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喫
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す
ふりがな文庫
“
喫
(
す
)” の例文
煙管
(
きせる
)
を二、三度、火鉢の縁に
敲
(
たた
)
きつけると、
疎
(
うと
)
ましそうに女の姿を見やって、スパスパと莨を
喫
(
す
)
った。するうちお国は目を覚ました。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
平次は忙しく煙草を詰めて二三服立て續けに
喫
(
す
)
ふと、夕立の後で庭へ出て來る蟇蛙のやうに、後ろ手を突いて大きく息をしました。
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
電気を
点
(
つ
)
けて深呼吸してみたり、
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
ってみたりするが、怖ろしくささえのないような不安で、
到々
(
とうとう
)
女房を揺すぶり起すのだった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
初めの頃は御一緒に席についていても手持ち無沙汰で、先生のおタバコばかり
喫
(
す
)
っていたせいか、大変に数を喫うようになってしまった。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
ときに、諸君は葉巻きを
喫
(
す
)
うペンギン鳥を見たことがありますか。もしなければどうか後学のために見ておく必要がありますね。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
長煙管で煙草を一ぷく
喫
(
す
)
って、左の手で袖口を掴み
展
(
ひら
)
き、着ている大島の男縞が似合うか似合わないか
検
(
ため
)
してみる様子をしたのち
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
持ち重りするような太い長い、銀の
煙管
(
きせる
)
を厚い大きい、唇へくわえてパクリと
喫
(
す
)
い、厚い大きい唇の間から、モクリモクリと煙を吐いた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その
梢
(
こずえ
)
は、丘の下からも仰がれた。後からそっと行ってみると、先に着いた男はすでに、松の根方に腰をおろし、煙草をつけて
喫
(
す
)
っている。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
座敷はその間に片づけられ、隠居は一服
喫
(
す
)
いつけて二人を待っていた。
倖
(
さいわ
)
いに日が照って、庭に向いた障子は閉めきるほど寒くは無かった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
とお母さんはお父さんの若がる癖を
戒
(
いまし
)
めた。お父さんは黙って煙草を
喫
(
す
)
っていた。耳に来た初老は目にも来ている。一言もなかったのだろう。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お冬は気がついたように立ち上がって、煙草盆に消し炭の火を入れて来ると、源蔵は腰から筒ざしの煙草入れを取り出して、一服
喫
(
す
)
いはじめた。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それが
明日
(
あす
)
からといふ
日
(
ひ
)
に
彼
(
かれ
)
は
其
(
その
)
残
(
のこ
)
つた
煙草
(
たばこ
)
を
殆
(
ほとん
)
ど一
日
(
にち
)
喫
(
す
)
ひ
續
(
つゞ
)
けた。
煙草入
(
たばこいれ
)
の
叺
(
かます
)
を
倒
(
さかさ
)
にして
爪先
(
つまさき
)
でぱた/\と
彈
(
はじ
)
いて
少
(
すこ
)
しの
粉
(
こ
)
でさへ
餘
(
あま
)
さなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして其側に四十近くのこれも丸髷に結つた、円顔の、色の稍〻黒い、
朴訥
(
ぼくとつ
)
さうな女が、長煙管で煙草を
喫
(
す
)
つて居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
自分はまだ
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
っても
碌
(
ろく
)
に味さえ分らない子供の癖に、煙草を喫ってさも
旨
(
うま
)
そうな風をしたら生意気でしょう。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
青楼
(
ちやや
)
の煙草盆には、たつた一口か二口か
喫
(
す
)
つたばかしの巻煙草が、無造作に灰のなかに突きさゝれてゐるのが多い。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
大助は自分の寝床の
枕許
(
まくらもと
)
に坐って、煙草盆をひき寄せた。高松のこの家にいるときだけかれは煙草を
喫
(
す
)
うのである。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
煙草はレッド・バンドを
喫
(
す
)
い、酒はラム酒、とくにネグリッタラムにてつくるバカーデ・カクテールを愛飲する。
新種族ノラ
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
是非
(
ぜひ
)
もないことゝ
自分
(
じぶん
)
も
斷念
(
あきら
)
めて
咽喉疾
(
いんこうしつ
)
には
大敵
(
たいてき
)
と
知
(
し
)
りながら
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
い
初
(
はじ
)
めた。
老人夫婦
(
らうじんふうふ
)
は
頻
(
しき
)
りと
話
(
はな
)
して
居
(
ゐ
)
る。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
陳根頑は調理場の片すみの椅子に腰をおろして、
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
っておりましたが、僕らの姿を見るとにこにこ立ち上って、先日と同じく二階に招じ上げました。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
私はいま煙草を
喫
(
す
)
って目をさましていたところです、ご心配なくともいいのですとそう答え、看護婦はではおやすみなさいましと言って廊下に出て行った。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
薬売
(
くすりう
)
りは、どうしたかと、
太郎
(
たろう
)
は、なお
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
を
探
(
さが
)
しますと、
甲板
(
かんぱん
)
の
上
(
うえ
)
に、
薬売
(
くすりう
)
りは、
知
(
し
)
らぬ
商人
(
あきんど
)
となにやら
笑
(
わら
)
いながら、
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
って
話
(
はなし
)
をしていました。
薬売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、そのすぐあとから、自分が毎日敷島を二つ宛
喫
(
す
)
うことを思出して、惜しいような気がした。何が惜しいのかわからないが、兎に角惜しいような気がする。
聖書
(新字新仮名)
/
生田春月
(著)
いかにも芸人らしい物馴れた手付きで煙草を詰め、
傍
(
かた
)
えの黒塗りの提げ煙草盆の火でしずかに
喫
(
す
)
いつけると、フーッと二、三度、うすむらさきの輪を吹いた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「慣れるのにちっとも骨は折れませんでしたよ。はじめて嗅いでみたとき、気持がよかったんですよ。
喫
(
す
)
うたばこよりはからだにもよし、ずっと安上りでさ」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
これはヤアギチ夫人の
従姉
(
いとこ
)
で、もう三十を越した、顔色の悪い
眉毛
(
まゆげ
)
の濃い、鼻眼鏡の老嬢であるが、
烈
(
はげ
)
しい寒風のなかでも小休みもなく
巻煙草
(
まきたばこ
)
を
喫
(
す
)
うのが癖で
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
旦那様は、起きて
莨
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
っていた。彼女は挨拶をして、朝刊新聞をベッドのところへ持っていった。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さうして、
莨
(
たばこ
)
に火をつけて何本も何本も
喫
(
す
)
つてゐると、私の心は隅から隅まで暗く淋しかつた。
不穏
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
秀三郎は、
喫
(
す
)
いかけたタバコをポンと地下室の向うに抛って、薄暗の中にポーッと赤い火の
灯
(
とぼ
)
るのを見乍ら、卓子に手をついて、ウン、と寝椅子から起き上った時でした。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
と法水が
喫
(
す
)
いさしを灰皿の上で揉み潰すと、検事は
少女
(
おとめ
)
のように顔を紅くして、法水に云った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
電灯を点けて煙草を
喫
(
ふ
)
かす、
喫
(
す
)
ひ終ると再び灯りを消してスツポリと夜着を頭から引き被る——真暗だ。彼は、眼を視開いてゐた。……云ふまでもなく、何も考へてゐない。
眠い一日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
どうも私の
癖
(
くせ
)
で、お話が長くなっていけませんな、で、その男は私の隣へ腰をかけると、
袂
(
たもと
)
から敷島の袋を出して、
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
い始めましたのですが、そうしている内に、段々
モノグラム
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
憂愁の底に一種をかし難い気品がある。それが平ぜい女性の前で煙草を
喫
(
す
)
ふことなど一向に平気なA氏にも、何か一言ゆるしを得たい義務感のやうなものを
強
(
し
)
ひるのである……。
三つの挿話
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その明治三十七年から大正九年に至るまでずっと喫煙をして随分の分量
喫
(
す
)
った。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
最初は宮城前の広場を進駐軍の兵隊が
駈
(
か
)
け
足
(
あし
)
をしている写真が映り、それが海岸の風景に変ったとき、私が煙草を
喫
(
す
)
うために下を向いて、マッチに火をつけようとすると、横にいた女房が
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
8 一番好きな煙草は? そして、それを一日に何本お
喫
(
す
)
いになりますか。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
と、そこの茶の間の古い
長火鉢
(
ながひばち
)
の傍には、見たところ六十五、六の品の好い
小綺麗
(
こぎれい
)
な老婦人が静かに坐って
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
っていた。母親はその老婦人にちょっと会釈しながら、私の方を向いて
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
大佐
(
たいさ
)
の
好遇
(
かうぐう
)
にて、
此處
(
こゝ
)
で、
吾等
(
われら
)
は
水兵等
(
すいへいら
)
が
運
(
はこ
)
んで
來
(
き
)
た
珈琲
(
カフヒー
)
に
咽
(
のど
)
を
霑
(
うる
)
ほうし、
漂流
(
へうりう
)
以來
(
いらい
)
大
(
おほい
)
に
渇望
(
かつぼう
)
して
居
(
を
)
つた
葉卷煙葉
(
はまきたばこ
)
も
充分
(
じゆうぶん
)
に
喫
(
す
)
ひ、また
料理方
(
れうりかた
)
の
水兵
(
すいへい
)
の
手製
(
てせい
)
の
由
(
よし
)
で、
極
(
きは
)
めて
形
(
かたち
)
は
不細工
(
ぶさいく
)
ではあるが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
拝殿下
(
はいでんした
)
から舞台下までは、次第下りに一面
莚
(
むしろ
)
を敷きつめ、村はもとより他村の老若男女彼此四五百人も、ぎっしり詰まって、煙草を
喫
(
す
)
ったり、話したり、笑ったり、晴れと着飾った
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しの娘が
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
其女は振向いても見ないで、黙って
彼方
(
あちら
)
向いて
烟草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
っていた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
教養のある士官だと思われていた頃から
喫
(
す
)
いなれていたのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
う……煙草を
喫
(
す
)
ってっても、大丈夫ですか。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
青空を
喫
(
す
)
ふ
閑
(
ひま
)
を
嚥
(
の
)
む
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
長煙管
(
ながぎせる
)
で煙草を一ぷく
喫
(
す
)
って、左の手で袖口を
掴
(
つか
)
み
展
(
ひら
)
き、着ている大島の男縞が似合うか似合わないか
検
(
ため
)
してみる様子をしたのち
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「否、西大手から三町であす。私はつい筋向うであすから始終試していますが、東大手よりは煙草を一服
喫
(
す
)
ってお茶を一杯飲むほど早うあす」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
侍女へ向って、
頤
(
あご
)
で取次をうながし、その間に初めて、一方の手で童女の手から莨を取り、大きく一ぷく
喫
(
す
)
って返した。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漸く腹がくちくなったので、
懐中
(
ふところ
)
から巻煙草を取り出して、彼は旨そうに
喫
(
す
)
い出した。そうして側の夕刊を引き寄せ、漫然として文字を
辿
(
たど
)
って行った。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
色の
褪
(
あ
)
せた紡績織りの寝衣に、派手な
仕扱
(
しごき
)
などを締めながら、火鉢の傍に立て膝をして寝しなに莨を
喫
(
す
)
っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
此處
(
こゝ
)
は
可
(
か
)
なり
釣
(
つ
)
れます。』と
老爺
(
ぢいさん
)
は
僕
(
ぼく
)
の
直
(
す
)
ぐ
傍
(
そば
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
して
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
ひだした。けれど
一人
(
ひとり
)
が
竿
(
さを
)
を
出
(
だ
)
し
得
(
う
)
る
丈
(
だけ
)
の
場處
(
ばしよ
)
だからボズさんは
唯
(
たゞ
)
見物
(
けんぶつ
)
をして
居
(
ゐ
)
た。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ところが、ルピック氏は、ナフキンを結び、食卓を離れ、帽子をかぶり、裏庭へ
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
いに行くのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
おじいさんは、かつて
怒
(
おこ
)
ったことがなく、いつもにこにこと
笑
(
わら
)
って、
太
(
ふと
)
い
煙管
(
きせる
)
で
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
す
)
っていました。
犬と人と花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
喫
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
“喫”を含む語句
喫驚
喫茶店
喫煙室
喫飯
喫了
黄泉戸喫
喫茶
一喫
喫茶室
満喫
喫烟
滿喫
召喫
喫煙珈琲店
喫掛
喫茶館
喫付
飲喫
面喫
着衣喫飯
...