万葉集巻十六まんようしゅうまきじゅうろく
萬葉集は歌集の王なり。其歌の眞摯に且つ高古なるは其特色にして、到底古今集以下の無趣味無趣向なる歌と比すべくもあらず。萬葉中の平凡なる歌といへども之を他の歌集に插めば自ら品格高くして光彩を發するを見る。しかも此集今に至りて千年、未だ曾て一人の …