)” の例文
〔譯〕象山しようざんの、宇宙うちうないの事は皆おの分内ぶんないの事は、れ男子擔當たんたうの志かくの如きを謂ふなり。陳澔ちんかう此を引いて射義しやぎちゆうす、きはめてなり。
……とはいえ客人は小さいと仰せられ、それがしは大きいという。いずれがやら、いずれが非やら、とくと、見ていただきとう存ずる
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きのうのはきょうのなるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん。これや日記の成らぬ縁故なる、あらず、これには別に故あり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分は『』と信ずるとおりに生き、努力してきた。そうして来たつもりである。だが、その努力からはなにも酬われなかった。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
昨日のは今日のとなり、昨年のは今年のとなることは、内閣の更迭こうてつごとに起こる事実に照らしても分かるくらいである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もともと狂言綺語きぎょ即ち詩歌を讃仏乗の縁として認めるとした白楽天のような思想は保胤のとしたところであったには疑無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
以為おもへらく両者の短歌全く標準を異にす、鉄幹ならば子規なり、子規是ならば鉄幹非なり、鉄幹と子規とは並称すべき者にあらずと。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
感情に激しやすくっても失敗はある。いずれが、いずれがと誰れが定められよう。感情の複雑な人ほど、美人は人間的の美をますと——
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
前条所記の論説はたしてならば、わが国の文明を進めてその独立を維持するは、ひとり政府のくするところにあらず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかして議会そのものは国民の意思を代表せるものにして、国民の意思が集合して国家の意思となり、国家のとするところ、即ち国是こくぜとなるのである。
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
さきに愛をもてわが胸をあたゝめし日輪、とのあかしをなして、美しき眞理のたへなる姿を我に示せり 一—三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
淫事の恐るべきは武骨一片の野暮なるが故にして淫の淫たるが故に非らざる也と。それ果していづれかなる。
猥褻独問答 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
何だか、今夜中に三井寺みいでらを過ぎて、滋賀しがの里まではでも辿たどり着くんだなんて、とても張り切ってたよ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
似たる事は似たれども、なる事は未だならずとは、如此かくのごときの事をや云う可き。さて汝云わずや。DS は「さひえんちいしも」とて、三世了達さんぜりょうだつの智なりとは。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
勿論もちろん、描いた人物を判然はっきり浮出うきださせようとして、この彩色さいしょく塗潰ぬりつぶすのは、の手段に取って、か、か、こうか、せつか、それは菜の花のあずかり知るところでない。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前主のとするところこれがりつとなり、後主の是とするところこれがりょうとなる。当時の君主の意のほかになんの法があろうぞと。群臣皆この廷尉の類であった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
以上のごとく道元は、名聞我執を捨てた透明な世界において、一切になる広い愛の可能を説くのである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
およそ忠告と云う者は——君にかぶれて哲学者振るのじゃアないが——忠告と云う者は、人の所行を非と認めるから云うもので、と認めて忠告を試みる者は無い。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
しかし私の子供時代を思いかえすと、外観上の従順じゅうじゅんは、必ずしも心からの従順ではなかった。内心ではを是とし、非を非として、かなり批判的であったと思った。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
河鰭かはひれは真赤に酔うたる顔突き出し「、花ちやんに御依頼の件があるのだが」とサヽやくを
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
おのだ! このドアがロッビアだろうが左甚五郎の手彫りだろうが、僕はが非でも叩き破るんだ」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
作者の心に映る幻影を幻影として写す秋成の態度と、心理批判を棄て得ない谷崎君の態度に、私などは時代の相違を見るので、かならずしも一をとし一をとするのではない。
武州公秘話:02 跋 (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
天道樣てんたうさまかなどゝいふことが、わたし生意氣なまいきこゝろからばかりではありますまい、かならず、屹度きつと何方どなたのおくちからもれずにはりますまい、わたし自分じぶんすこしもわること
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
作者の心に映る幻影を幻影として写す秋成の態度と、心理批判を棄て得ない谷崎君の態度に、私などは時代の相違を見るので、かならずしも一をとし一をとするのではない。
かくして彼の心にかかつらふ事あれば、おのづから念頭を去らざる痛苦をもその間に忘るるを得べく、もとより彼はせいを知らずして邪を為し、を喜ばずしてを為すものにあらざれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
として彌々いよ/\道十郎の仕業なりと疑がひ掛りすぐに麹町へ召捕方めしとりかた差向さしむけられ十兵衞事死骸は兄長庵へ御引渡しに相成ければ長庵は仕濟しすましたりと内心に悦びすぐに十兵衞の死骸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
外国想が日本想の純全なるにかず、一片相が少くとも円満相に如かざることをなりと認め得ば、余は緑雨が社界の諸共に認めて妖魔とし魅窟とする処の一片相を取り来つて
我輩門外漢にはそのいずれがであるかを正確に判断することは出来ぬが、ただこの法が神授の権に依って立てられ、この法の効力の基礎が神意にあるということだけは明らかである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
いやしくも吾が区々の悃誠こんせいを諒し給わば、幕吏必ず吾が説をとせんと志を立てたれども、蚊虻ぶんぼう山を負うのたとえついに事をなすことあたわず今日に至る。また吾が徳の非薄ひはくなるによればなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
が、さくの非を悔い今のを悟っている上から云えば、予も亦同じ帰去来ききょらいの人である。春風は既に予が草堂ののきを吹いた。これから予も軽燕と共に、そろそろ征途せいとへ上ろうと思っている。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
我々は個々の場合において善悪の判断に迷うこともあり、今はと考えることも後には非と考えることもあり、また同一の場合でも、人に由りて大に善悪の判断を異にすることもある。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
この連中の日本の昔風を攻撃する動機を疑い、多分これが彼らの感心している西洋風と違う故に、もなく反対するのだろうという邪推であって、それが随分有力に行き渡っている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
お前の婚期がおくれるくらいになっているのを知りながら、それをどうすることもできない自分を思うと、自分は苦しい。けれども今度のだけはでも断れ。そんなことが書いてあった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
熊「フヽム左様そうよ、彼女やつ来てくれとかしアがッてよ、おいらが面を見せなけりゃア店も引くてえんだ、本ものだぜ、鯱鉾しゃちほこだちしたって手前達てめえたちに真似は出来ねえや、ヘンんなもんだい」
いやしくもわが区々の悃誠こんせいを諒したまはば、幕吏かならずわが説をとせんと志を立てたれども、「蚊蝱ぶんばう山を負ふ」のたとへ、つひに事をなすことあたはず今日に至る、またわが徳の菲薄なるによれば
留魂録 (新字旧仮名) / 吉田松陰(著)
もしくは所謂いはゆる天道てんだうか。
それをとするかとするか、自分のくちびるをでる、ただ一で、どんな兇刃きょうじんがもののはずみで御岳みたけ神前しんぜんの海としないかぎりもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分がなり善なりと信ずるに於ては、それを実行するに寸刻の猶予もしない——こういうことを思って、やがてはこれを主義ともするようになった。
ソクラテス (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
然りといえども、事物の軽々信ずべからざることはたしてならば、またこれを軽々疑うべからず。この信疑の際につき必ず取捨のめいなかるべからず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
軍人は自ら主人の如く思ひ従軍記者は自ら厄介者の如く感ず。感ずる者か感ぜしむる者か。かく感ずる者是ならばかく感ぜしむる者また是なるべし。
従軍紀事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
珙一見してすなわはしって燕王の前に拝していわく、殿下何ぞ身を軽んじてここに至りたまえると。燕王等笑って曰く、吾輩わがはい皆護衛の士なりと。珙こうべってとせず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さるほどに予審終わり、公判開きて、裁判長は検事代理の請求はなりとして、渠に死刑を宣告せり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世はこぞって書生の暴行を以てとなすものらしい。曾てわたくしも明治大正の交、ぼうけて三田に教鞭きょうべんった事もあったが、早く辞して去ったのは幸であった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
文学上では私は写実主義をっていた。それも研究の結果写実主義をとして写実主義をとったのではなくて、私の性格では勢い写実主義に傾かざるを得なかったのだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私は謙遜けんそんに人の評を聞きました、決して自分の仕事だけがなりとは思わない、世間のどんな人の評もおろそかには聞かず、よしと思われる評は受け入れようとしました、けれども
が、さくの非をい今のさとつてゐる上から云へば、予も亦同じ帰去来ききよらいの人である。春風は既に予が草堂ののきを吹いた。これから予も軽燕けいえんと共に、そろそろ征途へのぼらうと思つてゐる。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
高敏の家業は、曾孫三いちさんの聞いてゐる所に従へば、古著屋であつたと云ふ。しかし伊沢宗家の伝ふる所を以てすれば小さい書肆であつたと云ふ。これは両説皆であるかも知れない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
国民のなりと認むる事が、国是こくぜである。これが多数政治の原則である。
憲政に於ける輿論の勢力 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
罪の罪たるを知らざるより大なる罪はなし、とはカーライルに聞くところなり、昨日さくじつの非を知りて明日みやうにちを期するは、信仰に入るの要緘えうしんにして、罪人の必らず自殺すべしとせざるは之をもてなり。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
秀吉が呵々かかと笑うと、それについて、といった者も、非といっていた者も、同じ哄笑の下に、それを忘れ去ってしまった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)