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侍
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はべ
ふりがな文庫
“
侍
(
はべ
)” の例文
私が伺いました日も、うわさに違わず、
臨淄
(
りんし
)
侯曹植様には、丁儀、
丁廙
(
ていい
)
などという寵臣を
侍
(
はべ
)
らせて、前の夜からご酒宴のようでした。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに、いま自分の傍を離れて、かえって、見も知りもせぬ、あの奇怪極まる
盲者
(
もうじゃ
)
の傍へ神妙に
侍
(
はべ
)
っているムクの心が知れない。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
新婦は首を
掉
(
ふ
)
りて、否々、
門
(
かど
)
の口をばえひらき
侍
(
はべ
)
らず、おん身のこゝに來給はんは
宜
(
よろ
)
しからずと云ひ、起ちてかなたの窓を開きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
側に
侍
(
はべ
)
っていた西光法師も、前座主帰山の知らせに何か手をうたなくてはと、考えていた矢先だから、ここぞとばかり、一ひざ進めると
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
昔より天下の乱るゝことは
侍
(
はべ
)
れど、足軽といふ事は旧記にもしるさゞる名目なり。此たびはじめて出来たる足軽は、超悪したる悪党なり。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
法海和尚は「今は老朽ちて、
験
(
しるし
)
あるべくもおぼえ
侍
(
はべ
)
らねど、君が家の
災
(
わざわい
)
を
黙
(
もだ
)
してやあらん」と云って
芥子
(
けし
)
の
香
(
か
)
のしみた
袈裟
(
けさ
)
を
執
(
と
)
りだして
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
また心
憂
(
う
)
き事
侍
(
はべ
)
りき、その大臣の娘
座
(
おわ
)
しき、
色
(
いろ
)
容
(
かたち
)
愛
(
めで
)
たく世に
双人
(
ならぶひと
)
なかりき、
鑑真
(
がんじん
)
和尚の、この人千人の男に逢ひ給ふ相
座
(
おわ
)
すと
宣
(
のたま
)
はせしを
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
お米は引續いてお酌に
侍
(
はべ
)
り、夜もこつそりその部屋に忍んで來て居た。女中を相手に大言壯語をもてあそぶのは野呂の好むところだつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「
否
(
いな
)
。
此処
(
ここ
)
には持ち
侍
(
はべ
)
らねど、大王
些
(
ちと
)
の骨を惜まずして、この
雪路
(
ゆきみち
)
を歩みたまはば、僕よき処へ
東道
(
あんない
)
せん。
怎麼
(
いか
)
に」トいへば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
一日置きに診察して貰えるので、時にはまるで「お抱え医者」を
侍
(
はべ
)
らしているゼイタクな気持を俺だちに起させることがある。
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
見かけることが
珍
(
めずら
)
しくなかった彼女の
傍
(
かたわら
)
にはいつも佐助が
侍
(
はべ
)
り
外
(
ほか
)
に鳥籠の世話をする女中が一人
附
(
つ
)
いていた女師匠が命ずると女中が籠の戸を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
祓
(
はらえ
)
を仕候也、と答えた。何しに紙の冠をばしたるぞ、と問えば、祓戸の神たちは法師をば忌みたまえば、祓をするほど
少時
(
しばし
)
は仕て
侍
(
はべ
)
るという。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
紅巾が座中に現われた時から、宴に
侍
(
はべ
)
っていた人々の眼は、期せずしてそれに集まったが、今長老が首を捻ったので彼らも一斉に首を捻った。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また
浄瑠
(
じょうる
)
りほんなども心得ありて聞き候えば、随分役にたつものに候。さてまた別に
認
(
したた
)
めたる文に付き、うたをよみ候。ここにしるし
侍
(
はべ
)
りぬ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
清少納言こそ、したり顔にいみじう
侍
(
はべ
)
りける人。さばかり
賢
(
さか
)
しだち、まなかきちらして侍るほども、よく見れば、まだいと堪へぬことおほかり。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蛸
(
たこ
)
よ蛸よと呼ばれて、いつもお
傍
(
そば
)
ちかく
侍
(
はべ
)
って若殿にけしからぬ事を御指南申したりして、若殿と共にげらげら下品に笑い合っているのである。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
なだらかな斜面を下に控え、ゆるやかに起伏する丘を左右に
侍
(
はべ
)
らし、遠く白波の立つ那覇の港を望みながら、都は静かに今も立っているのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
道鏡を少僧都に任じ、常に側近に
侍
(
はべ
)
らせ、押勝は遠ざけられた。彼はもはや上皇にとって、全く意味のない存在だった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
どうやらあの十一人の
掠
(
かす
)
め取った女達をその左右にでも
侍
(
はべ
)
らせて、もう何か
淫
(
みだ
)
らな所業を始めているらしい容子です。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
娘は脂ぎつた利右衞門の
閨
(
ねや
)
に
侍
(
はべ
)
るために、門を入り、母はたつた一人の我家に悄然として歸る外は無かつたのです。
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ピム、パムはあなたの左右からお対手に
侍
(
はべ
)
りたいようです。御気分のいいとき、ゆっくりと森や丘や泉の散策もいいかもしれません。本当にお大事に。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
元日にある人の
許
(
もと
)
へ
行
(
ゆき
)
ければ、
喰
(
くい
)
つみを
出
(
いだ
)
し、ことぶきをのべて
後
(
のち
)
、これを題にして、めでたく歌よめと
侍
(
はべ
)
りければ
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その祖父は
曾
(
かつ
)
て孫を此上なく
寵愛
(
ちようあい
)
して、
凡
(
およ
)
そ祖父の孫に対する愛は、
遺憾
(
ゐかん
)
なく尽して居つたにも
拘
(
かゝは
)
らず、その死の床には
侍
(
はべ
)
つて居るものが一人も無いとは!
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
仏像をお
据
(
す
)
えになった前に少数の女房だけを
侍
(
はべ
)
らせて、ゆるやかに仏勤めをあそばす院でおありになった。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そのほどほどの人妻に成りたるものとやいはまし——
仮初
(
かりそめ
)
の筆すさび成りける枕の草紙をひもとき
侍
(
はべ
)
るに
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ファブリイス伯爵夫人のわが伯母なることは、聞きてやおはさむ。わが姉もかしこにあれど、それにも知られぬを願ひて、君が
御助
(
みたすけ
)
を借らむとこそおもひ
侍
(
はべ
)
れ。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ぞ、や、なり、かなかな、
侍
(
はべ
)
る、なんど、
手爾波
(
てには
)
を合わされて助りますかい。……あとで竹永さん、
貴下
(
あなた
)
が探りましたね、第一、愛吉が知っていたんだね。……
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の
卓子
(
テーブル
)
の前の、自分の廻転椅子に腰をかけて、ウイスキーの角瓶を手近に
侍
(
はべ
)
らして、万年筆を
斜
(
ななめ
)
に構えながら
西洋大判罫紙
(
フールスカップ
)
の数帖と
睨
(
にら
)
めっくらをしている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
三月にわたる久きをかの美き姿の絶えず
出入
(
しゆつにゆう
)
するなれば、
噂
(
うはさ
)
は
自
(
おのづ
)
から院内に
播
(
ひろま
)
りて、博士の
某
(
ぼう
)
さへ
終
(
つひ
)
に
唆
(
そそのか
)
されて、
垣間見
(
かいまみ
)
の歩をここに
枉
(
ま
)
げられしとぞ伝へ
侍
(
はべ
)
る。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
柳沢吉保が、将軍を邸に迎え、宴席におのれの妻娘を
侍
(
はべ
)
らせた、というのを
諷
(
ふう
)
したものだそうで、その作者である町絵師、
英一蝶
(
はなぶさいっちょう
)
は、
咎
(
とが
)
めをうけて
流罪
(
るざい
)
になった。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
イギリスの
諺
(
ことわざ
)
に「いかなる英傑も
彼
(
かれ
)
の
側
(
そば
)
に
侍
(
はべ
)
る
小姓
(
こしょう
)
の
眼
(
め
)
には偉大と映じない」とある。これ英傑が偉大ならざるにあらずして、
小姓
(
こしょう
)
が偉大ならざるがためである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
円価に直して、一人当り九百円に当るわけであるが、日本で、芸者か女給を
侍
(
はべ
)
らせて、一晩徹底的に飲み、二次会までやったら、とても一人前九百円ではあがらない。
パーティ物語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
異国に対して厳酷であると共に臆病であつた幕府は当時長崎在留の異国人の住居を出島の
廓内
(
くるわうち
)
に禁制すると共に、一方丸山の遊女を毎夜そこにつかはし、
侍
(
はべ
)
らしめて
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
我が
女子
(
むすめ
)
既に十七歳になりぬれば、朝夕に
三三
よき人がな
娶
(
あは
)
せんものをと、心も
三四
おちゐ
侍
(
はべ
)
らず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「奥州名取の
郡
(
こおり
)
に入りて中将実方の塚はいづくにやと尋ね
侍
(
はべ
)
れば、道より一里半ばかり左の方笠島といふ処にありと教ふ。降り続きたる
五月雨
(
さみだれ
)
いとわりなく打過ぐるに。」
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
小みどりは、まだおぼこであるとはいえ宴席へ
侍
(
はべ
)
るのがしょうばいであるから世の生娘とは違って、大して人怖じはしない。招じられるがままに仙公の室に通ったのである。
純情狸
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
ただ割合いに
煩
(
わずら
)
わされず勝手な懐疑と孤独とを自分に
侍
(
はべ
)
らせて居られるのを取柄として居る。
バットクラス
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「なお
才
(
ざえ
)
をもととしてこそ、
大和魂
(
やまとだましい
)
の世に用いらるるかたも強う
侍
(
はべ
)
らめ」です。分りますか?
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
さは走り車の輪には薄墨にぬらせ給ひて
大
(
おおき
)
さのほどやなどしるしには墨をにほはせ給へりし。げにかくこそかくべかりけれ。あまりに走る車はいつかは黒さのほどやは見え
侍
(
はべ
)
る。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「白馬の節会をあるひは青馬の節会とも申すなり。其の故は馬は陽の獣なり。青は春の色なり。これによりて、正月七日に青馬を見れば、年中の邪気を除くという本文
侍
(
はべ
)
るなり」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
何々して何々
侍
(
はべ
)
るというような雅文体や、何々し何々すべけんやというような漢文体なぞが行われてはいるが、それはある時代のある人々の心から、必然に生れ出た文章であって
文章を作る人々の根本用意
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一目で、雪之丞に、それが、
曾
(
かつ
)
て長崎で威を張った土部三斎と、当時、
柳営
(
りゅうえい
)
の大奥で、
公方
(
くぼう
)
の枕席に
侍
(
はべ
)
って
寵
(
ちょう
)
をほしいままにしているという、三斎の末むすめであるのをさとった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
町の芸者や
半玉
(
はんぎょく
)
なども数名座に
侍
(
はべ
)
ったのですが、彼女等もそれぞれ引取って了い、客は菰田邸に泊るものもあれば、それから又どこかへ姿を隠すものもあり、座敷は
引汐
(
ひきしお
)
の跡の様で
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
晩餐
(
ばんさん
)
の時、ヘルンはいつも二三本の日本酒を
盃
(
さかずき
)
で
傾
(
かたむ
)
けながら、甚だ上機嫌に朗かだった。夫人や家族の者たちは、彼の左右に
侍
(
はべ
)
って
酌
(
しゃく
)
をしながら、その日の日本新聞を読んできかせた。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
古池や
蛙
(
かわず
)
とび込む水の音、この句に我が一風を興せしより、はじめて辞世なり。その後百千の句を吐くに、この
意
(
こころ
)
ならざるはなし。ここをもって、句々辞世ならざるはなしと申し
侍
(
はべ
)
るなりと
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
只、身すがらにと
出
(
いで
)
立ち
侍
(
はべ
)
るを、
紙子
(
かみこ
)
一衣
(
ひとへ
)
は夜の防ぎ、
浴
(
ゆ
)
かた、雨具、墨、筆のたぐひ、あるはさりがたきはなむけなどしたるは、さすがに打捨てがたく、路次の
煩
(
わづら
)
ひとなるこそわりなけれ
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
給仕に
侍
(
はべ
)
っている関白家の家来も、女も、あまりの怖ろしさに席を動くことが出来なかった。なにがしの大将、なにがしの少将も、この物凄い敵の前には言い甲斐もなく怖れ伏してしまった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
見台
(
けんだい
)
に似た台を取り寄せさせ、新聞紙で、即製の
肩衣
(
かたぎぬ
)
をこしらえて、金五郎は正面の座についた。舞台はない。太枠もないので、
徳弥
(
とくや
)
という芸者に、普通の三味線を持たせて、左に
侍
(
はべ
)
らせた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
やがて友之助と立花屋の
主人
(
あるじ
)
を
召捕
(
めしと
)
って
相生町
(
あいおいちょう
)
の名主方へ
引立
(
ひきた
)
てゝまいりました。玄関には
予
(
かね
)
て
待受
(
まちう
)
けて居りました小林藤十郎、左右に手先を
侍
(
はべ
)
らせ、友之助を駕籠から引出して敷台に
打倒
(
うちたお
)
し
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
枯れ芝の中に花さく
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
を見いでて、何となしに物の哀れを感じ
侍
(
はべ
)
る。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“侍”の解説
侍(さむらい、サムライ)は、古代から中世にかけての日本における官人の身分呼称、あるいはそこから発展的に生じた武士の別名である。「伺候(しこう)する」「従う」を意味する「さぶらう」(旧仮名遣いでは「さぶらふ」〈候ふ/侍ふ〉)に由来する。
(出典:Wikipedia)
侍
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
“侍”を含む語句
侍女
侍童
侍士
内侍
典侍
青侍
侍所
侍従
若侍
遠侍
侍婢
悪侍
侍烏帽子
侍者
田舎侍
公卿侍
直侍
侍中
脇侍
小侍
...