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工風
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くふう
ふりがな文庫
“
工風
(
くふう
)” の例文
「
工風
(
くふう
)
の無えこともねえ、
私等
(
わしら
)
どうせ遊んでゐるで、渡して上げずか。伊良湖なら新居へ行かずに、この先の浜へ着けりや好いだ」
伊良湖の旅
(新字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
もしも小山さんが自分の責任を
遁
(
のが
)
れるような
工風
(
くふう
)
をするとかあるいは
和女
(
おまえ
)
を
頼
(
たのん
)
で家へ金を借りに来るような
意気地
(
いくじ
)
のない人であったら
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
即ちその身の
弱点
(
よわみ
)
にして、小児の一言、寸鉄
腸
(
はらわた
)
を断つものなり。既にこの弱点あれば常にこれを防禦するの
工風
(
くふう
)
なかるべからず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私は色々考えた結果、極くおだやかにお嬢さんを取戻す
工風
(
くふう
)
をしたのです。つまり、賊の方から
熨斗
(
のし
)
をつけて返上させるといった方法ですね。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
仁左衞門は押
止
(
とゞ
)
め汝が
器
(
うつは
)
は
小細々々
(
ちひさい/\
)
今懷中の物を取のみにては面白からず後の
種
(
たね
)
にする
工風
(
くふう
)
あり
先
(
まづ
)
其方兩人は
斯樣々々
(
かやう/\
)
に致せと言付萬澤の御關所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
放情自娯、頭を空つぽにして、水と風の中に感情を抛棄し、動物の眼になつて魚を狙ひ、原始的な智力で釣る
工風
(
くふう
)
をしたり、天候や水温を観察する。
夏と魚
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
少
(
すくな
)
くとも
日本建築
(
にほんけんちく
)
は
古來
(
こらい
)
地震
(
ぢしん
)
を
考慮
(
かうりよ
)
の
中
(
なか
)
へ
加
(
くは
)
へ、
材料
(
ざいれう
)
構造
(
こうさう
)
に
工風
(
くふう
)
を
凝
(
こ
)
らし、
遂
(
つひ
)
に
特殊
(
とくしゆ
)
の
耐震的樣式手法
(
たいしんてきやうしきしゆはふ
)
を
大成
(
たいせい
)
したと
推測
(
すゐそく
)
する
人
(
ひと
)
は
少
(
すくな
)
くないやうである。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
何
(
な
)
んでも
蚊
(
か
)
でも十数年の後には徒手にて出来る
工風
(
くふう
)
なれども、政府にてはまだ農業は
鄙事
(
ひじ
)
なりとでも思わるるにや
禾花媒助法之説
(新字新仮名)
/
津田仙
(著)
流石
(
さすが
)
に
明治
(
めいぢ
)
の
御
(
おん
)
作者
(
さくしや
)
様方
(
さまがた
)
は
通
(
つう
)
の
通
(
つう
)
だけありて
俗物
(
ぞくぶつ
)
済度
(
さいど
)
を
早
(
はや
)
くも
無二
(
むに
)
の
本願
(
ほんぐわん
)
となし
俗物
(
ぞくぶつ
)
の
調子
(
てうし
)
を
合点
(
がてん
)
して
能
(
よ
)
く
幇間
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
きてお
髯
(
ひげ
)
の
塵
(
ちり
)
を
払
(
はら
)
ふの
工風
(
くふう
)
を
大悟
(
たいご
)
し
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
彼は朝になってもう二三日帰りを
延
(
のば
)
す
工風
(
くふう
)
はないかと考えたが、そのうちに
停車場
(
ていしゃば
)
へ往く自動車が迎えに来たので、しかたなしにそれに乗って出発した。
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
安「ハイ、お位牌と婚礼を致しますかナ……成程、如何にも御尤さまでございますから、何うか
工風
(
くふう
)
を致しましょう、兎に角、主人へ話して見ましょう」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窓際に立寄ると、少し腰を
屈
(
かが
)
めなければ、女の顔は見られないが、歩いていれば、窓の顔は四、五軒一目に見渡される。誰が考えたのか巧みな
工風
(
くふう
)
である。
寺じまの記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
また、師の発明
工風
(
くふう
)
中の空中飛行機を——まだ乗ってはいけないとの師の注意に反して——熱心の余り乗り試み、墜落負傷して一生の片輪になったのもある。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
何一つ美術品として
工風
(
くふう
)
せられたものではないのです。ですが初代の茶人達は鋭くもそれ等のものの美に打たれました。その美の中に「道」をすら建てたのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「そんなに食ってみたいのなら、晩に自分たちで作って食いなさい。それも今のものそっくりの模倣じゃいかんよ。何か自分の
工風
(
くふう
)
を加えて、——料理だって独創が肝心だ」
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「由っちゃん、何かいい
工風
(
くふう
)
はないかしら。何でもいい、何でもいいから、俺はこの体を、思いきり、ぶっ飛ばしてみたいのだ、ね、ね、いっそ、高い山から飛下りてやろうか——」
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
等から生れた空想を一層興味を以て潤色し
工風
(
くふう
)
した一種の恐怖的な神秘詩なのだから、人間の一面には、この化物を愛好し、その存在を守ろうとする一種の本能的な気持があるものだ。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
誰をどんな風に見たらいいかというようなことばかりに
工風
(
くふう
)
を凝らして頭を悩ましたり、自分が少しでも余計なことをしゃべりはしないかと、しょっちゅう、そんなことが心配になるのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
令孃
(
ひめ
)
が
鎌倉
(
かまくら
)
ごもりの
噂
(
うはさ
)
、
聞
(
き
)
く
胸
(
むね
)
とヾろきて
敏
(
さとし
)
しばしは
呆
(
あき
)
れしが、
猶
(
なほ
)
甚之助
(
じんのすけ
)
に
委
(
くは
)
しく
問
(
と
)
へば、
相違
(
さうゐ
)
なき
物語
(
ものがたり
)
半
(
なかば
)
は
泣
(
な
)
きながらにて、
何卒
(
なにとぞ
)
お
廢
(
や
)
めに
成
(
な
)
る
樣
(
やう
)
な
工風
(
くふう
)
は
無
(
な
)
きかと
頼
(
たの
)
まれて、
扨
(
さて
)
も
何
(
なに
)
とせん
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この事があつてから、道臣の家は千代松の
工風
(
くふう
)
で、雨戸も門も總て内から嚴重に締りの出來るやうにした。井戸には蓋をして、夜は錠を下ろした。刃物といふ刃物は、小ひさな
錐
(
きり
)
まで皆片付けた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
これからは私達の側で、できるだけ身体を動かすような事をして、できるだけ日光に当るような
工風
(
くふう
)
をして、そしてもう少し丈夫になってくれさえすればよいのだ。それですっかり良くなるのだよ。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
遠州は自分の
工風
(
くふう
)
した遠州流のものごしで
叮嚀
(
ていねい
)
に挨拶しました。
利休と遠州
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
後には色々の
工風
(
くふう
)
が積まれて、段々に、変つた文句も出て来た。
若水の話
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
僕の家の料理を日本風の七厘や火鉢で拵えたら炭代ばかりが大変だ。そこにもやっぱり才覚があって炭の要らない
工風
(
くふう
)
にしてある。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
以て
冥々
(
めいめい
)
の間に自家の醜を
瞞着
(
まんちゃく
)
せんとするが如き
工風
(
くふう
)
を
運
(
めぐ
)
らすも、
到底
(
とうてい
)
我輩の筆鋒を
遁
(
のが
)
るるに
路
(
みち
)
なきものと知るべし。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それに又仕掛けを自分で作るといふ事は、愉しい事の一つで、明日出掛けようとする時には、誰しも前夜に自分独特の
工風
(
くふう
)
を凝らした仕掛けを用意する。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
我れ
三文字屋
(
さんもんじや
)
金平
(
きんぴら
)
夙
(
つと
)
に
救世
(
ぐせい
)
の
大本願
(
だいほんぐわん
)
を
起
(
おこ
)
し、
終
(
つひ
)
に
一切
(
いつさい
)
の
善男
(
ぜんなん
)
善女
(
ぜんによ
)
をして
悉
(
ことごと
)
く
文学者
(
ぶんがくしや
)
たらしめんと
欲
(
ほつ
)
し、百で
買
(
か
)
ツた
馬
(
むま
)
の如くのたり/\として
工風
(
くふう
)
を
凝
(
こら
)
し
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
一々
書留
(
かきとめ
)
て道庵を歸し
猶
(
なほ
)
種々
(
しゆ/″\
)
工風
(
くふう
)
の上先八丁堀長澤町の
自身番屋
(
じしんばんや
)
へ
行
(
ゆき
)
家主
(
いへぬし
)
源兵衞を呼出し
店子
(
たなこ
)
甚兵衛の
身元
(
みもと
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
のみならず、色々と新しい
工風
(
くふう
)
を附加えもしました。例えば、毒薬の瓶の始末についての考案もそれです。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
美濃の南泉寺までは是非
行
(
ゆ
)
かんければならん、東海道筋も御婦人の事ゆえ面倒じゃ、手形がなければならんが、何うか
工風
(
くふう
)
をして私がお送り申したいが、困った事で
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明治の初年は一方において西洋文明を丁寧に輸入し綺麗に模倣し正直に
工風
(
くふう
)
を
凝
(
こら
)
した時代である。
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そもそもあのわずかな高価な貴族的な品物の、ほとんどすべてに見られる
通有
(
つうゆう
)
の欠点は、一つに意識の超過により、一つに自我の
跳梁
(
ちょうりょう
)
によるのです。一言で云えば
工風
(
くふう
)
作為の弊なのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
然し、却つてまたそんな俗習家に限つて、禪など云ふ、義雄が催眠術の一種に過ぎないと不斷罵倒してゐる
工風
(
くふう
)
を、この上もなくありがたがるものだと見ると、馬鹿にして見たくもなる。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
女
(
むすめ
)
はどうかして修験者から逃れる
工風
(
くふう
)
はないかと考えておりました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何とかしてそれを八つ切にする
工風
(
くふう
)
はないかと骨折ってみた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
お登和さん、そんな上等の料理は我々に
入用
(
にゅうよう
)
もありませんが
極
(
ご
)
く安直な西洋料理をお客に御馳走する
工風
(
くふう
)
はありますまいか。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
されば今、公徳の美を求めんとならば、先ず私徳を修めて人情を厚うし、誠意誠心を発達せしめ、以て公徳の根本を固くするの
工風
(
くふう
)
こそ
最第一
(
さいだいいち
)
の肝要なれ。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
よしや一
斗
(
と
)
の「モルヒ子」に
死
(
し
)
なぬ
例
(
ためし
)
ありとも
月夜
(
つきよ
)
に
釜
(
かま
)
を
抜
(
ぬ
)
かれぬ
工風
(
くふう
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
得
(
う
)
べしとも、
当世
(
たうせい
)
小説
(
せうせつ
)
の
功徳
(
くどく
)
を
授
(
さづ
)
かり
少
(
すこ
)
しも其
利益
(
りやく
)
を
蒙
(
かうむ
)
らぬ事
曾
(
かつ
)
て
有
(
あ
)
るべしや。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
そしてこの日本特有な釣技といふものを研究してもらつて、いろいろの新発見、新
工風
(
くふう
)
をしてもらい、将来明るく正しく釣道精神といふものを拓いて貰ひたい。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
丁度
(
ちやうど
)
八日目なり十日
過
(
すぎ
)
ての使者なれば
彌々
(
いよ/\
)
役宅へ
呼寄
(
よびよせ
)
て
召捕
(
めしとる
)
工風
(
くふう
)
なるべけれど四五日早く
使者
(
ししや
)
の來る處を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
整形外科と、眼科と、歯科と、耳鼻科と、美顔術、化粧術の最新技術に更らに一段の
工風
(
くふう
)
を加え、それを組合わせて、容貌変改の綜合的技術を完成したまでである。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
江戸へ
行
(
ゆ
)
くなれば一緒にというので、お隅を連れて来てずうっと貴方の処へ長熨斗を付けて差上げる
工風
(
くふう
)
、富五郎の才覚、惚れた女を御新造にして金を三拾両只取れるという
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それ以外にそれ以上に
夥
(
おびただ
)
しく
匿
(
かく
)
れた佳作が存在する。特に使用せられた各種の日常の用器に素晴らしい作が残る。
強
(
しい
)
て茶趣味で
工風
(
くふう
)
せられた作の如きは、むしろなんらの反省に価しない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
三味線につれて新
工風
(
くふう
)
の
國風
(
くにぶり
)
舞踏の一なる、「木曾の
御嶽
(
おんたけ
)
さん」を稽古し、トコセ、キナヨ、ドン/\と云ふかけ聲などを擧げたりした連中は、すべてあちらこちらの椅子に陣取つてゐる。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
英国人の
工風
(
くふう
)
に
創
(
はじ
)
まるといふ。
洋服論
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その
外
(
ほか
)
に色々のお粥もありますけれどもこれだけの法によって
工風
(
くふう
)
したら何でも出来ない事はありません。今度は御飯の料理に移りましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
併し頭の禿げた連中は仕方が無いとして若い者は
奈何
(
どう
)
かと云ふと、
矢張
(
やつぱり
)
駄目だ。血気盛んな奴が
懐中手
(
ふところで
)
をして濡手で粟の
工風
(
くふう
)
ばかりする老人連の真似をしたがる。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
おひる
過
(
すぎ
)
から、その頃兄の
工風
(
くふう
)
で仕立てさせた、当時としては飛び切りハイカラな、黒天鵞絨の洋服を着ましてね、この遠眼鏡を肩から下げ、ヒョロヒョロと、日本橋通りの
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
朝夕
(
ちょうせき
)
一寸
(
ちょっと
)
した話の
端
(
はし
)
にもその必要を語り、
或
(
あるい
)
は演説に
説
(
と
)
き
或
(
あるい
)
は筆記に記しなどしてその方針に導き、又自分にも様々
工風
(
くふう
)
して
躬行実践
(
きゅうこうじっせん
)
を
勉
(
つと
)
め、ます/\漢学が不信仰になりました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかしそれは高麗人の心情そのものの発露であって、決して個人的美意識から
工風
(
くふう
)
せられたものではないのです。当時万般の器物皆そうであって、独り窯藝のみが優雅なのではありません。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“工”で始まる語句
工合
工夫
工場
工面
工
工匠
工事
工廠
工人
工作