祖先そせん)” の例文
支那しな内地ないちからるものと非常ひじようによくてゐるので、どうしてもこれは支那人しなじん祖先そせん使用しようしたものらしくおもはれるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そこで大伴おおとも連等むらじら祖先そせんのミチノオミの命、久米くめ直等あたえらの祖先のオホクメの命二人がエウカシを呼んでののしつて言うには
そのわけは、菊亭家きくていけと、武田たけだ祖先そせんとは、縁戚えんせきのあいだがら。のみならず、勝頼の祖父信虎のぶとらとは、ことに親密しんみつであったよしを、耳にいたしました。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多田院ただのゐん日光につくわう徳川家とくがはけ靈廟れいべうで、源氏げんじ祖先そせんまつつてあるから、わづか五百石ひやくこく御朱印地ごしゆいんちでも、大名だいみやうまさ威勢ゐせいがあるから天滿與力てんまよりきはゞかなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
われ/\のとほい/\最初さいしよ祖先そせんが、はじめてこの地球上ちきゆうじようあらはれたころには、森林しんりんは、そのまゝ人間にんげんみかでもあり、またものどころでもありました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「あなたの祖先そせんの地が、漢于仁君の帰国を待っています」その怪しい医師はパキパキした声で云った。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ちぎりはふか祖先そせんえんかれてかし一人子同志ひとりこどうし、いひなづけのやく成立なりたちしはおたかがみどりの振分髮ふりわけがみをお煙草盆たばこぼんにゆひむるころなりしとか、さりとてはながかりし年月としつき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまひとの、かんがへることの出來できないほどふるい、とほ祖先そせん時代じだいには、となごとといふものがありました。それが、もすこすゝむと、ものがたりといふものになつてました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
人事に付いてコロボックル風俗の大概たいがいを記し終れり今是等の諸事しよじを通じ考ふるに、此石器せきき時代人民の我々日本人の祖先そせんたらざりしは勿論、又アイヌの祖先たらざりし事も明かなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
てよ、うまで、こゝろかるゝのは、よも尋常たゞごとではるまい。つたぬまなかへは古城こじやう天守てんしゆさかさま宿やどる……祖先そせんじゆつために、あやしき最後さいごげたをんなが、子孫しそんまつは因縁事いんねんごとか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、古墳こふんのくわしい記録きろくなどは、もはや、どこにものこっていませんでした。ただとお祖先そせんのものにちがいないが、いまの村人むらびとには、そのつくられた時代じだいすら、よくわからなかったのです。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのひとはまだ三十さいらぬわかおとこで、頬骨ほおぼねひろい、ちいさい、ブルネト、その祖先そせん外国人がいこくじんであったかのようにもえる、かれまちときは、ぜにったら一もんもなく、ちいさいかばんただ一個ひとつ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
古來こらい我邦わがくに化物思想ばけものしさうはなは幼稚えうちで、あるひほとんかつたとつてくらゐだ。日本にほん神話しんわ化物ばけもの傳説でんせつはなはすくない。日本にほん神々かみ/\日本にほん祖先そせんなる人間にんげんであるとかんがへられて、化物ばけものなどとはおもはれてない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ちゝこんぜざる濃茶のうちやよろこび、みづらざる精酒せいしゆみ、沈鬱ちんうつにして敢爲かんいかた國立こくりつ宗教しゆうきようし、ふか祖先そせんげふおもんず、工業こうげうはなはさかんならざるがゆゑ中等社界ちうとうしやくわいそんするところおほくは粗朴そぼくなる農民のうみんにして
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
三代のあだを重ねたる關東武士くわんとうぶしが野馬のひづめ祖先そせん墳墓ふんぼ蹴散けちらさせて、一門おめ/\西海さいかいはてに迷ひ行く。とても流さん末の慫名うきなはいざ知らず、まのあたり百代までの恥辱なりと思はぬこそ是非なけれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
また櫻井の田部たべの連の祖先そせんのシマタリネの女のイトヰ姫と結婚してお生みになつた御子はハヤブサワケの命お一方です。
繩紋式じようもんしき土器どきは、アイヌの祖先そせん石器時代せつきじだいのものであらうといふひとがありますが、あるひはさうであるかもれません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かういふあぢはひは、祖先そせん以來いらいあたへられてゐる大事だいじなものだから、それをうしなはないようにするのが、われ/\のつとめといふよりも、われ/\のよろこびとかんじなくてはなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そも松澤まつざは新田につたらが祖先そせんきこえしは神風かみかぜ伊勢いせひとにてつと大江戸おほえどこゝろざし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして日本につぽん歴史れきしのある時代じだいにはひつて、われ/\の祖先そせんのこした品物しなものが、だん/\とあらはれてるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
神樣かみさままをげるかたは、たふとくもありまた、おそろしくもあるかたで、われ/\の祖先そせんにおつしやつた言葉ことばは、祖先そせんひとたちがおそつゝしんでうけたまはり、實行じつこうしなければならない命令めいれいでありました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)