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賜
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たまもの
ふりがな文庫
“
賜
(
たまもの
)” の例文
内山君
(
うちやまくん
)
足下
(
そくか
)
、
先
(
ま
)
づ
此位
(
このくらゐ
)
にして
置
(
お
)
かう。さて
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くに
僕
(
ぼく
)
は
戀
(
こひ
)
其物
(
そのもの
)
に
隨喜
(
ずゐき
)
した。これは
失戀
(
しつれん
)
の
賜
(
たまもの
)
かも
知
(
し
)
れない。
明後日
(
みやうごにち
)
は
僕
(
ぼく
)
は
歸京
(
きゝやう
)
する。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
案外その開化の
賜
(
たまもの
)
として吾々の受くる安心の度は微弱なもので、競争その他からいらいらしなければならない心配を
勘定
(
かんじょう
)
に入れると
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
詩といふ神のめづらしき
賜
(
たまもの
)
につきては、われ人となりて後、屡〻考へたづねしことあり。詩は深山の裏なる黄金の如くぞおもはるゝ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
行状の書する所は阿部
正寧
(
まさやす
)
の初度の
賜
(
たまもの
)
で、「章服」は「御垢附御羽折」である。此賜は二月二日の生日に於てせられたこととおもふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ほとんど同国の史記とは信じ難かるべし。然りしこうしてその進歩をなせし
所以
(
ゆえん
)
の
本
(
もと
)
を尋ぬれば、みなこれ古人の遺物、先進の
賜
(
たまもの
)
なり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
私
(
わたくし
)
が
山
(
やま
)
の
修行場
(
しゅぎょうじょう
)
に
居
(
お
)
りながら、
何
(
ど
)
うやら
竜宮界
(
りゅうぐうかい
)
の
模様
(
もよう
)
が
少
(
すこ
)
しづつ
判
(
わか
)
りかけたのも、
全
(
まった
)
くこの
難有
(
ありがた
)
い
神社
(
じんじゃ
)
参拝
(
さんぱい
)
の
賜
(
たまもの
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
此時
(
このとき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさ!
見
(
み
)
ると一
尺
(
しやく
)
位
(
ぐら
)
いの
鰺
(
あぢ
)
で、
巨大
(
きよだい
)
なる
魚群
(
ぎよぐん
)
に
追
(
お
)
はれた
爲
(
ため
)
に、
偶然
(
ぐうぜん
)
にも
艇中
(
ていちう
)
に
飛込
(
とびこ
)
んだのである。
天
(
てん
)
の
賜
(
たまもの
)
と
私
(
わたくし
)
は
急
(
いそ
)
ぎ
取上
(
とりあ
)
げた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
父の
賜
(
たまもの
)
によって、将来世に立ち、まず押しも押されもせぬ人間一生をかく通り越し来たことは心に感謝する次第であります。
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それら皆其の折の機根相応に神を見たる真実
無妄
(
むまう
)
の経験として、わが宗教生活史の一鎖一環をなす者にあらずや。謝せよ、これ皆上天の
賜
(
たまもの
)
也。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
私の地名研究は実は神保博士の激励の
賜
(
たまもの
)
と言ってもよかった。私の感じたところでは、狂人の言といえどもよく聴いていると何か趣意がある。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし暗夜は暗夜の徳あって、
孟子
(
もうし
)
のいわゆる「
夜気
(
やき
)
」は暗黒の
賜
(
たまもの
)
である。
古
(
いにしえ
)
の学者の言に、「
好悪
(
こうあく
)
の
良
(
りょう
)
は
夜気
(
やき
)
に
萠
(
きざ
)
す」と。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
梶原氏は、自分の新聞記者に對する應對が意外に練れてゐると云つて稱讚し、これを海外留學の
賜
(
たまもの
)
とする口吻をもらした。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
要するに、予の
半生
(
はんせい
)
将死
(
しょうし
)
の気力を
蘇
(
そ
)
し、やや
快
(
こころよ
)
くその
光陰
(
こういん
)
を送り、今なお
残喘
(
ざんぜん
)
を
延
(
の
)
べ得たるは、
真
(
しん
)
に先生の
賜
(
たまもの
)
というべし。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
それ神がその
裕
(
ゆたか
)
なる
恩惠
(
めぐみ
)
により造りて與へ給へる物にて最もその徳に
適
(
かな
)
ひかつその最も重んじ給ふ至大の
賜
(
たまもの
)
は 一九—二一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
同氏の優れた経営手腕、及び難き精励刻苦の
賜
(
たまもの
)
であったことは、
勿論
(
もちろん
)
だが、階級憎悪に燃えた労働者達にとって、そんなことは問題外であった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
冬などはすっかりお勤めが済んだころにやっと表が明るくなる。その代わり夜は早い。——あの血色はその
賜
(
たまもの
)
であろう。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
我々月々の生命を
継
(
つな
)
ぐ米穀野菜の類は、百姓の
粒々辛苦
(
りゅうりゅうしんく
)
の産出物であるは言わでもの事であるが、これが夫婦共稼ぎの
賜
(
たまもの
)
であることを思わねばならぬ。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
此も偏に、あの講談通のお客の
賜
(
たまもの
)
といよ/\心から感泣して、そのお客の祝儀だけは開けても見ずに神棚へ、他の祝儀だけ計算すると廿余円もあつた。
落語家温泉録
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
それも実力競争の
賜
(
たまもの
)
さ。女の子が生れると赤飯を炊いて祝うというくらい勘定高い連中だから、高いと思えば一切買わない。自然物価が廉くならざるを
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一に西光寺さんの御親切の
賜
(
たまもの
)
であります。入庵以来幾月もたゝないのですが、どの位西光寺さんの御親切、母の如き御慈悲に浴しました事か解りません。
入庵雑記
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
自分の汗になつた肌を折々襲つて行くその心地好さ! これは山でなければ得られぬ
賜
(
たまもの
)
と、自分はそれを
真袖
(
まそで
)
に受けて、思ふさま山の清い
※気
(
けいき
)
を吸つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そうしてそれは、日本民族が内にみずから養って来た力にもよるのであるが、それがこういう風に発展して来たのは、地理的事情その他の環境の
賜
(
たまもの
)
が大きい。
東洋文化、東洋思想、東洋史
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
此頃毛利
荒
(
アラ
)
次郎
(
恭助
)
出京ニて此刀を見てしきりにほしがり、私しも兄の
賜
(
たまもの
)
なりとてホコリ候事ニて御座候。
手紙:081 慶応三年六月二十四日 坂本権平あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
艦長が一声叫べば、あとは日頃の猛訓練の
賜
(
たまもの
)
で、作業は水ぎわだってきびきびとはかどるのであった。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
東京の一角へ爆弾の一つもおっこって来るという日は別だが、今時は何処に戦争がある、といったような風景である、これというのも、彼の壮烈なる肉弾の
賜
(
たまもの
)
である。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どうかした拍子でふいと自然の好い
賜
(
たまもの
)
に触れる事があってもはっきり覚めている己の目はその
朧気
(
おぼろげ
)
な
幸
(
さいわい
)
を明るみへ引出して、余りはっきりした名を付けてしまったのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
そして私はひそかにこれをもって、水平運動のもたらした
賜
(
たまもの
)
の一つだと観察しております。そして今やその第二期運動として、内容の充実が叫ばれてきたのであります。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
しかるを近き頃、村田
春海大人
(
はるみのうし
)
右の
書
(
しよ
)
を京都にて
購得
(
かひえ
)
てのち、享和三年の春
創
(
はじめ
)
て板本となし、世の重宝となりてより
后
(
のち
)
の
学者
(
がくしや
)
の
机上
(
つくゑのうへ
)
に
置
(
おく
)
は、
実
(
じつ
)
に
春海大人
(
はるみのうし
)
の
賜
(
たまもの
)
なりけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
只彼の歌が多くは字句の細工を斥けて、趣味ある意匠を撰ぶに傾きたるは、當時に在りて極めて卓越せる意見にして、これこそ彼が萬葉より得來りたる唯一の
賜
(
たまもの
)
なりけめ。
万葉集巻十六
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
思想の自由を善用して世界の智識の一端に触れる事の出来た
賜
(
たまもの
)
ですが、人でなしに扱われていた因襲の
革嚢
(
かわぶくろ
)
から
生地
(
きじ
)
の人間になって躍り出したのは結構な事であるとして
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それも専門家的の苦心
惨憺
(
さんたん
)
というのでなくて、
尋常
(
じんじょう
)
の言葉で無理なくすらすらと云っていて、これだけ充実したものになるということは時代の
賜
(
たまもの
)
といわなければならない。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かくて欧羅巴大陸の憲法は
概
(
おおむ
)
ね等しく革命的民主思想の
賜
(
たまもの
)
として現われたといわねばならぬ。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
人にも
志誠
(
まごころ
)
ありながら、
一一七
世に
窮
(
せば
)
められてくるしむ人は、
一一八
天蒼氏
(
てんさうし
)
の
賜
(
たまもの
)
すくなくうまれ出でたるなれば、精神を労しても、
一一九
いのちのうちに富貴を得る事なし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
正岡先生の御逝去が吾々のために悲哀の極みなることは
申
(
もうす
)
までもなく候えども、その実先生の御命が明治三十五年の九月まで長延び候はほとんど天の
賜
(
たまもの
)
とも申すべきほどにて
師を失いたる吾々
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
こんな罪のない、
且
(
か
)
つ美点に満ちた植物は、他の何物にも比することのできない
天然
(
てんねん
)
の
賜
(
たまもの
)
である。実にこれは人生の
至宝
(
しほう
)
であると言っても、けっして
溢言
(
いつげん
)
ではないのであろう。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
しかれども言論出版をもって意見を公にするを得たるは実に当時印刷事業進歩の
賜
(
たまもの
)
なり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
然るに
如何
(
いか
)
にして大久保の
辺
(
ほとり
)
に、かかる殆んど自然そのままの原野が残っているのであるか。不思議な事にはこれが実に俗中の俗なる陸軍の
賜
(
たまもの
)
である。戸山の原は陸軍の用地である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それは、人生への出発の第一歩に、世間には幾らも
上手
(
うわて
)
がいるぞという実例を、グワンと喰らわせてくれた
沢庵
(
たくあん
)
の
訓
(
おし
)
えがあるし、また、宝蔵院や小柳生城を踏んであるいた
賜
(
たまもの
)
である。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今
稍
(
やや
)
真面目になれ得たと思うのは、全く父の死んだ時に経験した痛切な実感のお
庇
(
かげ
)
で、即ち亡父の
賜
(
たまもの
)
だと思う。
彼
(
あの
)
実感を経験しなかったら、私は何処迄だらけて行ったか、分らない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
のみならず、その両親の慈愛の
賜
(
たまもの
)
である結婚費用……三十幾粒の宝石は、赤軍がよく持っている口径の大きい猟銃を使ったらしく、空砲に
籠
(
こ
)
めて、その下腹部に撃ち込んであるのでした。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
主人が人間の
齢
(
よはひ
)
の尋常の境を
逈
(
はる
)
かに越してゐて、老後に罹り易い病のどれにも罹らずに、壮んな気力を養つてゐるのは、好い空気の
賜
(
たまもの
)
である。主人は生涯に赫々たる功名を遂げた人である。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
近郊各部落の方々の熱意の
賜
(
たまもの
)
でありまして、本官は、今回、選抜された優秀なる女工さんがたによって、かならずや、期待される以上の成果が、生みだされるにちがいないことを確信いたします。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
私が今日あるのはこの見識ある発案の
賜
(
たまもの
)
である。ことに、教育宗教局長で同時にスイス国聯邦参事院の一員であるルイ・リュショネー氏(Louis Ruchonnet)に負うところが大である。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
自然の
配
(
くば
)
る
賜
(
たまもの
)
の一番上等なものですのに。3105
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
米船の勝利はすべて速力の
賜
(
たまもの
)
だった。
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
登らんとする
岩
(
いわお
)
の
梯子
(
ていし
)
に、自然の枕木を敷いて、踏み心地よき幾級の
階
(
かい
)
を、
山霊
(
さんれい
)
の
賜
(
たまもの
)
と甲野さんは息を切らして
上
(
のぼ
)
って行く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これすなわち
宗祖
(
そうそ
)
家康公
(
いえやすこう
)
が
小身
(
しょうしん
)
より
起
(
おこ
)
りて四方を
経営
(
けいえい
)
しついに天下の大権を
掌握
(
しょうあく
)
したる
所以
(
ゆえん
)
にして、その家の
開運
(
かいうん
)
は瘠我慢の
賜
(
たまもの
)
なりというべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
夫の今日あるは亡き榛軒の
賜
(
たまもの
)
だとおもつたからである。榛軒の歿した時、棠軒は父の遺物として、
両掛入薬籠
(
りやうがけいれやくろう
)
と雨具一式とを枳園に贈つたさうである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
われは漸くにして媼の
賜
(
たまもの
)
を見ることを得き。その一通の文書は
羅馬
(
ロオマ
)
警察
衙
(
が
)
の
封傳
(
てがた
)
にして、
拿破里
(
ナポリ
)
公使の奧がきあり。旅人の欄には分明に我氏名を注したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
望みは遠し、されど光のごとく明るし。熱血、身うちに
躍
(
おど
)
る、これわが健康の
徴
(
しるし
)
ならずや。みな君が
賜
(
たまもの
)
なり。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
賜
常用漢字
中学
部首:⾙
15画
“賜”を含む語句
賜物
下賜
賞賜
賜緋魚袋
賜暇
賜酒
恩賜
賜餐
御下賜
賜謁
南置賜
頒賜
賜盃
賜宴
置賜
御賜
御賜鳩杖
周夷王所賜
天賜
寵賜
...