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おとさた
ふりがな文庫
“
音沙汰
(
おとさた
)” の例文
例の如くややしばし
音沙汰
(
おとさた
)
がなかった。少し
焦
(
じ
)
れ気味になって、また呼ぼうとした時、
鼬
(
いたち
)
か
大鼠
(
おおねずみ
)
かが
何処
(
どこ
)
かで動いたような音がした。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「なんでも、お嬢様がお出かけになって間もなく、やっぱり長浜の方へお出かけになったまま、
音沙汰
(
おとさた
)
がないのだそうでございます」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
リップ・ヴァン・ウィンクルっていうんですけど、二十年も前に鉄砲をもって家を出られたっきり、その後なんの
音沙汰
(
おとさた
)
もないんです。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
それきり何の
音沙汰
(
おとさた
)
もない。
昨夜
(
ゆうべ
)
は一ト晩中寝ないで待ったが、今朝になっても帰されて来ぬところを見ると、今日もどうやら
異
(
あや
)
しい。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『あゝ、
今迄
(
いまゝで
)
何
(
なん
)
の
音沙汰
(
おとさた
)
も
無
(
な
)
いのは、
稻妻
(
いなづま
)
も
途中
(
とちう
)
で
死
(
し
)
んでしまつたのでせう。』と、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
悄然
(
せうぜん
)
として、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
そして
赫
(
か
)
っとした弾みに、姉に発射はしたものの、やっぱり大学生からは何の
音沙汰
(
おとさた
)
もなく、父も姉もいなくなった
淋
(
さび
)
しさに堪え切れずに
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ところが、それでは明日にも引取るからと約束して帰ったまんまもう半月にもなりますが、その後何の
音沙汰
(
おとさた
)
もないのです。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あまり
音沙汰
(
おとさた
)
がなさ過ぎるので、或る朝お春を見に遣ると、今朝はまだお
寝
(
やす
)
みになっていらっしゃいましたがお元気でした
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その爆弾が、下にぐんぐんおちていったきりで、そのまま
音沙汰
(
おとさた
)
なしになってしまったものですから、爆撃員はすっかり面くらってしまいました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが意外にもその方はまるで
音沙汰
(
おとさた
)
なしで、互い違いに起る普通の会話はけっして聴かれなかった。しゃべる方はただ崖の上に限られていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其処
(
そこ
)
へ若い
二人
(
ふたり
)
も呼んで、
賑
(
にぎ
)
やかな、わたしの心の保養になる夏を過さうと
計画
(
もくろ
)
むで、
此
(
こ
)
の間娘にその由を知らせてやつたのだが、何の
音沙汰
(
おとさた
)
もない。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
ところが、それからだんだん国元の様子が父に不利になって来て、
近頃
(
ちかごろ
)
ではまるっきり
音沙汰
(
おとさた
)
もありません。
噂
(
うわさ
)
には一族
郎党
(
ろうとう
)
、ほとんど
全滅
(
ぜんめつ
)
だとの事です。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一度
限
(
ぎり
)
で何の
音沙汰
(
おとさた
)
もないところを見ると、その求婚を、恐ろしい
復讐
(
ふくしゅう
)
の企てでもあるように思ったのは、自分の邪推であったようにさえ、瑠璃子は思った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
身内のものは小林のことを案じていたが長い間何らの
音沙汰
(
おとさた
)
もなかった。そこへひょっくり小林が年上の妻をつれて帰ったので、みんなは驚きもし喜びもした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
日本中残らずとは思うが、この夏は、山深い
北国
(
ほっこく
)
筋の、谷を渡り、峰を伝って尋ねよう、と夏休みに東京を出ました。——それっきり、行方が知れず、
音沙汰
(
おとさた
)
なし。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪江さんは一番先に御飯を食べて、部屋へ
籠
(
こも
)
った儘
音沙汰
(
おとさた
)
がない。唯松ばかり
後仕舞
(
あとじまい
)
で忙しそうで、台所で器物を洗う水の音がボシャボシャと私の部屋へ迄聞える。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
恭一からは、それっきり何の
音沙汰
(
おとさた
)
もなかった。次郎には、日がたつにつれ、それが気になって来た。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
折れてくるか怒鳴りこんで来るかと待ちかまえていたが、
膿
(
う
)
んだとも
潰
(
つぶ
)
れたとも、なんの
音沙汰
(
おとさた
)
もない。藤五郎のほうでは拍子ぬけがして
呆気
(
あっけ
)
にとられる始末だった。
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
熱海より
行方
(
ゆくへ
)
知れざりし人の姿を
田鶴見
(
たずみ
)
の邸内に見てしまで、彼は全く
音沙汰
(
おとさた
)
をも聞かざりしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
わたし達の勤めている臨海試験所のちょうど真向いに見える
汐巻
(
しおまき
)
灯台の灯が、なんの
音沙汰
(
おとさた
)
もなく突然吹き消すように消えてしまったのは、空気のドンヨリとねばった
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
それから、一週間、二週間を経ても、友人からは何の
音沙汰
(
おとさた
)
もなかった。しかし、僕は、どんな難局に立っても、この女を女優に仕立てあげようという熱心が出ていた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「いつか、殿にもお話しいたした通り、住吉村で別れまして以来、トンと
音沙汰
(
おとさた
)
もござりませぬ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三日
(
みつか
)
に
成
(
な
)
りても
音沙汰
(
おとさた
)
の
無
(
な
)
きに
敏
(
さとし
)
こヽろ
悶
(
もだ
)
え、
甚之助
(
じんのすけ
)
を
見
(
み
)
るごとに
夫
(
そ
)
れとなく
促
(
うな
)
がせば、
僕
(
ぼく
)
も
貰
(
もら
)
つて
遣
(
や
)
りたけれど
姉樣
(
ねえさま
)
が
下
(
くだ
)
さらねばと、
哀
(
あは
)
れ
板
(
いた
)
ばさみに
成
(
な
)
りて
困
(
こま
)
り
入
(
い
)
りし
体
(
てい
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
音沙汰
(
おとさた
)
の無い、どうしているか解らないような
子息
(
むすこ
)
のことも、大塚さんの胸に浮んだ。大塚さんは全く子が無いでは無い。一人ある。しかも今では音信不通な人に成っている。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いつまでたっても
音沙汰
(
おとさた
)
がなかった。クリストフはそれを苦しんだけれど、こちらから進んでジャンナン親子に会おうとする手段を差し控えた。そして来もしない者を毎日待ち受けた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
祈
(
いのり
)
居
(
ゐ
)
る中又半年も待けれども
音沙汰
(
おとさた
)
なければ或時母は吉三郎に申
樣
(
やう
)
二人して江戸へ
出
(
いで
)
先達
(
せんだつ
)
てより
噂
(
うはさ
)
の如く
江戸通
(
えどとほ
)
り油町なれば尋ね
行
(
ゆ
)
き利兵衞殿に
會
(
あう
)
て
談判
(
かけあひ
)
我々親子を
引取
(
ひきとる
)
や否や
其心底
(
そのしんてい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
モーナルーダオは自分たち仲間一同が逮捕され留置されることの想像に脅えた。しかし、どういうわけか、当局からはなんの
音沙汰
(
おとさた
)
もない。無気味な位である。彼は不安な毎日を送った。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
しかも今日の事……大切な大切なお
義兄
(
にい
)
さま達御夫婦が、
外
(
ほか
)
ならぬ妾にまでも
音沙汰
(
おとさた
)
なしで、不意に
行衛
(
ゆくえ
)
を
晦
(
くら
)
ましておしまいになったと聞いた時の妾の驚きと悲しみはどんなでしたろう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かくてそれっきり今日まで、ついに一本の手紙も一枚の写真も送らずに過して来てしまったのである。先生の側からいえば、僕は去ったが最後、
杳
(
よう
)
として
音沙汰
(
おとさた
)
なしというところであろう。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「でも正勝さんの話じゃ、正勝さんを好いているらしいんだがなあ。今度も敬二郎さんのほうへは
音沙汰
(
おとさた
)
をしないで、正勝さんにだけ手紙を寄越したり、電報を寄越したりしたらしいんだが……」
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
亡
(
なくな
)
つて
後
(
のち
)
は
音沙汰
(
おとさた
)
はありませぬ、もしお
逢
(
あ
)
ひになつたら
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
案の条、五月が来ても何んの
音沙汰
(
おとさた
)
もない。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
十一時過ぎまで
音沙汰
(
おとさた
)
がないので、何してるのやろうと、雪子と二人で
苛々
(
いらいら
)
していると、昼近くにお春がひょっこり勝手口から
這入
(
はい
)
って来た。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二三日
(
にさんち
)
は何の
音沙汰
(
おとさた
)
もなく過ぎたが、御面会をするから
明日
(
みょうにち
)
三時頃来て貰いたいと云う返事がようやくの事来たよと同僚が告げてくれた時は
大
(
おおい
)
に
嬉
(
うれ
)
しかった。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さほどの船を沈めっぱなしで、
音沙汰
(
おとさた
)
もなく行ってしまったのは、彼等密猟船自身の、
疵
(
きず
)
持つ
脛
(
すね
)
であろう。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
春木、牛丸の二少年の
身辺
(
しんぺん
)
には、依然として
平穏
(
へいおん
)
な日がつづいた。いずれ落着いたら、便りをよこすといっていた戸倉老人からもどうしたものか
音沙汰
(
おとさた
)
がなかった。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お勢は気分の悪いを
口実
(
いいだて
)
にして英語の
稽古
(
けいこ
)
にも往かず、只一間に
籠
(
こも
)
ッたぎり、
音沙汰
(
おとさた
)
なし。
昼飯
(
ひるはん
)
の時、顔を合わしたが、お勢は成りたけ文三の顔を見ぬようにしている。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
黒鍬の者に案内させたがよかろうという吉宗の好意に、万太郎はその日は大人しく
宿直
(
とのい
)
にさがって、翌日、それの来るのを待ちうけましたが、さて何とも
音沙汰
(
おとさた
)
がない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうでござんすか。あすこも出て来たきり、
庄
(
これ
)
が厭がるもんだで、一向
音沙汰
(
おとさた
)
なしで……。」
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此
(
この
)
日
(
ひ
)
は
食
(
く
)
はず、
飮
(
の
)
まずに
日
(
ひ
)
を
暮
(
くら
)
して、
苦
(
くる
)
しき
一夜
(
いちや
)
は、
一睡
(
いつすい
)
の
夢
(
ゆめ
)
をも
結
(
むす
)
ばず
翌朝
(
よくあさ
)
を
迎
(
むか
)
へたが、まだ
何
(
な
)
んの
音沙汰
(
おとさた
)
も
無
(
な
)
い、
眺
(
なが
)
めると
空
(
そら
)
には
雲
(
くも
)
低
(
ひく
)
く
飛
(
と
)
び、
山
(
やま
)
又
(
また
)
山
(
やま
)
の
彼方此處
(
あちこち
)
には
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何にも達雄からは
音沙汰
(
おとさた
)
が無い……苦しいことが有れば有るように、せめて妻の
許
(
ところ
)
だけへは家出をした先からでも便りが有りそうなもの、とこうお種は夫の心を頼んでいた。また一月待った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ところが、五日たっても十日たっても、一向
音沙汰
(
おとさた
)
がないではありませんか。無論その間には、主任が度々警察へ出頭して様子をたずねていたのですけれど、仲々金は返って来そうもないのです。
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
其後
音沙汰
(
おとさた
)
なし。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先方から何の
音沙汰
(
おとさた
)
もないと、じっとしていられないようになり、次の日曜日の朝、わざと幸子には目的を告げず、ちょっと散歩にと云って、家を出た。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
落ちた俵はしばらく
音沙汰
(
おとさた
)
もない。と思うと遠くでどさっと云った。俵は底まで落切ったと見える。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どちらも
音沙汰
(
おとさた
)
がない、声を立てて呼ぶわけにはいかず、跡を追いかけるにもこの通りの闇、そのうち前後左右には破牢! 破牢! という捕手の声だ、それを
潜
(
くぐ
)
って
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
文三は耳を
聳
(
そばだ
)
てた。
匇
(
いそが
)
わしく縁側を通る人の足音がして、暫らくすると
梯子段
(
はしごだん
)
の下で洋燈をどうとかこうとか云うお鍋の声がしたが、それから後は
粛然
(
ひっそ
)
として
音沙汰
(
おとさた
)
をしなくなった。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
非常
(
ひじやう
)
な
困難
(
こんなん
)
の
間
(
あひだ
)
に、
三日
(
みつか
)
は
※去
(
すぎさ
)
つたが、
大佐
(
たいさ
)
からは
何
(
なん
)
の
音沙汰
(
おとさた
)
も
無
(
な
)
かつた、また、
左樣
(
さう
)
容易
(
たやす
)
くあるべき
筈
(
はづ
)
もなく、
四日
(
よつか
)
と
※
(
す
)
ぎ、
五日
(
いつか
)
と
※
(
す
)
ぎ、
六日
(
むいか
)
と
※
(
す
)
ぎ、
其
(
その
)
七日目
(
なぬかめ
)
まで
此
(
この
)
恐
(
おそ
)
ろしき
山中
(
さんちゆう
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
するとしばらく
音沙汰
(
おとさた
)
のなかった葉子から、またしても電話がかかって来た。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
左衛門町の家のものは
音沙汰
(
おとさた
)
のない半蔵の身の上を案じ暮らした。彼が献扇事件は早くも町々の人の口に上って、多吉夫婦の耳にもはいらないではない。それにつけてもうわさとりどりである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
沙
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
汰
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“音”で始まる語句
音
音信
音色
音楽
音頭
音曲
音声
音羽
音響
音物