の
脇腹
(
わきばら
)
を
突
(
つつ
)
いた。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
美奈子は悲鳴を挙げながら、逃げた。牡牛は、逃げ遅れた母に迫った。美奈子が、アッと思う間もなく、牡牛の鉄のような角は、母の
脇腹
(
わきばら
)
を
抉
(
えぐ
)
っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
どつと流れる人波、押されるともなく行つて見ると、月の隈もない路地の中程、隱居の山右衞門は
脇腹
(
わきばら
)
をゑぐられて血潮の中に息が絶えてゐるではありませんか。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手元五尺
許
(
ばか
)
り
斜
(
はす
)
かけに
切落
(
きりおと
)
せり兵助は心得たりと
飛込
(
とびこみ
)
其
(
その
)
斜
(
はす
)
かけに
切
(
きら
)
れし棹竹にて六郎右衞門が
脇腹
(
わきばら
)
目掛
(
めがけ
)
て
突込
(
つきこん
)
だり六郎右衞門は
堪得
(
たまりえ
)
ず其處に
倒
(
だう
)
とぞ
倒
(
たふ
)
れたり兵助
立寄
(
たちより
)
六郎右衞門が
持
(
もち
)
し脇差にて
最期刀
(
とゞめ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そのうちに、とうとう左の
脇腹
(
わきばら
)
へがっくりと首を落してしまう。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「兄さん」と私は
荘六
(
そうろく
)
の
脇腹
(
わきばら
)
をつつきました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御用とも何とも言はず、ツイ鼻の先で
櫂
(
かい
)
を握つて居る男の
脇腹
(
わきばら
)
を、思ひ切り一つ突きました。
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
水戸はドレゴの
脇腹
(
わきばら
)
を
小突
(
こづ
)
いた。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
脇腹
(
わきばら
)
めがけて、ぶってやろと
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
脇
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
腹
常用漢字
小6
部首:⾁
13画
“脇”で始まる語句
脇
脇差
脇息
脇目
脇侍
脇指
脇士
脇立
脇明
脇屋