トップ
>
捗取
>
はかど
ふりがな文庫
“
捗取
(
はかど
)” の例文
この教え方は、道も長いし、
迂遠
(
うえん
)
なようであるが、落ちつく処へ落ち附くとかえって歩みは
速
(
すみ
)
やかで、どんどんと
捗取
(
はかど
)
るのであります。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
棒同然な物で
大海
(
たいかい
)
を
乗切
(
のっき
)
るのでありますから、虫の
匍
(
は
)
うより遅く、そうかと思うと風の為に追返されますので、なか/\
捗取
(
はかど
)
りませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もし
斯
(
こ
)
の仕事が思ふやうに
捗取
(
はかど
)
つたら、いづれそれを持つて山を下りようと思ふ。けれども斯のことは
未
(
ま
)
だ誰にも言はずにある。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それで、娘が再び眼を上げて華やかな顔色に戻ったとき、室内はただ明るく楽しいことが、事務的に
捗取
(
はかど
)
って行く宴座となった。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「しかもけっこうなお天気さまで——」と、鋸屋は附け足した「こういう日には、山の仕事は目に見えて
捗取
(
はかど
)
るものでがんす」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
▼ もっと見る
其れも工程の
捗取
(
はかど
)
ると共に、
何時
(
いつ
)
しか
他所
(
よそ
)
に流れて往って了うた。やがて起ったのが、東京の寺院墓地移転用敷地廿万坪買収の一件である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
足元の明るい中に人里まで出られないと困ると思って急ぎに急いだが、案外路がいいので足も
捗取
(
はかど
)
り、六時二十分には和田に着くことを得た。
美ヶ原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
相当道のりも
捗取
(
はかど
)
っていなければならないのに、離れて第三者から見ていると、「山科光仙林」の提灯が同じところを行きつ戻りつしている。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
道
(
みち
)
十一里
(
じふいちり
)
だけれども、
山坂
(
やまさか
)
ばかりだから
捗取
(
はかど
)
らない。
其
(
そ
)
の
昔
(
むかし
)
、
前田利家
(
まへだとしいへ
)
、
在城
(
ざいじやう
)
の
地
(
ち
)
、
武生
(
たけふ
)
は
柳
(
やなぎ
)
と
水
(
みづ
)
と
女
(
をんな
)
の
綺麗
(
きれい
)
な
府中
(
ふちう
)
である。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
仕事は少しずつ
捗取
(
はかど
)
って来た。進行するにつれて原文に
昵
(
なず
)
んでも来たし、訂正の
骨
(
こつ
)
も
自然
(
ひとりで
)
に会得されて来た。作そのものにも興味が出て来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その日の仕事を早く片付けようという気があるので、いきなり机へ向ったが、心のどこかに引懸りが出来て、なかなか思う通りに
捗取
(
はかど
)
らなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんなわけで、とかくに仕事が
捗取
(
はかど
)
らず、半七らを
苛々
(
いらいら
)
させていると、それから十日ばかりの間に、二つの事件が
出来
(
しゅったい
)
して、更に彼等を苛立たせた。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さしも願はぬ
一事
(
いちじ
)
のみは玉を転ずらんやうに何等の
障
(
さはり
)
も無く
捗取
(
はかど
)
りて、彼が
空
(
むなし
)
く貫一の
便
(
たより
)
を望みし一日にも似ず、三月三日は
忽
(
たちま
)
ち
頭
(
かしら
)
の上に
跳
(
をど
)
り
来
(
きた
)
れるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
展覧会ナゾは気紛れに思立っても皆ブショウだからその計画も
捗取
(
はかど
)
らないでとうとう実現されなかった。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
歯のあらい、通りのよい、手丈夫な立派な好い大きな
櫛
(
くし
)
だ。天下の整理は
是
(
かく
)
の如くにして
捗取
(
はかど
)
るのだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其の後お房は些とした
機會
(
きくわい
)
に
雑作
(
ざふさ
)
なく手を握らせて呉れた。雖然、其の製作は
相
(
あひ
)
変らず
捗取
(
はかど
)
らぬ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
朝早く起きることは仕事を
捗取
(
はかど
)
らせる。午前中には元の部屋を片づける。書き損じの原稿をやきすて、新しい方にみずやなどを持ち込む。午後は、本をよみものを少し書く。
日記:06 一九二〇年(大正九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この文長ければ学校外の記事をなるべく簡略にせんとて二、三日分を直しかけたれど寐て書く事故少しも
捗取
(
はかど
)
らず、右手しびれて堪へ難ければ手を伸ばして左手にて
肘
(
ひじ
)
を
揉
(
も
)
む。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかしその冬から父は病気になって、四月に死んだ。父位着手の
億劫
(
おっくう
)
を感ぜなくて、そして根気がよかったら、物理の実験などは、どんどん
捗取
(
はかど
)
ることだろうと考えることもある。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
加
(
くわ
)
ふるに寒肌
粟
(
あは
)
を生じ沼気
沸々
(
ふつ/\
)
鼻を
衝
(
つ
)
く、
幸
(
さいは
)
ひに前日来
身躰
(
しんたい
)
を
鍛錬
(
たんれん
)
せしが為め
瘧疫
(
ぎやくえき
)
に
罹
(
かか
)
るものなかりき、沼岸の
屈曲
(
くつきよく
)
出入は
実
(
じつ
)
に犬牙の如く、之に
沿
(
そ
)
うて
渉
(
わた
)
ることなれば
進退
(
しんたい
)
容易
(
やうゐ
)
に
捗取
(
はかど
)
らず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
会社の方では
唯
(
たゞ
)
一人の社長が機敏に差図し市内二十幾箇所の出張所に百五十人の係員、八十人の配達夫、十人の補助配達夫を使用する
丈
(
だけ
)
で事が
捗取
(
はかど
)
つて
行
(
ゆ
)
くから民業として立派な収益を得て居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼の仕事は着々と云ふ程には
捗取
(
はかど
)
らなかつたが比較的早く進んだ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「今夜は僕が帰らなかつたから、余つ程小説が
捗取
(
はかど
)
つたらう。」
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仕事も
捗取
(
はかど
)
って行きました。
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
落す詞なり和田峠の
上
(
のぼ
)
りは馬に乘りたれば
野々宮高砂
(
のゝみやたかさご
)
なりしが
下
(
くだ
)
りは
侮
(
あなど
)
りて遊び/\歩きたる爲め三里に足らぬと聞くに
捗取
(
はかど
)
らぬこと不思議なるうへ
下口
(
おりくち
)
はドカ/\と力も足に
入
(
い
)
る故か空腹甚しく
餡餅
(
あんもち
)
二盆半の豪傑すら何ぞやらかす物はないかと四方を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
結局小高大高を
踰
(
こ
)
えて小楢俣に下った方が、山へも登れるし行程も
反
(
かえっ
)
て
捗取
(
はかど
)
ったに相違なかったと後悔した程である。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
霙
(
みぞれ
)
がぱら/\降出して来て、子供に
婆様
(
ばあさま
)
で道は
捗取
(
はかど
)
りません、とっぷり日は暮れる、すると
頻
(
しきり
)
に痛くなりました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の仕事も大分
捗取
(
はかど
)
つた。私の
眼前
(
めのまへ
)
には油のやうに流れて行く千曲川の下流の水がある。
霙
(
みぞれ
)
が
蕭々
(
しと/\
)
降つて居る。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何
(
なに
)
しろ
山霊
(
さんれい
)
感応
(
かんおう
)
あつたか、
蛇
(
へび
)
は
見
(
み
)
えなくなり
暑
(
あつ
)
さも
凌
(
しの
)
ぎよくなつたので
気
(
き
)
も
勇
(
いさ
)
み
足
(
あし
)
も
捗取
(
はかど
)
つたが
程
(
ほど
)
なく
急
(
きふ
)
に
風
(
かぜ
)
が
冷
(
つめ
)
たくなつた
理由
(
りいう
)
を
会得
(
ゑとく
)
することが
出来
(
でき
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
読書もなかなか
捗取
(
はかど
)
らず、最初からでは約ひと月を
費
(
ついや
)
して、五月下旬にようやく以上の諸作を読み終りました。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
是より
一同
(
みな/\
)
励み勤め昨日に変る身のこなし、一をきいては三まで働き、二と云はれしには四まで動けば、のつそり片腕の用を欠いて却て多くの腕を得つ日〻
工事
(
しごと
)
捗取
(
はかど
)
り
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
それが二三人で持ち合ってなかなか
捗取
(
はかど
)
らないような
湿
(
しめ
)
り
気
(
け
)
を帯びていた。やがて医者の声で、どうせ、そう急には
御癒
(
おなお
)
りにはなりますまいからと云った言葉だけが
判然
(
はっきり
)
聞えた。
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
みイちゃんは婚礼したかどうかしらッ。市区改正はどれだけ
捗取
(
はかど
)
ったか、市街鉄道は架空蓄電式になったか、それとも空気
圧搾
(
あっさく
)
式になったかしらッ。中央鉄道は聯絡したかしらッ。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
お房が周三のモデルになつて、彼の
畫室
(
ぐわしつ
)
のモデル
臺
(
だい
)
に立つやうになツてから、もう五
週間
(
しうかん
)
ばかりになる。
面
(
しか
)
も
製作
(
せいさく
)
は
遲々
(
ちゝ
)
として一
向
(
かう
)
に
捗取
(
はかど
)
らぬ。
辛面
(
やツと
)
影
(
かげ
)
とひなたが出來た
位
(
くらゐ
)
のところである。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
この美しい娘はもう私に頼る必要はなくなった。——しかし、私はどんな感情が起って不意に私を妨げるにしても自分の引受けた若い二人に対する仕事だけは
捗取
(
はかど
)
らせなくてはならないのである。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ああ。何だのかだのと例によって、なかなか
捗取
(
はかど
)
らなかったのだけれど、やっとね。今日で二度目さ。この年で始めたんじゃあ、どうせ本ものになりっこはないから、せめて色紙ぐらい間誤つかないようになれば大出来としないじゃあね」
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
読書もなかなか
捗取
(
はかど
)
らず、最初からでは約一月を費して、五月下旬にようやく以上の諸作を読み終りました。
半七捕物帳の思い出
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何しろ山霊感応あったか、蛇は見えなくなり暑さも
凌
(
しの
)
ぎよくなったので、気も
勇
(
いさ
)
み足も
捗取
(
はかど
)
ったが、ほどなく急に風が冷たくなった理由を
会得
(
えとく
)
することが出来た。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の
間
(
あいだ
)
凡
(
およ
)
そ九里何丁、道々も手掛りの様子を聞きつゝまいりますこと故、なか/\
捗取
(
はかど
)
りませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これより
一同
(
みなみな
)
励み勤め昨日に変る身のこなし、一をきいては三まで働き、二と云われしには四まで動けば、のっそり片腕の用を欠いてかえって多くの腕を得つ
日々
(
にちにち
)
工事
(
しごと
)
捗取
(
はかど
)
り
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ある日回診の番が隣へ廻つてきたとき、
何時
(
いつ
)
もよりは
大分
(
だいぶ
)
手間が掛ると思つてゐると、やがて低い話し聲が聞え出した。それが二三人で持ち合つて中々
捗取
(
はかど
)
らないやうな
濕
(
しめ
)
り
氣
(
け
)
を帶びてゐた。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
府中から日野まで一里二十七丁という事になっていますが、女の足弱をつれて夜道の旅だから
捗取
(
はかど
)
らない。
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
汗を吹抜きの
風通
(
かざとお
)
し……さして難渋にもござらなんだが、それでも素面のようではない。一人前、顔だけ
背負
(
しょ
)
って
歩行
(
ある
)
く工合で、何となく、坂路が
捗取
(
はかど
)
りません。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出て
往
(
ゆ
)
け/\と
虐
(
いじ
)
められましても泣き附いて居りましたが、仕方がありませんから此の子を連れ、此の七月下旬から江戸へ出て来ます道々も、乞食をしながらの事ゆえ道も
捗取
(
はかど
)
らず
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼も多吉とおなじように、こんな事がいつまでも
捗取
(
はかど
)
らないと、外国人に対して
上
(
かみ
)
の御威光が自然に薄らぐ道理であるから、せいぜい働いて早く埓を明けろと云った。
半七捕物帳:59 蟹のお角
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何しろ体が
凌
(
しの
)
ぎよくなったために足の
弱
(
よわり
)
も忘れたので、道も大きに
捗取
(
はかど
)
って、まずこれで七分は森の中を越したろうと思う処で五六尺
天窓
(
あたま
)
の上らしかった樹の枝から
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
己
(
おら
)
アな、
昨夜
(
ゆうべ
)
の内にお百度を済まして、
何
(
ど
)
うやら気が
急
(
せ
)
かれるから、今朝
早立
(
はやだち
)
にして、十八里の道を急ぎ急いでもう
些
(
ちっ
)
と早くと思ったが、
生憎
(
あいにく
)
の大雨で道も
捗取
(
はかど
)
らず、
到頭
(
とうとう
)
夜半
(
よなか
)
になっちまった
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おまけに江戸の勝手をよく知らない人たちが道を訊きながら歩くのですから、いよいよ
捗取
(
はかど
)
らない。その日の八ツ半(午後三時)頃に青山六道の辻にさしかかりました。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何
(
なに
)
しろ
体
(
からだ
)
が
凌
(
しの
)
ぎよくなつたゝめに
足
(
あし
)
の
弱
(
よわり
)
も
忘
(
わす
)
れたので、
道
(
みち
)
も
大
(
おほ
)
きに
捗取
(
はかど
)
つて、
先
(
ま
)
づこれで七
分
(
ぶ
)
は
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
を
越
(
こ
)
したらうと
思
(
おも
)
ふ
処
(
ところ
)
で、五六
尺
(
しやく
)
天窓
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
らしかつた
樹
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
から
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其の翌日が熊ヶ谷泊りで、それから鴻の巣、桶川と中仙道を下りましたが、
足弱
(
あしよわ
)
の連で道も
捗取
(
はかど
)
りませんので、天神橋へ掛りますと日はトップリ暮れ、足は疲れましたから御新造は歩けませんから
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
捗
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
“捗”で始まる語句
捗
捗々
捗行