“満悦”の読み方と例文
旧字:滿悦
読み方割合
まんえつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
映画はスクリーンの上に、羞らいを捨てて、あやしく躍りだした。大勢の会員たちが自然に発する気味のわるい満悦まんえつの声が、ひどく耳ざわりだった。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
父の顔を見母の顔を見姉の顔を見、煮豆佃煮つくだにのごちそうに満悦まんえつして、腹の底を傾けての笑い、ありたけの声を出しての叫び、この人のためにだれもかれも、すべてのことを忘れさせられる。
水籠 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その時彼は痴川殺害の事実については実はほとんど考えてはいなかった。ただ彼はこの手紙を受け取った痴川の狂暴な混乱を思い浮べるだけで満悦まんえつを感じていた。数日が流れた。無論返書は来なかった。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)