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面
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かお
ふりがな文庫
“
面
(
かお
)” の例文
なぜなら
机
(
つくえ
)
の
四
(
よ
)
つ
角
(
かど
)
は、
小刀
(
こがたな
)
かなにかで、
不格好
(
ぶかっこう
)
に
削
(
けず
)
り
落
(
お
)
とされて
円
(
まる
)
くされ、そして、
面
(
かお
)
には、
縦横
(
じゅうおう
)
に
傷
(
きず
)
がついていたのであります。
春さきの古物店
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
惣太は
面
(
かお
)
の色を失って荷田の手を押し払って、それを拾い取って懐中へ
捻
(
ね
)
じ込もうとしますから、いよいよ
嫌疑
(
けんぎ
)
が深くなるわけです。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平生
(
へいぜい
)
私の処に
能
(
よ
)
く来るお
婆
(
ばば
)
さんがあって、私の母より少し年長のお婆さんで、お
八重
(
やえ
)
さんと云う人。今でも
其
(
そ
)
の人の
面
(
かお
)
を覚えて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
スルト
其奴
(
そいつ
)
が矢庭にペタリ尻餠を
搗
(
つ
)
いて、
狼狽
(
うろたえ
)
た眼を円くして、ウッとおれの
面
(
かお
)
を看た其口から血が
滴々々
(
たらたらたら
)
……いや眼に見えるようだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
面
(
かお
)
を洗い全身の
冷水摩擦
(
れいすいまさつ
)
でもすると、体中の血液は
漲
(
みなぎ
)
り
溢
(
あふ
)
るる様な爽快を感ずることは、今日も青年時代と少しも異なるところがない。
青年の元気で奮闘する我輩の一日
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
頤
(
おとがい
)
細く、顔
円
(
まろ
)
く、大きさ過ぎたる鼻の下に、
賤
(
いや
)
しげなる
八字髭
(
はちじひげ
)
の上唇を
蔽
(
おお
)
わんばかり、濃く茂れるを貯えたるが、
面
(
かお
)
との配合を
過
(
あやま
)
れり。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他人の忠告決して
軽
(
かろん
)
ずべきものにあらず、人は自身の
面
(
かお
)
を見る
能
(
あた
)
わざるがごとく社会における己の位置をも能く見ること能わざるべし
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
白蝋の
面
(
かお
)
の上に、香りの高い
白粉
(
おしろい
)
がのべられ、その上に
淡紅色
(
ときいろ
)
の粉白粉を、彼女の両頬に
円
(
つぶ
)
らな
瞼
(
まぶた
)
の上に、しずかに
摺
(
す
)
りこんだ。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まともには龍一の
面
(
かお
)
を見ることも出来ないやうに片身のせまいおもひをつのらして、何となく卑屈になつて行くやうな自分の態度を顧みると
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
其隙
(
そのひま
)
に私は
面
(
かお
)
を洗う、飯を食う。それが済むと、今度は
学校
(
がっこう
)
へ行く段取になるのだが、此時が一日中で一番私の苦痛の時だ。ポチが
跟
(
あと
)
を追う。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
太田は夢中で側の洗面器に手をやりその中に
面
(
かお
)
をつっこんだ。咳はとめどもなく続いた。そのたびごとに血は口に溢れ、洗面器に吐き出された。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
「さあ、早く行け。さもないと貴様の眼をつぶすぞ」と、四、五人は彼の
面
(
かお
)
にのぼって来たので、士はいよいよ閉口した。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と云いさま、ガアッと
痰
(
たん
)
を
彼
(
か
)
の若侍の顔に
唾
(
は
)
き付けました故、
流石
(
さすが
)
に勘弁強い若侍も、今は
早
(
は
)
や
怒気
(
どき
)
一度に
面
(
かお
)
に
顕
(
あら
)
われ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
青年
(
わかもの
)
の目と
少女
(
おとめ
)
の目と
空
(
そら
)
に合いし時、少女はさとその
面
(
かお
)
を赤らめ、しばしはためらいしが急に立ちあがりかの大皿のみを
左手
(
ゆんで
)
に持ちて道にのぼり
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
瑠璃子の土のように
蒼
(
あお
)
い
面
(
かお
)
の筋肉が、かすかに、動いたように思った。美奈子の声が
漸
(
ようや
)
く聞えたのである。美奈子は、三度目に力を
籠
(
こ
)
めて叫んだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この
中
(
うち
)
にはまだこの頃は
面
(
かお
)
を出さず、『小日本』廃刊後になって初めて出席した人が誤って
這入
(
はい
)
っているかも知れぬ。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そう云ううちアヤ子は、
面
(
かお
)
を真赤にしてうつむきまして、涙をホロホロと焼け砂の上に落しながら、何ともいえない、悲しい笑い顔をして見せました。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
小
(
しょう
)
松浦王はまだ立ったままだが、温和な微笑を
面
(
かお
)
に漂わして、謙遜に、しかも何処かに闊達な意気をひそめている。口数が極めて少い。やさしい眼だ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
深い苦痛の色がイエスの
面
(
かお
)
を
過
(
よ
)
ぎりました。一人の者が走って往って、海綿に酸き葡萄酒——「酸き葡萄酒」というのは兵卒が飲んだ下等の濁酒です。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
おとよさんのあの力ある
面
(
かお
)
つきで何とか言い出されたら、省作がいま口の底でいう、いやだいやだなんぞは、手のひらの塵を吹くより軽く飛んでしまいそうだ。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
骨のある忠臣は相次いで世を去るにひきかえ、こういう
類
(
たぐい
)
の者が内政から外務にまで新たに
面
(
かお
)
を出すにいたっては、もはやその国の運命は
量
(
はか
)
り知るべきである。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぼうぼう
頭髪
(
あたま
)
のごりごり
腮髯
(
ひげ
)
、
面
(
かお
)
は
汚
(
よご
)
れて
衣服
(
きもの
)
は
垢
(
あか
)
づき破れたる見るから厭気のぞっとたつほどな様子に、さすがあきれて
挨拶
(
あいさつ
)
さえどぎまぎせしまま急には出ず。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
えへんえへんと二つばかり大きな
咳払
(
せきばら
)
いをして席に着いた。おれは今度も手を
叩
(
たた
)
こうと思ったが、またみんながおれの
面
(
かお
)
を見るといやだから、やめにしておいた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朝に晩に逢う人は、あたかも住慣れた町を
眺
(
なが
)
めるように、近過ぎて
反
(
かえ
)
って何の新しい
感想
(
かんじ
)
も起らないが、
稀
(
たま
)
に
面
(
かお
)
を合せた友達を見ると、実に、驚くほど変っている。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
はなはだ
六
(
む
)
ツかしい
面
(
かお
)
を作り、役所の方からはまだ月給が下らない、学校の方も
駄目
(
だめ
)
で、実に「愛してはいるが助けることが出来ない」と言って彼を空手で追い帰した。
端午節
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
わしは仏像と
面
(
かお
)
を見合わせてすわるのがつらいのだよ。(間)今晩は変な気がしてちょっとも酔えないよ。お前が陰気な話ばかりするものだから。もっと酔わなくては。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
夫人はここで始めて眼頭に光るものを見せると、堪え兼ねたように
面
(
かお
)
を伏せてしまった。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「そうかなあ。じゃ僕も遇っている。自分で自分の
面
(
かお
)
のわからないはずはないがなあ。」
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
それから
間
(
ま
)
もなく来たのは、また女で、せい
高
(
たか
)
の、おそろしい
痩
(
や
)
せっぽち、黒い
面
(
かお
)
ぎぬにつつまれていました。びんぼう
人
(
にん
)
が例の用事をたのむと、女は、名づけ親になると約束しました。
死神の名づけ親(第二話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
キラキラしい太陽が
面
(
かお
)
を出したので雪からは少しずつ水蒸気が立って行くのが見える。あたりが何となし、うるおって、ハアッと息を遠くから吹きかけた鏡の面の様な空合になって居る。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「今おやすみ遊ばしました」紅茶の熱きをすすめつつ、なお
紅
(
くれない
)
なる
良人
(
おっと
)
の
面
(
かお
)
をながめ「あなた、お頭痛が遊ばすの? お酒なんぞ、召し上がれないのに、あんなに母がおしいするものですから」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
かーっといって出した
唾
(
つば
)
を危くその
面
(
かお
)
に吐きつけようとした。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
故意に無愛想な
面
(
かお
)
で陶に対していた。
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
猿のような
面
(
かお
)
をして白い歯を
剥
(
む
)
いて
罵
(
ののし
)
ると、たださえ気の荒い郡内の川越し人足が、こんなことを言われて納まるはずがありません。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私などは不幸にして実父の
面
(
かお
)
も知らず、
画像
(
えぞう
)
に写したものもなし、又私がドンな子供であったか母に
聞
(
きい
)
たばかりで書たものはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「主治医や云うてます。なんでも宝塚に医院を開いとる新療法の医者やいうことだす。さっき邸を出てゆっきよったが、どうも好かん
面
(
かお
)
や」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
摺
(
ず
)
って出るように水を
覗
(
のぞ
)
く、と風が冷かに
面
(
かお
)
を打つ。欄干に
確
(
しか
)
と両手を掛けた、が、
熟
(
じっ
)
と黙って、やがて
静
(
しずか
)
に立直った時、
酔覚
(
えいざめ
)
の顔は
蒼白
(
あおじろ
)
い。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、母が来いと云うから、
跟
(
あと
)
に
随
(
つ
)
いて
怕々
(
こわごわ
)
奥へ行って見ると、父は未だ居る医者と何か話をしていたが、私の
面
(
かお
)
を見るより、何処へ行って居た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
江東
(
こうとう
)
の或る
商人
(
あきんど
)
の左の二の腕に不思議の
腫物
(
しゅもつ
)
が出来た。その腫物は人の
面
(
かお
)
の通りであるが、別になんの苦痛もなかった。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そら死ぬそら死ぬそら死ぬ」と耳の
端
(
はた
)
で
囁
(
ささや
)
けば、
片々
(
かたかた
)
の耳元でも懐しい
面
(
かお
)
「もう見えぬもう見えぬもう見えぬ」
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
と、島独特の黄色い円い
面
(
かお
)
をした童子が赤いトマトの
累々
(
るいるい
)
とつまって盛り上った竹の籠を両手に擁えて、山坂などを
上
(
のぼ
)
って来る。その髪の毛に円光が立つ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
涼しい心持の好い風が来て
面
(
かお
)
を
撫
(
な
)
でて通る
度
(
たび
)
に、二人は地の上に落ちている葉の影の
微
(
かす
)
かにふるえるのを眺めながら、互いに愛読したその翻訳物の話に時を送った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おれはこう云う単純な人間だから、今までの喧嘩はまるで忘れて、大いに
難有
(
ありがた
)
いと云う顔をもって、腰を卸した山嵐の方を見たら、山嵐は一向知らん
面
(
かお
)
をしている。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからというもの、
私
(
わたし
)
は、なにかにつけて
手荒
(
てあら
)
く
取
(
と
)
り
扱
(
あつか
)
われましたが、しまいに、
大
(
おお
)
きくなった
坊
(
ぼっ
)
ちゃんのために、またこんなに
面
(
かお
)
にまで
傷
(
きず
)
をつけられてしまいました。
春さきの古物店
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だん/\
蝋色
(
ろういろ
)
に、白んで行く、不幸な青年の
面
(
かお
)
をじっと見詰めていると、信一郎の心も、青年の不慮の横死を
悼
(
いた
)
む心で一杯になって、ほた/\と、涙が流れて止まらなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
真正面からイエス様に相対し、
面
(
かお
)
と面とを合わせて、自分のことをはっきり申し上げねばなりません。自分の信仰的立場を客観的に表明し、公然たる立場に置かねばならない。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
と
質
(
ただ
)
すと、源三は
術
(
じゅつ
)
無
(
なさ
)
そうに、かつは
憐愍
(
あわれみ
)
と
宥恕
(
ゆるし
)
とを
乞
(
こ
)
うような
面
(
かお
)
をして
微
(
かすか
)
に
点頭
(
うなずい
)
た。源三の腹の中は
秘
(
かく
)
しきれなくなって、ここに至ってその
継子根性
(
ままここんじょう
)
の
本相
(
ほんしょう
)
を現してしまった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
……高ぶる者を見てこれを
悉
(
ことごと
)
く
鞠
(
かが
)
ませ、また悪人を
立所
(
たちどころ
)
に
践
(
ふ
)
みつけ、これを
塵
(
ちり
)
の中に埋めこれが
面
(
かお
)
を隠れたる処に閉じこめよ、さらば我も汝を
讃
(
ほ
)
めて汝の右の手汝を救い得るとせん。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
生徒の質問の中で、折り折り胸を刺れるようなのがある。中には自分の秘密を知ってあんな質問をするのではあるまいかと疑い、思わず生徒の
面
(
かお
)
を見て直ぐ我顔を
負向
(
そむ
)
けることもある。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ふりしきる雪の中を、傘を畳んで
悄々
(
しほしほ
)
と足駄の雪をおとして電車の中にはいつた。涙ぐんだ
面
(
かお
)
をふせて、はいつて来た唯だ一人の、子を背負つたとし子の姿に皆の眼が一時にそゝがれた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
“面”の意味
《名詞》
(め↗ん)表情を隠す、頭部を守るなどの目的で顔を覆うもの。
(め↘ん 語義1より)剣道、槍道、短剣道、なぎなたにおける技。面打ち。
(め↘ん)平面。物体の表面。厚さのない二次元の広がり。
(め↘ん)ページ。
(つ↗ら↘ 俗語)
(出典:Wiktionary)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“面”を含む語句
表面
面貌
面紗
正面
地面
面白
外面
前面
上面
真正面
面色
横面
海面
面帕
水面
渋面
面相
川面
強面
側面
...