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ふりがな文庫
“
小言
(
こごと
)” の例文
よくいいつかったことを
忘
(
わす
)
れたり、また、
晩
(
ばん
)
になると、じきに
居眠
(
いねむ
)
りをしましたので、よく
叔父
(
おじ
)
さんから、
小言
(
こごと
)
をいわれていました。
人の身の上
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この
炬燵
(
こたつ
)
櫓
(
やぐら
)
ぐらいの高さの風呂に
入
(
はい
)
ってこの質素な寝台の上に寝て四十年間やかましい
小言
(
こごと
)
を吐き続けに吐いた顔はこれだなと思う。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
クリストフの
小言
(
こごと
)
を受けて不機嫌になってる歌手をなだめるため、彼は急いでそのそばに行って、重苦しい冗談を盛んに言いかけた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「夏蜜柑の択び方も知らん」と言ってまじめになって
小言
(
こごと
)
をいいながら、それでも伯父はムシャムシャ喰べた。そして三造にも勧めた。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
丸
(
まる
)
二
年間
(
ねんかん
)
、
小言
(
こごと
)
も
云
(
い
)
はず、
怨
(
うら
)
みも
云
(
い
)
はず、
只
(
たゞ
)
『
御返事
(
ごへんじ
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
ります』で
責
(
せ
)
められたのだから
堪
(
たま
)
らない。
男
(
をとこ
)
はとう/\
落城
(
らくじやう
)
した。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
▼ もっと見る
「私を
接吻
(
せっぷん
)
して下さいな。どこもお悪くなく、よくお眠りになり、御安心していらっしゃるのなら、私何とも
小言
(
こごと
)
は申しません。」
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「それはもう、鹽磨きで、水の使ひやうが荒過ぎるつて、
大家
(
おほや
)
さんから
小言
(
こごと
)
をくひましたよ、何しろ若くて獨り者で、良い男だ」
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まア、今日はお
小言
(
こごと
)
デーなのね、おじいさん。ちと
外
(
ほか
)
のことでも言いなすったらどう?
貴郎
(
あなた
)
の五十回目のお誕生日じゃありませんか」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
田崎が事の次第を聞付けて父に密告したので、お悦は
可哀
(
かあい
)
そうに、馬鹿をするにも程があるとて、厳しいお
小言
(
こごと
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
した始末。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
院は微笑を顔にお浮かべになって、お
小言
(
こごと
)
はお言いになったものの、どちらもかわいくてならぬというような表情をしておいでになった。
源氏物語:37 横笛
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
牛乳屋に
小言
(
こごと
)
をいって
遣
(
や
)
ろうなんぞとその時分だけ食物の影響を知っていますが少し大きくなると大人同様の食物を与えて平気でいます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
またこの通人からお
小言
(
こごと
)
を食ったのでしょうが、ドコまでも素直なお雪は、通人をおこらせるだけの返答を与えませんでした。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
相手
(
あいて
)
は
黙々
(
もくもく
)
とした
少年
(
しょうねん
)
だが、
由斎
(
ゆうさい
)
は、たとえにある
箸
(
はし
)
の
揚
(
あ
)
げおろしに、
何
(
なに
)
か
小言
(
こごと
)
をいわないではいられない
性分
(
しょうぶん
)
なのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「いじのわるいにいさんたちや、
小言
(
こごと
)
ばかりいうおとうさんなんか、そばにいない
方
(
ほう
)
がいい。ああ、これでのうのうした。」
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
この際、五十銭か六十銭ならば知らず、二円五十銭の書物を買って下さいなどといい出しても、お
小言
(
こごと
)
を頂戴して空しく
引退
(
ひきさが
)
るに決っている。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ママは
腹
(
はら
)
の
立
(
た
)
ったらしい目つきでシューラを
睨
(
にら
)
んだ。そして、いまいましそうに顔を赤くして、ぶつぶつ
小言
(
こごと
)
をいい出した。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
とおっしゃっただけで、別のお
小言
(
こごと
)
もなかった。しかし女中がはたからクスクス笑ってばかりいたので、照彦様はおこって
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「井上さん、どうしたの? 用がなければそれっきりとは、随分ひどいわよ。私あなたが来たら、うんと
小言
(
こごと
)
を云ってやろうと思ってたのよ。」
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
先生に
叱
(
しか
)
られても、
親父
(
おやじ
)
から
小言
(
こごと
)
を食っても、落第しかかっても、一向好きになれなかったのみならず、興味はいよいよ退散する一方であった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
丑年
(
うしどし
)
の母親は、しまいそうにしていた
葛籠
(
つづら
)
の傍をまだもぞくさしていた。父親が二タ言三言
小言
(
こごと
)
を言うと、母親も口のなかでぶつくさ言い出した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
誰から別段たのまれたということもなく、まあ自分の
発意
(
ほつい
)
から仲の
善
(
よ
)
い友達同士が道楽半分にやり出した仕事ですから、別に
小言
(
こごと
)
の出る心配もなし
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
こういうこともない例ではありませんが、
飽
(
あく
)
までも練れた客で、「
後追
(
あとお
)
い
小言
(
こごと
)
」などは何も言わずに吉の方を向いて
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それを惜しいと思って
小言
(
こごと
)
をいったところが、その人は
却
(
かえ
)
って地蔵のたたりを受けたということです。(横須賀郷里雑記。静岡県
小笠
(
おがさ
)
郡中浜村国安)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どれもこれも
弟
(
てい
)
たりがたく
兄
(
けい
)
たりがたき
腕白顔
(
わんぱくがお
)
だ。さだめし、
屋敷
(
やしき
)
へかえったのちには、
母者人
(
ははじゃびと
)
からお
小言
(
こごと
)
であろう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母は
折角
(
せっかく
)
言うていったんは帰したものの、初めから危ぶんでいたのだから、再び出てきたのを見ては、もうあきらめて深く
小言
(
こごと
)
も言わない。兄はただ
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
パーシウスは時を移さず、三人の白髪婆さん達がまだお互に
小言
(
こごと
)
を言い合っている暇に、藪の蔭から飛び出して行って、獲物をせしめてしまいました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
一切沈黙したる風にて、家内の者共にも何とも話し懸けず、ただ食後にはトントン廊下を運動し、時々は余りの足音にて家の者共は内々
小言
(
こごと
)
を申し候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
楽手はちょいと驚いたらしかった。が、相手の上官の
小言
(
こごと
)
を言わないことを発見すると、たちまち女らしい微笑を浮かべ、
怯
(
お
)
ず
怯
(
お
)
ず彼の言葉に答え出した。
三つの窓
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼等
(
かれら
)
のしをらしい
者
(
もの
)
はそれでも
午前
(
ごぜん
)
の
幾時間
(
いくじかん
)
を
懸命
(
けんめい
)
に
働
(
はたら
)
いて
父
(
ちゝ
)
なるものゝ
小言
(
こごと
)
を
聞
(
き
)
かぬまでに
厩
(
うまや
)
の
傍
(
そば
)
に
草
(
くさ
)
を
積
(
つ
)
んでは、
午後
(
ごご
)
の
幾時間
(
いくじかん
)
を
勝手
(
かつて
)
に
費
(
つひや
)
さうとする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
また或場合には、彼女はどうしても
小言
(
こごと
)
を云ふ事が出来ずに、その小言を云ふ筈の生徒を悲しさうに見送りながら、何んでもないおはなしをして帰しました。
背負ひ切れぬ重荷
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
しかしわたくしの
下駄
(
げた
)
も子供に
揃
(
そろ
)
えさせることもあり郵便をいれにやることもあります。こちらが
小言
(
こごと
)
を云う時もありあちらから意見されることもあります。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
はれたので
態々
(
わざ/″\
)
買ひに
来
(
き
)
たんです、
何
(
ど
)
うか
私
(
あたし
)
に
宜
(
よ
)
さゝうな
世辞
(
せじ
)
があるなら二ツ三ツ見せて下さいな。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この家来を叱ることについて如水自身の言ひわけがあるが、その言ひわけは固より
当
(
あて
)
になつたものではない。
畢竟
(
ひっきょう
)
は苦しまぎれの
小言
(
こごと
)
と見るが穏当であらう。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
何故
(
なぜ
)
今日
(
けふ
)
は
遊
(
あそ
)
ばないのだらう、お
前
(
まへ
)
何
(
なに
)
か
小言
(
こごと
)
を
言
(
い
)
はれたのか、
大卷
(
おほまき
)
さんと
喧嘩
(
けんくわ
)
でもしたのでは
無
(
な
)
いか、と
子供
(
こども
)
らしい
事
(
こと
)
を
問
(
と
)
はれて
答
(
こた
)
へは
何
(
なん
)
と
顏
(
かほ
)
の
赤
(
あから
)
むばかり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もういちどもどっていって、主人の代理公使夫人に
小言
(
こごと
)
をいって来ようかしらん。いや、それもばからしいようだ。それにまだ起きているかどうかわからない。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「
小言
(
こごと
)
を言わずに、堪うることを学べ」(Lernen zu leiden ohne Klagen)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
機関車は矢張ぶう/\
小言
(
こごと
)
を言つてゐる……其中に
先刻
(
さつき
)
の連中が酒の瓶や紙包みを
提
(
さ
)
げて飯屋を出て来て、
機関方
(
きくわんがた
)
が機関車へ
這上
(
はひあが
)
ると……
頓
(
やが
)
て汽車は動き出した。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
一
體
(
たい
)
中根
(
なかね
)
は
平素
(
へいそ
)
は
決
(
けつ
)
して
成績佳良
(
せいせきかりやう
)
の
方
(
はう
)
ではなかつた。
己
(
おれ
)
も
度度
(
たびたび
)
嚴
(
きび
)
しい
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
つた。が、
人間
(
にんげん
)
の
眞面目
(
しんめんもく
)
は
危急
(
ききふ
)
の
際
(
さい
)
に
初
(
はじ
)
めて
分
(
わか
)
る。
己
(
おれ
)
は
中根
(
なかね
)
の
眞價
(
しんか
)
を
見誤
(
みあやま
)
つてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
いいと言われれば、いつまでだってそこにいたはずだが……そうはいかなかった。母の
小言
(
こごと
)
もうるさいし、時には当のジナイーダから、追っ立てを食う始末だった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「食べないかい。食べなければ
云々
(
うんぬん
)
」と
小言
(
こごと
)
をいって貞世を責めるはずだったが、初句を出しただけで、自分の声のあまりに激しい震えように言葉を切ってしまった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
李一はその晩、父親からひどく叱られて、麻糸を
何故
(
なぜ
)
買わなかったかと
小言
(
こごと
)
を食ったのでした。
不思議な魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も僕はそういう少年でした。父の剛蔵はこのことを大変苦にして、僕のことを
坊頭臭
(
ぼうずくさ
)
い子だと
数々
(
しばしば
)
小言
(
こごと
)
を言い、
僧侶
(
ぼうず
)
なら寺へ
与
(
やっ
)
て
了
(
しま
)
うなど怒鳴ったこともあります。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
旦那さんは君に
小言
(
こごと
)
なんか言やしない。いきなりそいつを地べたの上へ
弾
(
はじ
)
き飛ばしちまうから。すると奥さんは、ちょっと泥がついただけで、もう一度川へ行ってこいというよ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
栄輔君が東京に脱走したり、柄にもない志を立てたりして金を使つても、さう大して
小言
(
こごと
)
も言はないやうであつたが、しかし家の財産は少しも栄輔君の自由にはまだならなかつた。
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
だからその点遠慮して、どんな事をしようが、何一ツ
小言
(
こごと
)
をいった事はありません。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
小言
(
こごと
)
がましき時にあたって慈愛の情の
平常
(
つね
)
に
勝
(
まさ
)
り病子を看護するを見たり、爾無限の慈母も余の
痛
(
いた
)
める時に余を愛する余が平常無事の時の比にあらざるなり、余の愛するもの失してのち
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
晩の米が無いから、明日の朝食べる物が無いから——と云つては、その度に五十錢一圓と
強請
(
ねだ
)
つて來た。Kは
小言
(
こごと
)
を並べながらも、金の無い時には古本や古着古靴などまで持たして寄越した。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
清造はかんではき出すような
小言
(
こごと
)
をいわれると、店の
隅
(
すみ
)
で
泣
(
な
)
いていました。そういうとき、だまってじっと目をつぶると、いつもあの沼と、沼に
浮
(
う
)
かぶあわがかならず目に浮かんできました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
褒めたくても
怺
(
こら
)
えて
小言
(
こごと
)
をいうのは、怒りたいところを我慢するのと、同じくらいに、つらいものです。そんなつらい役は、お父さんでなければ引き受ける人はあるまい。親馬鹿というんだね。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
『先生に見られても、少しも
小言
(
こごと
)
を言はれる
點
(
ところ
)
が無い樣に出來たか?』
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“小言”で始まる語句
小言幸兵衛
小言家
小言序