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刎
>
は
ふりがな文庫
“
刎
(
は
)” の例文
信幸怒って
将
(
まさ
)
に幸村を斬らんとした。幸村は、首を
刎
(
は
)
ねることは許されよ、幸村の命は豊家のために失い申さん、志なればと云った。
真田幸村
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ひたっと、体を、牢格子の
錠
(
じょう
)
へ押しつけた蔵六の手は、わなわなと、腰の鍵を外していた。ガチッと、掌のなかで、錠の
角
(
つの
)
が
刎
(
は
)
ねた。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其処
(
そこ
)
へ
懸
(
か
)
けては
我等
(
わしら
)
が
鮒
(
ふな
)
ぢや。
案山子
(
かゝし
)
が
簑
(
みの
)
を
捌
(
さば
)
いて
捕
(
と
)
らうとするなら、ぴち/\
刎
(
は
)
ねる、
見事
(
みごと
)
に
泳
(
およ
)
ぐぞ。
老爺
(
ぢい
)
が
広言
(
くわうげん
)
を
吐
(
は
)
くではねえ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、徳利をつかんだまま、よろよろと、立ちあがると、ガタピシと
破
(
や
)
れ
襖
(
ぶすま
)
をあけ立てして、
庫裡
(
くり
)
の戸棚の中の、
揚
(
あ
)
げ
蓋
(
ぶた
)
を
刎
(
は
)
ね上げる。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
負け傾いて来ている大斜面を、再びぐっと
刎
(
は
)
ね起き返すある一つの見えない力、というものが、もしあるのなら誰しも欲しかった。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
平野老人は首を振って
肯
(
うけが
)
いませんでした。市川の言ったことを
刎
(
は
)
ねつけることによって、自分がもてあました言葉尻が立て直りました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
即ちそれを見ていた人の話を私は聞いたが、彼は腹を一文字に切ってから、尖切を咽へ刺して前へ
刎
(
は
)
ね切ろうとしたが、切れなかった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
ヘロデは近ごろ洗礼者ヨハネの首を
刎
(
は
)
ねたというではないか。彼は今後ますます監視を厳重にして自分を捕えようとするであろう。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
そうなった暁には、あいつらの首を
刎
(
は
)
ねるくらいじゃ足りないぞ、なぜといって、あいつらは進歩を妨げたんだからなあ、イワン
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
事
(
こと
)
の
大小
(
だいせう
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、
總
(
すべ
)
ての
困難
(
こんなん
)
を
解决
(
かいけつ
)
する
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
方法
(
はうはふ
)
を
御存
(
ごぞん
)
じでした。『
彼
(
か
)
れの
頭
(
あたま
)
を
刎
(
は
)
ねよ!』と
四邊
(
あたり
)
も
見
(
み
)
ずに
申
(
まを
)
されました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「鐘巻流では皆伝だよ。年二十三で皆伝になる、まあまあよほど強い方さ」一式小一郎は唇を
刎
(
は
)
ね、ニヤニヤ笑ったものである。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、こっちの軍刀に触れたのは、相手の軍帽でもなければ、その下にある頭でもない。それを下から
刎
(
は
)
ね上げた、向うの軍刀の
鋼
(
はがね
)
である。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
つまり、そんなところへ関係すると、働きもしない奴に、頭を
刎
(
は
)
ねられるだろう? それが馬鹿らしいというのさ。あの人に言わせると。
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
弓馬
(
きゅうば
)
の家に生れながら、そんな卑怯なことは出来ない。飽くまで自分の力を以て敵を
斃
(
たお
)
すのだ。そうして其奴の首を
刎
(
は
)
ね、鼻を斬るのだ。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蒲団
(
ふとん
)
をば
刎
(
は
)
ねて、
勢好
(
いきほいよ
)
く飛起きた。
寢衣
(
ねまき
)
を
着更
(
きか
)
へて、雨戸を
啓
(
あ
)
けると、
眞晝
(
まひる
)
の日光がパツと射込むで、
眼映
(
まぶ
)
しくツて眼が啓けぬ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
受付で
刎
(
は
)
ねられたら、法が附かん。おれたちの家くらいなら、どこからでも入りこんで、逢いたい
者
(
もん
)
に面会出来るとじゃが、……
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
坊ばはそのくらいな事で
辟易
(
へきえき
)
する訳がない。坊ばは暴君である。今度は突き込んだ箸を、うんと力一杯茶碗の底から
刎
(
は
)
ね上げた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
能
(
よ
)
く
饒舌
(
しゃべ
)
りもし、飛び
廻
(
ま
)
わり
刎
(
は
)
ね廻わりして、
至極
(
しごく
)
活溌にてありながら、木に登ることが
不得手
(
ふえて
)
で、水を泳ぐことが
皆無
(
かいむ
)
出来ぬと云うのも
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
個人としての親しげな態度にはぴんと
刎
(
は
)
ねかえすものがあった。身分から来るなじめないものの
反撥
(
はんぱつ
)
であった。けれども堀は語りつづけた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
僕はどうかするとあの仏殿の地蔵様の坐っている真下が頸を
刎
(
は
)
ねる場所で、そこで罪人がやられている光景が想像されたり
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
私が書院の障子をあけて見ると、川の上におちるのや、庭のおち葉をたたきながら
刎
(
は
)
ねかえる霰は、まるで純白の玉を飛ばしたようであった。
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
さるを後には老女を彼賊の同類なりとし、ことし數人の賊と共に彼老女をさへ
刎
(
は
)
ねて、ネピの石垣の上に
梟
(
か
)
けたりと語りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「けちんぼうだな!」と彼は云つた、「お金が欲しいといふ願ひを
刎
(
は
)
ねつけるなんて! 五
磅
(
ポンド
)
お寄越しなさい、ジエィン。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あくまで残忍な
悪戯者
(
いたずらもの
)
は、その身悶えするさまを快げに打ち眺めていたが、時分はよしと、やにわに抜く手も見せず、犬の頭を
刎
(
は
)
ねてしまった。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
これがすむと別の土壇に据えて首を
刎
(
は
)
ねる。ついでその首を土壇に埋め、額だけ露出させ、二人の刑手が板の両端をもって首の頭上を抑えている。
せいばい
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
死罪
(
しざい
)
の
事
(
こと
)
を
追放
(
つゐはう
)
といはッしゃるは、
黄金
(
わうごん
)
の
斧鉞
(
まさかり
)
で
予
(
わし
)
の
首
(
くび
)
を
刎
(
は
)
ねておいて、
汝
(
そち
)
は
幸福
(
しあはせ
)
ぢゃと
笑
(
わら
)
うてござるやうなものぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
普通の事情位は
刎
(
は
)
ね
退
(
の
)
けて、再婚すべしと言ひたいのであるが、今日の軍人遺族は、
恐
(
おそら
)
く自分の説を
容
(
い
)
れて呉れまい。
未亡人と人道問題
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
これより先地中海の大神ポセイドン、馬や鳥の形に化けて醜女怪メズサを孕ませ、勇士ペルセウスがメの首を
刎
(
は
)
ねた鮮血より飛馬ペガソス生まれた。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
雨が
飛石
(
とびいし
)
をうって
刎
(
は
)
ねかえる。目に入る限りの
緑葉
(
あおば
)
が、一葉々々に雨を
浴
(
あ
)
びて、
嬉
(
うれ
)
しげにぞく/\身を震わして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
申し込まれた時分にはどんな者でも
後
(
あと
)
へ
退
(
ひ
)
くというような事はしない。退けばその時限り壮士坊主の仲間から
刎
(
は
)
ね
退
(
の
)
けられて寺に居ることが出来ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
大の野心家であつた
伊達
(
だて
)
政宗さへ、此年少気鋭な三代将軍の承職に当つて江戸に上つた際、五十人の切支丹の首が鈴ヶ森で
刎
(
は
)
ねられるのを眼のあたり見て
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
順作は驚いて眼のせいではないかと思って見なおそうとした。同時に右から来た電車が順作を
刎
(
は
)
ね飛ばして往った。順作はそのまま意識を失ってしまった。
藍瓶
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
業盛も父の気性を受けたなかなかの武将だったが、さすがに晴信の軍配には敵しがたく、ほとんど全滅のかたちで敗れ、彼また自ら
刎
(
は
)
ねていさぎよく死んだ。
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「日当弐円五拾銭だちって、こうなると、五拾銭引いてやがる。おまけに、会場の方は俺達の分を四円位にしといてピンを
刎
(
は
)
ねるンだから、やりきれないさ」
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
如何にして? 顔を黒く
隈取
(
くまど
)
って戦うことによってではない。家に火を放つことによってではない。豚を殺し、傷つける敵の首を
刎
(
は
)
ねることによってではない。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そこへ立ち寄ると、平地に倒れた草が、
刎
(
は
)
ね返り、起きあがる所であった。鮮かな、
眩
(
まぶ
)
しい朝日が、藪の青葉の上にも、平地にも、緑色の草の上にも流れている。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私たちは窓のないがらんどうの部屋へはいって、建物の
幅木
(
はばき
)
を取りのけ、それから
床板
(
ゆかいた
)
をめくると、
垂木
(
たるき
)
の下に屑をもっておおわれた
刎
(
は
)
ね上げの戸が発見された。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
その傷は極めて異様なもので、左の耳の後から
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
の方へ
偃月形
(
みかづきがた
)
に弧を描いて
刎
(
は
)
ねあげられている。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
とても逃げおおせることは出来ないと覚悟して、呉はかの剣をもってみずから首を
刎
(
は
)
ねて死にました。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今迄は
此
(
この
)
山王山を
繞
(
めぐ
)
る外廓となつて、下町から来る
塵埃
(
ぢんあい
)
を防いでゐた、烈しい生存競争から来る呻り声も、此森林の厚壁に突き当つては、手もなく
刎
(
は
)
ね返されてゐた
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
「基地で味方の不時着機に
刎
(
は
)
ね飛ばされたぐらいのもんです。背中を十針ばかり縫いましたが……」
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
雄鶏は
妬
(
ねた
)
ましげに
蹴爪
(
けづめ
)
の上に伸び上って、最後の決戦を試みようとする。その尾は、剣が
刎
(
は
)
ね上げるマントの
襞
(
ひだ
)
そのままである。彼は、
鶏冠
(
とさか
)
に血を注いで戦いを挑む。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
日
(
ひ
)
に
一萬三千人
(
いちまんさんぜんにん
)
の
首
(
くび
)
を
刎
(
は
)
ねたりと
呼
(
よ
)
ばるゝ、
世
(
よ
)
にも
恐
(
おそ
)
るべき
斬頭刄
(
ギラチン
)
の
形
(
かたち
)
に
髣髴
(
ほうふつ
)
たる、
八個
(
はつこ
)
の
鋭利
(
えいり
)
なる
自轉伐木鉞
(
じてんばつもくふ
)
との
仕掛
(
しか
)
けにて、
行道
(
ゆくて
)
に
塞
(
ふさ
)
がる
巨木
(
きよぼく
)
は
幹
(
みき
)
より
鋸
(
ひ
)
き
倒
(
たほ
)
し
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「さよう、わざわざ鎌倉へ連れてゆくにも及ぶまい。そなたのよきように、どこぞで首を
刎
(
は
)
ねよ」
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「いけません。五円頭を
刎
(
は
)
ねられるんじゃ気が咎めます。大勉強ですよ。商売が
上
(
あが
)
ったりです」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
獣の路を
逐
(
お
)
うて前の木立に潜り込む、人ひとりの重さ位にはビクともしない頑強な枝が意地悪るく邪魔をする、押し倒そうにも
刎
(
は
)
ね除けようにも手に合ったものではない。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
たといどんな
理由
(
わけ
)
があったにしろ、殿中である、その殿中で、ああ鮮かに上役の首を
刎
(
は
)
ね、そいつを窓から
抛
(
ほう
)
り込んで、自分は今日まで雲隠れしていた程の豪の者である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
...
揚
(
あ
)
げたのだね、生牡蠣は衣がつかんで油へ入れると
刎
(
は
)
ねて困るがどうすると揚がるね」主人
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
またもや頭巾を
刎
(
は
)
ねのけ荷物をおろし、顔より先に眼を洗つたり、
焼焦
(
やけこげ
)
だらけの洋服の塵を払つたりした後、棒のやうになつた両足を投出して、どつさり其場に寝転んでしまつた。
にぎり飯
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
日頃罪人一同の
喰物
(
くいもの
)
の頭を
刎
(
は
)
ね、
剰
(
あまつさ
)
え
年
(
ねん
)
に二度か三度のお
祭日
(
まつりび
)
に
娑婆飯
(
しゃばめし
)
をくれません、余り無慈悲な扱いゆえ、三人の総代を立てゝ
只管
(
ひたすら
)
歎願
(
たんがん
)
いたしました処が、聞入れないのみか
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
刎
漢検1級
部首:⼑
6画
“刎”を含む語句
刎上
刎起
刎返
刎飛
一刎
刎首
刎頸
刎橋
刎付
刎退
刎釣瓶
刎出
刎除
刎込
刎越
刎銭
突刎
刎附
刎歩行
尻刎
...