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緋縮緬
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ひぢりめん
ふりがな文庫
“
緋縮緬
(
ひぢりめん
)” の例文
其後
(
そのあと
)
から十七八とも思われる娘が、髪は
文金
(
ぶんきん
)
の
高髷
(
たかまげ
)
に
結
(
ゆ
)
い、着物は
秋草色染
(
あきくさいろぞめ
)
の
振袖
(
ふりそで
)
に、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
に
繻子
(
しゅす
)
の帯をしどけなく結び
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と見ると、
丸髷
(
まるまげ
)
の女が、その
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
傍
(
そば
)
へ
衝
(
つ
)
と寄って、いつか、肩ぬげつつ裏の
辷
(
すべ
)
った
効性
(
かいしょう
)
のない羽織を、上から引合せてやりながら
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の腰卷が一つ、その裾が風に
煽
(
あふ
)
られるのを小股に挾んで、兩手で乳を隱すと、丈なす黒髮が、襟から肩へサツと
靡
(
なび
)
きます。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
待給
(
まちたま
)
へ
諸共
(
もろとも
)
にの
心
(
こヽろ
)
なりけん、
見
(
み
)
し
忍
(
しの
)
び
寐
(
ね
)
に
賜
(
たま
)
はりし
姫
(
ひめ
)
がしごきの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
を、
最期
(
さいご
)
の
胸
(
むね
)
に
幾重
(
いくへ
)
まきて、
大川
(
おほかわ
)
の
波
(
なみ
)
かへらずぞ
成
(
な
)
りし。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
とお延は新九郎の青額に、気も魂も吸い込まれて、ゾクゾクと
疼
(
うず
)
くふるえを
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
につつんでいつかぴったりと寄り添って来た。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
そしてかごの上に結んである
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のくけ
紐
(
ひも
)
をひねくりながら、「こんな
紐
(
ひも
)
なぞつけて来るからなおいけない、露見のもとだ、何よりの証拠だ」
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一つには
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の着物を着せ、一つには紫縮緬の着物を着せ、腰に下げた
將棊
(
しやうぎ
)
の駒の形の迷子札には、
麗
(
うる
)
はしい墨色で名前まで書いてあるのだ。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
長々と地面に
引擦
(
ひきず
)
った燃立つような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
の裾に、白い
脛
(
すね
)
と、白い素足が
交
(
かわ
)
る交る月の光りを反射しいしい、彼の眼の前に近付いて来た。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
赤い色としては違わないけれども、以前は猩血のようなのが、今は
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のように、
臙脂
(
えんじ
)
のように、目のさめるほどあざやかな色をしていました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
浮橋はすぐに花魁の部屋へ行って見ると、八橋は
蒼
(
あお
)
い
刷毛
(
はけ
)
でなでられたような顔をして、
緞子
(
どんす
)
に
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のふちを取った
鏡蒲団
(
かがみぶとん
)
の上に枕を抱いていた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
当人は黒羽二重の小袖に
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の襦袢、大たぶさに薄化粧という風俗、丸一の親方そっくりなので、「太神楽」と声がかり、随分あくが強かったらしい。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
「どうだい。逸見なんざあ、
雪隠
(
せっちん
)
へ這入って下の方を覗いたら、僕なんぞが、裾の間から
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のちらつくのを見たときのような心持がするだろうなあ」
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
程もなく
三越
(
みつこし
)
から大きな箱が届きました。「何だろう」と思って開けましたら、燃立つような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
に
白羽二重
(
しろはぶたえ
)
の裏、
綿
(
わた
)
をふくらかに入れた袖無しです。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
今度は女に化けて逐電しようという計画のためにか、なまめかしい
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
を素はだにひっかけながら
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
糸鬢奴
(
いとびんやっこ
)
の
仮髪
(
かつら
)
を見せ、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
に白鷺の飛ちがひし
襦袢
(
じゅばん
)
の
肌脱
(
はだぬぎ
)
になり
裾
(
すそ
)
を両手にてまくり、緋縮緬のさがりを見せての見えは、眼目の場ほどありて、よい心持なり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
燃えるような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
には、妻のもとの若肌のにおいがするようなので、僕はこッそりそれを嗅いで見た。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
それは薄
葡萄
(
ぶどう
)
の浜
縮緬
(
ちりめん
)
、こぼれ梅の
裾
(
すそ
)
模様、
袘
(
ふき
)
は
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
を一分程にとって、
本紅
(
ほんこう
)
の裏を附けたのでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
... ころがって悪いとはいわねえが、もしそのそばに
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
が? ワーッ、いけねえ、勘忍してくれえ?」忠三往来へ突っ立ってしまった。「いや大丈夫!」と思い返した。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お京は白い襟のついた
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の長襦袢を着ている。
鬘下
(
かつらした
)
にした髪からは、濃いビンツケの香が立ち、白粉と香水とのまじった官能的なにおいは、金五郎の鼻孔をくすぐる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
お勢は黄八丈の一ツ小袖に
藍鼠金入繻珍
(
あいねずみきんいりしゅちん
)
の丸帯、
勿論
(
もちろん
)
下にはお
定
(
さだま
)
りの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
等身
(
ついたけ
)
襦袢、
此奴
(
こいつ
)
も金糸で縫の
入
(
い
)
ッた
水浅黄
(
みずあさぎ
)
縮緬の半襟をかけた奴で、帯上はアレハ
時色
(
ときいろ
)
縮緬
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
明石
(
あかし
)
からほのぼのとすく
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
」という句があるが、
明石縮
(
あかしちぢみ
)
を着た女の緋の
襦袢
(
じゅばん
)
が透いて見えることをいっている。うすもののモティーフはしばしば浮世絵にも見られる。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
に
繻子
(
しゅす
)
の帯をしどけなく締め、
上方風
(
かみがたふう
)
の
塗柄
(
ぬりえ
)
の
団扇
(
うちわ
)
を持って、ぱたり/\と通る姿を、月影に
透
(
すか
)
し見るに、
何
(
ど
)
うも飯島の娘お露のようだから、新三郎は伸び
上
(
あが
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
適当な場所に
粟粒
(
あわつぶ
)
程の
釦
(
ぼたん
)
までつけてあるし、娘の乳のふくらみと云い、腿のあたりの
艶
(
なま
)
めいた曲線と云い、こぼれた
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、チラと見える肌の色、指には
貝殻
(
かいがら
)
の様な爪が生えていた。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
蒲団から出して居る
瑞樹
(
みづき
)
の手の
掌
(
てのひら
)
には
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のお手玉が二つ載つて居るのです。私が五つ
拵
(
こしら
)
へて遣つて置いたのを、
花樹
(
はなき
)
に三つ持たせて
遣
(
や
)
つたのであらうと私は
点頭
(
うなづ
)
くと云ふのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その頃は一般に合せ
鬢
(
びん
)
にして髪は引詰めて結う風だったのに、
髻
(
もとどり
)
を大段に巻きたて、
髷
(
まげ
)
は
針打
(
はりうち
)
にして元結をかけ、地にひきずるほどの長小袖の袖口から
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
の
襟
(
えり
)
を二寸もだし
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しばらくあっけにとられて居た婆やが、あたふた追い掛けて見ると、かやは、すこし色の褪せた
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の帯を小さく貝の口結びにした後姿を見せて、書院の縁へ顔を、うつぶせにして居た。
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
冑の忍の緒を
増花形
(
ますはながた
)
に結び——これは討死の時の結びようである——馬の上にて鎧の上帯を締め、秀頼公より賜った
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の陣羽織をさっと着流して、金の采配をおっ取って敵に向ったと言う。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そして
揺
(
ゆす
)
りあげる度にしどけなく
裾
(
すそ
)
が乱れて、お由好みの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
がだらりと地へ垂れ下る。その度に彼等は立止って、そのむっちりと張切った白い
太股
(
ふともも
)
のあたりを
掻
(
か
)
き
合
(
あわ
)
せてやらねばならなかった。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
落せしかば誠に
勿化
(
もつけ
)
の幸ひなりと悦びながら足を早めて
馳
(
はし
)
る程に
頓
(
やが
)
て鈴ヶ森へぞ
指懸
(
さしかゝ
)
りける斯る所に
並木
(
なみき
)
の蔭より
中形
(
ちうがた
)
縮緬
(
ちりめん
)
の小袖の
裾
(
すそ
)
高
(
たか
)
く
端折
(
はしをり
)
黒繻子
(
くろじゆす
)
の
帶
(
おび
)
を
脊
(
せ
)
にて
堅
(
かた
)
く
結
(
むす
)
び
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襷
(
たすき
)
を
懸
(
かけ
)
貞宗
(
さだむね
)
の
短刀
(
たんたう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小親この時は楽屋着の
裾
(
すそ
)
長く
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の下着踏みしだきて、胸高に水色の
扱帯
(
しごき
)
まといたり。髪をばいま引束ねつ。優しき目の
裡
(
うち
)
凜
(
りん
)
として
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の腰巻が一つ、その
裾
(
すそ
)
が風に
煽
(
あお
)
られるのを
小股
(
こまた
)
に挟んで、両手で乳を隠すと、丈なす黒髪が、襟から肩へサッと
靡
(
なび
)
きます。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どういたしまして、燃えるような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
夜着
(
よぎ
)
がありますよ」二人の
洋盃
(
コップ
)
にビールが無くなっているので、山西はかわりを注文して、それに口を
浸
(
つ
)
けながら
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ちょっといきがった髪の結いよう、お化粧、着こなし、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の前掛、どう見ても
湯女
(
ゆな
)
気分の色っぽい女。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
静かに呼ぶ者があって、中二階の
梯子段
(
はしごだん
)
に、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の燃える
裾
(
すそ
)
と、白い女の足もとだけが見えた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
着物も羽織もくすんだ色の
銘撰
(
めいせん
)
であるが、長い袖の
八口
(
やつくち
)
から
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
の袖が
飜
(
こぼ
)
れ出ている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
燃え立つばかりの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、その
長襦袢
(
ながじゅばん
)
をダラリと引っかけ、その上へ部屋着の丹前を重ね、鏡台の前へだらしなく坐り、胸を開けて乳房を見せ、そこへ大きな牡丹刷毛で
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
緋鹿子絞
(
ひかのこしぼ
)
りの
扱帯
(
しごき
)
、燃え立つような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の湯もじ、白
足袋
(
たび
)
を穿かされた白い足首……そのようなものがこうした屍体解剖室の冷酷、残忍の表現そのものともいうべき器械
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
道臣等の親子三人が支度を調へ、留守を昔の社家の長老に頼んで東の門まで出かけた時、お時の裾端折つて
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の湯もじを精一杯見せた旅姿は、左の方のだら/\坂の半腹に見えた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
いつもの通り牡丹の花の灯籠を下げて米が先へ立ち、
後
(
あと
)
には髪を文金の
高髷
(
たかまげ
)
に結い上げ、
秋草色染
(
あきくさいろぞめ
)
の
振袖
(
ふりそで
)
に燃えるような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
、其の綺麗なこと云うばかりもなく、綺麗ほど
猶
(
なお
)
怖く
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ええ、」ともいわず蝶吉は
面
(
おもて
)
を背けると、御所車の
簾
(
すだれ
)
の青い裏に、燃立つような
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
を、手に
搦
(
から
)
んで、引出して、目を
拭
(
ぬぐ
)
って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女夫枕
(
めをとまくら
)
に靜かに横たはつた花嫁の死骸は、
紅絹裏
(
もみうら
)
の夜の物をはね退け、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
のまゝ、血汐の中に
浸
(
ひた
)
つてゐるのです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
九州者ノ二三年先ニ江戸ニ来タトイッテモ、マダ江戸ナレハシマイカラ一ツタマシイヲ抜カシテヤロウト心附イタカラ、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
ノジュバンニ
洒落
(
しゃれ
)
タ衣類ヲ着テ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
というのは泣いたとたん、倍も
綺麗
(
きれい
)
に見えるんでね、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
よりなお素敵だ。全くあねごは変ですねえ。笑ってよく泣いてよく、それで怒ってもいいんですからねえ。あッ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それさ、
壮
(
わか
)
い男のお客さんが鼓を打って、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の女のお客さんが聞いていたろう」
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
阿古屋の髪の毛を一本一本に
黒繻子
(
くろじゅす
)
をほごして植えてあるばかりでなく、眼の
球
(
たま
)
にはお母様の工夫で
膠
(
にかわ
)
を塗って光るようにし、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の着物に、白と絞りの牡丹を少しばかり浮かし
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
襷には、
大真田
(
おおさなだ
)
、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、革、雑多であったが、すべてに、鎖が
縒
(
よ
)
り合せてあった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
島が屋敷奉公に出る時、
穉
(
おさな
)
なじみのお七が七寸四方ばかりの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のふくさに、
紅絹裏
(
もみうら
)
を附けて縫ってくれた。間もなく本郷
森川宿
(
もりかわじゅく
)
のお七の家は
天和
(
てんな
)
二年十二月二十八日の火事に類焼した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
同じ文学士河野英吉の親友で、待合では世話になり、学校では世話をする(
蝦茶
(
えびちゃ
)
と
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の交換だ。)と主税が憤った一人である。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白無垢の
褄
(
つま
)
をさばいた下からチラリと長襦袢の
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
が燃えて、桃色珊瑚を並べたような爪先が、雪の上にキチンと揃った美しさは、何に讐えようもありません。
猟色の果
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ほんとの乞食ではあるまい、どこか侍の子だろうとて、女郎にいろいろ話しおるが、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の袖のついた白地の
浴衣
(
ゆかた
)
と、紺縮緬のふんどしをくれたが、嬉しかった。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
緋
漢検準1級
部首:⽷
14画
縮
常用漢字
小6
部首:⽷
17画
緬
漢検準1級
部首:⽷
15画
“緋縮緬”で始まる語句
緋縮緬小褄