)” の例文
糟谷かすや西洋葉巻せいようはまきを口からはなさないのと、へたの横好よこずきにを打つくらいが道楽どうらくであるから、老人側ろうじんがわにも若い人のがわにもほめられる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「ナニ! 助勢を? 誰がどこへ……?」と思わず泰軒、をそっちのけに乗りだすと、忠相は手の石で盤をパチパチたたきながら
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
昨夜は番町の舊友きういう——今は出世して神尾攝津守かみをせつつのかみとなつて居る神尾十三郎殿の許へ參つて、を打つて泊り込んで、今朝此處へ戻つたよ。
「いやまだ寝るにはちと早いから頼春(細川)を相手にでも打とうかといっていたところだ。そちが来たのなら酒でももうか」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陸は遠州流の活花いけばなをも学んだ。象棋しょうぎをも母五百いおに学んだ。五百の碁は二段であった。五百はかつて薙刀なぎなたをさえ陸に教えたことがある。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
宿の主将ていしゅ対手あいてにしてを打っていた武士は、その碁にもいて来たので主翁をれてうしろの庭へ出た。そこは湯本温泉の温泉宿であった。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
常念御坊じょうねんごぼうは歩きながらも、のことばかり、考えつづけていました。さっきのいちばんしまいの、あすこのあの手はまずかった。
のら犬 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
時たま寺に郵便でもあるときには、庫裡くりに上り込んで和尚おしょうさんのザルの相手になっては日の暮れるのをも忘れることもあった。
町内の口きき連から、用のないてあいが、将棋しょうぎ盤や盤を持込んで、しきりに無駄話をしていた。彼等の目は一斉に隣人の一身にそそがれた。
遺産 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
川向うの小梅こうめの友人の所へ、を囲みに行くのだと云って、暖い晩だったので大島の袷に鹽瀬しおぜ羽織はおり丈けで、外套がいとうは着ず、ブラリと出掛けた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
東京新聞のY先生(なぜなら彼は僕のの師匠だから)が現れての話でも、世間ではもっぱら情痴じょうち作家とってますが、御感想いかが、と言う。
余はベンメイす (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
まるでを打つようなカラクリをしていたその間に、同じような族類系統のたものをいろいろ求めて、どうかしてあまい汁をすすろうとしていた。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼はを打ちたいのに、碁を見せられるという感じがした。そうして同じ見せられるなら、もう少し面白い波瀾曲折はらんきょくせつのある碁が見たいと思った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幸にして、一月半の後、私は東京にかえり、晴耕雨読せいこううどくというか、植木をいじったり、本を読んだり、時にはを打ったりして外観上平静に生きた。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
をうつにも相手がなく書物を読むにも鬱陶うっとうしい、その上著物も畳も凡て湿しめっているようで気持も悪いから据風呂でも焚いて湯に這入ろうとするのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
を打つ位な余裕がなくてはいかんよ、などと豪傑を気取つて居るのはよいが、さてその人が碁を打つ有様を見て居ると、一番勝てば直ぐに鼻を高くし、二
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
うたつくるとか、をかくとか、ならうとか、またや、将棋しょうぎをするとか。わしなどは、一ぱいやり、はたけて、花造はなづくりをするのも、じつは、そのためなのじゃ。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
古いころの双六は今ある一枚刷いちまいずりの道中双六どうちゅうすごろくなどとはちがって、将棋しょうぎと同じようなばんの上の競技であった。そうしてその遊びをすることを打つといっていた。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
助驚きて、まことにさる事あり。いかにしてしらせ給ふや。興義、かの漁父三たけあまりの魚をかごに入れて君が門に入る。君は賢弟と三〇南面みなみおもての所にを囲みておはす。
打過うちすぎうち或時重四郎又入り來りけるに平兵衞は相手ほしやと思ふ折柄をりからなれば重四郎殿よくこそ御入來ごじゆらいありしぞ率々いざ/\一石參らんと碁盤ごばん引寄ひきよせ重四郎を相手あひてかこ茶菓子ちやぐわしなどを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
赤衣せきいの童子が、そうして山に着いたのは、ちょうどひるめしごろだった。このとき山の象どもは、沙羅樹さらじゅの下のくらがりで、などをやっていたのだが、額をあつめてこれを見た。
オツベルと象 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
世を避けた仙人がを打つ響きでもなく、薄隠すすきがくれの女郎花おみなえしに露の音信おとずるる声でもない……音色ねいろこそ違うが、見世みせものの囃子と同じく、気をそそって人を寄せる、鳴ものらしく思うから
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
将棊のやうに相手が要つたり、時間ひまがかゝつたりするものではとてもいけない。この意味からナポレオンはひまがあると、小娘のやうに絹糸を取り出して、指にからんで綾取あやとりをしたものだ。
の話ではなく、いろいろ世相の事など、ゆっくり語り合う事になるらしい。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
そして、道後へ着いてからも、毎日毎日退屈な日を、父のうたいを聞かされたり、の相手をいいつかったりして暮しながら、何と父に持ちかけようか? とその機会おりばっかりうかがっていました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
壬生みぶの村のその晩はことに静かな晩でした。南部屋敷もさすがに人は寝静まる、勘定方かんじょうかた平間重助ひらまじゅうすけは、井上源三郎とを打っているばかり。井上の方が少し強くて、平間は二もくまで追い落される。
夜ふけまでを打ったりすることは先ず遠慮するようにもなる。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
将棊しょうぎ同様慰み半分に発明し発見し得るだろうか。
「玉井、を打たんか」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「いやわしの事だ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それはまアいいとしても、今日はの師匠が来て、昼頃から打ち始め、十番碁の今は七番目だから、夜中前には外へ出られるはずはない
見るとなるほど、諸軍の兵は、陣外をたがやして、豆などいているし、当の陸遜は、轅門えんもんのほとりで、諸大将とを囲んでいた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
芳輔よしすけは、十時ごろに台所だいどころからあがってこっそり自分のへやへはいった。パチリパチリとの音は十二時すぎまでこえた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
道楽と云えば誰も知っている。釣魚つりをするとか玉を突くとか、を打つとか、または鉄砲をかついで猟に行くとか、いろいろのものがありましょう。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小学校の四年のとき白痴になったのであるが、そのときはが四級ぐらいで、白痴にならなければ、いっぱし碁打の専門家になれたかも知れない。
石の思い (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「負けは兎角あとをひく也」で、良正は独力の及ぶ可からざるを以て下総介良兼(或はいふ上総介)に助勢を頼んで将門に憂き目を見せようとした。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
分署長は、井上少年のおじさんのトキワ館の主人とは、の友だちでたいへんなかよしでしたから、なんのかくしだてもしないで、ぐちをこぼすのでした。
天空の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
和尚は門番の寺男と年中を打っているし、娘は女学校に通い、弟子坊主も四角い帽子をかぶって宗教大学に通っているので、梵妻は話相手に飢えていた。
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
の手将棋しょうぎの手といふものに汚ないと汚なくないとの別がある。それがまたその人の性質の汚ないのと汚なくないのと必ずしも一致して居ないから不思議だ。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
どこかここいらの、かい犬だろうと思いながら、またのことを考えながらいきました。
のら犬 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
出して饗應もてなしけれども心こゝあらざれば見れども見えずの道理だうりにて重四郎はお浪にのみ心をうばはれ居たりしゆえうついしにはとまらず初めのもろまけけるに平兵衞は大に悦びて手水てうずたちしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昨夜ゆうべ、お朋友ともだちの家でがはじまって、朝まで打ち続けてやっと帰ったところです、文学者なんて云う奴は、皆痴者ばかものの揃いですからね、……そこに蒲団ふとんがある、って敷いてください)
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
下草はみじかくて奇麗でまるで仙人たちがでもうつ処のやうに見えました。
虔十公園林 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
たう玄宗げんそうみなみかたかりす。百官ひやくくわん司職ししよくみなこれにしたがなかに、王積薪わうせきしんふもの當時たうじ名手めいしゆなり。おなじく扈從こじうしていて蜀道しよくだういたり、深谿しんけい幽谷いうこくあひだにして一軒家いつけんや宿やどる。いへしうとよめ二人ふたりのみ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だ! 碁だ! 泰軒、碁のはなし、碁の話」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「何しろ荘左衛門という人は、町人のくせに学問が好きで、小唄も将棋しょうぎもやらないかわりに、四角な文字を読んで、から都々逸どどいつを作った」
するじゃなし、を打つじゃなし、家庭の楽しみがあるじゃなし。あれがいちばんいけない。子供でもあるといいんだけれども。じつに枯淡だからなあ
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
五分と五分だ、ここまでは一切が五分で、一切が両人のすご六みたいなものよ、ほんとの知己に至るまでの闘いだった、としようではないか。……どうだ佐々木
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛想あいそよくいつもにこにこして、葉巻はまきのたばこを横にくわえ、ざるをうって不平ふへいもぐちもなかった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一、高等学校生某いわく、私は今度の試験に落第しましたから、当分の内発句ほっくうたいもやめました。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)