幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと (新字新仮名) / 高村光雲(著)
相当道のりも捗取っていなければならないのに、離れて第三者から見ていると、「山科光仙林」の提灯が同じところを行きつ戻りつしている。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
半七捕物帳:53 新カチカチ山 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
朝早く起きることは仕事を捗取らせる。午前中には元の部屋を片づける。書き損じの原稿をやきすて、新しい方にみずやなどを持ち込む。午後は、本をよみものを少し書く。
日記:06 一九二〇年(大正九年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
彼の仕事は着々と云ふ程には捗取らなかつたが比較的早く進んだ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死 (新字旧仮名) / 長与善郎(著)
この美しい娘はもう私に頼る必要はなくなった。——しかし、私はどんな感情が起って不意に私を妨げるにしても自分の引受けた若い二人に対する仕事だけは捗取らせなくてはならないのである。
「ああ。何だのかだのと例によって、なかなか捗取らなかったのだけれど、やっとね。今日で二度目さ。この年で始めたんじゃあ、どうせ本ものになりっこはないから、せめて色紙ぐらい間誤つかないようになれば大出来としないじゃあね」
府中から日野まで一里二十七丁という事になっていますが、女の足弱をつれて夜道の旅だから捗取らない。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半七捕物帳:59 蟹のお角 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おまけに江戸の勝手をよく知らない人たちが道を訊きながら歩くのですから、いよいよ捗取らない。その日の八ツ半(午後三時)頃に青山六道の辻にさしかかりました。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)