不穏ふおん
其日も、私は朝から例の氣持に襲はれた。何も彼も興味が失せて、少しの間も靜かにしてゐられないやうに氣が苛々してゐた。新聞を見ても少し長い記事になると、もう五六行讀んだ許りで、終末まで讀み通すのがもどかしくなつて、大字の標題だけを急がしく漁つた …