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一言
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いちごん
ふりがな文庫
“
一言
(
いちごん
)” の例文
殊
(
こと
)
に
浮沈室
(
ふちんしつ
)
と
機關室
(
きくわんしつ
)
とは
此
(
この
)
艇
(
てい
)
の
最
(
もつと
)
も
主要
(
しゆえう
)
なる
部分
(
ぶゞん
)
ではあるが、
此事
(
このこと
)
に
就
(
つ
)
いては
殘念
(
ざんねん
)
ながら
私
(
わたくし
)
の
誓
(
ちかひ
)
に
對
(
たい
)
して
一言
(
いちごん
)
も
明言
(
めいげん
)
する
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
ぬ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「大変物覚えが御悪いのね」と細君がひやかした。寒月君だけは約束を守って
一言
(
いちごん
)
も云わずに、早くあとが聴きたいと云う風をする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鼻
蠢
(
うごめ
)
かして世話人は御者の
背
(
そびら
)
を指もて
撞
(
つ
)
きぬ。渠は
一言
(
いちごん
)
を発せず、世話人はすこぶる得意なりき。美人は戯るるがごとくに
詰
(
なじ
)
れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一言
(
いちごん
)
でいうならば、うすく割って屋根葺き板にするような、大きな
素性
(
すじょう
)
の良い木材が、おいおいにとぼしくなってきたからである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然し、
今日
(
こんにち
)
まで親友と思うてをつた君を棄つるからには、これが一生の
別
(
わかれ
)
になるのぢやから、その
餞行
(
はなむけ
)
として
一言
(
いちごん
)
云はんけりやならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
「調べる」と、たった
一言
(
いちごん
)
の
下
(
もと
)
に、家財を掻き回して、家宅捜索をする、そして、わずかばかりな一片の手紙でも、不審と見れば
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前回の手紙につき、急ぎ
釈明
(
しゃくめい
)
のため
一言
(
いちごん
)
します。父上は、あの手紙が
韻文
(
いんぶん
)
になっていることをお気づきにならなかったのです。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
草
(
くさ
)
を
刈
(
かる
)
鎌
(
かま
)
をさへ
買求
(
かひもとむ
)
るほどなりければ、火の
為
(
ため
)
に
貧
(
まづし
)
くなりしに家を
焼
(
やき
)
たる
隣家
(
りんか
)
へ
対
(
むか
)
ひて
一言
(
いちごん
)
の
恨
(
うらみ
)
をいはず、
交
(
まじは
)
り
親
(
したし
)
むこと常にかはらざりけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
サスがの柿沢君も
一言
(
いちごん
)
の答弁が
無
(
なか
)
つたと云ふことです、一言に尽したならば、兼吉の如きは新式江戸ツ子とでも言ひませうか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
大王の
一言
(
いちごん
)
もって動かすべからず、実に私はこの一言を得て心の底から悦びその歓喜の情は
自
(
おのずか
)
ら満面に溢れたかと思います。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それをどうです、大勢の前でスパスパとやられて
一言
(
いちごん
)
もなく恐れ入っちまうなんぞは、
人徳
(
にんとく
)
というものは大したものですな
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
………その癖いつも味方になって
庇
(
かぼ
)
うて上げてるのんに、人に
一言
(
いちごん
)
の相談もせんと、あんな板倉みたいなもんとそんな約束してしもうて、………
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それから
一言
(
いちごん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もせず、如丹と若い衆との間の席へ、大きい体を割りこませた。保吉はライスカレエを
掬
(
すく
)
いながら、嫌な奴だなと思っていた。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
花田君は
一言
(
いちごん
)
もありません。たしかに、たしかに、この部屋だったのに、虎の檻なんか、どこにも見あたらないのです。
虎の牙
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
なにしろ泊まり込みで網を張っていながら、こんな事になってしまって、なんと叱られても
一言
(
いちごん
)
もありません。庄太が一生の不覚、あやまりました
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は
途々
(
みちみち
)
この
一言
(
いちごん
)
を胸に
幾度
(
いくたび
)
か繰返した、そして一念
端
(
はし
)
なくもその夜の先生の
怒罵
(
どば
)
に触れると急に足が
縮
(
すく
)
むよう思った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
お
母
(
っか
)
さまには不孝でございますが、文治郎命を捨てゝ悪婦の命を断ちました、決して逃げ隠れは致しません、
一言
(
いちごん
)
藤原に申し聞けたい事があります
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
八五郎は
一言
(
いちごん
)
もありませんでした。お神楽の清吉に
牛耳
(
ぎゅうじ
)
られて、日頃の八五郎に似気なく、ほとんど周助殺しの調べの筋も通してはこなかったのです。
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いや、山内殿の智弁には、今更ながら、つくづく恐れ入った。
流石
(
さすが
)
の大岡越前守も、
一言
(
いちごん
)
もなく、尻っ尾を
捲
(
ま
)
いて
引退
(
ひきさが
)
って行ったがいや、感服感服」
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
紳士は
一言
(
いちごん
)
も口をきかず重々しい態度で室内の電灯をみんな点けた。室内にはたちまち明るい光がいっぱいに流れた。この時二人は始めて眼と眼を見合せた。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
おのずから人前を
憚
(
はばか
)
り、人前では殊更に二人がうとうとしく取りなす様になっている。かくまで
私心
(
わたくしごころ
)
が長じてきてどうして立派な口がきけよう。僕はただ
一言
(
いちごん
)
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ところでこんな研究も良いが大学で雪を切ることだけ教えるのはちょっと困るといわれれば
一言
(
いちごん
)
もない。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
とはいえそれは忍ぼうと思えば忍びもなろうが、
面
(
まの
)
あたりに意久地なしと言わぬばかりのからみ文句、人を
見括
(
みくび
)
ッた
一言
(
いちごん
)
ばかりは、
如何
(
いか
)
にしても腹に
据
(
す
)
えかねる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あのひとのボロを隠してあげたいと思って、よそさまへは、あのひとの悪いところは
一言
(
いちごん
)
も言わず、かえって嘘ついてあの人をほめて聞かせたりして来ましたのに
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
都会の水に関して最後に
渡船
(
わたしぶね
)
の事を
一言
(
いちごん
)
したい。
渡船
(
わたしぶね
)
は東京の都市が
漸次
(
ぜんじ
)
整理されて行くにつれて、
即
(
すなは
)
ち橋梁の便宜を得るに従つて
軈
(
やが
)
ては廃絶すべきものであらう。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
恐
(
おそ
)
ろしきは
飽
(
あ
)
くまで
恐
(
おそ
)
ろしく、
塵
(
ちり
)
ほどの
事
(
こと
)
身
(
み
)
にしみぬべし、
男女
(
なんによ
)
の
中
(
なか
)
もかヽる
物
(
もの
)
にや、
甚之助
(
じんのすけ
)
の
吾助
(
ごすけ
)
を
慕
(
した
)
ふは
夫
(
そ
)
れとも
異
(
こと
)
なりて
淡
(
あは
)
き
物
(
もの
)
なれど、
我
(
わが
)
が
好
(
この
)
む
人
(
ひと
)
の
一言
(
いちごん
)
重
(
おも
)
く
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
身体の大きさは人間より一まわりほど大きかった。
一言
(
いちごん
)
でいうと、彼等は西洋の幽霊そっくりだった。つまり人間が頭からスッポリと白布を被った恰好に等しかった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
下ノ関で外国の船艦に発砲したからとか
云
(
い
)
いそうなものであるに、ソンな事は
一言
(
いちごん
)
半句も
云
(
い
)
わないで、イヤどうも京都に暴れ込んだとか、
或
(
あるい
)
は勅命に
戻
(
もと
)
り
台命
(
たいめい
)
に
背
(
そむ
)
き
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と家内に
一言
(
いちごん
)
して、
餌桶
(
えさおけ
)
と
網魚籠
(
あみびく
)
とを持って、
鍔広
(
つばびろ
)
の
大麦藁帽
(
おおむぎわらぼう
)
を
引冠
(
ひっかぶ
)
り、腰に
手拭
(
てぬぐい
)
、
懐
(
ふところ
)
に手帳、素足に薄くなった
薩摩下駄
(
さつまげた
)
、まだ低くならぬ日の光のきらきらする中を
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……不義の女と云われましても、妾には
一言
(
いちごん
)
もございません。……どうぞかつえ蔵へお入れ下さい
柳営秘録かつえ蔵
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かれ草でそれはたしかにいゝけれども、寝てゐるうちに、野火にやかれちゃ
一言
(
いちごん
)
もない。よしよし、この石へ寝よう。まるでね台だ。ふんふん、実に柔らかだ。いゝ
寝台
(
ねだい
)
だぞ。
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
礼儀を
弁
(
わきま
)
えていたにしたとこで、セエラに
一言
(
いちごん
)
お礼をいう暇もなかったに違いありません。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「御破談になさるより外ございますまい。わたくしがあの日に、あなたがお照様でございますねと、
一言
(
いちごん
)
念を押して置けば
宜
(
よろ
)
しかったのでございます。全くわたくしの粗忽で」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
重井を
尋
(
たず
)
ねて、身を托せんと思い立ちしに、その妾お
柳
(
りゅう
)
のために
一言
(
いちごん
)
にして
跳付
(
はねつ
)
けられ、
已
(
や
)
むなく博士某の
邸
(
てい
)
に生みの母なる富子夫人を尋ぬれば、これまた面会すらも断わられて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
だが一つだけ、この年に免じて、お別れのしるしに、
一言
(
いちごん
)
忠告をゆるして頂きたい。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
外国と
通商条約
(
つうしょうじょうやく
)
を取結びながら、
或
(
あ
)
る
産物
(
さんぶつ
)
を或る一国に
専売
(
せんばい
)
するがごとき
万国公法
(
ばんこくこうほう
)
に
違反
(
いはん
)
したる
挙動
(
きょどう
)
ならずやとの
口調
(
くちょう
)
を以て
厳
(
きび
)
しく
談
(
だん
)
じ
込
(
こ
)
まれたるが
故
(
ゆえ
)
に、政府においては
一言
(
いちごん
)
もなく
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
この計略にうまく引っかかった匈奴は、
一言
(
いちごん
)
もなく、十九年めに蘇武をかえした。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
僕は義務として、
一言
(
いちごん
)
君に注意します。我々
甲羅
(
こうら
)
をへた独身ものは、ここへ来ても、さしつかえない。なんのことがあるものですか? 我々は
鍛錬
(
たんれん
)
ができてるからびくともしないです。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
最後に今
一言
(
いちごん
)
させて頂きます。小生は小生の妻子に対する貴下の御庇護に関する私的御費用の一端として、藤波弁護士の手に保管中の二万円也を貴下に捧呈させて頂きたいのであります。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
アハハ、そういわれると
一言
(
いちごん
)
もありませんがしかし我々は撃つまでが楽みで撃ってしまえばモー食べないでいい位です。今のお話しに猪の事がありますが猪へはどういう風にブランデーを
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
こちらが自分で実際に当ってきながら、しかも自分では説明しきれなかったことをも、彼らのうちではたッた
一言
(
いちごん
)
で分らせてくれた。本統に上つ方と自分らとの生活がまるで違ってるのだ。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
一言
(
いちごん
)
の
愛情
(
あいじょう
)
のことばが出て来ないのである。わたしはけものなのであろうか。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
おかみは、巳代が
三歳
(
みっつ
)
までよく口をきいて居たら、ある日「おっかあ、お湯が飲みてえ」と云うたを最後の
一言
(
いちごん
)
にして、医者にかけても薬を飲ましても甲斐が無く唖になって了うた、と言った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
稀
(
たま
)
に我輩が何か言はうものなら、私は
斯様
(
こんな
)
に
裸体
(
はだか
)
で嫁に来やしなかつたなんて、其を言はれると
一言
(
いちごん
)
も無い。実際、
彼奴
(
あいつ
)
が持つて来た
衣類
(
もの
)
は、皆な我輩が飲んで了つたのだから——はゝゝゝゝ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
女子供に云うべき事でもないので家人へは
一言
(
いちごん
)
も云わずにいた。
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
なお他人に忠告するについては、
一言
(
いちごん
)
したいことがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
威儀略述
夷堅志
(
いけんし
)
頤生輯要
(
いせいしゅうよう
)
一言
(
いちごん
)
雑筆 因果物語
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
彼女は泣きながら父の
室
(
へや
)
に訴えに行った。父は面倒だと思ったのだろう、
嫂
(
あによめ
)
には
一言
(
いちごん
)
も
聞糺
(
ききただ
)
さずに、翌日お重を連れて三越へ出かけた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一言
(
いちごん
)
でも、大事の秘密を聞かれた時は、秘密に
与
(
くみ
)
すか、秘密に殺されるかどっちか二つに一つを選ばなければならない——。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
草
(
くさ
)
を
刈
(
かる
)
鎌
(
かま
)
をさへ
買求
(
かひもとむ
)
るほどなりければ、火の
為
(
ため
)
に
貧
(
まづし
)
くなりしに家を
焼
(
やき
)
たる
隣家
(
りんか
)
へ
対
(
むか
)
ひて
一言
(
いちごん
)
の
恨
(
うらみ
)
をいはず、
交
(
まじは
)
り
親
(
したし
)
むこと常にかはらざりけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
“一言”の意味
《名詞》
一つの言葉。
短い言葉。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“一言”で始まる語句
一言半句
一言二言
一言主
一言葉
一言毎
一言居士
一言坂
一言句
一言々々
一言観音