前方ぜんぽう)” の例文
かれは、懐中かいちゅうから、スケッチちょうして、前方ぜんぽう黄色きいろくなった田圃たんぼや、灰色はいいろにかすんだはやし景色けしきなどを写生しゃせいしにかかったのであります。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おどろいてつむりげると、いましも一個いつこ端艇たんてい前方ぜんぽう十四五ヤードの距離へだゝりうかんでる、これ先刻せんこく多人數たにんずうつたために、轉覆てんぷくしたうち一艘いつさうであらう。
博士はくしは、ぼんやりと前方ぜんぽうを見つめて、考えこんでいたが、ぽとりと新聞を手から落としてしまった。いくらかんがえても、この奇怪きかい事件じけんははっきりしない。
街道かいどう入口いりぐちあたりから前方ぜんぽうながめても、かすみが一たいにかかっていて、なにりませぬが、しばらくぎるとるかきかのように、っすりとやまかげらしいものがあらわれ
そうして四人は前方ぜんぽうを見やった。海はいぜんとしてうるしのごときやみである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ふとわがあゆ街路がいろ前方ぜんぽうけた。五六けんさきから年頃としごろむすめが歩いて來る。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そのうちに、日数にっすうがたって、砂漠さばくとおりすぎてしまいました。ある晩方ばんがた二人ふたりは、前方ぜんぽうに、紫色むらさきいろうみたのであります。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
本艦ほんかんことやく一千米突いつせんメートル——忽然こつぜん波間はかんしづんだとおもしやおそしや、たゞ本艦ほんかん前方ぜんぽう海上かいじやうたちまおこ大叫喚だいけうくわん
かれ前方ぜんぽうえるとお国境こっきょう山影やまかげなどをながめて、そのやまいただきんでいるくものあたりに空想くうそうはしらせていたのであります。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鐵車てつしや深林しんりんくには、一層いつそう巧妙こうめうなる器械きかいがある、それは鐵車てつしや前方ぜんぽう木牛頭もくぎうとう上下じやうかより突出とつしゆつして、二十一の輪柄りんぺいいうする四個しこ巨大きよだいなる旋廻圓鋸機せんくわいゑんきよきと、むかし佛蘭西フランス革命時代かくめいじだい
二人ふたりは、いきらして、往来おうらいはしりました。前方ぜんぽう岡田おかだあるいています。岡田おかだのそばをはしりすぎるとき、清吉せいきちは、自分じぶんのかばんをほうして
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、前方ぜんぽうから、一人ひとりおとこが、なにかぴかぴかするものを、のひらにのせて、それをながら、やってきました。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先刻さっき二人ふたり兵士へいしが、はらばいになって、はなしをしていた場所ばしょから、さらに前方ぜんぽう、三百メートルぐらいへだたったところで
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けずりをかけたような、がけのうえち、たにをへだてて、前方ぜんぽうのいただきを見上みあげるひとがあります。そのひとは、自然しぜんあいするために冒険ぼうけんをしたのでしょう。
考えこじき (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうへい二人ふたりは、それにたいして、こたえるであろうとおもったのに、おとなく、ふねをこいで、前方ぜんぽう横切よこぎったかとおもうと、その姿すがたは、けむりのごとくえてしまったのです。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう、そのやまのいただきは、したからると、くもせっしていました。このさかうえから、前方ぜんぽうをのぞむと、やままたやまの、えんえんとしてつらなるなみが、ながめられました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いしうえこしをおろして、前方ぜんぽうていると、ちょうど、があちらの山脈さんみゃくあいだはいりかかっています。金色こんじきにまぶしくふちどられたくもの一だんが、そのまえはしっていました。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、かれは、かすかに、前方ぜんぽうにあたって、ちらちらと燈火ともしびのひらめくのをながめたのであります。いままで、がっかりとして人心地ひとごこちのなかったかれいさんでびあがりました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、子供こども追懐ついかいにふけるということをおぼえました。子供こどもっている前方ぜんぽうには、かがやかしい野原のはらがありました。そして後方うしろには、うすあおそらがはてしなくひろがっていました。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに西にしそらが、あかくなりました。ひょっこりと前方ぜんぽうへ、くろ小舟こぶねなみのうちからかびがりました。あちらにも一つ、ずっととおくのほうにも、豆粒まめつぶのようなのがえています。
海へ帰るおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
光治こうじこころのうちでなつかしい少年しょうねんだとおもいながら、しずかに少年しょうねん背後うしろって、少年のいているとしますと、それは前方ぜんぽう木立こだち写生しゃせいしているのでありましたが、びっくりするほど
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうしたのだ?」といって、みんなは、客車きゃくしゃまどからあたまして、そとをのぞきました。運転手うんてんしゅや、その汽車きしゃ勤務員きんむいんは、車内しゃないからりて、前方ぜんぽう汽罐車きかんしゃほうかってけていきました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
新吉しんきちは、自信じしんありげにかたをそびやかして、前方ぜんぽうをにらみました。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、前方ぜんぽうをながめながらおもっていました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)