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音
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おん
ふりがな文庫
“
音
(
おん
)” の例文
能登
(
のと
)
の「ワゲシ」は
最
(
もつと
)
もこれに
近
(
ちか
)
い
音
(
おん
)
を
有
(
いう
)
する鳳(フング)至(シ)の二
字
(
じ
)
によつて
示
(
しめ
)
されたのが、
今
(
いま
)
は「ホーシ」と
讀
(
よ
)
む
者
(
もの
)
がある。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
言語は、すべて一定の
音
(
おん
)
に一定の意味が結合して成立つものであって、音が言語の外形をなし、意味がその内容を成しているのである。
国語音韻の変遷
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
と謂ツたが、
音
(
おん
)
の
出方
(
でかた
)
まで下司な下町式になツて、以前凛とした
點
(
とこ
)
のあツた顔にも氣品がなくなり、何處か仇ツぽい愛嬌が出來てゐた。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
こぐ腕の動きにつぶされたような
音
(
おん
)
で、ひとりごとを言っている船頭のささやき——そういうもののほかには、何ひとつきこえなかった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
たま/\
音
(
おん
)
の
組
(
く
)
み
合
(
あ
)
わせがしぜんとそうなっているまでだと、いくたびもおもいかえしておりますうちに、又もや朝露軒どのは
盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
あまり
妙
(
たえ
)
なるに、いぶかしさは忘れたるが、また思い惑いぬ。ひそかに見ばや、小親を置きて世に誰かまたこの
音
(
おん
)
の調をなし得るものぞ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旋頭歌
(
せどうか
)
といふものに
發達
(
はつたつ
)
して
行
(
ゆ
)
くと
同時
(
どうじ
)
に、
片歌
(
かたうた
)
自身
(
じしん
)
が、
短歌
(
たんか
)
を
作
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げるように、
次第
(
しだい
)
に、
音
(
おん
)
の
數
(
かず
)
を
増
(
ま
)
し、
内容
(
ないよう
)
が
複雜
(
ふくざつ
)
になつてゐました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「三月になります。」とか「なるわよ。」とか言切ったら
平常
(
つね
)
の談話に聞えたのであろうが、ネエと長く引いた声は
咏嘆
(
えいたん
)
の
音
(
おん
)
というよりも
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
手は一つの
鍵
(
キー
)
に触れた。その
音
(
おん
)
は声のように震えた。アンナはぞっとして仕事を取り落とした。クリストフはもう腰をおろしてひいていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
多くの国語に共通なアルファベットの幾字かを並べて或る一定の国語の有する特殊な
音
(
おん
)
を出そうとするようなものであるといっている{3}。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
骨董
(
こっとう
)
というのは元来
支那
(
しな
)
の田舎言葉で、字はただその
音
(
おん
)
を表わしているのみであるから、骨の字にも董の字にもかかわった義があるのではない。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おいらには歌は唄えねえ。まるっきり
音
(
おん
)
をなさねえのだ。悲しくもなれば愛想も尽きる。そうしてお前が羨ましくもなる。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「あの
東風
(
こち
)
と云うのを
音
(
おん
)
で読まれると大変気にするので」「はてね」と迷亭先生は
金唐皮
(
きんからかわ
)
の
煙草入
(
たばこいれ
)
から煙草をつまみ出す。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
会員楽器に和して、自由の歌を合奏す、悲壮の
音
(
おん
)
水を渡りて、無限の感に打たれしことの今もなおこの記憶に残れるよ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「以ての外、拙者が九州人でない証拠は、拙者の
音
(
おん
)
を聞いたらわかるだろう、婦人や少年のことは
与
(
あずか
)
り知らんことじゃ」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
バスの
音
(
おん
)
とソプラノの音とが、着かず離れずに
縺
(
もつ
)
れ合つて、高くなつたり低くなりして漂ふ間を、福富の肉声が、浮いたり沈んだりして泳いでゐる。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そこで演奏の方法は、タヌがそれらの鍵盤を指で押すのであって、押しさえすれば、そこから、ややそれ相応の
音
(
おん
)
と歌詞とが出て来るという仕組み。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
削るの
鉋
(
かんな
)
かんなとをんなと
音
(
おん
)
近きもこれまた自然の道理なり
緋威
(
ひをどし
)
の鎧とめかし込み艶福がるといづれ
仕舞
(
しまひ
)
は深田へ馬を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ただしゃがれた
音
(
おん
)
を出すばかりだったが、それでもやはりせきこんで
咽喉
(
のど
)
をつまらせながら、何かしら早口にわけのわからぬことをしゃべっていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
索引
(
さくいん
)
は五十
音
(
おん
)
に
別
(
わか
)
ちたり、
読者
(
どくしゃ
)
の
便利
(
べんり
)
の
為
(
た
)
め
正式
(
せいしき
)
の
仮名
(
かな
)
によらず、オとヲ、イとヰ、の
類
(
るい
)
は
皆
(
み
)
な
近
(
ちか
)
きものに
入
(
い
)
れたり
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「ちょッとお話の途中ですが、
貴様
(
あなた
)
はその『冬』という
音
(
おん
)
にかぶれやアしませんでしたか?」と岡本は
訊
(
たず
)
ねた。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
音
(
おん
)
が似ているじゃないか。彼はもう一度、二つの言葉を発音してみた。たしかに舌の廻り具合が似ている。ゼンソクタバコの方が、原音から
訛
(
なま
)
ったのだろう。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
でも
音
(
おん
)
は雅子に通じ、どうも些か。詩という字もつかっていらっしゃる、そう思い、くりかえし眺めました。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そのすずしい声にまじって、びっくりするほど太い、しかし低い
音
(
おん
)
で、調子を合わせるものもありました。
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
次から次へと移りながら、消えてゆく
音
(
おん
)
を捉へると同様に、散りゆく香気の翅を捉へて動きゆく、重なりゆく、高まりゆく、流れゆく幻想の画像をゑがくのだ。
「香水の表情」に就いて:――漫談的無駄話――
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
「これは、なんと読むんだろう。ビハダソ、——肌というのは、
音
(
おん
)
はなんだろう。なんと言ったですかね」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
わが手は戸に触れて音なふ声と共に、中には早や珍客の来遊におどろける言葉を洩らせるものあり。わが
音
(
おん
)
むかしに変らぬか、なつかしきものは
往日
(
わうじつ
)
の
知音
(
ちいん
)
なり。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
異樣の
音
(
おん
)
、
罵詈
(
のゝしり
)
の叫び、
苦患
(
なやみ
)
の
言
(
ことば
)
、怒りの
節
(
ふし
)
、強き聲、弱き聲、手の響きこれにまじりて 二五—二七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
窓掛の間へ月が滑り出て、銀色の指で、そこらぢゆうの物に
障
(
さは
)
る。音楽が清く優しく、一間の内に漂うてゐる。その一つ一つの
音
(
おん
)
は、空の遠い星の輝きのやうである。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
宜
(
むべ
)
なるかな、人は「君が代」よりも「梅の春」を聴んと急ぐや。嘗て英国の国歌を誦するを聴く、声昂り調高し鼓舞作興の妙言ふべからず、誠に大国の
音
(
おん
)
なるが如し。
詩人論
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
つまり
仔鹿
(
かよ
)
という一つの
音
(
おん
)
が、なにか貴女にとって、重大な一つものの中に含まれているからです。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「××さん、遊びませう」と云う子供の声、——あれは
音
(
おん
)
の高低を示せば、×× San Asobi-ma show である。あの
音
(
おん
)
はいつまで残つてゐるかしら。
都会で
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あなたは「
都々逸
(
どどいつ
)
」が
採譜
(
さいふ
)
の出来ないことを知っていられますか、謡曲も採譜が出来ません、あれは耳から耳へ伝わっている曲で、同じ「ア」という
音
(
おん
)
を引伸ばしながら
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
ただその中でも津軽のコギンは、あるいは
古錦
(
こきん
)
の
音
(
おん
)
だなどと謂った人もあるくらいに、殊に精巧な美しいものが多かったのである。それを作るのも容易のわざではなかった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と図星をさされて、そんな事を知る物か、何だそんな事、とくるり後を向いて壁の腰ばりを指でたたきながら、廻れ廻れ
水車
(
みづぐるま
)
を小
音
(
おん
)
に
唱
(
うた
)
ひ出す、美登利は
衆人
(
おほく
)
の細螺を集めて
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
剃髪
(
ていはつ
)
して五郎作
新発智東陽院寿阿弥陀仏曇奝
(
しんぼっちとうよういんじゅあみだぶつどんちょう
)
と称した。曇奝とは好劇家たる五郎作が、
音
(
おん
)
の
似通
(
にかよ
)
った劇場の
緞帳
(
どんちょう
)
と、
入宋
(
にゅうそう
)
僧奝然
(
ちょうねん
)
の名などとを配合して作った
戯号
(
げごう
)
ではなかろうか。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
音
(
おん
)
の
促
(
そく
)
した、半分は口の中でどもってしまう、聞き取りにくい調子だが、どことなく、自ずから感に通じるところがある。……私は妙な機会から、妙な人に逢ったもんだと思った。
北国の人
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
大岡殿は見て取れ大
音
(
おん
)
に
默止
(
だまれ
)
此出
過者
(
すぎもの
)
め
汝
(
おのれ
)
に
尋問
(
たづね
)
はせぬぞ只今九郎兵衞が申には里の
骸
(
からだ
)
に
疵
(
きず
)
は無いとあり又汝も
嫁
(
よめ
)
ではあれど知らぬと答へしには非ずや然るを今村役人共が申立るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それでも、おかくは信一の
信
(
シン
)
の
音
(
おん
)
だけは覚えてゐるのかといくらか私が感心しようとすると、次の手紙では槙原英太郎殿と麗々しく認められたり、英兵衛となつたりしてゐるのです。
月あかり
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
着けたりといえども
猿
(
さる
)
か
友市
(
ともいち
)
生れた時は同じ
乳呑児
(
ちのみご
)
なり
太閤
(
たいこう
)
たると
大盗
(
たいとう
)
たると
聾
(
つんぼ
)
が聞かば
音
(
おん
)
は
異
(
かわ
)
るまじきも変るは
塵
(
ちり
)
の世の虫けらどもが栄枯窮達一度が末代とは
阿房陀羅経
(
あほだらぎょう
)
もまたこれを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そこへ電気吹込みしたレコードの文句を……ドウも肉声では工合が悪いようだがね。そのレコードの
音
(
おん
)
を耳に当てがうと不思議なほどハッキリと記憶する。十枚分ぐらいは楽に這入るもんだがね。
人間レコード
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
なぜそれに気がついたかというとね、言葉の
音
(
おん
)
というものを逆に聞くと、子音と母音とが離れ離れになり、子音は隣りの母音と結び、母音はまた隣りの子音と結ぶということに気がついたからだ。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これは彼の持物であるが、彼のおもわくを見るとあんまりいいものでもないらしく、彼は「
癩
(
らい
)
」という言葉を嫌って一切「
頼
(
らい
)
」に近い
音
(
おん
)
までも嫌った。あとではそれを
推
(
お
)
しひろめて「
亮
(
りょう
)
」もいけない。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
これが続いて響く
音
(
おん
)
だ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
音
(
おん
)
といひ色合といひ
ひとつの道
(新字旧仮名)
/
草野天平
(著)
音
(
おん
)
の牧場に!
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
かような
音
(
おん
)
は古代の国語にはなく、江戸時代以後にはじめて生じたもので、それ以前はこれらの仮名はfafifufefoと発音されていた。
駒のいななき
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
しかもその鼻にかかった
音
(
おん
)
の出し方がいかに玄妙であるかは、どんな文句を使っても、描写することはできないのである。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それにも、うきねといふ
言葉
(
ことば
)
に
憂
(
う
)
きといふ
厭
(
いや
)
な、
情
(
なさけ
)
ない
悲觀
(
ひかん
)
すべき
意味
(
いみ
)
の
言葉
(
ことば
)
が、
音
(
おん
)
から
感
(
かん
)
じられる
習慣
(
しゆうかん
)
になつてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
自分ではベトヴェンのシンフォニーにも劣らざる美妙の
音
(
おん
)
と確信しているのだが御三には何等の影響も生じないようだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“音”の意味
《名詞》
(おと)空気や水等の物質を介して伝わる振動で、人の耳に達して感覚(聴覚)を生ずるもの。
(ね)美しい音や声。
(オン)漢字の読みのうち、漢字が伝わった当時の中国語の発音に基く読み方。音読み。
(出典:Wiktionary)
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
“音”を含む語句
音信
音色
音響
跫音
声音
音声
中音
音問
足音
観音
音楽
高音
顫音
鳴音
轟音
水音
観音堂
大音
知音
觀音
...