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悦
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よろこ
ふりがな文庫
“
悦
(
よろこ
)” の例文
と思って、彼は
悦
(
よろこ
)
びながら、街道を歩きだしたが、わずか十メートルほどゆくと、道路の上に倒れている人間にドーンとぶつかった。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
受け御
手當金
(
てあてきん
)
百兩と
御墨附
(
おすみつき
)
御短刀まで
後
(
のち
)
の
證據
(
しようこ
)
に
迚
(
とて
)
下されしこと
逐
(
ちく
)
一
物語
(
ものがた
)
ればお三
婆
(
ばゝ
)
は大いに
悦
(
よろこ
)
び其後は
只管
(
ひたすら
)
男子の
誕生
(
たんじやう
)
あらんことを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其説に拠ると小十郎は何等の言をも発せずに終ったので、政宗は其夜
窃
(
ひそ
)
かに小十郎の家を
訪
(
と
)
うた。小十郎は主人の成りを
悦
(
よろこ
)
び迎えた。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
悦
(
よろこ
)
びがなくては私たちは実にみじめですからね。僧ほどつまらないものはありませんからね。私もその悦びで生きているのです。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
松林の、緑のあいだにそそり立つその端麗な姿が、次第に近づいてくる有様は実にすばらしく、古都へ来た
悦
(
よろこ
)
びが深まるのであった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
▼ もっと見る
暑い時分は料理の間へアイスクリームなんぞを挟んでもさぞ一同が
悦
(
よろこ
)
びましょうがアイスクリームを手軽に製造する方法がありますか
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
忘れてはならないことは、ユゴオも云つたやうに、「人は、自分を
悦
(
よろこ
)
ばせるものを何とかして復讐したい」傾きのあることである。
仏蘭西役者の裏表
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
ここに於て、
翕然
(
きゅうぜん
)
として輿論は今起りつつあると信じますのである。これは憲政の発達のために、甚だ
悦
(
よろこ
)
ぶべきことであると思います。
憲政に於ける輿論の勢力
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
人を
悦
(
よろこ
)
ばせ、おのずから人の望みに応ずるというような楽しい状態を表示するために、
夙
(
はや
)
く生まれていた単語ではなかったろうか。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
おちぢれをこしらえたり、お三宝だの菊皿だのと、時間なんて気にもしなかったのに——だが、古新聞はそれらにました
悦
(
よろこ
)
びを与えた。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
立話をしているうちに僕はふと涙が
滲
(
にじ
)
んで来た。(涙が? それは後で考えてみると、人間一人飢死を免れたのを
悦
(
よろこ
)
ぶ涙らしかった。)
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
この女のためには
経
(
けい
)
を講じ史を読むのは、家常の茶飯であるから、道家の言が
却
(
かえ
)
ってその新を
趁
(
お
)
い奇を求める心を
悦
(
よろこ
)
ばしめたのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ワーニャ じゃあほかに、どんな眺めようがあるというんです、こんなにあなたが好きなのにさ! あなたは、わたしの
悦
(
よろこ
)
びです。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
支度に立上がる主水の後ろ姿を、又次郎は感謝と
悦
(
よろこ
)
びに眼をうるませながら見送る、——うしろから、椙江がそっと寄添うようにして
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今のような裾野となって、富士の登山が一しお
悦
(
よろこ
)
ばれるのは、絨氈を
布
(
し
)
く緑青の草と、湿分を放散する豊富な
濶葉
(
かつよう
)
樹林とにあろう。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
盆暮の仕着せ、折々の心づけ——あの店のさかんな時分には、小竹の
印絆纏
(
しるしばんてん
)
や手拭まで染めさせて、どれ程多勢の人を
悦
(
よろこ
)
ばせたことか。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
また下士の内に少しく和学を研究し
水戸
(
みと
)
の学流を
悦
(
よろこ
)
ぶ者あれども、
田舎
(
いなか
)
の和学、田舎の水戸流にして、日本活世界の有様を知らず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あの、うちでもみんな
悦
(
よろこ
)
んで居
升
(
まし
)
たよ、おとめさん夫婦はとんだ仕合せだつてネ、御新さまなんども大へんと
悦
(
よろこ
)
んでおいでなすつたよ。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
とはいえ、物を壊したとき、祖母の怒りの一部分を金で買えることは私にとってせめてもの
悦
(
よろこ
)
びであった。また、救いでもあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
『まァ、
大層
(
たいそう
)
悦
(
よろこ
)
んでること』
愛
(
あい
)
ちやんは
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つて
猶
(
な
)
ほも
言
(
い
)
ひ
續
(
つゞ
)
けました。『
教
(
をし
)
へて
頂戴
(
てうだい
)
な、ね、
私
(
わたし
)
は
此處
(
こゝ
)
から
何方
(
どつち
)
へ
行
(
い
)
けば
可
(
い
)
いの?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「オペレケニュウ! オペレケニュウ!」——一つの秘密を知った
悦
(
よろこ
)
びと、それがいいかげんじゃないかという心配とで、マチルドは
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
其三四郎に取つて、かう云ふ紳士的な学生親睦会は珍らしい。
悦
(
よろこ
)
んで
肉刀
(
ナイフ
)
と
肉叉
(
フオーク
)
を動かしてゐた。其
間
(
あひだ
)
には
麦酒
(
ビール
)
をさかんに飲んだ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
王夫人は
悦
(
よろこ
)
んで小翠をもらい受けることにして厚くもてなした。女はそこで小翠にいいつけて、王と王夫人に
拝
(
おじぎ
)
をさして、いいきかせた。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
特務曹長「よし。閣下はまだおやすみだ。いいか。われわれは軍律上少しく変則ではあるがこれから食事を始める。」兵士
悦
(
よろこ
)
ぶ。
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「立派だ! もう
私
(
わたし
)
が試みる必要はない。君は今見事に敵の頭を打ちぬいて、大勝利を得た、私は心からお
悦
(
よろこ
)
びを申し上げる!」
風変りな決闘
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
韓王
(
かんわう
)
始
(
はじ
)
め
非
(
ひ
)
を
用
(
もち
)
ひず、
急
(
きふ
)
なるに
及
(
およ
)
んで
廼
(
すなは
)
ち
非
(
ひ
)
を
遣
(
や
)
りて
秦
(
しん
)
に
使
(
つか
)
はす。
秦王
(
しんわう
)
之
(
これ
)
を
悦
(
よろこ
)
び、
未
(
いま
)
だ
信用
(
しんよう
)
せず。
李斯
(
りし
)
・
姚賈
(
えうか
)
、
之
(
これ
)
を
害
(
い
)
み
之
(
これ
)
を
毀
(
そし
)
つて
曰
(
いは
)
く
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
口
(
くち
)
にせねば
入譯
(
いりわけ
)
御存
(
ごぞん
)
じなきこそよけれ
御恩
(
ごおん
)
がへしにはお
望
(
のぞ
)
み
叶
(
かな
)
へさせまして
悦
(
よろこ
)
び
給
(
たま
)
ふを
見
(
み
)
るが
樂
(
たの
)
しみぞと
我
(
わ
)
れを
捨
(
すて
)
ての
周旋
(
とりもち
)
なるを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
亞尼
(
アンニー
)
! お
前
(
まへ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
はよく
分
(
わか
)
つたよ、
其
(
その
)
忠實
(
ちうじつ
)
なる
心
(
こゝろ
)
をば
御主人樣
(
ごしゆじんさま
)
も
奧樣
(
おくさま
)
もどんなにかお
悦
(
よろこ
)
びだらう、けれど——。』と
彼女
(
かのぢよ
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
め
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
で、ある時はむしろ、かの女の方から進んで銀座へ出たがるので、そんなとき逸作はかの女の気が晴れて来たのかと
悦
(
よろこ
)
んでいる。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その式終りて後村人らにそのご馳走を施したところが、彼らはこの村
創
(
はじ
)
まって以来かかる珍味を得た事はないといって
悦
(
よろこ
)
んで居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何
町
(
まち
)
の何軒目には、何という人が住んでいるということを
諳
(
そら
)
んじて、何か非常な秘密を握った気になって
悦
(
よろこ
)
んでいたものである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かうした
接觸
(
せつしよく
)
の中には、私が初めて味はふ一種の晴れやかな
悦
(
よろこ
)
びがあつた——趣味と感情と主義の完全な一致が齎らす悦びがあつたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
紇は
悦
(
よろこ
)
んで山をおり、その約束の日を
違
(
たが
)
えないように、一切の物を用意して鬼神の
棲家
(
すみか
)
へ往った。美女の一人はそれを見て
戸外
(
そと
)
へ出てきて
美女を盗む鬼神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
所を教へると、咲子は
悦
(
よろこ
)
んで立ちあがつて、台所から手頃の
丼
(
どんぶり
)
を持出して来て、この子の癖で目をばしばしやりながら、入口へ飛び出した。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのためであろうか、
器
(
うつわ
)
は特に私の傍に在ることを
悦
(
よろこ
)
ぶようにさえ思える。かくして長い間、お互いに離れがたく朝な夕なを共に過ごした。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
大
(
たい
)
そうに
悦
(
よろこ
)
んで、
己
(
おれ
)
も
仕手方
(
してかた
)
を使い、棟梁とも云われる身の上で
淫売
(
じごく
)
を買ったと云われては、
外聞
(
げいぶん
)
が悪いから、
相対
(
あいたい
)
同様にしてえと云って
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おとつゝあ、そんでもちつた
確乎
(
しつかり
)
してか」
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
そ
)
の
尾
(
を
)
に
跟
(
つ
)
いて
聞
(
き
)
いた。ほつと
息
(
いき
)
をついたやうな
容子
(
ようす
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
衷心
(
ちうしん
)
からの
悦
(
よろこ
)
びであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「それでは大急ぎで仕事を片づけて三日中に出て行くからね。……おやじには出てきてくれたんでたいへん安心して
悦
(
よろこ
)
んでいると言ってくれ」
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
数年前まで、自分が日本を去るまで、水の深川は久しい間、あらゆる自分の趣味、
恍惚
(
こうこつ
)
、悲しみ、
悦
(
よろこ
)
びの感激を満足させてくれた処であった。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それは、自分の創案した人造島の、溶け失せるのを悲しむというよりか、化学の偉力のおそろしさを証し得たことを
悦
(
よろこ
)
ぶ、会心の笑いだった。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
この一言は深く吾輩を感激せしめた。僕は同君には日頃親しみはないけれども、君の手を
執
(
とっ
)
て打振るほど
悦
(
よろこ
)
ばしく思った。
平民道
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
酔うたる人は醒むる時の来るが如く、
楽
(
たのし
)
める者、
驕
(
おご
)
れるもの、
悦
(
よろこ
)
べるもの、浮かるるもの早晩傷み、嘆き、悔い
憂
(
うれ
)
うる時の来ることを
免
(
まぬか
)
れない。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
悦
(
よろこ
)
ばすべきたくさんの品。私はたしかにあなたを、たった六
片
(
ペンス
)
で冷たく打ち倒すことも可能でしょう。ただちょっと実物さえ御覧になれば——。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
その居処を突き留めた
悦
(
よろこ
)
びやら悲しみやらが一緒に込み上げて来て、熱い玉のような涙がはらはらと
両頬
(
りょうほお
)
に流れ落ちた。
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
眠ったことでいくらか元気を回復し、前よりか少し耳もはっきり聞こえるようになったKは、この率直な言葉を
悦
(
よろこ
)
んだ。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
今日だけは昇任の
悦
(
よろこ
)
びで気分もよくなっているであろうとこの人は想像していたのであるが、期待ははずれてしまった。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それをお
物見櫓
(
ものみやぐら
)
の上から見おろし乍ら、
悦
(
よろこ
)
ばしげに君侯の呼ばわり励ます声が、冴えざえと青白く冴えまさっている月の光の中を流れて伝わった。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
実際クリストフは、自分の敵だとされてるある種の芸術家らの作品にたいして、自分の模倣者らの作品にたいするよりもより多くの
悦
(
よろこ
)
びを覚えた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
さも樂しさうな林檎の木よ、昔はおまへの
香
(
にほひ
)
をかいで
悦
(
よろこ
)
んだこともある、その時おまへの幹へ、牛が
鼻先
(
はなづら
)
を
擦
(
こす
)
つてゐた。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
世の中年者らが、茶屋遊びの雰囲気を楽しむというのも、
所詮
(
しょせん
)
して彼らが、喪失した青春の日の情熱と
悦
(
よろこ
)
びを、寂しく紛らすための遊戯に過ぎない。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
“悦”の解説
悦(えつ)は、漢姓の一つ。『鄭通志』、商の武丁に仕えた大臣が姓とした。北魏の時代に昌黎郡を本貫とする鮮卑族の姓として、悦綰、悦寿、悦真の名前が見える。昌黎悦氏は鮮卑の二字姓であった悦力氏を漢風に一字姓の悦氏に改めたものだと言われている。2023年においても、河北省や山西省、四川省で言い伝えられている。また、総人口1億人の稀姓とされた。
(出典:Wikipedia)
悦
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“悦”を含む語句
喜悦
大悦
法悦
恐悦
悦喜
光悦
愉悦
悦服
御喜悦
大恐悦
底悦喜
宗悦
悦気
不悦
打喜悦
満悦
悦楽
怡悦
本阿弥光悦
大満悦
...