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遇
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あ
ふりがな文庫
“
遇
(
あ
)” の例文
看護
(
かんご
)
の
人
(
ひと
)
も
勞
(
つか
)
れぬ、
雪子
(
ゆきこ
)
の
身
(
み
)
も
弱
(
よわ
)
りぬ、きのふも
植村
(
うゑむら
)
に
遇
(
あ
)
ひしと
言
(
い
)
ひ、
今日
(
けふ
)
も
植村
(
うゑむら
)
に
遇
(
あ
)
ひたりと
言
(
い
)
ふ、
川
(
かは
)
一
(
ひと
)
つ
隔
(
へだ
)
てゝ
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るばかり
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私
(
わたし
)
はつい四五日
前
(
まえ
)
、
西国
(
さいこく
)
の
海辺
(
うみべ
)
に上陸した、
希臘
(
ギリシャ
)
の船乗りに
遇
(
あ
)
いました。その男は神ではありません。ただの人間に過ぎないのです。
神神の微笑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
憤
(
いきどお
)
りを感じましたが、お手討ちに
遇
(
あ
)
いました忍びの男には却って
不便
(
ふびん
)
を催しましたので、たしかその明くる日のことでござりました。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
怪しいと思って跡を付けて出て往って見ると、道でまた
葬式
(
とむらい
)
に
遇
(
あ
)
って、それを段々調べて見ると
私
(
わし
)
の縁類の吉崎のおみわと云う娘で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「寝ている中に
黴菌
(
ばいきん
)
をなすりつけられて盲目になった芸者もある。君江のような女は最後にはきっとそういう目に
遇
(
あ
)
うだろう……。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
ところがまた大分大きな石に
遇
(
あ
)
いました。これはぜひ廻らなくてはいけない石ですのに、さはせずしてパッと
飛踰
(
とびこ
)
えて向うに行った。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その風に
遇
(
あ
)
って難破し、五六人の乗組の
漁夫
(
りょうし
)
がみんな溺死して、その死体がそれから四五日もたってから
隣村
(
となりむら
)
の海岸に
漂著
(
ひょうちゃく
)
しましたが
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
彼が今、しきりに督促に
遇
(
あ
)
っている借財の口は都合三ツあって、それを片附けるには百弐拾円と少しなければならないのであった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
我は常に宮が
情
(
なさけ
)
の
濃
(
こまやか
)
ならざるを疑へり。あだかも好しこの理不尽ぞ彼が愛の力を試むるに足るなる。善し善し、
盤根錯節
(
ばんこんさくせつ
)
に
遇
(
あ
)
はずんば。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
この歌と並んで、「渡る日のかげに
競
(
きほ
)
ひて尋ねてな清きその道またも
遇
(
あ
)
はむため」(巻二十・四四六九)という歌をも作っている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
一時間許りで炭焼の男に
遇
(
あ
)
ったのを幸に、附近の山や谷の名称を
質
(
ただ
)
している
中
(
うち
)
にまた雨が大降りとなったので、二時間許り小屋で過した。
初旅の大菩薩連嶺
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
虎一生一乳、乳必双虎と『類函』にも見ゆ、また人これに
遇
(
あ
)
うもの敵勢を
作
(
な
)
ししばしば引いて曲路に至りすなわち避け去るべし。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
河間王
(
かかんわう
)
が
宮殿
(
きうでん
)
も、
河陰
(
かいん
)
の
亂逆
(
らんぎやく
)
に
遇
(
あ
)
うて
寺院
(
じゐん
)
となりぬ。
唯
(
たゞ
)
、
堂觀廊廡
(
だうくわんらうぶ
)
、
壯麗
(
さうれい
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に、
蓬莱
(
ほうらい
)
の
仙室
(
せんしつ
)
として
呼
(
よ
)
ばれたるのみ。
歎
(
たん
)
ずべきかな。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かく
患者等
(
かんじゃら
)
は
理髪師
(
とこや
)
の
外
(
ほか
)
には、ただニキタ
一人
(
ひとり
)
、それより
外
(
ほか
)
には
誰
(
たれ
)
に
遇
(
あ
)
うことも、
誰
(
たれ
)
を
見
(
み
)
ることも
叶
(
かな
)
わぬ
運命
(
うんめい
)
に
定
(
さだ
)
められていた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
死目に
遇
(
あ
)
うとか遇わぬとかいうことは、世の普通の人にとってはこれ以上の大きな問題はないかも知れぬ。しかも六十の母親にとっては。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
此方が勝たなければ彼方が勝ち、彼方が負けなければ此方が負け、下手にまごつけば前の降間木につぐんだ時のやうな目に
遇
(
あ
)
ふのだらう。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
廊下に出ると動物学の方の野村教授が、外套の
衣嚢
(
かくし
)
の辺で癖のように両手を拭きながら自分の研究室から出てくるのに
遇
(
あ
)
った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そのときに友人が来ましてカーライルに
遇
(
あ
)
ったところが、カーライルがその話をしたら「実に結構な書物だ、今晩一読を許してもらいたい」
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
彼女は一軒一軒を訪ね、
遇
(
あ
)
う人ごとに懺悔をする。初め、人は笑っているが、後に気の毒がる。彼女はわたしのところへも懺悔をしに来た。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
はしなくも幼友達の名をわが思い出の
一齣
(
ひとこま
)
のうちにしるしとどめる折りに
遇
(
あ
)
った。御輿を担ぐ面々はみな私の
竹馬
(
ちくば
)
の友である。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
○こゝに我が
魚沼郡
(
うをぬまごほり
)
藪上
(
やぶかみ
)
の庄の村より
農夫
(
のうふ
)
一人
柏崎
(
かしはざき
)
の
駅
(
えき
)
にいたる、此
路程
(
みちのり
)
五里
計
(
ばかり
)
なり。途中にて一人の
苧纑商人
(
をがせあきびと
)
に
遇
(
あ
)
ひ、
路伴
(
みちづれ
)
になりて
往
(
ゆき
)
けり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
老紳士は世間的には逸作の方に
馴染
(
なじ
)
みは深かったが、しかし、職務上からは、はじめて
遇
(
あ
)
ったかの女の方にかねがね関心を持っていたらしい。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
事に依ったら、女に
遇
(
あ
)
って、女が己に許すのに、己は従わないで、そして女をなるべく侮辱せずに、なだめて
慰藉
(
いしゃ
)
して別れたら、面白かろう。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「誰も口にせぬ者はないが、誰も見たものはない。誰も聞いた事はあるが、誰も
遇
(
あ
)
った者がない。大和魂はそれ
天狗
(
てんぐ
)
の
類
(
たぐい
)
か」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私思うに学校時代は
最
(
もっとも
)
理想の高い時であるからであろう。理想さえ高ければ、
如何
(
いか
)
なる困難に
遇
(
あ
)
っても楽しむ事が出来る。
女子教育に就て
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「袂別する時に、初めて、ほんとうに
遇
(
あ
)
えたのだ。」といえるような弁証法的な自分への対決を、自分に強いる時がある。
美学入門
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
ちょうどこんな時分に、こんな所で、三人の白髪婆さんに
遇
(
あ
)
うんだ! 君が彼等を見ないうちに、向うから見つけられないように気をつけ給え。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
今やこの開校の期に
遇
(
あ
)
い、親しくその式に
与
(
あず
)
かる。故に
聊
(
いささ
)
か余が心情と冀望とを述べ、以てこの開校を祝するの
詞
(
ことば
)
と為す。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
かく専門的の攻撃に
遇
(
あ
)
ひては余ら『
康熙字典
(
こうきじてん
)
』位を標準とせし素人先生はその可否の判断すら為しかねて今は口をつぐむより外なきに至りたり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
おりおり落葉の音が聞こえるばかり、あたりはしんとしていかにも淋しい。前にも後ろにも人影見えず、誰にも
遇
(
あ
)
わず。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
難なく相談が整ってそれから二人は
一途
(
いッしょ
)
に義興の手に加わろうとて出立し、ついに武蔵野で不思議な危難に
遇
(
あ
)
ったのだ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
岩手県の方にいる友からはこの頃、
便
(
たよ
)
りがなかった。
釜石
(
かまいし
)
が艦砲射撃に
遇
(
あ
)
い、あの辺ももう安全ではなさそうであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それからしばらく
経
(
た
)
って後、ルービンシュタインを訪ねたチャイコフスキーは、控室でハタと彼女に
遇
(
あ
)
ったことがある。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「じゃ、僕が今
遇
(
あ
)
ったのだ。僕は君とばっかり思ってた。いってから間がないから、まだ遠くへはいかないだろう。」
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
妊婦
(
にんぷ
)
が早過ぎた埋葬に
遇
(
あ
)
って、墓場の中で生き返り、生き返ったばかりか、その暗闇の中で
分娩
(
ぶんべん
)
して、泣きわめく
嬰児
(
えいじ
)
を
抱
(
いだ
)
いて
悶
(
もだ
)
え死んだ話などは
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
木曾の森林にでも迷いいったようで、焼砂の富士、「ほうろく」を伏せた形の石山とは思われない。また白衣の道者の一群に、森の出口でゆき
遇
(
あ
)
う。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
旅で祭に
遇
(
あ
)
った直樹は、方々の親類から
招
(
よ
)
ばれて、出て行った。正太を始め、薬方の若衆も皆な遊びに出た。町の方が
賑
(
にぎや
)
かなだけ、家の内は寂しい。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「かれも一個の志士であった。世に
遇
(
あ
)
わない不幸児であった。もし、尊王討幕の実があがる暁はあっても、ついにかれは無名の一公卿に終るだろう」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この固い決心のもとにマリーは遠くパリに赴き、姉に
遇
(
あ
)
った上で、東寄りのある町に屋根裏の一室を借り、そこで極度に切りつめた生活を始めました。
キュリー夫人
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
米国のカピテン・ブルックは帰国の後、たまたま南北戦争の起るに
遇
(
あ
)
うて南軍に属し、一種の
弾丸
(
だんがん
)
を
発明
(
はつめい
)
しこれを使用してしばしば戦功を
現
(
あら
)
わせしが
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
そして今日迄私にはどうしてもわからない人間だ。どうして九年の間どんな目に
遇
(
あ
)
つても我慢して一言も云はないでゐて、十年目にありつたけの鬱憤を
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
七郎丸は何か息苦しそうに
喉
(
のど
)
を詰らせて熱い手で僕の手を握った。「ああ、君に
遇
(
あ
)
ってしまったらどう話をはじめて好いやら解らなくなってしまった。」
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
その寺へ産婦が
参詣
(
さんけい
)
して
祈祷
(
きとう
)
を請うことになっておる。もし、門内に入りて初めて男子に会すれば、胎児は男と判じ、女子に
遇
(
あ
)
えば女と判ずとのことだ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「ええ、来ましたよ、たった今お帰りになったばかりですから、そのへんでお
遇
(
あ
)
いになったかも知れませんね」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
痛みに堪えかねて、眼球を転ずることさえ叶わず、実に四苦八苦の
責
(
せ
)
めに
遇
(
あ
)
いしも、もと捨てたりし命を図らずも拾いしに、予に於て
毫
(
ごう
)
も憂うるに足らず。
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
煑
(
に
)
え返るような若い時代の連中で毎日進んで行くというような時代だから、二三日
遇
(
あ
)
わないと何処かしら解らなくなって了うという風な毎日を送っていた。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
木村の家来に
島安太郎
(
しまやすたろう
)
と云う
用人
(
ようにん
)
がある、ソレが海岸まで迎いに来て、私が一番先に陸に
上
(
あがっ
)
てその島に
遇
(
あ
)
うた。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「主家の没落に
遇
(
あ
)
って武士の
意気地
(
いきじ
)
を立てるには、そのほかに道もおざりませぬ。兄上、お察しくだされい」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
青山小町と
迄
(
まで
)
うたわれた娘を、こんな
惨
(
むご
)
い目に
遇
(
あ
)
わしやがった奴を、おめおめ生かしておくもんじゃねえ。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
けれども決してそうでない! 先日病院の石垣の下で
遇
(
あ
)
ったことや家に道具一つないことや、いつもこうやって坐っていて、
食物
(
たべもの
)
を食った様子も見ないことや
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
遇
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
“遇”を含む語句
待遇
遭遇
境遇
冷遇
出遇
虐遇
好遇
不遇
不待遇
寵遇
知遇
遇々
御待遇
礼遇
遇洪而開
奇遇
千載一遇
恩遇
厚遇
値遇
...